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 神野直彦先生が「誰を不幸にする豊かさ」『生活経済政策』2007年11月号に
次のような記載をしています。

 「現在の日本の経済政策は、豊かな者をより豊かにすることが目指されている。こうした経済政策を正当化する背後理念は、トリクルダウン効果(trickle-down effect)である。つまり、豊かな者がより豊かになれば、その富の御零れが貧しい者にまで滴り落ちるという理論である。しかし、アダム・スミスやリカードがトリクルダウン効果を説いた時には、富は使用されるという前提が存在した。」
http://www.seikatsuken.or.jp/monthly/shikaku/200 …


 同趣旨の記述は『「分かち合い」の経済学』(岩波新書)にもあるようです。

 ところで、スミスやリカードは「トリクルダウン」という言葉をつかっているのでしょうか?
 それとも同趣旨のことを「トリクルダウン」という言葉は使わないで、言っているということでしょうか?

 ご教示いただけたら幸いです。

A 回答 (2件)

Trickel Down Theoryの発想はアダムスミスよりさらに古く1714年のマンデヴィル『蜂の寓話』まで遡ることができるようです(↓)。



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA% …

しかし、trickel downという言葉自体は

http://en.wikipedia.org/wiki/Trickle-down_econom …

によると、アメリカの大恐慌時代(1930年代)にWill Rogersが使った言葉に由来するようです。

The term has been attributed to humorist Will Rogers, who said during the Great Depression that "money was all appropriated for the top in hopes that it would trickle down to the needy."

したがって、これが事実なら、このとき生存していないアダムスミス(1723-90)がこの言葉を実際に使ってこの問題を議論したということはあり得ません。なお、この言葉を質問されるからにはご存知でしょうが、このtrickle downという言葉が有名になったのはレーガンがアメリカ大統領に就任して、レーガン大統領の経済政策「レーガノミックス」との関連で、この言葉が盛んに議論されたときです。当時私はアメリカにいたので、マスメディア(新聞・TV)で話題になるのを見てきたので、この言葉を聞くと、当時のことを思い出すくらいです。

この回答への補足

ご回答ありがとうございます。

日本版wikiに関する
1714年のマンデヴィル『蜂の寓話』
については、トリクルダウンそのものではなく
invisible hand のことでは、と(これも検証抜きなのですが)
思っています。

米語版wikiにも目を通していたのですが、
History and usage of the term
の方に目がいってしまい、冒頭にあった、引用してくださった部分は
スルーしていました。
Will Rogersという方をリサーチする可能性がでてきました。
芸人であり、コラムニストであり、多彩な人のようですね。

くだんの質問については、その後
そういえば「国富論」ならテキストがどこからか、ダウンロードできるだろうと思い、
案の定、ipadのi-booksでDLできました。
そのテキストでtrickelを検索したところ
ありませんでした。
ということで、少なくともスミスは
『国富論』An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations
の中では、trickle downは使っていません。

今回、教えていただいたことで一番重要な情報は、

>私はアメリカにいたので、マスメディア(新聞・TV)で話題になるのを見てきたので、
>この言葉を聞くと、当時のことを思い出すくらいです。


トリクルダウンがそれほどたくさん露出していたとは!

日本での「レーガノミックス」は、「ラッファー曲線」といわれていたのが
記憶に強く残っていますが、「トリクルダウン」はまったく記憶にありません。
実際、G-searchの雑誌・新聞記事横断検索をかけても、トリクルダウンは、
小泉改革くらいのところが最も古い記事です。
ただ、G-searchの起点は(本当のところよくわからないのですが)
1984年くらいのようで、それ以前にあったのかもしれませんが。

貴重な情報提供、ありがとうございました。

解決したといえばそうなのかもしれませんが、
スミスの他の著作の可能性もなくはなく、
しばらく、
このまま開いておきます。

補足日時:2013/07/27 17:30
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今回、教えていただいたことで一番重要な情報は、



>私はアメリカにいたので、マスメディア(新聞・TV)で話題になるのを見てきたので、
>この言葉を聞くと、当時のことを思い出すくらいです。

トリクルダウンがそれほどたくさん露出していたとは!
日本での「レーガノミックス」は、「ラッファー曲線」といわれていたのが
記憶に強く残っていますが、「トリクルダウン」はまったく記憶にありません。


私の記憶だけでなく、回答No1で引用した英語版Wikipediaには以下の文章があるでしょう(↓)!私も、trickel-downということばをはじめて知ったのも、レーガン政権の予算局長だったDavid Stockmanの告白がメディアで大きく取り上げられた時でした。

Today, "trickle-down economics" is most closely identified with the economic policies known as "Reaganomics" or laissez-faire. David Stockman, who as Reagan's budget director championed these cuts at first but then became skeptical of them, told journalist William Greider that the "supply-side economics" is the trickle-down idea: "It's kind of hard to sell 'trickle down,' so the supply-side formula was the only way to get a tax policy that was really 'trickle down.' Supply-side is 'trickle-down' theory."[5][6]
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この回答へのお礼

statecollege さん、いろいろありがとうございました。

まだ、リサーチすべきことはありますが、
一段落したので、これで閉めさせていただきます。

お礼日時:2013/08/23 10:38

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