プロが教えるわが家の防犯対策術!

私本人(債権者)A 債務者B 第三債務者C 債権者D(Aと同じくBに対する債権者です)
という人物設定です。
私Aは、債務者Bに対して、1000万円の公正証書を持っています。
同じくDも、Bに対して、1000万円の公正証書を持っています。
Bは、Cに対して500万円の売掛債権をもっています。
2月1日、Dは、その公正証書でBのCに対する500万円の売掛債権を差し押さえ、同時に転付命令も申し立てられ、後日、同命令は確定しました。
2月28日、そのことを知らないAは、同じく公正証書でBのCに対する500万円の売掛債権の差押命令を申し立てました。
その後、Dは、売掛債権の支払期日が到来していないことを理由に、CがDに支払をしないので、債権者Dは債務者(元第三債務者)Cに対して、取立訴訟を起こしました。
ところが、BD間の公正証書が不実である事が発覚しました。
この場合、Dを債権者とする転付命令は失効し、Aの申し立てた債権差押命令に基づく売掛債権の取立権が有効になるのでしょうか?
また、有効にするためにAは何か手続きを踏まなければならないのでしょうか?

A 回答 (3件)

 結論的には、A氏は、B氏のD氏に対する不当利得返還請求権について、差押命令(民事執行法143条)をお申し立てになるべきだと考えます。



1 別件判決の効力
 近日中に判決が見込まれている訴訟(別件、とします。)は、A氏は当事者ではないとのことですから、この判決の既判力(権利ないし法律関係を公の権威をもって確定させる効力・民事訴訟法115条1項)は、A氏とD氏の間には及びません。
 つまり、別件において、D氏のB氏に対する貸金債権(本件貸金債権、とします。)の実在性が争われ、本件貸金債権が存在しない旨認定した判決が確定したとしても、D氏は、A氏に対する関係で、本件貸金債権が存在する旨主張することは何ら妨げられません。

 したがって、A氏としては、別件においてD氏の相手方当事者が提出した証拠を、訴訟記録の閲覧などの方法で把握し、可能な限り入手しておくことが必要です(D氏の敗訴判決そのものは、重要な証拠ではありますが、決定的な証拠ではありません。)。

2 本件におけるA氏の権利主張方法
 D氏は、B氏のC氏に対する売買代金債権(本件代金債権、とします。)について転付命令を取得しておられますが、問題の公正証書は、本件貸金債権の不存在という実体的瑕疵があるにすぎないとのことですから、D氏がお申し立てになった差押・転付命令は有効です。

 しかし、本件貸金債権は存在しないわけですから、法律上の原因がないのに、D氏は本件代金債権を取得され、B氏は本件代金債権を喪失されたことになります。
 したがって、B氏は、D氏に対して、不当利得返還請求権(民法703条または704条)を有しておられることになりますから、A氏としては、これを差し押えられればよいことになります(もっとも、C氏がD氏に弁済しない限り、D氏の利得額は確定しないように思われます。そうすると、券面額(民事執行法160条)が確定していないわけですから、転付命令をお申し立てになっても、却下される公算が大きいと思われます。)。

3 B氏及びC氏に対する請求の可能性
 そもそも本件の紛争は、B氏がD氏の本件公正証書による執行に対して、請求異議の訴え(民事執行法35条1項)を提起しなかったことが発端なのですが、債務者には請求異議の訴えを提起する法的義務はありませんから、提起懈怠を理由とする損害賠償請求(民法709条)は困難と思われます。

 また、C氏には、D氏の執行債権(本件貸金債権)の存否を調査する法的義務はありません(第三債務者の陳述の催告(民事執行法147条1項)の申立てがあれば、被差押債権(本件代金債権)の存否等を調査する義務はあります。)から、C氏に対する損害賠償請求も困難と思われます。

4 お詫び
 本件のように、第三債務者が差押債権者に対して本件代金債権を弁済する前に不当執行が判明したケースについて、適切な裁判例に行き当たりませんでした。
 したがって、B氏のD氏に対する不当利得返還請求権を、C氏がD氏に弁済する前に差し押さえることができるとの上記のご説明は、まったくの私見です。
 現実のお申し立てに当たっては、執行裁判所や、弁護士などともよくご相談になるのが安全かと存じます。

 お役に立てず申し訳ございません。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

懇切丁寧なご指導、誠に有難うございます。
特に「2 本件におけるA氏の権利主張方法 」の項目においては、解決の糸口が多少なりとも見出すきっかけになりそうですので、大変ありがたかったです。
貴殿のご意見を参考にさせていただき、当方の弁護士、裁判所とも協議してみようと思います。
どうもありがとうございました。
また、進行状況に応じて質問するかもしれませんが、その節はよろしくお願い申し上げます。

お礼日時:2002/03/28 23:05

この問題は「やってみなければわからない」が正解ではないでしようか?


何故ならgotetsuさんは、ここまで進めているわけですし、iustinianusさんが云われるように、ますます、煩雑さを増しています。従って、仮に、「有効にするためにAは何か手続きを踏まなければならないのでしょうか?」で、あったとしても更にDとの争いが続くかもしれません。実務では、あきらめないで先に進めることが勝利につながって行くと実感しています。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ご指導ありがとうございました。

お礼日時:2002/03/28 10:37

 「BD間の公正証書が不実である」とgotetsuさんがお考えになった具体的事由を補足願います。



 公正証書の瑕疵には、手続的瑕疵(公正証書の形式ないし作成手続に瑕疵があること)と実体的瑕疵(表示された請求権につき、不存在、無効、取消事由の付着などの瑕疵があること)とがあります。
 そして、公正証書に形式の瑕疵(例えば、執行受諾文言を欠いている)以外の手続的瑕疵や実体的瑕疵があっても、これに基づく執行手続が終了(例えば、転付命令の確定)したときは、原則として、強制執行による実体上の効果(例えば、被転付債権の差押債権者への移転)は確定的に生じると解されています。
 しかし、公正証書に形式の瑕疵がある場合や、債務者の執行受諾の意思表示に瑕疵がある場合には、強制執行による実体上の効果は生じないと解されています(最高裁昭和50年7月25日判決、最高裁昭和54年2月22日判決など)。

 したがって、上記の補足をお願いする次第です。

この回答への補足

補足します。
BD間には1000万円の貸借そのものが無いそうです。
つまり、実体的瑕疵です。
この公正証書無効は、Aの関係ない裁判で別途係争中で、Aの得た情報では、99%、近日中にDが敗訴します。
よって、Dの公正証書が無効になる、と判断する次第です。
その敗訴によって公正証書の無効が確定した場合、裁判所が自動的に、Aの順位を繰り上げてくれるとは思えないので、Aとして、どのような行動をとればよいだろうか? ということです。
ご指導よろしくおねがいします。

補足日時:2002/03/28 10:27
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!