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適菜収氏とニーチェの視点から読み解く、
中高年がタブレットを使用するにあたっての注意点。
あなたはB層ですか?]


■今やネットの世界では、
ユーザーが気軽に動画作品を投稿することができるようになりました。
それを閲覧して、
その動画に対してコメントもできるようになりました。
タブレットの普及は、
専門家ではない一般人がつくった政治的な動画や、
大系的な知識を持たない市井の人が書いた政治的なテキストを
一般の人々が目にする機会を格段に増やしました。
それに付随するかのように、
チンピラ学者動画やテキストも同様に日の目を見るようになりました。

宗教、科学、政治、歴史。

しかし、
それらの殆どは、
特定の思想傾向の持ち主の利益や政治的な動機に沿って恣意的に編集されていることに、
皆様はすでにお気付きだと思います。
自分に都合の悪い情報は排除し、
都合の良い情報だけを拾い集めてそれだけで世界が構成された、
漫画やアニメのように分かりやすい世界観。

■そうです。
言うに及ばず、
はじめにそのようなサブカルチャー的な手法で宗教と歴史を再構築して、
自前の分りやすい世界解釈を打ち出したのはあのオウム真理教でした。
大系的な知識を持たない人間が都合よく政治や歴史や宗教を語り、
それを宣伝しようとすれば必ずそれはサブカルチャー化します。
失礼な物言いで申し訳ありませんが、
最近の中高年の皆様は精神的に疲れていらっしゃるのでしょうか?
堪え性の無さはまるで青臭い若者です。
恣意的に編集された世界観はあまりにも分かりやすく単純なので、
中高年はどんどんそこに転がり落ちて行きます。

■『民主主義は反知性である』。
(適菜収)

私はあまり評価してはいませんが、
これから保守系哲学研究者の適菜収氏の視点から、
この問題を解いて行きたいと思います。

■まず、
知性は分かりやすさを求めません。
反知性は分かりやすさを求めます。
大衆は反知性的です。
意地悪く言えば、
物事をちゃんと考えるだけの知性もなければ、
時間をかけて深く考えるだけの堪え性もない愚かな群衆です。
適菜氏は、
そのような反知性的な大衆のことを『B層』と定義付けました。

元々『B層』とは、
電通が郵政民営化の広報企画にあたって
小泉政権の主な支持基盤として想定した、
「具体的なことはよく分からないが、
小泉のキャラクターを支持する層。」
のことを指して使われた定義です。

電通の戦略は見事に当たりました。
体系的な知識を持たず、
その場の雰囲気や空気で物事を決めるB層。
後期高齢者医療制度には反対だけど小泉政権は支持。
それはそのまま、
日本のTPP参加には反対だけど安倍政権は支持する昨今の
有権者と重なります。
繰り返します。
B層は大系的な知識を持ちません。
その行動原理は自意識の快・不快からの反射的な反応であって、
その中心には熟考や原理原則はありません。
もちろん、
B層には右左問わず学者も評論家も大挙として所属しています。

■その典型例が原発をめぐる対立でしょう。
B層右派は左派が脱原発だから原発推進を主張し、
B層左派は右派が原発推進だから脱原発を主張しているだけです。
このアンチ主義こそが反知性の最たるものです。
(被災者の生活は置いていかれている。)
残念ながら、
昨今の日本国内での右派と左派の対立や、
それに加えて日本と近隣諸国での政治的、
歴史的対立の多くはB層同士のアンチ主義的対立に過ぎません。
政治家までもが堪え性のない無責任な大衆であるB層に迎合してしまっているのが現状です。

■適菜氏は、
このような反知性的な薄っぺらなラディカリズムを
痛烈に批判しています。
もちろん、
その批判は右派にも左派にも向けられています。
なぜなら、
B層とは思想的なベクトル(方向)のことを指すのではなく、
知的態度のレベルを指す概念だからです。
もっとわかりやすく言えば、
何を支持するのかではなくどう支持するのか。
それが重要だということです。

■適菜氏がよく引用する哲学者ニーチェは、
人間として弱い故にルサンチマン(怨嗟)にかられた弱者が、
他者を蔑むことによって自尊心を調達する恥ずべき精神構造を見抜いていました。
もちろん、
ニーチェが理想とした『超人』はそのような弱さとは無縁です。
ナチスはニーチェの超人思想をゲルマン民族の理想の到達点のように掲げましたが、
一次大戦で疲弊しきって自尊心を失っていたドイツ国民が、
ユダヤ人を差別し虐殺することでその自尊心を回復していった
その過程こそがニーチェが批判したルサンチマン中心の社会構造の顕現化であり、
その彼らこそがニーチェの定義するところの弱者の群れである『畜群』であったという顛末は、
皮肉の効き過ぎた何とも言えない笑えないものでした。

■今までの流れを踏まえてまとめますと、
B層を、
『ルサンチマン(怨嗟)を解消するために安易に過激化した、
大系的な知識を持たない弱者の群れ』
であると定義できるでしょう。
B層にとって手間暇がかかる知性などは面倒なものでしかなく、
必要なのはコンビニエンスに憂さ晴らしができる手段と、
漫画のように分かりやすい世界観と、
自尊心を調達するために必要な蔑む対象だけなのです。

■さて、
あなたはB層でしょうか?
すでにB層の若者に洗脳されてしまっていますか?

■産経新聞でも朝日新聞でも読売新聞でも毎日新聞でも、
それぞれに公正になりきれない領域があります。
その領域こそがそれぞれの新聞の特色なのです。
もちろん、
それは適菜氏にもありますし僕にもあります。
新聞を読むにあたっては、
それぞれの新聞社の公正になりきれない領域さえ知っていれば、
どの新聞を読んでもそれを差っ引いて純粋に情報だけを入手できます。
初歩的な情報リテラシーです。
しかし、
B層によってつくられた動画や書かれたテキストには、
そのようなリテラシーさえも無駄に終わります。
なぜなら、
そこには何もないからです。
あるのは都合の良い知識の継ぎはぎだけで成立した、
単純で分かりやすい漫画のような世界観だけなのです。

■もし、
あなたが右派で、
最近江藤淳のことを左に思えてきているのなら、
それはあなたがB層右派になってしまっているからです。
もし、
あなたが左派で、
最近吉本隆明のことを右に思えてきているのなら、
それはあたながB層左派になってしまっているからです。
もちろん彼らの思想のすべてが正しいなんてことはあり得ませんが、
彼らの立ち位置は中心からまったく動いていません。
江藤と吉本の対談が面白いのは、
彼らはお互いの主張が相容れなくても対話が成立する
『共通前提』を共有しているからです。
共有された大系的な『知識の公共圏』。
この時代の知識人は、
右翼でも知識の上ではマルクス主義に精通していて、
同じように左翼でも天皇制に精通しているものでした。

■それに引き換え、
B層は右左問わず体系的な知識を持っていないので、
お互い対話が成立せずに罵り合うことしかできません。
彼らには知的な『共通前提』がないのです。
米国のB層である米キリスト教右派とイスラム圏のB層であるイスラム原理主義者の間に
対話が成立しないのとまったく同じ構造です。

■中道は地道に獲得された知識と、
積み重ねられた生活から見出された『共通前提』を大切にします。
右派と左派の中にそれぞれの中道があるのではありません。
中道の中に中道右派と中道左派があるのです。

■確かにB層がつくる政治観や歴史観は分かりやすく過激で面白い。
しかし、
私達は是非と好き嫌いを混同することが許せない成熟した大人であります。
好きだから正しい。
嫌いだから間違っている。
そんな恥知らずな態度は取りません。
B層が導く、
もしくはB層に迎合した政治など、
右に振れようが左に振れようがろくなものではないことは
歴史が証明しています。
今や政治家までもがB層に転落しはじめています。
残念ながら現状のままでのネット選挙はその大きなきっかけとなるでしょう。

単純で都合の良い解決策を求めない事。
単純で都合の良い歴史観を求めない事。
単純で都合の良い世界観を求めない事。

■世界は複雑怪奇で不条理です。
それを逃げずにありのままに引き受けて真ん中でもって思考し続ける事。
それがB層に落ちない唯一の方法でしょう。

A 回答 (3件)

>私の考えっておかしいですか?



それが貴方の質問だったのですね。
是非を好き嫌いで判断するべからずというのは政治についてはたしかにその通りでしょう。
でも考えてもわからなければ、結局好き嫌いで判断してしまうのが普通の人間です。
そんな人たちのためにマスコミがあり「知識人」や「評論家」たち好感のもてるリーダーがいるのでしょう。
体系的な勉強をしなさいといっても、大学を出た学士さんたちができなかったことを平均的既製社会人がいまさらできるはずもないし。

気分は理解できますが、
なんだか煮え切らない議論のようにも思えました。
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お考え方には、特に間違いはないでしょう。


但し、「哲学研究者の適菜収氏」とされるのは早計かと思います。
氏の言動については、検索して頂ければ多数ヒットします。
心ある学問研究者は、あまり自らを哲学者云々とは発言しないものです。
「B層」などという概念は昔からあるステレオタイプの発想でさして珍しいものではありません。ギリシャのむかしからある陳腐な考え方です。(衆愚政治、愚民を言い換えただけです。)
血液型占いと同工異曲です。
ニーチェだのなんのという虚仮威しに惑わされずに、ご自分でニーテェの著書をお読みください。
質問者さんであれば、充分理解可能です。

せっかく色々お考えのようですので、一人二人の人間の著書に惑わされないようにして下さい。

ご指摘のオカルト集団の信奉者も、たまたま出会った教祖なる人物にフラッといってしまった結果です。
事前に、お経なり聖書なりの解説書の一つでも読んでいれば簡単にイカレルことはなかったはずです。
最高学府を出ても専門知識のみで、質問者さんのように自分の頭で考え、複数の考え方に積極的に接してこなかった結果が、毒物をバラ撒いた後に自分がやったことに気がつくというヘマをやってしまいました。
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強烈ですね。


半分くらいしか読めませんでしたが、とんがった表現のわりには、言ってることはけっこうトラディショナルです。
一般大衆が知的でないのは当然であり、「反知性的な民主政治」を表す言葉としては、桝添さんあたりがよく言うが、衆愚政治という言葉が昔からありました。
「B層」っつーのは、平たく言うと、大衆そのものですね。
私の考えはおかしいか?という質問にそっていうならば、いたってまともだと思います。
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