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(1)失明させるためにメタノール入り酒を出したが、臭いがおかしいということで不審に思い酒を飲まなかったために未遂に終わった。
(2)路上で無差別に金属バットを襲った結果、被害者は全治3週間の怪我を負ったが、保険金詐欺の目的でわざと怪我をしたい被害者だったために、たまたま被害者の意思に反しなかったためにその目的を遂げず。
(1)は身体的接触がないから無罪ですよね。 (2)は傷害罪には未遂罪はないけども身体的接触があるから暴行罪ですよね。ただし、違法目的での被害者の承諾は無効という説からすれば傷害罪が成立する場合はあるのでしょうか?
あと、たとえ処罰されなくても停職や減給処分などの対象にはなりえますよね?
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
あなたが挙げられた例で、詐欺罪の場合であれば、加害者には犯罪の着手があるのだが、被害者が欺罔されていないため、構成要件が完結しておらず、未遂になっているだけです(同意があるからではない)。
窃盗についても、被害者の意思によって占有移転している以上、客観的に犯罪が既遂にならないということです。一般的にも受け入れられている考え方です。一方、殺人罪の方について、(加害者は知らないが)本人に自殺の意図があったことを理由に殺人未遂をとるのは、ちょっと意味が違います。この場合は、主観的には殺人既遂の構成要件に該当します。もっとも、本人に自殺意図があったことを理由に、客観的には殺人罪の構成要件ではなく自殺関与罪の構成要件該当性を認めるが、自殺関与罪の故意がないので、その成立は認められない。このため、成立する範囲で殺人罪の未遂を認めるということではないでしょうか。
ただ、そもそもこれは一般的に受け入れられている見解ではないでしょう(この流れだと、重なり合う範囲で自殺関与罪を認める方が自然だと思います)。普通は、単に被害者が自殺意思を有しているに過ぎず、加害者との間で具体的な嘱託も承諾も存在しない状況であれば、同意殺人罪の適用の余地はなく、殺人罪になります(これは。あまり異論がないと思うのですが)。
ということで、この2つを同列に挙げている時点で、妥当でない方向に思考がいっているように思います。
(1)は、メタノール入りの酒を出した時点で傷害罪の着手行為と見るなら、「無罪」ではなく「不可罰」でしょうね。
また、(2)については、被害者に怪我をしたいという希望があったとしても、加害者が無差別に襲っている以上、この行為に対する同意はないと考えられ(被害者がわざと相手を挑発して、殴ってくるように誘導したような場合には、間接的な自己傷害が認められる余地があるかもしれませんが、設問ではそのような事情は認められません)、違法性は阻却されず、普通は傷害罪でしょう。もし、同意があったとしても、保険金詐欺目的という動機・目的は社会的相当性がないので、やはり違法性を阻却せず、傷害罪は成立します。
なお、質問者さんが殺人罪で挙げられた「殺人未遂になる」ような考え方でも、傷害には「同意傷害罪」は存在しませんから、客観的にも主観的にも傷害罪であり、未遂罪にはなりません。
なお、停職や減給処分については、その処分の規定の内容によっては、対象となり得ると言えるでしょう。
この回答への補足
AがBに対して「cにAを殺害するように指示して来い」といってBから指示を受けCがAを殺害した場合は、CがAからの指示であることを知らなくても、Cは自殺関与罪になりますよね。Bは自殺関与罪の教唆をしているのに、Cが殺人未遂罪になることはありえないと思うのですが。
補足日時:2007/07/24 18:40No.1
- 回答日時:
(1)について、傷害罪の不成立という結論は同じですが、その理由は“身体的接触”がないだけでなく、“障害の結果”が発生しなかったことも条件に含まれます(問題文からして当然ですが)。
(2)について、行為者と被害者間に同意があった場合の例として、最決昭和55年11月13日刑集34巻6号396頁があり、“傷害罪”が成立しています。
今回の場合は行為者と被害者間に同意があったとは認められないので、同意傷害については検討の必要は無いでしょう。従って、行為者については“傷害の故意(若しくは殺人の故意)”があったと考えられ、“傷害の既遂”乃至は“殺人の未遂”が成立するでしょう。
被害者は確かに“違法な目的”はもっていましたが、それは行為者とは無関係(同意や共謀はなかった)ので、傷害(乃至は殺人)について無関係でしょう。
保険金詐取については、状況記述に不明な点がありますが、結果として保険金入手に成功しているのであれば、“詐欺罪”の既遂となる可能性が高いと思います(この点は別に検討が必要ですが)。
停職や減給については、それぞれの会社や組織の規定によります(処罰しようがしまいが、会社や組織の自由です)。一般的には、懲役等の刑罰を受けた場合、処罰する規定があることが多いでしょう。
この回答への補足
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2799765.html
殺人をしたつもりが、被害者がたまたま自殺をを考えていて、結果的に同意殺人になった場合は、同意殺人罪ではなく殺人未遂罪になるという見解があります。
(被害者の意思に反して人を殺害したつもりが、たまたま被害者の意思に反していないためにその目的を遂げなかったということです)
今回は、この点が殺人ではなく傷害罪に置き換わっただけです。
確かに、行為者が被害者の承諾を認識していないので被害者の意思に反して傷害させる故意があったと認められ、同意傷害については成立しないと考えられますが
窃盗罪・詐欺罪についても同様で、かわいそうだからお金をあげたという場合は詐欺未遂罪などが成立するという見解がありますが。
なぜか、傷害罪だけは未遂罪の規定がないために問題になってくるわけです。
例えば、被害者であるAがBに対して「Cに対して私をバットでぼこぼこに殴るように指示して来い」といったとします、それを聞いたCはAをバットでぼこぼこに殴ったとします、この場合、CはBから教唆されたことは知っているだけで、被害者Aの事前承諾があったという認識はないわけじゃないですか?Bは被害者の承諾を認識している状態だといえますが。その後Aが全治3週間の怪我を負い保険金を騙し取った、B、Cは保険金詐欺の事実を知らないとすれば、Aには詐欺罪、Bは暴行罪の教唆、Cには暴行罪が成立するという見解になってくるのでしょうか?
傷害罪の未遂が暴行罪であるという考えたかからすれば?
これが殴り方が弱くてAが怪我をしなかったとします。この場合は、暴行罪の未遂罪はありえないから犯罪不成立ですよね?
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