久々にTVで「APOLLO13」の映画を見ました。
今更ながら緊急事態~危機回避~無事帰還という奇跡的な出来事に改めて驚くばかりです。
・・・で、映画を見ていて以下のことに疑問が浮かびました。
1.支援船が故障したので月着陸船とドッキングしたまま月を周回した後、地球帰還へと向かいますが、その際に着陸船下段のエンジンを噴射しました。NASAの管制室で、製造したグラマン社のエンジニアは、そもそもこれは月面軟着陸の為のエンジンなので推進用には無理だと言い切りましたが、実際には大丈夫だった・・・?
2.最後に大気圏再突入という難関があります。幸い耐熱シールドに破損は無く、パラシュートも開き無事着水しました。ただ、カプセル自体相当重量があると思われますが海中に沈まないのですか?
万一、パラシュートが全然開かなかった場合、カプセルや乗員たちは・・・?
そして、空母から飛び立ったヘリがカプセルと乗員を回収に向かいます。映像ではそれぞれすでに救命ボートに乗っています。あれってどこから出てきたのでしょうか?あと、カプセルの上部に丸い風船のようなものが数個膨らんでいますが、あれは何でしょうか?(思うに円錐形のカプセルの尖がった方から海面に突っ込んだ場合反転して起き上がらせる為のもの?)
(蛇足・・・)映画の中で、船内が無重力状態でいろいろな物や乗員が浮かぶシーンがたびたび出てきます。とてもリアルでピアノ線やCGでは無いと思われるのですが、どうやって撮影したのでしょうか?
以上、お分かりの方よろしくお願いします。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
13号の着水は、テレビ中継を見た記憶がないのですが、11号は発射、月着着陸と月面活動、着水まで、ライブで見ていました。
当時、10歳です。
子どもながらに、関連図書を漁り、1m20cmくらいあるサターンV型+アポロ宇宙船のプラモも作りました。
それ程、急激に時代が切り変わっていく当時の出来事に、ガッツリとハマっていたクチです。
他の方も正しい回答をされていますが、自分なりの文章で回答します。
ちょっと長くてすみません。
アポロ13号は、その号番が不吉で欠番とすべきだとする多くの意見を、NASAは迷信だと示すため、当てつけるように13時13分 に打ち上げられました。
それ以降NASAでは、13は完全に禁忌とされたままです。
> 1.支援船が故障したので月着陸船とドッキングしたまま・・・・
事故後、月の周回軌道を半周して岐路に就いたものの、13号の軌道は次第に逸れており、その修正のために、加速が必要でした。
その際、加速に用いるエンジンを、計画上の機械船のものを使うか、月着陸船のメインエンジンを使うか議論した際、着陸船を設計したグラマン者の担当は、着陸用であって加速用ではない(つまりそんな使い方をしても知らんぞ)、と保身する発言をしました。
しかし、その緊急時においては不穏当極まりないその担当の後ろ向き発言を、主席管制官のジーン・クランツは、「貴方の責任は問わないよ」とその意見を一蹴し、結局、加速操作は月着陸船のエンジンを使ったのです。
でも、加速操作が終わると、責任を問わない、と言ったにも関わらず、恐らく非協力的姿勢への批判として、「首が繋がったな」と皮肉を言うのも忘れていませんでした。
実際問題、加速中の姿勢制御は、残存電力節約のためにコンピュータが使えず、完全に手動であったので、リスクを排除せねばならない状況で、正常な状態であった月着陸船を使うことは、必然だったと言えます。
> 2.最後に大気圏再突入という難関があります。・・・・
着水した途端、沈んでしまったら、乗組員は海の藻屑ですよ。
いくら金属主体の機体だからといって、浮くよう設計されていただけです。
そもそも、ロケットの機体を設計するときは、ほんのわずかな重量増だけでも、それを宇宙へ運ぶための推進剤は数十倍の重量が必要になります。
それだけでも十分軽く造られているでしょうし、そもそも、浮力が出るよう、居住空間や機械の重さを考慮しての結果、浮くようになっているのです。
> 万一、パラシュートが全然開かなかった場合、カプセルや乗員たちは・・・?
それも計算済みです。
エアブレーキ(空気抵抗)によって、司令船(再突入カプセル)は、350km/hくらいまで減速する、と何かの資料で読んだことがあります。
その後、サブパラシュートで約200km/h、メインパラシュートで35km/hへと段階的に減速します。
つまり、一切パラシュートが開かなければ、秒速97mという猛烈な速度で海面に叩きつけられます。
通常、人の造った構造物が、そんな衝撃には耐えられなでしょうし、その中にいた人間は、一溜りもないでしょう。
現実問題として、スペースシャトルのチャレンジャー号の爆発事故では、居住区画は躯体を保ったまま落下して海面に激突し、クルーは全員がその衝撃で死亡した事が判っています。
> 映像ではそれぞれすでに救命ボートに乗っています。あれってどこから出てきたのでしょうか?
> あと、カプセルの上部に丸い風船のようなものが数個膨らんでいますが、あれは何でしょうか?
あれは、圧縮されたカタチで救助ヘリから投下され、潜水夫らしき数名の担当が司令船まで運び、膨らませて設置したものです。
筏というか、ボートみたいな所だけでなく、司令船をぐるっと一周する浮輪のようなフロートも一緒に膨らみ、これは、司令船だけでは安定が悪く、船体が波に煽られて転覆しないようにするためのものです。
船体の頭にある風船は、船体が真っ逆さまになると、そのまま安定してしまう可能性があり、仰る通り、船体を復元させる浮力を与えるために、船体に仕込まれているフロートです。
フロート、筏が設置される実際のシーンは、↓こちら(アポロ17号再突入時の記録)
(18:19付近から、頭部のバルーンが膨らむのと、フロートを設置する作業が見られます)
> (蛇足・・・)映画の中で、船内が無重力状態でいろいろな物や乗員が浮かぶシーンが・・・
船内における無重力シーンは、ほぼ全部が、本当の無重力状態で撮影されたものです。
司令船と月着陸船が連結された船内セットを、NASAが持つ無重力発生用の航空機内(KC-135)に設えて、人工的に無重力を発生させられる、約20秒間程度で撮影したカットを、うまく地上撮影のシーンと組み合わせたものです。
仕組みは、水平状態から一気に上昇を掛け、頂点に達するある程度手前から、機体を放物線軌道に乗せて制御してやるのです。
(浮く物体が変な動きをしないように、パイロットの腕も相当な熟練が必要でしょうね。)
このとき、機体は所謂「自由落下軌道」を進んでおり、このとき、理論的に無重力状態となるのです。
通常、宇宙飛行士の訓練などに用いるのですが、最初は多くの訓練士が激しく変化するGに対応できず、平衡感覚に異常を来して酔ってゲロを吐くため、愛称を「嘔吐彗星」と言います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%98%94%E5%90%90% …
撮影は、NASAが持つ2機のKC-135の1機を借り切って、通算600回以上も繰り返して撮影し、スタッフはNASAの担当から、「貴様ら根性あるよ」と言われたとのことです。
撮影は、相当タフなものであったと、俳優達は語っています。
このようにして、ヘルメットと手袋が船内を飛び交うシーンや、フレッドヘイズが宇宙酔いで戻すシーン、酸素タンク爆発でパニック状態でクルーがトンネルを浮きながら移動するシーンなど、多くのシーンが撮影されたのです。
一方、上半身しか映らないシーンなどは、俳優が演技で身体をそれっぽく揺らして臨場感を出したのだそうです。
(ビデオのオマケ映像に、監督や俳優の一連のコメントが収録されています。)
この映画は、ストーリーの大半が事実に則していますが、一部は脚色のために事実と異なっている部分があります。
一部、裏話を交えかいつまんで列挙します。
・風疹の感染疑惑を示してケン・マッティングリーを外すよう促した、医療班チーフに対するクルーの猛烈な反発は、実際にはない。
・しかし、メディカルモニタに嫌気が刺してそれを無断で外したのは本当。
・電源確保の対処に、地上にいたケンが再突入直前まで苦戦するシーンがあるが、司令船と着陸船を繋ぐ電源線の存在は周知であって、実際は事故当日には電源確保の目途が付いていた。
・ケンを外す決定をした上層部には、船長であるラヴェルは本当に噛みついた。
・フレッド・ヘイズと、ジャック・スワイガートとの軋轢は実際にはなく、実際のトラブルへの対処は映画より遥かに多く、ラヴェルは喧嘩などしている暇など無かった、と言っている。
・月面接近時は、映画では暗く沈んでいたが、実際は3人で盛り上がりまくってバカ騒ぎをしていた。
・テレビに映し出される報道番組映像は、当時の実際の放映である。
特に、ケンがふてくされてテレビを消すシーンの直前の、危機的状況にあるジャック・スワイガートを、女癖の悪い男としてコメディアン風の男が揶揄する番組も、実際の放送。
・月着陸船による噴射加速は、実際は計3回。
・再突入シークエンスで、ケンが司令船との通信担当をしているが、実際は専任のキャプコムクルーが予定通り行っている。
・空母Iwo-Jimaの甲板で、トム・ハンクスと握手する士官制服の人物が、ジム・ラヴェル本人のカメオ出演である。
それにしても驚くべきは、これが大半は事実に則っている、ということでしょう。
ジャーナリストの立花隆氏は、「米国の科学技術の底力は、11号の月面到達よりも、13号の事故に対する対処の仕方によって証明された」と言っています。
この事故を、日本を含めた第三国が対処していたら、果たして3人は無事生還できたのか、些か疑問です。
回答ありがとうございます。
とても詳しく、かつ分かりやすくそもそも私の疑問点の核心をズバリついたご回答です。
まさに、このような回答を望んでいました!(ちなみにAPOLLO11の時、私はご回答者さまより○年長で、あの歴史的な月面に第一歩を記した全世界衛星生中継も夏休みに入ったばかりで朝早く起きて見ましたし、アポロ関係のプラモも結構作った覚えがあります。残念ながら本場米国のものは当時高くて手が出なくて廉価なB級国産品ばかりでした。しかしこれが全てチープなものでやたらモーターを使った子供じみたギミックや組みあがった時のプロポーションの酷さに幻滅しましたね・汗。子供心にアメリカはプラモの出来までアカデミックで素晴らしく、日本などとても追いつけない大人の国だと思いましたね。
・着陸船のメインエンジンを使うことに対するNASA側とグラマン側との駆け引きと実際に3回噴射に使ったこと・・・それにしてもこのLM(月着陸船)の出来の素晴らしさ!心配性の私は13号以外、11号~17号まで無事に月面着陸を果たし無事に帰還しましたが、もし仮に月面から離れる際、上段部のエンジンにトラブルが起きてエンジンが噴射しなかったり、噴射しても上昇途中でバランスを崩し(いくら真空で重力が地球の1/6でも見るからにゴツゴツした不格好の船体ですので)月面に落ちでもしたら等々、気が気ではありませんでした。案ずるなかれ一度のトラブルもなく全てが100%成功。そして13号では支援船(機械船)の代わりも見事果たしました。グラマン(先の大戦ではにっくき敵国の代表的な戦闘機として有名でした・汗)の素晴らしい技術力・完璧さ!何かで読んだ覚えがありますが、なんでもSM(機械船)を設計・製造したノースアメリカン・ロックウェル社は当初グラマンがLMを納期ぎりぎりでNASAに収めたことに対し計画自体に支障をきたす云々言ってたそうですが、それも13号の思わぬピンチヒッターの登場で逆に恩を受けた(着せられた?笑)ということです。
・カプセルの先端で膨らんだ風船様フロートはパラシュート同様に最初から内蔵されていたこと、やはり逆さまになった時起き上がらせる為のものということ、そして本体周囲の丸いフロートや乗員用フロートはヘリから落とされて、即座に海に飛び込んだフロッグマンたちにより手作業でCMの周囲に巻かれ取りつけられたということが添付動画ではっきりと確認できました。長年の疑問が解けました。
それにしても3個のメインパラシュート、大きいですね。たたみ方にコツがあるのでしょうがよく収納出来たものだと感心しきり!
・船内の無重力シーンは実際にKC-135という専用機内でセットを作り何度もOKが出るまで撮影されたのですね。半端ないです!昔見た「2001年宇宙の旅」の中にもリアルな無重力のシーンが何度も出てきて、どうやって撮影したのだろう?と思いましたが、今更ながら欧米(特に米国)の映画作りは日本人の作る映画と比べスケールがケタ違いで、しかもことさら誇張することなくサラリと見せるところが凄いと思いました。
他に面白い裏話も含めてあらためてご回答に感謝申し上げます。
No.4
- 回答日時:
1に関しては製造会社が予定外の使用を考えて居ないからです。
2で、空気の入った瓶が浮いているのと同じ。ただしハッチを開けて水が入ると沈みます。ライトスタッフという映画でグリソム宇宙飛行士が着水し何らかの影響でハッチが体制が整っていない状態で開いてしまい、カプセルは沈んでいきました。
映画の中での撮影で実際に無重力の空間を作って撮影をしています。それは訓練でも行われている飛行機での自由落下を使った短い時間ですが無重力空間を作ります。後は演技でそれっぽく見せたりもしています。
映画では語られない部分も原作本を読むと結構面白いですよ。
自由落下を使った無重力は科学番組などでよく見ますよ。一般の方でもお金はかかりますが体験はできるみたいだけどね。
行ってQでも見たことは有る。
No.3
- 回答日時:
1.>実際には大丈夫だった・・・?
はい、大丈夫だったから地球に生還しています。
エンジニアは、それ専用の使い方しかしませんから、できないと言ったのでしょう
2.着水と同時に、膨張式の浮力体が展開されます(ゴムボートのような物)
上部の丸い3個の風船のような物は、着水時に船体が傾いた状態で沈んだ時に、姿勢を正しく(上部)を保つ物です。
着水時は半分ほど沈みます、ドアさえ開けなければ沈む事はありません。
その後、姿勢が安定したら、側面から浮力体が船体全周を覆い、浮き上がり、姿勢を保ちます。
無重力実験機(飛行機を弾道飛行させて、急降下させる事で無重力になります、その機内にセットを組んで撮影したり、ワイヤーで吊ったり(ワイヤーは画像処理で簡単に消せます)、CGで回したり、色々です。
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