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今晩は。しばらくぶりに質問させていただきます。お時間あれば是非お知恵を貸してください。

引用譜1 : http://www.fastpic.jp/viewer.php?file=5081395972 …
引用譜2(音源の2:45付近) : http://www.fastpic.jp/viewer.php?file=8652716624 …
※(引用譜はいずれも初版であり、音源の楽譜とは音が違うかもしれません)

音源:


質問
1 引用譜1 のコードについて
 ここの和声は 1-3小節:Hm , 4-6小節:D, 7小節:Em , 8小節目:G だと思うのですが。このコードであっていますでしょうか。
というのも、ロ短調という前提で機能分析をすると、この Hm - D - Em- G は、i - Ⅲ - ⅳ- Ⅵ となり, ⅳ- Ⅵ など、あまり馴染みのない進行があり、少々不安であります。確認宜しくお願いします。

2 引用譜2 コード進行について

引用譜2 の1-4小節のコードをそれぞれ、C#dim7/H , F#m , D6 , C, ととったのですが、
これを機能でみると、 ⅱ7(3転) , V , Ⅲ(の付加6), -Ⅱ (ナポリ) となると思うのですが、

ⅱ- V - Ⅲ という、これまた馴染みのないコード進行で自信がありません。果たして私のコードの取り方がおかしいのでしょうか。ご教授願います。

(なお、前回の質問で、8月の末頃に再度質問させていただく旨の回答をしましたが、事情により、9月に入ってしまいました。申し訳ありません)

A 回答 (3件)

補足質問に関してです。


引用譜2の2小節目は、IかVかの選択はしにくいです。前の小節との比較で判断しなければなりません。
引用譜1の3小節目はIと分析して問題はありませんが、この小節と、引用譜2の2小節目は、バスの音が違うだけで中身は同じですので、この2か所を比較するならば、引用譜2の2小節目もI、という結論は出せます。しかし、もう一つの類似個所である引用譜1の9小節(最終小節)は、その前のVIからの流れと、D音が含まれないことから、Vの4度音繋留の形として認識しやすくなります。引用譜2の2小節目はこのすぐ2小節あとなので、Vの性格が感じられる2小節前の和音の響きがまだ耳に残っており、再びその和音に戻ったという印象が、少なくとも小節前半では強くなります。私は最終的に、あとの方の比較に基づき、ここもVの繋留未解決形とみなしておいてよいと思います。
そのように考えるならば、Iの2転のバスが3度下行するという問題は一応消滅しますが、仮にこの引用譜2の2小節目がもっと明確にI の2転と感じ取れるような響きであったとしても、バスの3度下行には問題はありません。和声の書き方というのは、作曲家一人ひとりが独自の様式を作り上げていくものです。和声学の規則は最大公約数的なものにすぎません。また、近代和声では、何形の和音の何の音はどういう方向に進行する、という考え方だけでなく、それぞれの転回形が持つ「色彩」を優先させることもできます。さらに、和声学は学習の便宜のために作曲技法の一つだけを抜き出しただけのもので、実際の楽曲を書くときは、和声学以外の視点からの音選びも重要になります。たぶん今、個々の和音が何の和音か、何の和音と何の和音を連結できるか、という視点だけで楽譜を御覧になっていると思いますが、たとえば、バスの横の流れも大事です。バスは第2のメロディーでもあるので、バスの旋律的流れを優先することも当然あります。
これも比較するとわかりますが、引用譜1の冒頭から8小節目までは、旋律とバスは並行して上昇していきます。使っている音域の広さを変えず、徐々に音高が上がっていきます。3~4小節でIからIIIへ進行します。引用譜2の2小節目が仮にはっきりしたIの2転に感じられるならば、2~3小節の和音進行は、引用譜1の3~4と同じI―IIIということになります。しかし、引用譜2の場合は、旋律とバスが反行しており、IIIに入った時の効果が全然違います。引用譜1の方では、単に全体が上昇しただけですが、引用譜2のカ所の場合は、バスが3度下行することで、一種の終止形の効果が出て、IIIの和音の重みが増します。このあと旋律とバスはさらにもう一度反行してナポリのIIの基本形へ進み、このクライマックスの個所で最高音と最低音の音域の幅が最大になります。このように、声部進行(対位法的処理)や使う音域の変化など、あらゆる点で効果が挙げられるように音選びをしていくので、和声の標準的な進行パターンは、あくまでも基礎にすぎません。和声以外の要素に考慮した結果、より効果的で美しくなるという必然性があるならば、和声の進行、連結はいくらでも変更できます。もちろんそのためには、高度な技術と自己の様式への確信、そして経験、鍛練が必要となります。
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この回答へのお礼

和声の把握という点についてですが、前後との小節の比較判断が甘かったようです。引用譜2の2小節目だけの響きで判断していました。あらためて全体の文脈との関係で和声を把握することの重要性を学びました。Vの繋留未解決形で納得であります(ただし、ドミナントの性質は弱いということですね)。
 転回系の跳躍進行についてですが、少し、木を見て森を水のようなところがあったようです。旋律とバスの反行の効果や、3度下降の終始感、さらに、クライマックスでの音域拡大の効果など、まったく思いを馳せることができていませんでした。

今回も一読三嘆、大変勉強させていただきました。ありがとうございました。

お礼日時:2016/09/09 22:46

今日、全曲を通して見直しましたが、A#音が出てくるのは2か所だけですね。

しかも、最初の方は倚音として一瞬出るだけ、最後の方に出てくるA#も、導音的な役割はあるもののVの和音ではなく、Iのバスが半音下がって戻るという経過的な現れ方にすぎません。もともとラフマニノフの短調の曲では、Vの第3音が短調固有の半音低い音になっていることが多いですが、この曲ではそもそも第三音を持つVがほぼ皆無で、明確なV―Iの進行を故意に避けています(わずかに感じられるのも2か所だけ)。それによって、ロシア的、旋法的、アルカイックな雰囲気を作り上げています。
このことを考えたとき、V音上の和音をどう分析すべきかということには明確な答えはありません。いつもの繰り返しになりますが、和声記号や機能表示記号で分析できる音楽には時代的制約があります。「解釈の問題」ではなく、分析するにしても便宜的な記述にとどまります。
和声の歴史を見ていったときに一つはっきりしていることは、もともと非和声音として現れていた音が、時代とともに和音固有の音として聞かれるようになるという変化があることです。近代和声を扱う書物でも触れられていますが、この曲に頻出するような、V度上の和音で4度音が繋留したまま、第3音に解決することなくIへ移行するという形も出てくるわけです。便宜的には、繋留音が解決しないままのVの和音と記述しておくしかないでしょう。V=Dとしての性格はあまりはっきりしないことになりますが、一方、三和音が使われるようになるのはそもそも中世後期からルネサンス初期で、それ以前はむしろこのような5度、4度の組み合わせの方が多いとも言えます。アルカイックな雰囲気が出るのはそのためで、古代をテーマにした作品などでは常套的な書法とも言えます。

結論ですが、引用譜1のI―III―IV―VIの和声進行には全く問題がなく、その分析のままでよいでしょう。和声の教科書や、ウィーン古典派前後の時代の音楽ではあまりなじみがないかもしれませんが、それ以外ならいくらでもあると思います。また、回答No.1で書いたように、古典的な長・短調の調性体系とは違う音使いな上、和声の変化のテンポがゆっくりなため、IIIの和音なのか、そこで突然D-durに転調したのか、耳で聞いた印象では必ずしも確定できないはずです。

引用譜2に関しては、まず2小節目の和音は、ポピュラーのコード表記ならF#mではなくF#sus(F#sus4)です。そしてこの和音は、先述のごとく第4度音が繋留されたままのVと表記しておくしかないと思いますが、三和音としてのV=Dの性格が定まらないので、古典的なカデンツの範疇から少しはずれます。とりあえずII―V―IIIでかまいません。表記上で見て馴染みがない進行といっても、中間のVそのものが本来のVではないのでこれは仕方がありません。なお、1小節目全体をIIとしてありますが、厳密には1拍目の和音は引用譜1の1小節目の和音と同じです。ごく一瞬ではありますがはっきり聞こえますので、II7の和音は三連符の連打の個所からとするか、あるいはI度上のH+F#+C#という5度の積み上げのような和音を保続音として、その上にE+G+Hという別の三和音が乗っていると考えることも可能です。私なら、どちらかというと後者の考え方ですが、普段はそんなに深く考えたり分析したりはしません。演奏の仕方によっても耳への聞こえ方は変わってしまうので、確定的な分析をしてもあまり意味はないのではないかという考え方です。それを言ってしまうと元も子もないのですが、音楽の理論的な記述は、あまり凝りすぎない方がよいです。
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この回答へのお礼

今晩は。解答ありがとうございます!

4度の繋留されたままのVよく理解できました。ルネサンス期、あるいはそれ以前の時代では、5度、4度の組み合わせが多用されていたのですね。これは初めて知りました。大変勉強になります。
また、便宜上 V と表記していますが、ドミナントの機能としては曖昧、との点もしっかり押さえておきます。曖昧ゆえに旋法的な曲の雰囲気に合うのでしょうね。 

引用譜1の 和声進行、安心できました。ありがとうございます。


引用譜2 
1小節目のⅱ の和音の分析は少々乱暴でした、ご指摘の通りだと思います。Hm(の第三音はC#ですが)の中で、E+G+H が響いているように聞こえますね。

*追質問 :2転の根音の3度進行について

すいません、1点だけNo.1の 質問について確認したい点があります。
質問:http://www.fastpic.jp/viewer.php?file=7816964386 …

 引用譜2 の2小節目の和音について、Iの2転のようであり、VよりIの性格といえる、とのことですが、私も正直、最初 I っぽいなと思っていました。しかし、そうすると、2転であるにもかかわらず、根音(F#)が次の小節の 和音の根音D音に3度の跳躍進行することになってしまいます。
 2転の根音の4度上(あるいは5度下)への進行はラヴェルのトッカータ(クープランの墓)等、使用例は結構みるのですが、3度跳躍というのもよく使われる手法なのですか?
 No2の解答のご説明のとおり、2小節目をVの基本形ととって仕舞えばそれまでなのですが、今後の勉強のためにもご質問させていただきました。

お礼日時:2016/09/08 00:04

明日、昼間留守にするのでとりあえず簡単に回答しておきます。


進行に馴染みがないということですが、いつものように、ロマン派後期から近代にかけてはこういう和声の扱いはごく普通です。
ただ、一つ問題があるとすれば、Vと分析しているところです。4度音が繋留したままの形で、決して第3度音が出てきません。これは、全曲を通して意識的に避けています。いま全曲の楽譜を確認していませんが、何度も弾いている記憶だと、A#の音は一度も出てこないのではありませんでしたか(明日、確認します)。4度の繋留が解決しないので、F#-H-C#の和音は繋留の解決しないVとも取れれば、引用譜1の1小節目のように、Iに倚音のC#が付いたまま転回しているともとれるわけですが、こういう処理は、古典的な長・短調の調性システムではなく、旋法的、というかむしろロシア的な音階とも言えます。
もう少し突っ込んでみてみると、引用譜2の2小節目のF#-H-C#の和音では、H音は動かず(つまり、もしVならA#かAには解決する)、その代わりにC#がDへ進行してIの2転のようになります。引用譜1の9小節目も、バスはF#ですが、その上に乗っているものは1小節目と同じですので、前後の脈略から見れば、VよりはIに近い性格といえます。
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