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などで、「モノマーのTg(ガラス転移温度)」というものが定義され、議論されていますが、よく読むと、
「モノマーのホモポリマーのTg」
を意味するようです。ここで疑問に思ったのですが、一口に「ホモポリマー」と言っても、重合度や、2官能以上のモノマーであれば分岐度などによってまったく異なる高分子物質となると思うのですが、この「モノマーのTg」とは、どう考えればよいのでしょうか。

A 回答 (3件)

原理的にTgは、ポリマーの分子量によって変化します。


分子量(数平均分子量)が小さいほど、自由体積の大きい分子末端部分の割合が増えるので、
Tgが低下します。
しかしながら、ある程度の分子量に達するとTgの分子量依存性は、非常に鈍くなり
分子量が無限大の時のTgに、ほぼ等しくなってしまいます。
それ故、オリゴマー程度の分子量のものは除き、通常のポリマーと考えられる分子量で
あれば、Tgの分子量依存性は、それ程気にしなくても良いということだと思いますよ。
同じように、多少の分岐度の変化では、Tgの変化は無視できると思います。
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この回答へのお礼

>分子量(数平均分子量)が小さいほど、自由体積の大きい分子末端部分の割合が増えるので、
Tgが低下します。

 ここの部分がよく理解できませんでした。Tgというものの基礎が分かっていないのだと思います。「Tgが下がる」とは、どういう現象なのでしょうか。済みませんがこのお礼をご覧であれば、この部分について、もう少し噛み砕いて解説して頂けないでしょうか。お手数かけますが、よろしくお願い致します。

お礼日時:2015/03/12 08:06

ガラス転移現象などを取り扱う学問の一つにレオロジーがあります。


物質の粘弾性挙動を主に取り扱います。
ご興味があれば、勉強されればよろしいかと思います。
ガラス転移温度では、無定形高分子の自由体積分率が2.5%になっているというのは
実験結果です。
この事実は、かなり昔から分かっており、ガラス転移温度とは、等自由体積分率温度
であると考えられていました。
しかしながら、さらに詳しく調べていくと、ガラス転移現象は非常に複雑で
そう簡単なものではないことが分かって来ました。
レオロジー専門の先生方の会合で、ガラス転移現象に関する最新情報をディスカッションして
いる場にて、「Tgとは、自由体積分率が2.5%の状態だと古典的に言われていることで
すめば、簡単だけれどね・・・」「それって、古典論だよね・・・」と多くの先生方が笑いながら
言われていたのでレオロジーの中での古典的な解釈ということで古典論という言い方をしました。
ですから、古典論と言い切ってしまうよりも古典的な解釈という表現の方が良かったと思いました。
また、厳密な理論というのは、レオロジーにおける現代的な解釈という言い方が良いかもしれません。
レオロジーには、現象論的なものと、分子論的なものがありますが、物理学におけるニュートン力学、
量子力学などに相当する、厳密な古典論、現代論的な分類はないと思います。
間際らしい、表現を用いてしましました。
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この回答へのお礼

再度のご回答ありがとうございまする

>古典論と言い切ってしまうよりも古典的な解釈という表現の方が良かったと思いました。
>また、厳密な理論というのは、レオロジーにおける現代的な解釈という言い方が良いかもしれません。

 「レオロジーにおける古典的な解釈」「現代的な解釈」、よくわかりました。何度もありがとうございました。

お礼日時:2015/03/14 15:15

冷却表面に蒸着したアモロファス(無定形:結晶化していない)水のガラス転移温度が


マイナス138℃と言われているように水やグリセリンのような低分子化合物にも
Tgは存在します。
しかし、質問者様が示されたHPにおけるモノマーのTgとは、モノマーそのものではなく、
ご推察のように、そのホモポリマーのTgを指しています。
そこで、ポリマーを対象に説明します。
専門的には、ガラス転移温度は非常に複雑な現象なので、ここでは簡単に
古典論で説明します。
そもそもガラスとは広義に無定形の物質を表します。
無定形の代表物質として輪ゴムをイメージしましょう。
(天然ゴムを引き伸ばすと、その時にごくわずかゴム分子が結晶化する
ということが言われていますが、ここでは無視します。)
室温で輪ゴムは大きく伸び縮みしてゴム弾性を示します。
これを液体窒素に入れて冷却するとガラス状の硬い物質に変化してしまいます。
(温度を上げれば再びゴム弾性を示します。)
この時にゴム弾性を示す領域から、ゴム弾性を示さないガラス状に転移する
温度があるはずです。その温度がガラス転移温度です。
輪ゴムを冷却した時にゴム分子が結晶化して硬くなるのではありません。
あくまで、無定形のままで弾性率が高くなっているのです。
(硬いと高弾性率は、厳密には違う概念なので、混同したくはありませんが、
ここでは、あえて区別はしません。)
輪ゴムを冷却して行くと、ある温度で硬くなって、ゴム弾性が消失します。
この温度変化を通じて、輪ゴムの質量に変化はありません。
また、輪ゴム中のゴム分子の数(量)や長さにも変化はありません。
温度を冷やすと体積が減少し、密度が高まります。
減った体積とは何でしょうか?
元々の輪ゴムには分子間に隙間(自由体積)が存在し、その自由体積が
冷却することによって減少したから全体の体積が減少したのです。
別の言い方をすれば、ゴム分子の熱運動が低下して、ゴム分子間の距離が
近くなったのです。
あまりに自由体積が減少してしまうと、ちょうど満員電車の中では
隣の人との隙間がなくなって、身動きができなくなるように、
無定形領域の高分子も隙間がなくなると身動きができなくなってしまうのです。
古典論では、どの高分子も自由体積分率が2.5%にまで低下した時に
身動きができなくなり凍ってしまう。
つまり、自由体積分率が2.5%になる温度がガラス転移温度であるとも
言われています。(あくまで古典論です。)
高分子鎖では、末端部分は拘束されにくく、動きやすいので自由体積を
たくさん持ちます。よって末端部分が多いほど自由体積分率が増加し、Tgが下がります。
ある程度の大きさになると影響が小さいことは。前に書きました。
液体は固体に比べ、たくさんの自由体積を持っているので、液状の可塑剤を
ポリマーに添加すると混合系の自由体積分率はポリマー単独系よりも増加しますので、
Tgが低下します。
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この回答へのお礼

とても詳しいご説明、誠にありがとうございました。大変よく分かりました。

>つまり、自由体積分率が2.5%になる温度がガラス転移温度であるとも
>言われています。(あくまで古典論です。)

 この古典論に対して、より厳密な理論とは、何というのでしょうか。量子論とかになるのでしょうか。

お礼日時:2015/03/13 15:05

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