かつて、ウィリアムズFW14を開発した
アドリアン・ニュ~ウェイさんって、
マンセルが抜群に上手く乗りこなしていたから、
飛行機状態になってセナがダイブする危険性、
気付かなかったんでしょうか?
パトレ~ぜのつたないっていうか危なっかしい運転みて、
危険性予測、出来なかったんでしょうか?
勝利にドケチなまでに貪欲なプロストが、1年で乗り捨てたマシンなのに・・・
反対に、マンセルとデイモンは、開発担当者だったから、
死人が出てからも、あの危ない飛行機マシンに対して、
偏見なく搭乗出来たんでしょうか・・・?
学術的に教えて下さい。
アドリアンさんの他に、もう一人居た様な気がするんで、間違ってたら済みません。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
元レーシングカーの設計屋で、過去にアクティブサスの研究にも従事していた者です。
ニュースソースがどこのモノか判りませんが・・・セナの事故はサスペンショントラブルとは関係無い事になっているのでは?(セナの事故にまつわる裁判記録のうち報道された箇所にも、操舵系の故障に係る話は出てきますが、サスのトラブルに関する記述は無かったと記憶していますが・・・?)
まずはアクティブサスの『暴走』に関して検証してみましょう。
1.制御信号の誤指示に関して
実際に当時ワタシがテストに使っていた実験車(これはレーシングカーではなく市販車の改造です)が突然横転し、その時車両が離陸する可能性に関して追求しました。
その結果、アクティブサスが『暴走』して車両を離陸させる可能性があるのは、車高センサか輪重センサが故障により突然ピーク信号を出した場合である事が判りました。
実は、アクティブサスを発明したロータス社が使っていたセンサにはこの可能性があったのですが、ウィリアムズが使っていたセンサは故障すると沈黙するタイプなので、この可能性は低いと考えられます。
尚、ノイズの問題ですが・・・これは常に恐怖の対象となっていたので、市販されたものやロータス社と同一のSPECのものも含めた複数の制御システムのEMI試験を実施しました。
広告用の屋上ネオンの近傍でも発生しないほど強い電界強度のバイ・コニカル(複合波)の電磁波でも、ゼロ位置のドリフトが発生しただけでどのシステムにも危険な暴走は見られませんでした。
勿論この中にウィリアムズのモノは含まれていませんが、写真で見た限り特に劣る部品は発見出来ませんでしたし、肝心のコントローラはロータス社のコントローラと同じところで製作されていたので、EMI対策もロータス社のものとほぼ同一と見なせるでしょう。
2.油圧回路のポテンシャルに関して
コントローラからの異常信号が無ければ油圧回路が暴走する事は基本的には有り得ませんが・・・何かハード的なトラブルがあり、サーボバルブが勝手に油圧をアクチュエータに送ってしまった、と仮定して話を勧めます。
ウィリアムズが採用していたアクティブサスはロータスのシステムより、油圧回路としてはずっと幼稚で、ロータスの様に20Hz以上の、ばね下共振周波数まで制御する能力は持っていませんでした。(勿論、ウィリアムズのアクティブサスシステムを実際に動かして計測したワケではありませんが、使われているバルブやポンプのスペック、コントローラの処理速度等を勘案しますと、最速でもロータス製の1/5~1/8程度の応答性しか得られなかったのではないかと推察出来ます。)
また、あの速度域では、(少なく見積っても)空力的ダウンフォースが車重に近かったと考えられます。仮にアクティブサスの制御が暴走したとしても、それほど『ゆっくり』した暴走で、果たして高いダウンフォースを受けている車両が離陸するのかどうか・・・ま、確かに限界走行中ならマシンコントロールを失う可能性は十分ありますが、少なくとも『飛行機状態』になるとは思えません。これは単に運動方程式を解くだけなので、実際に離陸するかどうか、どぅしても知りたい場合はご自身で計算してみてください。(プロはタダでは計算しません、などと言いつつ、実は面倒臭いだけですが。A^-^;)
3.画像による事故解析
ここで、当時のシューマッハのオンボード画像を思い出してください。
最初ゆっくり反時計回りにヨーイングが出始めたウィリアムズは、次の瞬間かなり早い角加速度を伴う時計回りのヨーイングをほんの一瞬だけ発生させ(画像を見る限り10Hz以上の早さで)、カベに向かって突進していきます。
バンプステアを限りなくゼロに近付けたジオメトリ設計をするF1マシンの場合、サスペンションの伸縮方向の暴走でヨーイングが目に見えるほど発生するとは考え辛いところです。(もし車両が離陸したのなら急激にコーナリングフォースを失う事になり、最初に発生したヨー角を維持したまま吹っ飛んで行くはずです。)
あの画像を見る限り、操舵系、或いはホイールの操舵方向のロケーションを司るリンクの故障、または走行抵抗の左右差(片輪が急激に減圧するなど)に起因するコースアウトと考えるのが妥当ではないかと思います。
・・・以上ですが、最後に1点。
もしセナの事故の原因がアクティブサスによるものとなっているなら・・・元アクティブサスの研究者としましては、この問題は捨て置けません。再度検証してみたいので、そのニュースがどこに掲載されたものか、或いはその元ネタがどこから来たモノなのか、是非御知らせください。
少なくとも、JSAE(日本に於ける、唯一の自動車工学の学会です)ではアクティブサスの危険性に関する論文は1本も発表されていません。これは追求する価値がある、と思います。
この回答への補足
ドライブシャフトが折れる事が発見される前のF1雑誌に、
「コース整備が悪い為、路面にデコボコの『デコ』部分があり、そこを通過した際、マシンが地面を離れてしまい、ハンドルを切ってもマシンの進行方向に変化が付けられない状態になったのでは?」
との見解が載っていました。
当時、私が読んでいたのは、ソニ~のF1グランプリ特集という月刊誌と、GPX(だったかな?)っていう、速報誌でした。
アドリアン氏は、大学で航空力学専攻だったので、余計に、「予測出来なかったのかなあ・・・」って、気になったのでした。
アクティブサスに関係なく、
路面のちょっとした出っ張りで、F1マシンは飛行機みたい浮いてしまう危険性、常にあるのかなあ・・・
とは思ってるんですが、アクティブサスとの関係が知りたくて、質問させて頂きました。ありがとうございます。
マンセル・デイモン・パトレーゼの3人は、何も感じる事なく、走っていたんかなあ・・・?
『ちょっとこのマシン、危険じゃない?浮いてハンドル効かなくない?』
って感じる事、なかったんでしょうか?
なんでマンセルしか、乗りこなせなかったんだろう・・・?
マシンと選手の相性だけでは、ない気がして・・・
プロストとセナがFWに載った結果、そう思ったのでした・・・
うれしい・・・昨日、貴殿を発見して、是非、解説して頂きたかったのです!!
ああ・・・ありがたき幸せです!!
感激に、打ち震えております!!
ああ・・・おっけ~に、来て良かった・・・涙
No.5
- 回答日時:
事情がわかりましたので、またまた回答です。
>「コース整備が悪い為、路面にデコボコの・・・・
>ハンドルを切ってもマシンの進行方向に変化が
>付けられない状態になったのでは?」
更に雑誌は『ソニ~のF1グランプリ特集という月刊誌と、GPX(だったかな?)っていう、速報誌』との事で、この“トンチキ”な見解を書いた者も、だいたい想像がつきました。(A^-^;)
結論から申しますと、これはアクティブサスなるモノを工学的に全く理解していない、以前に、力学的な現象の理解も欠落した認識です。
確かに、路面の凹凸でクルマはポンポン跳ねています。それは間違いありませんが、何mも離陸するほどは跳ねません。(そんなに跳ねさせるには、文字通りジャンプ台ほどの凸が必要になります。)
>アクティブサスに関係なく、
>路面のちょっとした出っ張りで、
>F1マシンは飛行機みたい浮いてしまう
>危険性、常にあるのかなあ・・・
クルマには自重があり、更にF1では250km/hで自重を超えるほどの空力的ダウンフォースがかかっています。しかも大変都合がよい事に、車体の質量なら凸で跳ねた時は離陸方向の慣性力として働きますが、空気の力で得られるダウンフォースは、如何なる状況でも常にクルマを地面に押し付けています。
よって、ちょっとした路面の凹凸によって跳ねている程度では、クルマは直ぐに路面に押し付けられてしまいます。(この空力的ダウンフォースにより、普通のクルマより逆に離陸し難いとさえ言えるでしょう。)
さてそれでは、この記事を書いたヒトは、何故アクティブサスがノーマルサスより離陸し易いと言う考えに達したのでしょうか?
これは恐らく、あの頃流行ったゼロ・ロール・サスとアクティブサスを同類とする様な乱暴な考えから来ているのではないかと思われます。
ゼロ・ロール・サスとは、ほぼ無限と見なせる剛性を持つスタビライザを入れてロールを限りなくゼロに保つだけのサスですが、当時の空力設計のブームに則り、ロール角を可能な限り排除する為に作られました。
アクティブサスも同類の“頭の悪い”サスペンションとして捕らえると、確かにゼンゼン動かないサスなら路面の凹凸でジャンプし易くなるでしょう。(それでも、自重と空力的ダウンフォースが十分大きいので、飛行状態となるとはとても思えませんが。)
しかしアクティブサスは、サスの自由な動きを規制したゼロ・ロール・サスとは反対に、路面の凹凸によって自由に動きます。
アクティブサスは、制御範囲内の周波数の凹凸であれば、凸に乗った瞬間油圧によりタイヤを引き込み、凹に落ちた瞬間やはり油圧によりタイヤを下降させ、可能な限りタイヤと路面のコンタクトを失わない様に働きます。
また、路面の細かい凹凸など制御が効かない高周波領域では、実は単なるエアサスとして働きますが、しかしそのエアサスはダンパ(いわゆるショックアブソーバ)を全く持たないので、通常のサスペンションよりずっと早い応答でタイヤを接地させ、ロードホールディングを回復します。
つまりアクティブサスとは、『路面の凹凸でも車体(ばね上)を動かさず、タイヤ(ばね下)だけ激しく上下させて路面の凹凸に追従させる』装置であり、姿勢制御は副次的なモノ、と見る事も出来ます。
ばねが硬い通常のサスペンションの様に『凸に乗り上げたら車体に離陸方向のベクトル(=ツキ上げ)が発生する』事は、アクティブサスではかなり軽微です。
よって、アクティブサスがノーマルサスより離陸し易い事はありませんし、それどころかノーマルより離陸し難いとさえ言えるでしょう。
尚・・・
>アドリアン氏は、大学で航空力学専攻だったので、
車両が離陸するかどうかは、図面の段階で容易に検証出来ます。エイドリアン・ニューウェイ氏より、彼の上司たるパトリック・ヘッド氏がそんな見落としをするとは思えません。
また・・・そもそもある分野で十分な経験を積んだエンジニアなら、未経験の分野の設計に対しても、ある程度は重要項目がすぐにリストアップ出来ます。このくらい判らなければクルマの設計屋としては食っていけません。(自分が学習した狭い領域の専門分野にのみ詳しく、しかし他は全くカンが働かないエンジニアは、通常は『教授』と呼ばれる職種に就いています。)
>『ちょっとこのマシン、危険じゃない?
>浮いてハンドル効かなくない?』
>って感じる事、なかったんでしょうか?
アクティブサス車に乗ってみると、全く逆ですね。
タイヤは執拗に路面から離れず、ドリフト中でも信じられないほどハンドルが効き、コーナリングパワが安定しています。(制御則の中に、操縦性を劇的に改善する各輪荷重配分の制御が含まれているので、ロードホールディングの改善だけで優れたハンドリングが得られているワケではありませんが・・・)
http://www.hochi.co.jp/html/column/car/2003/0202 …
私の失念だらけの問いかけに、見事な解説を下さった御恩、一生忘れません・・・F1ファンの歴史において。
恐縮のあまり、昔のGPX、引っ張り出して、調べてみました。
私が読んだ文を書いた方なんですが、イモラサ~キット関係の方で、かなりサ~キットの責任逃がれ的な立場での執筆者でした・・・GPX、なんでこんなの、承知で載せるんだろう・・・GPXが、ただの紙切れに見えました。あんな、噂しか載せてない雑誌、最低です。10年前の自分にがっかりです。
次に、『セナ 原因』で、ネットをくまなく検索。
上記URL、見つけました。
結論は、未だ未解決・・・でした・・・ショック。
前日にラッセンが亡くなり、当日もレ~トが派手に破片ばら撒いたり・・・レ~ス中止にしないなんて、人災としか、言い様がありませんね・・・
当時はただ、マシンが好きで、何の疑問も有りませんでした。恥ずかしいです。
航空力学は、パトリック・ヘッドでした・・・大変失礼しました。汗
ダウンフォ~スって、凄かったんですね・・・
マンちゃんの意外な?スイ×2走りで、物議醸したアクティブサス。これについて、詳しく正しく復習する機会に恵まれた事、再度御礼申し上げます。ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
何か短絡過ぎて悲しいですネ…(-- それと事実認識がいろいろと違う気がします。
ダ・シルバの死亡事故原因は、確かパワーステアリング系統のトラブルだったと発表があったと思いますけど、σ(^_^)の勘違いだったでしょうか?
ウィリアムズチームはあの事故以後の全てのマシンに「ダブルS」マークを付けて、ずっと哀悼を表しています。
あまりにも偏った認識かと思われますがいかがでしょうか?
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