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こんにちは、
下記の文献P58を見ますと、中性子の結合エネルギーは
「原子炉の物理」小林茂治先生著

Th232→5.4 MeV
U238→5.5 MeV
U235→6.8 MeV
U233→7.0 MeV
Pu239→6.6 MeV

とありますが、下記HPのワイツゼッカー・ ベーテの質量公式
の式から計算すると、上記は、全て7.6 MeV になります。
この違いは、なぜ生じるのでしょうか?
私が計算間違いをしているのでしょうか?

http://www2.kutl.kyushu-u.ac.jp/seminar/MicroWor …

A 回答 (8件)

> (1)この本には、標的核とも複合核とも記載されていないのですが、この本に


> 記載されています。臨界エネルギーの計算式に、標的核のZ,Aを代入すると、Ebarr(MeV)
> が導かれます。例えば、Th232でしたら、Z=90、A=232を代入すると、9.7になります。
> これは、標的核とも複合核とも記載されていないのですが、標的核の臨界エネルギー
> なのですね?

「標的核のZ,Aを代入する」と書かれていますが、本当は標的核とも複合核とも記されていないのですね?あとその本の書きぶりですが、中性子核分裂に限らず、ある核種が核分裂を起こすにはこれだけの励起が必要・・・というような感じで書かれていますか?

だとしたら、私の認識不足です。確かなことは言えませんが、複合核が対象と思います。すみません。

よく見るとあのニルソンが書いた本のようですね。興味があるので私もちょっと探してみよう。

この回答への補足

お世話になります。

>よく見るとあのニルソンが書いた本のようですね。興味があるので私もちょっと探してみよう。

いつでも結構なので、また、ご回答頂きましたら幸いです。

http://www.amazon.co.jp/Shapes-Shells-Nuclear-St …

補足日時:2007/09/29 12:19
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(1)について


通常、複合核を対象にしてこういった計算式を表現することはないと思いますので、おそらくその解釈で結構でしょう。

(2)について
はい、その通りの認識で結構です。

変形のためのポテンシャルの山を超えるには尚9.7-4.8=4.9 MeVのエネルギーが必要ということです。また中性子結合エネルギーはTh233の分離エネルギー(Sn)を参照ください。

この回答への補足

お世話になります。
何回も同じような質問を繰り返し、すいません。

>(1)について
>通常、複合核を対象にしてこういった計算式を表現することはないと思いますので、
>おそらくその解釈で結構でしょう。

>(2)について
>はい、その通りの認識で結構です。

ん~。本当にそうでしょうか?今日1日考えていたのですが、
標的核Th232の場合、中性子の結合エネルギーは、複合核Th233の
データを見る。→これは間違いないですね。

問題は、臨界エネルギーなのですが、標的核Th232そのままの状態で
計算するのではなく、複合核Th233で計算すべきでは無いでしょうか?

昔の本を見ても、核分裂複合核の臨界エネルギーを記載しています。
しかし、S.G. Nilsson and I. Ragnarsson 著
「Shapes and shells in nuclear structure」は、ちょっと違いますし、
よくわからないです。

まあ、臨界エネルギーを実際に計算すると、標的核Th232でも複合核Th233
でもあまり数値的には変わらないのですが、どうなんでしょうか?


核分裂複合核 臨界エネルギ  複合核における最新の中性子の結合エネルギ
Th232         5.9       記載なし
Th233         6.5       5.1
U233          5.5       記載なし
U234         4.6       6.6
U235         5.75      記載なし
U236         5.3       6.4
U238        5.85        記載なし
U239          5.5        4.9
Pu239         5.5         記載なし
Pu240          4.0        6.4

補足日時:2007/09/26 00:00
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(1)について


> 5.3 >6.4
これは
> 5.3 <6.4
の書き間違いですね。

はい、その解釈で結構です。TOIから確かめてみましたが、間違いないでしょう。

核分裂反応は原子核の変形がポテンシャルバリアーを突破できるかどうかが肝ですが、同時に量子力学的トンネル効果によって、分裂した先の粒子状態がエネルギー的に許容されていれば、確率は小さいながらも起こりえます。

表に書かれているように核分裂性物質といわれるU233、235、Pu239は結合エネルギーがそれぞれ臨界エネルギーよりも高いので、中性子を捕獲すると容易に核分裂を起こします。Th232やU238を見ると(Th233、U239の行)臨界エネルギーがそれぞれ1.4、0.6MeVほど高いので、従って高速中性子でないと核分裂を起こし"にくい"です。しかし、トンネル効果によって分裂は可能なため、核分裂断面積は0ではありません。非常に小さいながらも有限な断面積を持っています。


(2)について

> 1974年当時は、データが無かったからでしょうか?
かもしれません。この時代になるともう原子核物理の黎明期というのはとうに過ぎているとは思うのですが。推測ですが、もともと原子核物理は核爆弾を製造する目的が一番の発展要因ですから、兵器として使えない同位体の研究は二の次だったのではないでしょうか?

Th233という同位体は存在するのでTh232にも中性子結合エネルギーは存在します。

この回答への補足

ご回答ありがとうございます。

>5.3 <6.4
>の書き間違いですね。
すいません。その通りです。書いた後、直ぐにわかったのですが、
取り消しができませんでした。
>はい、その解釈で結構です。TOIから確かめてみましたが、間違いないでしょう。
了解しました。ありがとうございます。

>核分裂反応は原子核の変形がポテンシャルバリアーを突破できるかどうかが肝
>ですが、同時に量子力学的トンネル効果によって、分裂した先の粒子状態が
>エネルギー的に許容されていれば、確率は小さいながらも起こりえます。
わかりました。トンネル効果によって、自発核分裂が起こるのですね。


>表に書かれているように核分裂性物質といわれるU233、235、Pu239は
>結合エネルギーがそれぞれ臨界エネルギーよりも高いので、中性子を捕獲
>すると容易に核分裂を起こします。Th232やU238を見ると(Th233、
>U239の行)臨界エネルギーがそれぞれ1.4、0.6MeVほど高いので、
>従って高速中性子でないと核分裂を起こし"にくい"です。しかし、
>トンネル効果によって分裂は可能なため、核分裂断面積は0では
>ありません。非常に小さいながらも有限な断面積を持っています。
了解しました。高速中性子の場合、一般に核分裂断面積が小さいので
核分裂が誘起されにくいのですね。

(2)について

>かもしれません。この時代になるともう原子核物理の黎明期というのは
>とうに過ぎているとは思うのですが。推測ですが、もともと原子核物理は
>核爆弾を製造する目的が一番の発展要因ですから、兵器として使えない
>同位体の研究は二の次だったのではないでしょうか?
そういう理由ですか。了解しました。

>Th233という同位体は存在するのでTh232にも中性子結合エネルギーは
>存在します。
了解しました。


すいません。更に、今度は臨界エネルギーにつきまして、念のため、ご教示
頂きましたら幸いです。

S.G. Nilsson and I. Ragnarsson 著「Shapes and shells in nuclear structure」
という本に下記が記載されております。
Ebarr(MeV)
Bi209 → 17.9
Th232 → 9.7
U238 → 7.8
Pu242 → 6.0
Fm254 → 2.4
X294 → 0.4

質問
(1)この本には、標的核とも複合核とも記載されていないのですが、この本に
記載されています。臨界エネルギーの計算式に、標的核のZ,Aを代入すると、Ebarr(MeV)
が導かれます。例えば、Th232でしたら、Z=90、A=232を代入すると、9.7になります。
これは、標的核とも複合核とも記載されていないのですが、標的核の臨界エネルギー
なのですね?

(2)くどいですが、Th232の場合、中性子の結合エネルギーはこの本には記載されて
いませんが、この値は、Th233の中性子の結合エネルギーは、下記を見ますと
4.8MeVです。つまりTh232に熱中性子(遅い中性子=ほぼ運動エネルギー0)が
吸収されても、9.7>4.8なので、核分裂は誘起されにくいのですね。
 すなわち、標的核Th232の場合、臨界エネルギーは、標的核Th232そのまま
の状態で計算して、中性子の結合エネルギーは、複合核Th233のデータを
見るのですね。

http://nucleardata.nuclear.lu.se/nucleardata/toi …

補足日時:2007/09/24 17:49
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この回答へのお礼

お世話になります。

同じような質問を何回もしまして、お手数をお掛け致しますが、
何卒、よろしくご指導の程、お願い致します。

お礼日時:2007/09/24 19:43

> 私が知りたいのは、この場合の中性子の結合エネルギーEbなのですが、


> 下記物質の中性子の結合エネルギーEbは
> Th232 6.4MeV
> Th233  4.8MeV
> U236  6.5MeV
> U238  6.2MeV
> U239  4.8MeV
> でよろしいのでしょうか?

それぞれ、Th232、Th233、U236、U238、U239を中性子によって核分裂させると解釈しますね。この教科書の記述では、※で申し上げた通りの正しい言葉が用いられていますので、Th232の中性子による核分裂を見る場合は、Th233のSnである4.8 MeVを用いてください。すなわち、
> Th232 4.8MeV
> Th233 6.2MeV
> U236  5.1MeV ← U235の間違いではなくこれでOKですか?
> U238  4.8MeV
> U239  5.9MeV ← Puの間違いではなくこれでOKですか?
となります。( http://ie.lbl.gov/education/isotopes.htm のデータから抜粋)


今Table of Isotopesが手元にないのですが(vistaのせいでCDが使えなくなりました・・・泣)、ほぼ同じと思われるサイトを発見しました。

http://nucleardata.nuclear.lu.se/nucleardata/toi …

Table of Isotopesの中身はこのようなグラフィック(カラー版)です。
現在でもアクティブなサイトかどうかちょっと怪しいのですが、メインページでdataが1999年となっているので(今出ているtable of isotopes 8th editionは確かこの年の出版)間違いないでしょう。

これによると、上で羅列した数値と有効数字2桁で合致しているようです。例えば、Th232でしたら、上のボックスに233を入れてshow drawingを押して出てくるA=233レベルスキームの、Th233の直上にあるSnの数値をご覧下さい。

> 本(2000/08 発行)の数値
確かに、分離と結合を間違っていたとしても、全然違いますね。初版が2000年でしょうか?何かおかしいです

この回答への補足

お世話になります。

すいませんが、念のため、下記につきまして、ご教示頂きましたら幸いです。


原子炉の初等理論 / ラマーシュ著 ; 武田充司, 仁科浩二郎訳/吉岡書店/1974
を見ますと

核分裂複合核 臨界エネルギ  複合核における最新の中性子の結合エネルギ
Th232         5.9       記載なし
Th233         6.5       5.1
U233          5.5       記載なし
U234         4.6       6.6
U235         5.75      記載なし
U236         5.3       6.4
U238        5.85        記載なし
U239          5.5        4.9
Pu239         5.5         記載なし
Pu240          4.0        6.4


とあります。
(1)核分裂複合核と言いますのは、例えば標的核をU235としますと、中性子1個
を吸収してU236になるので、
U236 5.3 6.4
は、標的核U235に熱中性子(遅い中性子=ほぼ運動エネルギー0)が吸収されると
5.3 >6.4
なので、核分裂が起きる。と考えられるのですね?

(2)Th232 5.9 記載なし
等で、複合核における最新の中性子の結合エネルギー欄が記載されていませんが
1974年当時は、データが無かったからでしょうか?
Th232(複合核)における中性子の結合エネルギーが存在しないからでは無いですね?

補足日時:2007/09/24 12:43
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この回答へのお礼

お世話になっております。

>それぞれ、Th232、Th233、U236、U238、U239を中性子によって核分裂させると
>解釈しますね。この教科書の記述では、※で申し上げた通りの正しい言葉が用いられ
>ていますので、Th232の中性子による核分裂を見る場合は、Th233のSnである
>4.8 MeVを用いてください。すなわち、
> Th232 4.8MeV
> Th233  6.2MeV
> U236  5.1MeV ← U235の間違いではなくこれでOKですか?
> U238  4.8MeV
> U239  5.9MeV ← Puの間違いではなくこれでOKですか?
>となります。( http://ie.lbl.gov/education/isotopes.htm のデータから抜粋)

手取り、足取りご教示頂き深謝致します。
やっとわかりました。ややこしいですね。
この数値を使用させて頂きます。

>これによると、上で羅列した数値と有効数字2桁で合致しているようです。例えば、>Th232でしたら、上のボックスに233を入れてshow drawingを押して出てくる>
>A=233レベルスキームの、Th233の直上にあるSnの数値をご覧下さい。
この表の見方もよく解りました。ありがとうございます。

>確かに、分離と結合を間違っていたとしても、全然違いますね。
>初版が2000年でしょうか?何かおかしいです

著者の先生に、聞いてみたいと思います。

今回、いろいろとご教示頂き、私にとりましては、新発見であり、
大収穫で勉強になりました。本当に有難うございました。

お礼日時:2007/09/23 19:29

> Th232 6.4MeV


> Th233 4.8MeV
> U236 6.5MeV
> U238 6.2MeV
> U239 4.8MeV

はい、それぞれwebの値と一致しております。

しつこいですが、正確にはこのエネルギーは各核種の中性子分離エネルギー(Sn)であるということにご注意下さい。すなわち、Th232の中性子結合エネルギー(Bn)は
> Th233 4.8MeV
の4.8 MeVになります。 Sn of Th233 = Bn of Th232


しばしば、この結合エネルギーは分離エネルギーと混同して用いられます。専門家の議論では、「結合」を指しているのかはたまた「分離」なのかは、その脈絡から個々が当然理解しているのでさほど差し支えないのですが、初学者にとってはかなりの混乱の元です。私も原子核物理を勉強し始めた当初は、頭がねじまがりました。

この回答への補足

お世話になります。

>しばしば、この結合エネルギーは分離エネルギーと混同して用いられます。
>専門家の議論では、「結合」を指しているのかはたまた「分離」なのかは、
>その脈絡から個々が当然理解しているのでさほど差し支えないのですが、
>初学者にとってはかなりの混乱の元です。私も原子核物理を勉強し始めた
>当初は、頭がねじまがりました。

すいません。念のため、ご確認頂きましたら幸いです。
現在、「原子炉の物理」小林茂治先生著P58を読んでいるのですが、
そこには、次のとおり記載されております。

複合核には幾つかの励起エネルギーEexcが存在する。核分裂は、この
エネルギーが臨界エネルギーEcを超える場合に起こりうる。
中性子がEの運動エネルギーで原子核に吸収され、運動エネルギーが
0の複合核ができるならば、その場合の励起エネルギーは、もとの
原子核と中性子の結合エネルギーEbと運動エネルギーの和に等しくなる。
故に、この複合核の分裂が起こる条件は、
Eexc=Eb+E>Ec
である。

ご質問
私が知りたいのは、この場合の中性子の結合エネルギーEbなのですが、
下記物質の中性子の結合エネルギーEbは
Th232 6.4MeV
Th233  4.8MeV
U236  6.5MeV
U238  6.2MeV
U239  4.8MeV
でよろしいのでしょうか?

本(2000/08 発行)の数値
Th232 5.4MeV
U238  5.5 MeV
とかなり異なります。その当時のデータとの違いのように思われますが、
最近の7年間で、そんなに実験値が変わるのでしょうか?

追伸
>はい、それぞれwebの値と一致しております。
申し訳ございません、質問を間違えて記載してしまいました。

「Table of Isotopesに記載のデータは、有効数字2桁の値でしたら
上記と一致しているでしょうか?」

でした。恐れ入りますが、如何でございましょうか?

補足日時:2007/09/23 15:01
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この回答へのお礼

お世話になります。

何回も質問しまして、お手数をお掛け致しますが、
何卒、よろしくご指導の程、お願い致します。

お礼日時:2007/09/23 15:06

ぐはあ、ちょっと間違えました。



> E1は(z,n+1)の中性子結合エネルギー、E2は(z+1,n+1)の陽子結合エネルギーです。

訂正します。
> E1は(z,n)の中性子結合エネルギー、E2は(z,n+1)の陽子結合エネルギーです。

※と併せてごらんください。


あと、質量公式の計算ですが、私もちょこちょこっとやってみました。偶奇性の項を入れ忘れていませんか?

この回答への補足

ご親切なご回答ありがとうございます。

>ある核種(Z,N)に運動エネルギー0の中性子が捕獲されると、高励起状態の
>質量数(Z,N+1)核種が形成されます。通常この高励起状態はガンマ線を放射
>しながら脱励起し、基底状態に落ち込みます。このとき放射されたガンマ線
>の総和が中性子結合エネルギーに相当します。すなわち、ある核種があり、
>その核種に中性子が1つ結合したときに開放されるエネルギーのことです。

>対して質量公式で得られる原子核結合エネルギーというものは、示された
>web siteの初めの式にもあるように、バラバラ静止状態の陽子と中性子の
>質量の和と、それらが結合状態をつくっている時の質量との差(のエネルギー
>相当値)です。

> E1は(z,n)の中性子結合エネルギー、E2は(z,n+1)の陽子結合エネルギーです。

お詳しい解説ありがとうございます。よく解りました。
ご丁寧に解説頂き理解しました。今まで同様のものだと思っておりました。
大変大きな驚きです。

>中性子結合エネルギーは今の理論では残念ながら計算できません。
了解致しました。


>ここの知りたい元素の、知りたい質量数のテーブルを見てください。そのSnと
>あるのが中性子結合エネルギーです。
見ました。かなり教科書と数値が異なりますね。

>あと、質量公式の計算ですが、私もちょこちょこっとやってみました。
>偶奇性の項を入れ忘れていませんか?
入れ忘れていないつもりですが、再計算してみます。

>多くの実験データから、様々な研究機関が編集を行って体系化しております。
>全世界的に標準として使われているデータ集ですと、Table of Isotopesが
>ありますね。私も仕事では大抵この数値を用いて計算しています。
Table of Isotopesを、近所の大学図書館、公共の図書館で検索しましたが、
残念ながらありませんでした。
下記物質の中性子結合エネルギーが知りたいのですが、
http://ie.lbl.gov/education/isotopes.htmのデータと上2桁の値でしたら
一致しているでしょうか?


Th232 6.4MeV
Th233 4.8MeV
U236 6.5MeV
U238 6.2MeV
U239 4.8MeV

結合エネルギーと分離エネルギーを、ご解説頂き、更に厚かましいお願いをしますが、
ご教示頂きましたら幸いです。

補足日時:2007/09/23 11:47
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こんにちは




中性子結合エネルギーというのは次のようなものです。

ある核種(Z,N)に運動エネルギー0の中性子が捕獲されると、高励起状態の質量数(Z,N+1)核種が形成されます。通常この高励起状態はガンマ線を放射しながら脱励起し、基底状態に落ち込みます。このとき放射されたガンマ線の総和が中性子結合エネルギーに相当します。すなわち、ある核種があり、その核種に中性子が1つ結合したときに開放されるエネルギーのことです。


対して質量公式で得られる原子核結合エネルギーというものは、示されたweb siteの初めの式にもあるように、バラバラ静止状態の陽子と中性子の質量の和と、それらが結合状態をつくっている時の質量との差(のエネルギー相当値)です。

核種(Z,N)の中性子結合エネルギー
 Bn = ( M(Z,N) + Mn ) - M(Z,N+1)
核種(Z,N)の原子核結合エネルギー
 B = Z×Mp + N×Mn - M(Z,N)




例えば、ウラン235(Z,N)=(92,143)を、核子を積み重ねていって作る作業をしてみることにしましょう。
(z,n)核種があり、ここに中性子を一個くっつけました。(z,n+1)となり、E1のエネルギーが開放されました。
(z,n+1)核種があり、ここに陽子を一個くっつけました。(z+1,n+1)となり、E2のエネルギーが開放されました。
・・・繰り返し

ここで、このE1とE2のエネルギーは全然違うのです。(ここがポイント!)
E1は(z,n+1)の中性子結合エネルギー、E2は(z+1,n+1)の陽子結合エネルギーです。

このように、同じエネルギーが積み重ねられていくわけではないことが、平均化されている質量公式で導かれる値と、当該核種に着目したときの結合エネルギーが異なる理由です。






中性子結合エネルギーは初めに示された、教科書の数値でおそらく間違いございません。
ただ、ちょっと調べてみると http://ie.lbl.gov/education/isotopes.htm 大分数値が違っています。教科書が書かれた当時の最新のデータだったのではないでしょうか。
ここの知りたい元素の、知りたい質量数のテーブルを見てください。そのSnとあるのが中性子結合エネルギーです。(※)



***********************************************
中性子結合エネルギーは今の理論では残念ながら計算できません。これが、原子核という少数多体系の記述の難しさを物語っています。
多くの実験データから、様々な研究機関が編集を行って体系化しております。全世界的に標準として使われているデータ集ですと、Table of Isotopesがありますね。私も仕事では大抵この数値を用いて計算しています。

http://www.amazon.co.jp/Table-Isotopes-Richard-B …
(ググったらアマゾン・・・汗)大学や研究機関の図書館になら置いてあると思います。
***********************************************





(※)結合エネルギーと分離エネルギーがややこしいのでご注意下さい。

「(Z,N)の中性子結合エネルギー」とは上述したとおり、(Z,N)核種が中性子を1つ受け取り(Z,N+1)核種になったときに開放されるエネルギーのことです。

対して「(Z,N)の中性子分離エネルギー」とは、(Z,N)核種から中性子を一個取り去るときに必要な(外から持ち込まねばならない)エネルギーのことです。


(Z,N)の中性子結合エネルギー = (Z,N+1)の中性子分離エネルギー です。


紹介したHPに書いてあるSnはseparation energyで、分離エネルギーを指します。
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計算間違いではないです。



質量公式はあくまで当該核種の平均の結合エネルギーB/Aを示しています。

中性子結合エネルギーとは別物です。

この回答への補足

お返事ありがとうございます。

>結合エネルギーB/Aを示しています。
>中性子結合エネルギーとは別物です。

え~、違うのですか。
核子には、中性子と陽子がありますが、
中性子の結合エネルギーって、結局、
1.中性子と中性子
2.中性子と陽子
3.陽子と陽子
の、2番の結合エネルギーであり、
結合エネルギーB/Aと中性子結合エネルギーは
同じものでは無いでしょうか?
中性子と陽子は、絶えず、
中性子→陽子→中性子→陽子
のように変化して、原子核の中では同じ物では
ないでしょうか?

別物とすれば、中性子結合エネルギーは計算できるのでしょうか?


計算できないとしますと、下記物質の中性子結合エネルギー
は何を見れば、記載されているでしょうか?

Th232
Th233
U236
U238
U239

恐れ入りますが、ご教示いただきましたら幸いです。

補足日時:2007/09/23 00:58
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