A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
どういうふうに回答したらいいのか、ちょっと考えていました。
まず、当初のご質問から、話がずれてきていることを指摘させてほしいんです。
質問者さんがいったいどのような問題意識で「デリダの「郵便的不安」」というご質問を立てられたのか、わたしにはよくわからないんです。
「郵便的不安」がどういうことかわからない、というのであれば、東浩紀の『存在論的、郵便的』か、こちらのほうがわかりやすいかもしれない、こちらはわたしは読んでないんですが『郵便的不安たち#』という本もあります。だから、まず本を読んでください。
そのうえで、ラカンのいう「象徴界」「想像界」がよくわからない、あるいは、リオタールのいう「大きな物語」がよくわからない、「超越論的」という言葉がわからない、というのであれば、わかる範囲で答えることもできるかもしれません。
そうではなくて、不安の解消であるとか、インターネット上での議論のしかたとか、そういうことに関心がおありなのでしたら、そういうものとして質問を立ててくださるようお願いします。
おそらくこの哲学のカテゴリーでも、どこでも(デリダだのなんだのと言わなければ)、相当数の回答がつくのではないかと思います。
質問者さんは、囲碁をごぞんじでしょうか。
囲碁というのは、好き勝手に石を置けばいいというものではない。囲碁を打てるようになろうと思ったら、定石を学んでいくことが必要です。
哲学の勉強もそれと同じで、デリダがわかるようになりたい、と思ったら、デリダに至るまでのおおまかな西洋哲学の流れを学び、構造主義を学び、ポスト構造主義を学んでいかなくちゃなりません。本を山のように読まなくちゃならないし、あるていど読めるようになるまで、時間がかなりかかるんですね。
別に脅すわけじゃないんですが、途中をショートカットするわけにはいかないんです。
わたしはこの定石を学んでいる途中の人間ですから、あとから来る人が、わからないところがあれば、自分が知っていることなら、教えてあげたいと思っています。教えることが自分の勉強にもなりますし。
いっぽう、そういう定石を学ばずに、ザル碁でいいから、自分が楽しめればいいから、と、好きなように打つやり方もあります。
そういうのもいいと思うんですが、わたしがやろうとしていることとはちがうんですね。
だから、補足をくださったのに、こういう回答になって申し訳ないのですが、わたしにはこれ以上のことは言えません。
どうかそういうものとして、また別に質問を立てられるようお願いしたいと思います。
御指摘大変よく分かりました。
私は哲学は素人であり、哲学の文献に膨大な時間を費やすわけにはいかないのが現状です。
少少「知ったか」が過ぎたようですね。
今回はこれで問いを閉じさせてください。
これまでの一連のお答えありがとうざいました。
No.2
- 回答日時:
むずかしいなあ。
まずね、デリダからちょっと離れるんですが、東浩紀の「郵便的不安」っていうのは、東さんは、断片化した社会において、社会全体を見渡すことができにくくなっている、そういうなかで、文化を消費しようとするものは、その情報がどこから発せられたか、配達の途中でどのように歪められたか、また、自分の投函した手紙(情報)が、どこにどう届いていくのかが見えにくくなってしまった今日の状況をあきらかにしたうえで、文化の消費者が抱いている不安のことを「郵便的不安」と呼んだわけです(おおざっぱですが)。
東さんは、そういう状況にあって、どうやったら言葉を通じさせてゆけるのか、コミュニケーションというものがどうやったら可能なのかを考えていこうとした。
そういう意味で解決の指向性というのは、当然あります。
「新しい言葉の力の可能性」ということが本にも書いてあります。
ただ、ここで言われている「社会という後ろ盾のない言葉の力」というのがわたしはいまひとつよくわかりません。
『存在論的、郵便的』を理解しているわけではないわたしには、これ以上のことは言えません。
さて、こういうご質問は、誠実にお答えしようとすればするほど、むずかしくなっていくと思うんです。
一般的に言うことを許さないものにつながっていく。
だから、どうか参考程度に受けとってください。
> 人間が何か不安を感じ、その不安の解決策を哲学に求めることはナンセンスという理解でよろしいでしょうか。
まず、これははっきりと、ちがう、と答えましょう。
ハイデッガーのように「不安」を「死への先駆的な認識」ととらえて、正面から問題にしていった人もいます。
ただ、どんな哲学も、思想も、そのひとが抱える不安をそっくり取り除いてくれることはありません。だから、ご自身が抱えておられる不安を取り除いてほしくて、哲学書を読んだとしても、さしあたっては、はぐらかされたように感じると思います。
けれど哲学とか思想とかいうものは、「不安」がなんなのか、わたしたちが「××が不安だ」と感じるその奧に、いったい何が隠れているのかをあきらかにしようとします。
「不安」って、実は、ものすごく根っこが深いものじゃないですか。
表面的には、「明日のテストが不安だ」という現れをする。
この現れを受けとって、わたしたちはさまざまにつぎの行動を準備していきます。
「ああ、勉強が足りてないから不安なんだ」と理解し、一夜漬けをしたり、カンニングペーパーを作ったり、あるいは悪い点を取ったときのための心の準備をしようとしたり、あるいは学校がなきゃテストもないだろう、と考えて、学校に爆破予告の匿名電話をかけたりする。これが一般にいうところの「解決策」です。
だけど、「明日のテスト」が終わって、不安は一時的に解消したとしても、また絶対につぎの不安が現れてきます。今度は「テスト」ではなく、「もし電車のなかで脳貧血を起こして倒れてしまったらどうしよう」という現れをするかもしれない。
このふたつは表面的には別個の不安ですね。
だけど、もしかしたら、根っこのところでは同じ「不安」なのかもしれない。
だったら、個別に処方箋を書いていっても、意味はないわけです。
自分はいま「不安」を覚えている。この不安感といったものはいったいどこから来るのだろう。
ここから「そう考えている自分」に目を向けていくのです。
そうして、哲学は、「不安」というのはなんなのかを、個別の人を超えて、「人間にとっての不安」として扱っていきます。
ここでたいせつなことは。
わたしたちは自分が見えるものしか見えていません。
気がついているものしか気がつきません。
そうして、わたしたちはいつも「ことば」を使って考えているのですが、この「ことば」は決して単純な思考の道具ではないのです。
わたしたちはふだん、「あたりまえ」と気にも留めずにいたものが、ふだんとはちがう現れをするとき、不安を感じます。
けれども、哲学を学ぶことによって、あたりまえのように受けとっていたものが、「あたりまえ」なんかではなかったことに気がつくことができる。
逆に、「言葉」にすることで、あたかも実体のようにとらえていたものが、実はなんら実体などないものだったことに気がつく。
不安な状態というのは、ただただ不安で、心臓はばくばくするし、視界は暗くなって、手も足も出なくなりますよね。
それを「自分はいま不安な状態にいるのだ」「そうして、この不安は、いま××を見たことが不安感発の引き金になったのだ」「自分はずっと○○ということを不安に思っていたのだ」と認識できれば、ただただ不安な状態からは一歩、前進です。
そうして、「自分はずっと○○ということを不安に思っていたのだ」というのを、人間に特有の考え方の癖、とか、社会的な面、歴史的な面から考えることができるようになると、もうちょっといろんなことがわかってくる。
「不安」な気分に陥って、これまでわたしたちが立ちすくんでいたことが、これはこういう理由で自分はいま不安感に陥っているのだ、と理解することによって、つぎの行動をうながすのです。
これで不安が解消されるかというと、そんなことはありませんが、不安を持ちこたえる精神的なタフネスは涵養できるかな、と思います。
Aという不安がある。それにA’という解決策をあたえる。
つぎにBという不安が起こる。さらにそれにB’という解決策をあたえる、というのではなしに、人間は不安からは決してなくならないのだから、不安とともに生きるのだと。
それを、丸飲みにするのではなく、ひとつずつ、いろんな局面で考えていく、そういうのが哲学的な解決策といえるかと思います。
なんかえらく、危うい回答ですが。
なんらかの参考になれば。
この回答への補足
不安を持ちこたえる精神的なタフネスを涵養するものとして哲学のほかに宗教、スポーツ等を考えることが出来ます。
しかし、二百本安打達成前のイチロー選手や死刑直前のフセイン元大統領の様子を見ても分かるとおり、不安を完全に克服するには至らないようです。
私は哲学、宗教、スポーツ等に期待するより薬物に期待したほうが手っ取りばやいと感じてしまうのですが、イージー過ぎるでしょか。
また、郵便的不安を解消するものとして、匿名での社会参加を考えるのです。
言葉を発するとどうしても誤解される恐れがありますよね。
わざと悪意に解釈する人もいます。
マスコミがよく使う手口です。
そこで、最初から匿名で言葉を発するのです。どこまで言葉の発信源をたどっても自分本体までは行き着かない。
すると、言葉を発する時に感じる不安がなくなるのではないでしょうか。
匿名というネガティブな側面ばかり捉えられがちですが、匿名にもポジティブな側面もあると思うのです。
この考えについていかが思われますか。
No.1
- 回答日時:
こんにちは。
直接の回答ではありません。
>郵便的不安
これは、わたしの知る限り、デリダ自身の言葉ではなく、「手紙はかならず宛先に届く」というラカンのテーゼを批判する「手紙は宛先に届かないこともありうる」というデリダの主張を受けて、東浩紀が敷衍していった『存在論的、郵便的』から来ているのではありませんか?
ですから、同書をお読みになるか、ラカンとデリダの論争はスラヴォイ・ジジェクの『汝の症候を楽しめ』の第一章をお読みになることをおすすめします。ただしジジェクは語り口はとっつきやすいんですが、やっぱりすごくむずかしくて、つくづく、読んで「ああ、象徴的秩序とかなんて、なんにもわかってないんだろうな」と実感できる(笑)本ではある、というのがわたしの偽らぬ感想ですが。
> 郵便的不安の解消策
そもそも哲学というのは、こういう発想をしない、ということに気がついてください。
問題点
↓
解決策
というのがわたしたちの日常的な発想ですが、
哲学の場合は
問題点
↑
どうしてそういうことを問うのか
どうしてそういうことばを使うのか
問う「主体」はいったい誰なのか
問う「主体」はいったいいかなる文化的基盤に立脚しているのか
この問題意識というのは、いかなるコンテクストを背景に生まれてきたのか
……
まだいろいろな書き方はあるでしょうが、こんなふうに問題を立てていくんです。
「問い」によって、これまでわたしたちが気がついてさえいなかった、自分自身の意識や社会や文化のさまざまな側面を明らかにしていく。哲学の問いは、つねにそうしたものとしてあります。
「郵便的不安」ということも、そんなふうに受けとって、「どうやったら解消されるのだろう」ではなく、「手紙」とはなんなんだろう、とか「大文字の〈他者〉」とはいったいどういうことなんだろう、とか、主体が呼びかけるとはどういうことなのだろう、とか、考えながら読んでいくことをお勧めします。
(※もしこういうことはすでに十分理解したうえで、あえて質問を出しておられるのでしたらご容赦ください。)
この回答への補足
御回答有難うございます。
半分諦めかけていました(笑)。
ご回答の趣旨からすると哲学的な問いをいくら重ねても不安はなくならないということでしょうか。
郵便的不安に限らず、人間が何か不安を感じ、その不安の解決策を哲学に求めることはナンセンスという理解でよろしいでしょうか。
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