現在亡父の遺産として木造建物平屋一棟(S14頃建築?戦後購入28坪借地34.5坪)旧地主死亡、物納して現地主は財務省関東財務局(H14借地契約締結)
質問は次の通り
(1)建物、借地権の相続人は、私も含めて6人(私は現在その家に居住中)
仮に、家が滅失寸前なので、地主に了解の上、前建物を壊し新築したなら ば、新建物と借地権の名義は誰なのか(一説によると旧建物は滅失した場 合、その建物の登記、借地権は無効になるので、新建物と新借地権の名義 は新建て主になる)と聞いています。
(2)そうなると旧相続権を巡って争いが起きると思いますが?
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
こんばんは。
>一説によると旧建物は滅失した場合、その建物の登記、借地権は無効になるので、新建物と新借地権の名義は新建て主になる
確かに、このようになると好都合なのですが・・・確実にこうなると断言はできません(T_T)
まず、「当該の借地権を存立の基礎とする建物が滅失した場合、建物の従たる権利である借地権は目的を達して消滅」します(借地借家法8条【更新後の建物滅失に限る】、旧借地法2条1項・5条1項・6条1項【更新前後は問わない】)。また建物登記は建物滅失により失効します。ここまでは、ご指摘のとおりです。
ただ・・・
>旧建物は滅失した場合、その建物の登記、借地権は無効になるので、新建物と新借地権の名義は新建て主になる
は、何ともいえない点があるのです・・・
確かに土地賃借権を準共有(民法264条。構学上は合有と思われます)している共同相続人が旧建物滅失によって権利を失うのは法律上当然なのですが、当然に新建物建築主に賃借権が集中するというのは貸主の賃料債権の保護に欠ける可能性も考えられます。
法解釈面からみると、準共有者は民法264条で準用する同法253条1項により応分の費用負担義務がありますので、これを解釈の根拠とすれば土地賃借権は上のように今まで通り。反対に同法255条で共有物の分割・共有者の死亡の場合の持分の帰属が規定されていますが、これを解釈の根拠とすれば質問者様のお聞きになった結論に近づきます。これらの条文をどう読むかで結論が変わってくる訳です。
次に実体面からみると、共有地にも土地利用権の調整により共有者の単独所有権に服する建築物が建てられることを考えると、細かい調整さえなされれば共同賃借地に共同利用権者の一部が建築物を建てる事も当然に法律上可能となるはずです(実際になされています)。
しかし実際は権利関係が無用に複雑になるのを防ぐため、地主と共同借地人の間で既存の賃貸借契約を終了させ、同意に代えて新建物所有を目的とした新たな賃貸借契約を結ぶことが多いと思われます。これはなぜかというと、判例は旧借地法(現借地借家法10条)の建物登記を土地に関する登記の代用品と捉えるので、建物の所有名義人と土地賃借人の同一性を要求していることに由来します。
ここで混乱のトドメを打つと、本件の新建物所有者は土地の共同賃借者の一人である点からみれば判例の同一性要件を満たすとも言えるし、完全一致を求めれば判例の要件を満たさないともいえます。このように、机上でも実に複雑怪奇な争点なのです・・・
なので、この無限地獄に陥られるより、手堅く今の契約を終了させ、同時に質問者様のみ本件土地を使えるような新規契約をなさったほうが得策とは思うのですが・・・
この回答への補足
いやはや法律の何と複雑怪奇な事!驚嘆いたしました。こうなると
素人の生齧り、では手におえません、まさに国家試験の問題なみですね、
実際を申しますと、NPOの資産専門の方にも色々聞いてみたのですが、はっきりした
返答が帰ってきませんでした、大変参考になりました、補足を兼ねてお礼申し上げます。
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