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幕末から明治初期ころの人の名前についてお尋ねします。
武士や豪商、文人などはたいてい本名である諱(いみな)以外に通称を持っていました。諱と通称につてはwiki等の説明で了解できたのですが、人物誌などを見ていると字(あざな)という名前を持っている人がいます。
netで調べると「字は通称のこと」といった説明が多いようなのですが、例えば
http://www8.plala.or.jp/housendo/gaka.htm
の2人目亀田鵬斎という人は字と通称がありますから、両者は同一のものではないように思えます。字(あざな)と通称の違いを教えてください。
また前記のページでは「名」が書いてありますが「諱」の記載がありません。この「名」とは「諱」と解釈して良いでしょうか。もし違うのでしたらそこも教えていただきたいです。よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

>「名を翼・・・字は国南・・・通称 文左衛門」とあって字と通称は異なるものとしています



この場合の「名」は忌み名(諱)です。通称は一般的な通り名で、字は(語弊はありますが)ペンネームとか源氏名に近い感覚のものです。

どういう使い分けをするかというと、諱はその人の本名であり親と本人ぐらいしか知らないものです。これは、ご存知の通り本名を知られると呪いを掛けることができるようになってしまうから、という理由によるものです(呪いといっても死神が本名を呼ぶと本人は魂を取られる、というような感じです)

通称は誰でも呼べる名前です。亀田鵬斎も近所の人とか顔見知りの八百屋さんなどでは「文左衛門さん」で通っていたでしょう。だから通称ということになります。

それに対して「字」はその人の仕事に関する名称と尊称ということになります。亀田鵬斎を例にとれば、儒学者、文人としては国南、公龍などとして知られていたわけで、儒学者としての字と文人としての字を使い分けていたかもしれません(たぶん使い分けていたでしょうが、亀田鵬斎を詳しく知らないのでどれがどれかは分かりません)

日本人の場合ややこしいのは、諱と字がある上に通称があってさらに字も通称も好きなだけ使い分けられた、ということです。この点でペンネーム(たとえば松任谷由実は、楽曲提供者としては、呉田軽穂、という名前で書いている)と使い方は一緒だといえます。

ではなぜ字と通称が別になるかというと、これは日本の階級システムがそうなっているからです。
日本の場合、中国などのように明確な階級制ではなく、農民の出身なのだけど学問で身を立てたから(身分は農民のまま)名字帯刀を許可されたとか、町民なんだけど腕の腕のいい医者だからお城に出入りできた、というようにがちがちの階級社会ではなかったのです。

諱はそもそも他人が呼ぶのは無礼だったことはご存知だと思いますが(これは正しくは、その人の命運を握っている親と主君は別で、呼べたのだけれどもそれは「絶対的な命令(死ねといわれた死ぬ必要があるぐらい絶対的)」が出来る人だから、呼べたわけです。

そういう立場ではない人が諱で呼ぶのが当然に無礼なわけですが、学問や医術・建築などで庶民ながら武士と対等に話せるようになると、回りの庶民が字で呼ぶことも十分失礼なことになってきてしまうわけです。

ですから字と通称を分ける必要が出てきて「名を翼・・・字は国南・・・通称 文左衛門」という風になり、名は親と主君だけ、字は対等な立場で仕事(学問とか文人としてとか)が出来る関係のひとだけ、それ以外の人はどちらも恐れ多いので、通称を使ったということになります。

そもそも文左衛門のように古い日本人によくある左衛門・右衛門は律令時代の官職名であり、江戸時代では有名無実化して、課長・部長のような肩書きだったのです。繁華街を歩くと誰にでも「社長、いいこいますよ」と客引きをするように「肩書き」というのは通称として使いやすかったのです。

ですから、通称は誰でも呼べるその人の(日本語であだなとすると意味が違うので)ニックネームであり、字は通常は通称でいいのですが、文人や学者などになるとペンネームのような一段上(諱と通称の間)で対等な立場の人しか呼べなかったということです。

武士は通常、諱と字=通称(ただし、この通称は農民や町民は呼ぶことが出来ません)しかありませんし、一般的な庶民も諱と字=通称しかないのが普通でした。

このほかに「号」というものもあります。これは自分でつける場合も他人がつける場合も、その人の足跡にふさわしいというものが「号」になります。号は原則としてひとつです。(書画の号と詩の号を分ける人はいた)

昔の日本には階級があったため、誰でも名前を気軽に呼べるわけではなかったのです。ですから一人の人が名前を使い分けていたわけです。
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この回答へのお礼

大変詳しい説明をしていただきありがとうございました。
字は通称ではあるけれども使う相手が限られているということですね。
「正式な通称」あるいは「他人に教える諱」といった感覚のものと理解しました。
疑問が解けました。ありがとうございました。

お礼日時:2011/11/08 01:04

    ご参考までに


    http://d.hatena.ne.jp/durrett/20101017/1287338340

この回答への補足

回答をありがとうございます。
紹介いただいたページは知っておりましたが、このページでは通称の項目はなく「字はその人個人の通称」としています。
しかし質問に記した亀田鵬斎の場合では「名を翼・・・字は国南・・・通称 文左衛門」とあって字と通称は異なるものとしています。(小生、亀田鵬斎を調べているのではなく字と通称を持っていた人物の例として引用させていただいただけです。また同ページでは多くの人の字と通称が記してあります。)
netをかなり捜したのですが、字と通称の違いを説明したページが見つかりませんでした。付け方、使い方など違いを御存知でしたらお教えください。

補足日時:2011/11/07 09:40
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