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お世話になります。

請求項を起草しようとIPDLを検索しています。

H8年登録特許の従属項で、角度や力の範囲の記述例として、

「所定の押圧力は100ないし300N(ニュートン)、好ましくは 150ないし250N、特に好ましくは 約200Nであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の○○○用安全締具。」

のような記載が査定されています。

代替例としてよく使われる「200N近傍」よりも感覚的に広く権利をとれると思うのですが、

●現在の審査基準でも上記のような記載は認められるでしょうか?

●また、もし認められない場合特許法、特許法施行規則などでどちらを参照したらよろしいでしょうか?

なにぶんよろしくお願いします。

A 回答 (2件)

例示されている特許は、多分、ヨーロッパの代理人がPCT出願を代理して、日本に移行した案件と思われます。

「特許請求の範囲第1項記載」というのが、いかにもPCT出願経由の匂いがします。

●現在の審査基準でも上記のような記載は認められるでしょうか?

通常、このような記載は認められません。特許法36条6項2号違反として、拒絶理由が通知されます。ただし、時々、この程度の明確性の要件を気にしない審査官はいます。「100ないし300N」という範囲そのものは明確だからです。

>請求項を起草しようと

企業にお勤めなら、それでもよいかもしれません。一方、特許事務所の代理人として、日本企業を顧客として日本への出願を代理するのなら、請求項に、「好ましくは」という記載は絶対に避けるべきです。記載不備となることがほぼ明らかな案文を起草するのは、代理人の腕がないと思われるからです。

一方、日本出願、アメリカ出願、ヨーロッパ出願の各国別に特化するようにクレームの記載を代えるというのであれば、ヨーロッパ出願用のクレームとして、例示されたようなクレームの記載は選択肢になると思います。請求項の数を減らして、審査請求手数料を節約できるからです。

なお、アメリカ出願でも、このように、クレームに「好ましくは」というより狭い範囲の限定を付することはできません。

この回答への補足

ありがとうございます。

>いかにもPCT出願経由の匂いがします。

おっしゃるとおり、優先権主張国ドイツの86年出願のものです。

請求項の記載の仕方のみでその素性を推察されるとは、感服いたしました。

確かにIPDL検索の請求項=「好ましくは」+αでヒットさせると、大半が外国、EU系です。
国内でも稀に前記のような二重括弧のような数値範囲限定が査定されていました。
それにしても件の請求項例では「好ましくは」200±100Nですから、中央値±50%。「特に好ましくは」同±25%ですから、「200N近傍」という表現とは感覚的にかけはなれていますね。

●これはアメリカおよび日本に比してヨーロッパのほうが請求項の明確性の要件(感覚?)がルーズであり、日本での審査では優先国の要件(感覚?)を尊重して審査するので査定されやすいということでしょうか?

●特許法36-6-2の「特許を受けようとする発明が明確であること。」の「明確さ」の目安というか要件について何か参照できるものはございますでしょうか?

お手数ですが、よろしくご教示ください。

補足日時:2006/04/11 07:27
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まず、質問文の一部を伏字にしてますけど、専門家でなくても、この質問文中の情報だけで、どの特許出願のことなのか特定できてしまいます。

注意した方がいいですよ。私はその出願番号まで特定できました。ウィンタースポーツの道具の話ですよね?

そして、出願番号から、PCT出願ではないことがわかります。優先権主張に関する記述がありますからパリ優先権主張出願であることもわかります。

また、出願日から、改善多項性導入前の特許出願であることがわかります。実際、書誌部分に【発明の数】1と書かれています。つまり、今の「請求項の数」ではなくて「発明の数」で審査請求の料金等が決まっていた時代の出願です。だから、「請求項~記載の」ではなくて「特許請求の範囲第~項記載の」になっているのです。

ちなみに、昔のPCT出願だと「特許」の部分が抜けて「請求の範囲第~項記載の」になります。

経験豊富な専門家であれば、その程度のことは常識です。

その当時は、それぞれの独立発明に対してのみ審査をしていたようで、従属項なんぞは見ていないことも多かったようです。従って、従属項に「好ましくは」云々の記載があっても特許になったということです。

>●現在の審査基準でも上記のような記載は認められるでしょうか?

認められません。ほぼ100%の確率で拒絶理由通知が来ます。請求項ごとに審査請求料金を取っているのですから、全請求項に対して審査を行うのは当たり前のことです。そして、昔はいましたけど、最近ではこのような初歩的な瑕疵を見落とす審査官はまずいません。審査官も公務員ですから、ミスをすると出世に影響します。審査には慎重になります。

>●また、もし認められない場合特許法、特許法施行規則などでどちらを参照したらよろしいでしょうか?

数値範囲が確定されない、即ち権利範囲が確定されない→発明が明確ではない、ということで、特許法第36条第6項第2号の拒絶理由の対象となります。

特許法 第36条(特許出願)
・・・・・
6 第2項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
・・・・・
二 特許を受けようとする発明が明確であること。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

おっしゃるとおり、検索できてしまいますね。今後注意します。

また、ご回答を参考にして請求項の起草は発明の明確性を失わないようにしたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。

お礼日時:2006/04/13 15:54

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