非平衡、開放系、定常の定義について。非平衡統計力学の目指すところについて。
非平衡の定義について調べていたのですが、
明確な記述がなくて混乱しています。
自分は平衡状態から平衡状態へ移る、
過渡的な状態が非平衡状態だと思っていました。
1.開放系の定義も明確には分かっていません。
2.以下のキーワードの関係に混乱しています。
非平衡、平衡
開放系、孤立系
定常状態、過渡状態
8通りの全組み合わせで、存在しないモノはあるのでしょうか?
非平衡開放系の定常状態
非平衡開放系の過渡状態
非平衡孤立系の定常状態
非平衡孤立系の過渡状態
平衡開放系の定常状態
平衡開放系の過渡状態
平衡孤立系の定常状態
平衡孤立系の過渡状態
3.また、「非平衡開放系の定常状態」の例として以下が挙げられると思います。
「系の上下に異なる化学ポテンシャルの熱浴をつけて、定常状態になった状態」
この時、上下の状態変数を拘束条件とした統計力学を考えてはまずいのでしょうか?
4.また、現在発展途上の非平衡統計力学で説明出来ていない
非平衡現象にはどんなものがありますか。
どのような性質を満たせば、またはどのような計算が出来れば
非平衡統計力学が完成したと言えるのでしょうか。
長くなってしまいましてすみません。
よろしくお願い致します。
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
訂正です。
「平衡開放系の定常状態」の例は間違いでした。
別の例として、「同じ水質の水が、一定の水量で流れているパイプの一部分を系と考えた場合。」はどうでしょうか?
成分も濃度も圧力も定常ですが、物質が移動しているので開放系、流入と排出が同じ成分、かつ同じ量なので平衡です。
>非平衡になるには、マクロ量が時間的に変化する(過渡)、もしくは物質・エネルギーが空間的に移動する必要があるようです。
この前回答のコメントを考えると、
コメントパイプを水が流ている系は非平衡かと思うのですが、
いかがでしょうか。
例えば、電圧をかけて電子が流れている(両端子を除いた部分系の)状態は非平衡状態だそうです。
http://www.materials.sci.osaka-cu.ac.jp/RYOSHI/k …
いろいろ伺って思いついたのですが、
「平衡開放系の定常状態」は平衡状態の一部(部分系)を切り出した状態とかでしょうか。
わかりませんが。
No.1
- 回答日時:
正確な定義については、文献などを当たったほうがいいのかもしれませんが、以前に少し非平衡の実験をかじった者としての考えとして、参考になれば。
>平衡状態から平衡状態へ移る、過渡的な状態が非平衡状態だと思っていました。
これは孤立系では正しいでしょうが、開放系では違うと思います。定常な非平衡状態はあります。たとえば、化学プラントなどが温度、濃度、圧力などが一定の状態で稼働している場合です。一方向に反応が進んでいるので平衡ではありません。
定常、過渡はマクロな意味で変化があるかどうか、つまり1時間後に見たときに温度、濃度などが変わっていなければ定常です。
平衡は分子レベルのミクロでは反応が起きているが、同速度で逆反応が起きているのでマクロには定常なこと。非平衡は逆反応が同速度ではなく反応物が生成されている状態。
ある領域を囲って考えて(これは壁があってもいいし、仮想的にでもいい)、外と中との間で物質やエネルギーの移動があれば開放系、すべて内部で完結していれば孤立系。
この理解で考えると
非平衡開放系の定常状態 例:定常稼働の化学プラント
非平衡開放系の過渡状態 例:動き始めたばかりの化学プラント
非平衡孤立系の過渡状態 例:断熱容器内での化学反応(反応中)
平衡孤立系の定常状態 例:反応が終わった断熱容器内
平衡開放系の定常状態 例:2層分離した液体の片方を系と考えた場合?
平衡開放系の過渡状態と、平衡孤立系の過渡状態は、おそらく定義的に矛盾していると思います。
過渡的な平衡というのは想像できません。
ただし、過渡=非平衡ではなく、過渡は非平衡の十分条件。つまり過渡ならば非平衡は正しいが、逆は正しく無いのではないかと。
「非平衡孤立系の定常状態」これが最初の
>平衡状態から平衡状態へ移る、過渡的な状態が非平衡状態だと思っていました。
というコメントに関係する状態だと思います。直感的には、この状態は存在しないと思うのですが・・・
非平衡になるには、マクロ量が時間的に変化する(過渡)、もしくは物質・エネルギーが空間的に移動する必要があるようです。
どうも、開放系・孤立系というところにヒントがありそうな気がします。どこまでを系と考えるか、という問題です。
宇宙全体を考えてしまえば、非平衡孤立系過渡状態ですが、系を小さく区切る(ただし分子レベルではなく人間サイズで)ことに意味があるように思えます。
系が分子レベルに小さくなってしまうと定常状態などありえなくなりますし。
私の理解ではこんなところでしょうか。
プリゴジンなんかをじっくり読んでみれば何か深遠なことが分かってくるのかもしれませんが・・・
>また、現在発展途上の非平衡統計力学で説明出来ていない非平衡現象にはどんなものがありますか。
理論は詳しく知りませんが、個人的に面白そうなのは、シマウマの縞のパターンなどの空間的な構造でしょうか。生物の模様などはDNAで決まっているかのように言われていますが、DNAで決まっているのはタンパク質の種類と濃度などの条件だけであって、生物の模様は非平衡な反応でパターンが作られていくようです。原料、温度などの環境をどのような条件にしたら、どのような空間的なパターンができるのか解明できたら、自己組織化のような本来の意味でのナノテクノロジーができてくるのではないかと思います。
非常に丁寧にご回答いただきましてありがとうございます!
具体例を挙げていただいたおかげさまで、
感覚が伝わってきたように思います。
何点か質問させてください。
>定常、過渡はマクロな意味で変化があるかどうか、つまり1時間後に見たときに温度、濃度などが変わっていなければ定常です。
>平衡は分子レベルのミクロでは反応が起きているが、同速度で逆反応が起きているのでマクロには定常なこと。非平衡は逆反応が同速度ではなく反応物が生成されている状態。
非平衡は反応物が生成される状態、
ということは生成物の量が時間的に増えていると見ることができてしまって
過渡状態の定義に当てはまってしまわないでしょうか?
生成元の物質と反応物は外の系から流入出していて、
時間的に部分系での量は変化していないということでしょうか??
>「非平衡孤立系の定常状態」これが最初のコメントに関係する状態だと思います。直感的には、この状態は存在しないと思うのですが・・・
孤立系に限ると非平衡状態は平衡状態から平衡状態へ移る過渡状態だけ、
と言えるのではないかということでしょうか。
>原料、温度などの環境をどのような条件にしたら、どのような空間的なパターンができるのか解明できたら、自己組織化のような本来の意味でのナノテクノロジーができてくるのではないかと思います。
非常に勉強になります。こういったマクロパラメータでパターンを制御することは出来ていないということですね。
非平衡を理解するモチベーションが上がります。
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