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3/1付日経朝刊11面「Q&Aニッポン放送株 仮処分で暫定阻止」と題する解説記事の中に、次の様に書かれています。

「仮に東京地裁がライブドア側の新株予約権の発行差止請求を認めた場合、決定が取消されない限り新株予約権発行はできない。フジ側は同地裁の決定に対し保全異議の申立を行うことができるが、保全異議をめぐる地裁決定で異議申立が却下された場合はフジ側が、逆に異議申立が認められた場合にはライブドア側が、高裁に保全抗告することになるだろう。ライブドアの仮処分申請自体が同地裁で却下された場合、同社側は高裁に即時抗告できる。また、高裁の決定に対しても、憲法違反などを主張する特別抗告のほか、重要な法律問題について高裁の許可を得て許可抗告をすることができ、手続上は最高裁まで争うことが可能だ。差止命令が確定した場合は、ライブドア側は本案訴訟(本訴)を起こさなければならない。」

この中で、次の二点が疑問です。
(1)差止命令が確定したのなら、ライブドアの申請が認められたことになるのだから本訴を起こす必要はないのではないか。
(2)裁判所の決定が取消されないうちは、新株予約権発行はできない。これを反対解釈すれば、取消されれば発行できることになる。しかし、取消されればライブドアは本訴を起こすはずだ。しかし、本訴での係争中という極めて法的に不安定な期間中に発行を認めてもよいのだろうか。

A 回答 (7件)

>ところでこれはどういう目的で保全債権者に対してこうした訴訟の提起を義務付けているのでしょうか?



 民事保全は、民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための制度ですので、本案の訴えがされることが予定されています。しかし、保全命令が出たにもかかわらず、いつまでたっても保全債権者が本案の訴えをしないという事態もあり得るわけです。これでは、保全債務者が困りますので、保全債務者の申立により、保全裁判所は保全債権者に対して起訴命令を発して、保全債権者に本案の訴えの提起を促すわけです。起訴命令が出たにもかかわらず、一定期間内に本案の訴えがなされなければ、それは保全の必要性がないことを意味しますので、保全命令が取り消されることになります。
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この回答へのお礼

非常に分かり易く、噛み砕いたご説明、誠にありがとうございました。

お礼日時:2005/03/04 11:48

>>これは正確に言うと、差止の本訴は起こさないが、無効の本訴は起こすと理解しましたが、いかがでしょうか?



無効の訴えをするかどうかはL社が決めることで、訴えを起こすかどうかは誰にも分かりません。
訴えを起こすことは可能ですが、新株発行の事案では不公正発行は無効事由にはならないと言うのが最高裁の判決ですので、L社にとってのハードルがあがることが予想されますね。

東京地裁民事9部は通称「保全部」と呼ばれていて、保全事件を専門に扱うところです。
8部は通称「商事部」と呼ばれていて会社法関係の訴訟を専門に扱うところです。今回は事件の性質上「商事部」の判断に任せる方がいいということなんでしょう。
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この回答へのお礼

非常に分かり易く、噛み砕いたご説明、誠にありがとうございました。

お礼日時:2005/03/04 11:46

仮処分というのはもともと「本案の裁判をするんですが、結論が出るまで待ってると手遅れになるから、結論が出るまで仮に差し止めてくれ」という制度です。



「緊急で簡易な裁判」ですので保全する権利や保全の必要性は証明する必要はなく、「疎明」で足ります。
その意味では審理を尽くすレベルが違います。
ですから本案でキチンと民事訴訟をする必要があります。

1.差止決定が確定しても本案訴訟を起こす必要があります。
仮処分というのが本案の訴訟をする人のための制度だから当然です。

2.仮処分が取り消されれば、「本案の結論が出るまで待つ必要はない」ってことですから発行することができます。
訴訟を起こしただけでは相手の行為を止めることができません(そのために仮処分の制度があるんですが、認められなかったという前提ですから)。

ちなみに仮処分が認められなかった場合、L社は本案訴訟を起こさないと思いますよ。
新株予約権を発行してしまえば、差止訴訟ではなく無効の訴えにする必要がありますから。

手続き(書類)がそろっていれば、その真偽は関係なく決定を出せるというのは間違ってます。少なくとも疎明は必要です。
また東京地裁では民事9部が保全事件を扱ってますが、今回の事件は民事8部に係属しています。

この回答への補足

>ちなみに仮処分が認められなかった場合、L社は本案訴訟を起こさないと思いますよ。
新株予約権を発行してしまえば、差止訴訟ではなく無効の訴えにする必要がありますから。

これは正確に言うと、差止の本訴は起こさないが、無効の本訴は起こすと理解しましたが、いかがでしょうか?

>東京地裁では民事9部が保全事件を扱ってますが、今回の事件は民事8部に係属しています。

私が昨年債権者として申請した(といっても実際にやったのは弁護士ですが)「仮登記仮処分」や「処分禁止の仮処分」の審尋が民事9部で行われていたので、てっきり仮処分の審尋は全て9部で行われると思っていたのですが、ご指摘有難うございました。ところで8部と9部とでは何がどう異なるのでしょうか?

補足日時:2005/03/04 00:04
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この回答へのお礼

分かり易いご説明、有難うございました。

お礼日時:2005/03/04 00:03

仮処分は「決定」で為され、一定の公定力を持ちます。


乱暴な話、手続き(書類)がそろっていれば、その真偽は関係なく決定を出せるものなのです。

これに対して「確定判決」は、『既判力』を持ち、各審級において、最終の判断(破棄差し戻しは除く)となりますので、対審公開の場で『審理』されます。
ですから、LDは、(1)の場合とりあえずは、そのままでOKなのですが、FSG側が、保全法46条>執行法40条,39条を狙った裁判に訴え出ることになります。

この回答への補足

日経の記事には本訴を提起するのはLDで、FSG側とは書かれていないのですが…。

もっともFSG側が一旦確定した仮処分決定を覆そうとすれば、民事保全法46条(民事執行法40条、同39条の準用)に基づく保全執行処分の取消しを求めて本訴を提起するしか手はないのでしょうね。

補足日時:2005/03/03 23:05
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>もしこの段階でLDの申立が認容されれば、新株予約権の発行はできないのであえて本訴を起こす必要はないのでは?



 仮に新株予約権の発行差止の仮処分(保全命令)が確定したとしても、保全命令を出した裁判所(保全裁判所)は、保全債務者(ニッポン放送)の申立により、保全債権者(ライブドア)に対して一定期間内に、本案の訴え(本訴)を提起するとともに、その提起を証する書面の提出を命じなければなりません。(民事保全法第37条第1項)これを起訴命令といいます。一定期間内に書面の提出がされない場合、保全裁判所は保全債務者の申立により、保全命令を取り消さなければなりません。(同条第3項)

この回答への補足

ところでこれはどういう目的で保全債権者に対してこうした訴訟の提起を義務付けているのでしょうか?仮処分(保全命令)が確定したとしても、それはその名の通り「仮の」もの、いわば応急処置的なものに過ぎないから、本訴でじっくり検討するから本訴を提起しなさいと促しているのでしょうか?

補足日時:2005/03/03 22:38
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この回答へのお礼

おかげさまで、仮処分確定後の法的手続きについて大変よく分かりました。有難うございました。

お礼日時:2005/03/03 22:32

仮処分申請は、「民事保全法」という法律により、訴訟は、「民事訴訟法」により、申し立てます。



仮処分申請は、その法律行為が行われてしまうと後から回復が困難なことについて、早急に差し止めなければならない場合などに申し立てます。
この申し立ては、一方の当事者(単独)で行うことができ、裁判官も、迅速な差し止めが必要と考える時は、相手の意見を聞くことなく、差し止めることができます。
ただし、差し止め後の裁判(本裁判)で、申し立てた側が敗訴すると、莫大な損害賠償が請求されることになります。

今回の事件も非常に繊細な部分が問題となっていますので、双方から『審尋』という形で、聴取しているようです。

(2)ですが、『株式会社』という仕組みは、発行する株式をたくさん持っている人がその経営に大きな影響力を持ちます。LDの申し立てが認められなければ、新株予約権を発行、行使され、LDの経営に対する発言権も大幅に縮小することとなります。
訴訟中とはいえ、現状のまま社会は進んでゆきますので、その間の会社の法律行為は、基本的に「有効」となり、後には覆りません。
LDがそのような状態で裁判に勝ったとしても、N放送は破産状態でしょう。そして、時間・手間・費用がかかった割りに、そのような資産を吸収しても、あまりメリットはないのではないでしょうか?

全ては、この「仮処分」にかかっていますので、双方、最善を尽くします。ですから、本訴においても、同様な結果になるかと思います。

この回答への補足

やや私の疑問の書き方に不十分な点があったため、意見が噛み合っていないと思われます。

まず、私が知りたいのは差止命令の効力はどこまで及ぶかということです。おっしゃる通り仮処分はいわば「緊急で簡易な裁判」であり、最終的には判決(理由付き)も出ます。もしこの段階でLDの申立が認容されれば、新株予約権の発行はできないのであえて本訴を起こす必要はないのでは?というのが(1)での疑問。

(2)では、LDの申立が認められなければ、たとえ本訴中であっても新株予約権をフジテレビに発行し、同社が行使することは適法であるというお考えと理解致しました。しかし、その場合N放送はフジテレビの子会社となっており、また、上場廃止にもなっているでしょうが、破産状態にあるというのは私には理解致しかねます。

補足日時:2005/03/03 21:16
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>(1)


あくまで仮処分ですから。審理を尽くして処分を決定するわけではないからです。
審理を尽くすのは本訴により行います。


>(2)裁判所の決定が取消されないうちは、新株予約権発行はできない。これを反対解釈すれば、取消されれば発行できることになる。しかし、取消されればライブドアは本訴を起こすはずだ。

いえ、仮処分の即時抗告であって本訴ではないです。

>しかし、本訴での係争中という極めて法的に不安定な期間中に発行を認めてもよいのだろうか。
だから迅速に対処してもらうために仮処分を申請しているわけです。

この回答への補足

やや私の疑問の書き方に不十分な点があったため、意見が噛み合っていないと思われます。

まず仮処分は確かに本訴に比べれば審理を尽くさないでしょう。しかし、仮処分はいわば「緊急で簡易な裁判」であって、東京地裁であれば民事第9部で裁判官と当事者又は代理人弁護士が同席して意見をきく「審尋」という形式が採られ、最後は判決も出ます。仮処分といえども審理を尽くしていないとは言い切れないと思います。

次に、私がここで裁判所の決定の取消と言っているのは、抗告にしろ異議申立にしろ、いずれかの方法で例えば地裁の決定が高裁で取消されるような場合で、例えば田中真紀子氏の長女の記事を掲載した週刊誌の発売禁止や住友信託銀行による東京三菱とUFJとの合併無効申請などにおいても同様の道筋を辿っています。

最後の本訴は、あくまでも仮処分でライブドアの申請が認められなかった場合には本訴を起こすはず、ということで書いたつもりです。従ってこの段階では仮処分はもうその役割を終えているわけです。

補足日時:2005/03/03 20:56
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