ある特許Aの内容を利用しようと、その特許の満了を待っておりました。
ところが最近になって、この特許の改良特許Bが特許Aと同出願人から出願され、特許になってしまいました(改良特許Bには「今までAという方法が知られていたが、Bという方法は、より簡便にできる」と記載されています)。改良特許Bにおける優先権主張等はされていません。
改良特許Bのクレーム範囲をそのまま読むと、基礎特許であるAが包含されてしまっています。そうすると、基礎特許Aが満了したとしても、Aの方法を実施すると改良特許Bに抵触すると言うことになってしまいます。
基礎特許Aはもうすぐ満了になるのですが、満了後にAを実施することはできないのでしょうか?できないとなると実質的に特許Aの延長ということになってしまい、納得いきません。
できましたら、裁判判例や、HPなども挙げて頂けたらうれしいです。
宜しくお願いします。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
すみません。
補足が遅れました。(No.4のお礼欄より)
>まさに、特許Aの実施例にはステップa+ステップb’+ステップcが記載されています。と言うことは、改良特許Bについては無効審判で争える可能性があるということでしょうか?
間違いないですね?
A、Bの2件の公報を読まなければこちらからは断言はできないのですが、
特許庁には、審査経過(俗に「包袋」と言われます)が全て保存されています。それを取り寄せて検討なさって下さい。取り寄せの申し込み先は、「日本特許情報機構」、略称「JAPIO」です。
http://www.japio.or.jp/
基礎特許Aに本当にステップa+ステップb’+ステップcが開示されているのであれば、改良特許Bは、基礎特許Aの公開公報を理由として拒絶されているはずです。これに対し、出願人(特許権者)が意見書にてどのように主張しているのかをご確認下さい。
ただ、「このように主張しているから、権利範囲はこう解釈されるべきだ」という判断は、弁理士にご一任下さい。貴社に顧問弁理士がおられるならば、話は早いのですが。
Webでの相談に限界があるのは、私どもも苦悩するところなのですが、このカテゴリの性格上、問題点を根掘り葉掘り詳細に聞き出すことがどうしてもできません。この点を何卒ご理解下さいますようお願い申し上げます。
参考URL:http://www.japio.or.jp/
この回答への補足
ずいぶん長い間締め切らずに申し訳ありませんでした。8月20日ごろに、相手方に、特許権が切れた方法で行っている旨の内容証明郵便を送付致しました。
それから1ヶ月以上たった今でも相手からは何も言ってきません。どうやら一安心のようです。
みなさまどうもありがとうございました。
くわしい解説ありがとうございます。
一応、弊社の顧問弁理士と係争のための弁護士に相談することにはなっていますので、結果はまた追ってこちらでご報告させて頂きたいと思います。
私も初め特許Aと特許Bを見たとき、何故Bが特許になるのか疑問でした。
今から、裁判準備です!!
No.4
- 回答日時:
ちょっと混乱しているようですので整理しましょうね。
特許Bはどの時点で出願されたものなのでしょうか?
特許Aが出願公開された後に出願されたものであれば、特許法第29条第1項第3号(新規性)又は同法第29条第2項(進歩性)での審査の対象になります。この場合、明細書全体の記載内容が判断材料になります。
他方、特許Aが出願公開される前に出願されたものであれば、特許法第29条の2(拡大された先願)は出願人同一のために適用されず、特許法第39条第1項での審査の対象になります。この場合には、特許請求の範囲の記載内容のみが判断材料になります。
どちらなのでしょうか?
後者の場合でしたら、せいぜいあと1年半で特許Bの存続期間も切れることになりますよね。ということは前者なのでしょうか? それでしたら、特許法第29条第1項第3号(新規性)又は同法第29条第2項(進歩性)で判断することになりますね。
でも、この場合には、特許Bではステップbを特許Aのものより限定されたもの(ステップb’)にし、それによってステップcが不要になったわけですよね。それでしたら、新規性も進歩性もクリアーされてしまう可能性があります。
何故「可能性」と言うかというと、
(1) 特許Aの明細書の実施例中にステップa+ステップb’だけの具体的実施例が記載されているかどうかが私にはわからないから、
(2) 本当にステップa+ステップb’+ステップcの具体的実施例が特許Aの明細書中に記載されているのかどうかが私には確認できないから、
(3) 具体的な発明の内容がわからないので、ステップb’を選択することによってステップcを省くことができるということが当業者に予測可能だったかどうかが私には判断できないから、
(4) 具体的な発明の内容がわからないので、ステップcが発明全体の効果に対してどの程度の比重を占めるものなのかが私には判断できないから、
等々の理由からです。
(まあ、特許庁の審査官もその程度のことは見逃さないでしょうから、(1)や(2)のような具体例はおそらくないだろうとは思いますが。)
もしもステップa+ステップb’+ステップcの具体的実施例が明細書中に記載されていれば、ステップb’までの開示内容(又は発明内容)次第では、特許Aの明細書に特許Bの発明の構成が記載されているということになる可能性がありますから、その時点ですでに特許Bの発明の作用効果は達成されていたってことになり、特許Bに係る発明は「単なる効果の発見」に該当し、拒絶の対象になり得るんですけどね。でも、これも飽くまで内容次第ですのでご注意を。
特許番号(又はせめて公開番号)をお教えいただければ、もう少し詳しいことをお話しできる可能性もあるのですが、そうするとi-s-iさんの個人情報がある程度わかってしまう危険性も生じてきてしまいます。その点はどうお考えなのでしょうか?
ところで、i-s-iさんが実施したい発明は、
(ア)ステップa+ステップb’+ステップc
なんですか? それとも、
(イ)ステップa+ステップb”(=ステップb’以外のステップb)+ステップc
なんですか?
まあ、(イ)だったら問題ないですよね。ということは、(ア)ということになりますか。それだと、特許Bの発明と比較して効率の悪いものになっちゃいますよね。それでもかまわないんですか?
できれば
(ウ)ステップa+ステップb’
で実施したいですよね?
それでしたら、特許Bを潰すことをお考えになった方がよろしいのではないでしょうか?
たとえすでに特許になっていても、特許法第123条の無効審判を請求することによって特許を潰すことができる場合があります。
ただ、これについては本当に詳しく内容を検討できないと、ここではご説明できません。というか、専門家が無償でお教えするようなことではございません。
というわけで、結局のところここで私ができることは、専門家(特許事務所、弁理士さん)のところに相談に行かれることをお勧めすることだけになってしまいますね。
特許事務所に行くのがいやでしたら、発明協会や弁理士会、その他でも無料相談があります。でも、無料相談は飽くまで無料の範囲内だと思いますよ。
この点については、次の質疑でも説明していますので、ご一読下さいね。
★マタマタ特許のことで無料の、弁護士
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=332267
参考URL:http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=332267
>もしもステップa+ステップb’+ステップcの具体的実施例が明細書中に記載されていれば、ステップb’までの開示内容(又は発明内容)次第では、特許Aの明細書に特許Bの発明の構成が記載されているということになる可能性がありますから、その時点ですでに特許Bの発明の作用効果は達成されていたってことになり、特許Bに係る発明は「単なる効果の発見」に該当し、拒絶の対象になり得るんですけどね。
まさに、特許Aの実施例にはステップa+ステップb’+ステップcが記載されています。と言うことは、改良特許Bについては無効審判で争える可能性があるということでしょうか?
>ところで、i-s-iさんが実施したい発明は、
(ア)ステップa+ステップb’+ステップc
なんですか? それとも、
(イ)ステップa+ステップb”(=ステップb’以外のステップb)+ステップc
なんですか?
特許Aの実施例に記載されているそのままの(ア)で実施するため、既に準備が終わっています。ところが、出願人から、特許Bに抵触すると警告されているのです!満了した特許Aの実施例をそのまま実施するのに、特許Bに抵触するという理由に納得がいかないのです。
一応、弁護士・弁理士さんに相談する予定になっていますが、その前に、戦える余地があるかどうかお聞きしたかったので・・・
特許Bは「効果の発見」にすぎないということは何か安心できました。
ありがとございます。
No.3
- 回答日時:
??????
29条は発明と出願の関係ですから出願人の同一とかの問題はないですよね?・・
39条にしても出願同士の前後判断ですから、
出願人が同一でも後願は排除されるはずです。
72条の利用関係では権利者の同不同は関係あるとは思いますが・・
で、ステップbが若干異なるということですが、
「ステップbの条件を選択することでステップcを省略することが出来た」
っていうことですよね?・・・・
このステップcが省略できたことに十分な進歩性があるみなされたってことで・・
いわゆる「選択発明」ですね。
「特許法概説」のp119を見ていただくといいんですが・・
要は「選択により、予測困難な技術的な効果が得られた」ことが要件です。
ところが、実施例として発明Aと同一の例を用いてるということで、
これが「予測が可能だったはずだ!」っていう事が証明できれば、
特許の無効性を主張できそうです。
>で、ステップbが若干異なるということですが、
「ステップbの条件を選択することでステップcを省略することが出来た」
っていうことですよね?・・・・
このステップcが省略できたことに十分な進歩性があるみなされたってことで・・
いわゆる「選択発明」ですね。
そのとおりです。ただ現在、Bはすでに特許になっており、Aを実施しようとしている弊社に対し、出願人から特許Bに抵触すると警告されています。
ここが判らないんですよね。
No.2
- 回答日時:
ただ単に、特許Bが既存の特許Aの一部でしかないのならば、
29条に掲げられた新規性要件で無効理由を有しているのではないでしょうか?・・
補足を拝見する限り、ステップaとステップbは両特許に共通している様ですし、
特許Aを実施するにあたり、ステップaとステップbがかならず実施されるわけですから。
・・・・このステップa、ステップbが微妙に異なったりしませんか???
参考URL:http://www.houko.com/00/01/S34/121.HTM#s2
回答ありがとうございます。
基礎特許Aと改良特許Bのステップa、ステップbの違いですが、ステップaは同じです。ステップbは、基礎特許Aが広義であるのに対し、改良特許Bでは限定されています。ただし、改良特許Bで限定された範囲であるステップbについては、基礎特許Aの実施例に記載されているんですよねぇ・・・・・
なお、出願人がA、Bとも同一ですので後願排除にならず無効ではないようなんです。
本当に困っています。
No.1
- 回答日時:
>改良特許Bのクレーム範囲をそのまま読むと、基礎特許であるAが包含されてしまっています。
おそらく、基礎特許Aの独立請求項は、(方法ということですから、)
「ステップaと、ステップbと、ステップcとを有する…方法」
というような記載になっていると思います。
一方の改良特許Bの独立請求項は、基礎特許Aを包含しているということですから、
「ステップaと、ステップbと、ステップcと、ステップdとを有する…方法」
などというように、基礎特許Aに新たなステップが付け足されていると推察します。さらなるステップが付加されているのに、何故に基礎特許Aよりも「簡便になる」のかがよく分かりませんが…(笑)。
以上を前提として、話を進めます。
特許権の侵害は、請求項に記載されている事柄を全て満足する場合に成立します(特許法70条)。つまり、上記のケースであれば、ステップa~dの4ステップを全て行うプロセスを実施した場合に、改良特許Bを侵害することになります。
言い換えれば、請求項に記載されている事柄が欠如している場合、基本的には侵害とはなりません(注:「均等論」や「不完全利用論」という考えもあるのですが、この点は割愛します)。
このため、例えば、ステップa~cや、a、c、dなどというように3ステップだけしか行わなかった場合、改良特許Bを侵害することにはなりません。
このことからご理解頂けるかとは思いますが、例えば、基礎特許Aを実施するということは、「改良特許Bにて付加されたステップは実行しない」ということですから、改良特許Bの侵害とはなりません。
このように、改良特許Bは、基礎特許Aを延命させるものではありません。
なお、請求項の考え方は、下記URLでのQ&Aも参考になります。
■明細書のクレームについて教えてください
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=153481
参考URL:http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=153481
早速のご回答ありがとうございます。
ただ、説明が足りなかったようで、以下の通り補足させて頂きます。
基礎特許A
クレーム:ステップaとステップbとステップcとを有する方法
改良特許B
クレーム:ステップaとステップbとを有する方法
と改良特許の方がステップが少なくなっているのです。具体的にはステップCを行わなくても目的を達することができたという改良特許です。
改良特許の方がステップが少ないため基礎特許が包含されてしまっています。
この場合はどうなんでしょうか?
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