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現在、加速器を使った粒子衝突の実験ではどのようなものがあるのでしょうか。
その内容と、どのような検出器が使われているか、簡単に教えてください。
できれば複数の実験について知りたいと思っています。
それほど専門的なことではなく、お話程度でも結構です。
よろしくお願いします。

A 回答 (10件)

文部科学省の高エネルギー加速研究機構のHP


http://www.kek.jp/public/
などいかがでしょうか.
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この回答へのお礼

見てみます。
有り難うございました。

お礼日時:2001/05/28 15:52

現在日本で行なわれている大きな実験では


ニュートリノ振動実験とBファクトリー実験が挙げられます。

ひとつめのニュートリノ振動実験は
レプトンの一つであるニュートリノの質量について調べている実験です。
この実験では茨城県にある高エネルギー加速器研究機構から
岐阜県のスーパーカミオカンデと呼ばれる大きな水槽に向けてニュートリノを飛ばし、
そこでわずかに水分子中の電子と反応するニュートリノを
光電子増倍管というわずかな光を捉えることのできる検出器で検出しています。
はじめに飛ばした個数とカミオカンデでとらえた個数からニュートリノに
質量があるかどうかがわかります。(理論は少し難しいです。)

次に挙げたBファクトリーという実験は、B中間子の崩壊を見ることで
CP対称性(鏡に映した世界と同じかどうか)について詳しく調べる実験です。
この崩壊はものすごく稀にしか起こらないのでたくさんのB中間子を作らなくてはならず、
今は少しずつ目標の生成量にせまっているところです。
この実験の検出器には次のようなものがあります。
 CsIカロリメータ:電子・光子のネルギーの測定
 ドリフトチェンバー:荷電粒子の運動量の測定
 シリコンバーテックス検出器:粒子の崩壊位置の精密測定

とりあえず2つほど挙げてみましたが、他にも知りたい、
もう少し詳しく知りたい、というのであれば補足をお願いします。

この回答への補足

ニュートリノ振動実験については少しだけ勉強したことがあります。
理論的なことはあまり知りませんが。

B中間子の崩壊は既に観測されているが、統計的にデータがまだ不足
しているという状況でしょうか?

加速器実験で、他にもシリコン検出器が使われている(予定も含めて)実験
は、どのようなものがあるのでしょうか?(実はこれが一番知りたいです)
nikorinさんのおっしゃっている、JLCの実験でも使われますよね(?)。
現在の加速器衝突実験では基本的にどれもシリコン検出器が使われている
と私は考えているのですが、実際そうなんでしょうか?

質問攻めですいません。よろしくお願いします。

補足日時:2001/05/28 15:53
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guiterさんが書かれているとおり、国内での衝突実験としてはやはりBファクトリー実験でしょうね。


電子と陽電子のエネルギーが、それぞれ8GeV、3.5GeVと非対称なのがミソですね。
B中間子と反B中間子を走らせて、崩壊点の違いを見るわけです。
現在は、さらにルミノシティ(ビーム衝突の強度を示すパラメーター)を上げるための upgrade を
考えているようです。

現在行われている実験ではないですが、将来計画としてJLCという線形加速器を向かい合わせた形
にした衝突型加速器の計画があります。(Bファクトリーでは円型)
これはヒッグス粒子や超対称性粒子の発見を目標にしたもので、現在は加速器、検出器の技術開発が
行われています。

この回答への補足

JLCでは線形加速器ですか。円形と線形のメリット、デメリットは
どのようなものなんでしょうか?円形だと、粒子の制御が線形よりも
難しい、線形だと、加速が円形よりも少ないというイメージがあるの
ですが、その辺はどうなんでしょうか。
どういう場合に線形がいいのか、どういう場合に円形がいいのかも知りたい
です。簡単によろしくお願いします。

補足日時:2001/05/28 15:57
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電子(陽電子も)を加速するとき、円形加速器で軌道を曲げると制動放射と呼ばれる現象で光を出してエネルギーを失ってしまいます。

これはカーブがきついほど、また電子のエネルギーを上げるほど厳しくなるため、高いエネルギーまで電子を加速しようと思うと大きなカーブにしないといけないので加速器がどんどん大きくなってしまいます。これの親玉がスイスはジュネーブ近郊、フランスとの国境にあるCERNのLEPという加速器で1周26kmもあります。(KEKBは3km)
LEPを持ってしても100GeVちょっとまで電子を加速するのが限界でヒッグス粒子を探すのにはもっと高いエネルギーに加速してやらないといけません。そこで登場するのが線形加速器です。まっすぐならば制動放射による限界はありません。ただただ長いやつを作ればエネルギーは上げられます。ただし、円形との最大の違いは円形ならば加速したのにぶつけそこなった電子はそのまま加速器の中を回りつづけるので何度でもぶつけるチャンスがあるのですが線形の場合はぶつけ損ねるとそれっきり。なので、円形に比べてむちゃくちゃ高精度に衝突をコントロールしないといつまでたっても実験結果が得られないです。
その辺のむずかしさがあっていままでは円形が優勢です。JLCにはぜひその辺の困難を克服してほしいです。

ちなみにCERNのLEPは先日実験を終了し解体が始まりました。LEPのトンネルは今度は電子ではなく陽子(とか原子核とか)を加速するLHCに利用されます。
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この回答へのお礼

制動放射をしてエネルギーを失うことは知っていましたが、そのことをすっかり忘れていました。
そうですね。そのせいで、エネルギーを上げるのが困難なのですね。
線形の場合も、1つの粒子のチャンスは1度きりとなると結構たいへんですね。
勉強になりました。有り難うございました。

お礼日時:2001/05/28 19:37

シリコン検出器について、



>現在の加速器衝突実験では基本的にどれもシリコン検出器が使われている
>と私は考えているのですが、実際そうなんでしょうか?

「衝突型加速器実験」に限れば反応点を詳細に観測するのにシリコン検出器は欠かせないでしょう。

加速器実験は衝突型だけではなく、陽子などを加速して固定標的にぶつける実験も多くあり、(固定標的実験)ニュートリノ実験も固定標的実験に含まれます。
固定標的、特にニュートリノ実験では反応をたくさん観測するために標的が大きく、(スーパーカミオカンデでは5万トン)シリコン検出器ではカバーできない広範囲にわたって反応が起こるのであまり使われません。
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この回答へのお礼

広範囲で反応が起こる為にシリコン検出器ではカバーできないと言うのは、遠くで光った場合光が弱い為に、
検出できないということでしょうか。
またまた質問ですいません。
もし暇でしたら、お願いします。

どうも有り難うございました。

お礼日時:2001/05/28 19:45

>円形と線形のメリット、デメリットはどのようなものなんでしょうか?



すでにu13さんが書かれていますが、高エネルギーの電子円形加速器ではシンクロトロン放射による
エネルギーの損失が無視できません。エネルギーを高くするにつれ、加速空洞によって与える
エネルギーのほとんどを損失分の補充にあてなければならなくなってきます。

しかし、放射光を放出することは悪いことばかりではなくて、ビームの性質を良くするために
意図的に光を放出させることもあります。(エミッタンスを減少させる;方向のそろった細いビーム
を生成する)

一方、線形加速器はシンクロトロン放射によるエネルギー損失がないので数百GeV~1TeV領域を
狙うことができるようになります。ただし全長が20kmにもなってしまうのですが..

100GeVを境に、それ以下は円形加速器が有利、それ以上では線形加速器が有利ということですね。

JLCは前段の円形加速器で低エミッタンスビームを生成してメインの線形加速器に入射し、高エネルギーに
もっていくという二段構えになっています。

ビームの制御という点では、線形、円形のどちらも独特の問題があってどちらのほうが難しいということは
一概には言えないと思います。

参考URL:http://www-jlc.kek.jp/pamph/pamph-c3-j.html
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この回答へのお礼

>ビームの性質を良くするために 意図的に光を放出させることもあります。

そういうこともあるんですか。それは知りませんでした。

メリット、デメリット、いろいろあるんですね。
どうも有り難うございました。

お礼日時:2001/05/28 19:50

>B中間子の崩壊は既に観測されているが、統計的にデータがまだ不足


>しているという状況でしょうか?
まだ、実際にデータを取っている段階ではないのですが
nikorin さんが書かれているルミノシティというビーム強度を表す
パラメータでいうとまだ目標に数桁足りません。
今のままだと、1年で終わる実験が100年かかるとかいうことになってしまいます。


>加速器実験で、他にもシリコン検出器が使われている(予定も含めて)実験は、
>どのようなものがあるのでしょうか?
衝突型では反応点を決めるためにたいていは使われています。
ですが、どのような実験があるか知りたいとのことでしたので有名なものを挙げてみます。
u13 さんが書かれているように CERN では LEP を解体し LHC(Large Hadron Collider)
が建設されていますが、ここに置かれる ATLAS という検出器は
標準理論で唯一その存在が確認されていないヒッグス粒子の探索が目的です。
この実験は2005年開始予定の世界共同実験です。
他にも知りたければ、
 CERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)
 Fermilab(フェルミ国立加速器研究所)
 BNL(米国ブルックヘブン国立研究所)
など、世界の研究所の Homepage をご覧になればたくさんの実験が載っていますよ。
(日本のKEKはすでに紹介がありますね)


>広範囲で反応が起こる為にシリコン検出器ではカバーできないと言うのは、
>遠くで光った場合光が弱い為に、検出できないということでしょうか。
現実にはそこまで大きなシリコン検出器を作るのは無理でしょうね。
また、ニュートリノ振動実験に関して言うと反応点をそれほど厳密に知る必要はないです。
(反応が起こったかどうかが重要な実験です。)


線型加速器と円形加速器については皆さんの仰るようなメリット、デメリットがありますね。
やはり、線型加速器の一番の魅力はより高エネルギーに出来る可能性というところです。
また、現段階ではまだ難しそうな話ですが muon collider という
μ粒子、反μ粒子を衝突させる加速器なども考えられています。
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この回答へのお礼

いろいろ教えて頂いて、大変参考になりました。
どうも有り難うございました。

お礼日時:2001/06/03 20:49

またまた出てきてしまいました。

u13です。

>広範囲で反応が起こる為にシリコン検出器ではカバーできないと言うのは、遠くで光った場合光が弱い為に、
>検出できないということでしょうか。

シリコン検出器は通常光をキャッチするのではなく検出器を粒子が横切ったときにできる電気的信号を読み出して横切った場所を測定します。
これをいくつか衝突点の周りを覆うようにして配置して衝突で発生した粒子の飛び出した場所と角度を知り、反応の様子を再構成します。
ニュートリノの実験にシリコン検出器を使おうという計画はCERNにおいて一時期検討されましたが、むちゃくちゃコストがかかるので日の目を見ていません。
コストを無視すればニュートリノ実験の反応点検出にシリコン検出器を使うのは実験の精度向上に貢献するはず。

シリコンの代わりというか、反応点を精密に観測するために、ニュートリノ実験には原子核乾板を使ったものもあります。ご質問は衝突型加速器を使った実験に関してだとするとニュートリノ実験は話が外れていってしまうのでこれくらいにしておきます。原子核乾板については参考URLに詳しいです。

参考URL:http://flab.phys.nagoya-u.ac.jp
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この回答へのお礼

あ、そうでした。シリコン検出器は荷電粒子を検出するものでしたね。うっかり
してました。
しかし、ニュートリノの反応点検出に、一応シリコンセンサーを使う事ができる
とは知りませんでした。ということは、水でチェレンコフ光を起こさせて、それを
捕らえる為に、センサーの前にconversionを起こさせるものを置くのでしょうか。
そもそも、チェレンコフ光(この場合の光のエネルギーって高いのでしょうか)
でconversionって起きるんでしょうか。私の勉強不足です・・・。
それとも、ニュートリノを直接シリコンセンサーに入射させる、ということなん
でしょうか。そうすると、大量のセンサーが必要になる(コスト大)、あるいは
ものすごく分厚いシリコンセンサーが必要になる(不可能?)のでしょうか。
なんか、最初の質問とはかけ離れたことを聞いている上に、質問ばかりですいません。
ご回答は、もしお時間に余裕があれば、で結構です。

どうも有り難うございました。

お礼日時:2001/06/03 20:50

すみません。

訂正。

>原子核乾板については参考URLに詳しいです

と書きましたがさっき見てみたところどこにも書いてありませんでした。もし探してしまっていたらごめんなさい。

これだけでは申し訳ないので、
ニュートリノ実験は原子核乾板の技術、光電子増倍管を使った水チェレンコフ検出器の技術ともに日本が世界をリードしている分野です。
と、少しだけ宣伝も入れておきます。
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この回答へのお礼

わざわざどうもすみません。
有り難うございました。

お礼日時:2001/06/03 20:51

あ、さらに質問が増えてますね。

気付くのが遅れてしまいましたが、回答に反応があるととてもうれしいので答えちゃいます。

>水でチェレンコフ光を起こさせて、それを捕らえる為に、センサーの前に
>conversionを起こさせるものを置くのでしょうか。そもそも、チェレンコフ光
>(この場合の光のエネルギーって高いのでしょうか)でconversionって起きる
>んでしょうか。

ニュートリノ反応の標的は水に限りません。ので、

>ニュートリノを直接シリコンセンサーに入射させる

CERNで計画されていたのはまさにその通りで、ニュートリノをシリコン検出器内で反応させてそのままトラッキングすることを考えていました。そのために、十分なニュートリノ反応を得るために

>大量のセンサーが必要になる(コスト大)、あるいは
>ものすごく分厚いシリコンセンサーが必要になる

ということですね。スーパーカミオカンデの水の代わりに5万トンのシリコン検出器を作るのは不可能なのでニュートリノ発生源と検出器との距離の近い(1km弱)実験に使って、標的の重さとしては数トンを考えていました。これでもしゃれにならない重さなのと98年に発表されたスーパーカミオカンデの大気ニュートリノの観測結果により近距離の実験の意義が失われたことからシリコンにニュートリノをぶち込む実験は立ち消えになってしまいました。合掌。

話は戻りますが、水中でのチェレンコフ光は可視光領域の波長なのでコンプトン効果や電子対生成によるconversionは起こりません。もちろん光電効果は起こりますがへろへろの電子がでるのでシリコン検出器でトラッキングはできないと思います。
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この回答へのお礼

おおーっ、ご回答有り難うございます。ちょっと忙しくて、前のご回答に
対して、お礼を書くのが遅くなってしまい、それ以来皆さんの書き込みが
なくなってしまったので、忘れ去られたのかと思いました。嬉しいです。

ニュートリノを直接シリコンセンサーへ、ですか。それもすごいですね。
相互作用を起こさせるには恐ろしいくらいのシリコンがいりそうですね。
数トンとは・・・。それも不可能に近いような気がします・・・。

チェレンコフ光は可視光のみだったんですね。勉強になりました。そうい
えば、嘘かほんとかしりませんが、川に潜った時に、水中でチェレンコフ
光が見えた(宇宙線による)という話しを聞いた事があります。東海村の
事故では、目の中でチェレンコフ光が発生して、それが見えたとも聞きま
した。恐いなー。

とても勉強になりました。色々、どうも有り難うございました。

お礼日時:2001/06/13 02:25

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