遺留分減殺請求の手続きをしたいと思います。
具体的な手続きをご教示下さいますよう宜しくお願い致します。
被相続人は、祖父です。99年3月に死亡。
相続人は、配偶者である祖母(但し02年9月に死亡)と養子である叔父と母と、代襲相続人(祖父母の実子の長男は61年に死亡)である私の4人です。
祖父が99年に亡くなった後、同居していた叔父から全く相続に関する相談が無かったので、02年の正月に問いただしたところ、91年に祖父が叔父夫妻の立会いのもと遺言を公正証書として作成していたことが判明致しました。遺言の上では、全財産を叔父が相続することとなっていました。
今回、遺留分減殺請求手続きを行うに至った経緯は、その叔父が他の相続人である母や私に何の相談も無く、遺言を作成したばかりでなく、祖父が亡くなって以降、3年が経とうとした今年の正月までその報告さえなく、全財産の内容も全く明らかにしようとしないためです。
一応、いくつかの土地を祖父が所有していたことは分かっているので、その土地の遺留分までの共有名義登記を申請したいと思います。
そこで、これから遺留分減殺請求を行うに際し、具体的な遺留分割合(祖母が健在であれば、子ども3人の遺留分は1/2×3=1/6かと思いますが、祖母もこの9月に他界したために、これから請求する場合に祖母を入れて計算するのかどうかが分かりません)とその請求方法をご教示頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
1.遺留分の割合
(1)1-8さん固有の遺留分
今回の場合、被相続人の財産の2分の1が遺留分となりますので、御祖父様がお亡くなりになった時点で1-8さんが有していた遺留分の割合は、
1/2 × 1/2 × 1/3 = 1/12
となります〔民法1028条2号。900条〕。
(2)御祖母様の遺留分
同様に、御祖母様がこの時点で有しておられた遺留分は
1/2 × 1/2 = 1/4
となります。
(3)御祖母様から1-8さんが相続した遺留分
そして、御祖母様がお亡くなりになられた時点で御祖母様が有しておられた遺留分を子2人と長男を代襲相続した1-8さんが相続します〔民法1044条〕ので、1-8さんが御祖母様から相続した遺留分は
1/4 × 1/3 = 1/12
となります。
(4)最終的な1-8さんの遺留分
最終的に1-8さんが権利を主張できる遺留分割合は
1/12 + 1/12 = 1/6
となります。
2.遺留分減殺請求の時効消滅
この遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が自己の遺留分が侵害されたことを知った時から1年以内、かつ、相続開始の時から10年以内に行使しなければ事項によって消滅します〔民法1042条〕。
3.遺留分減殺請求の権利行使
(1)管轄裁判所
まず、遺留分に関する紛争は訴訟事件となるため、管轄は家庭裁判所ではなく被相続人(御祖父様)の住所地を管轄する地方裁判所です〔民事訴訟法5条14号。民法883条〕。
(2)権利行使の仕方
1)総論
遺留分減殺請求権の行使は受贈者または受遺者に対する意思表示によってなせば足り、必ずしも裁判上の請求による要はないとされています(最高裁判所昭和41年7月14日判決民集20-6-1183)。
従って、いきなり裁判所に提訴する方法もありますが、裁判外で相手方に「遺留分減殺請求をします」という意思を表示するだけで効果が発生します。
しかし、口で言っただけでは証拠が残りません。そこで『配達証明つき内容証明郵便』を用います。普通の内容証明郵便では、相手方に間違いなく配達されたのかどうかがわかりません。そこで内容証明郵便に配達証明をつけるのです。
2)内容証明郵便
a.どこで扱っているか
内容証明郵便は、お住まいの地域の郵便物を集配している大きな郵便局で扱っています。
内容証明郵便を書くにあたっての基本的なルールについてはそこでお尋ねになれば教えて下さいます。
b.用紙
少し大きめの文房具店に行けば、内容証明郵便用の原稿用紙などを扱っており、その用紙を使えば簡単です。しかし、自分でワープロで作成することもできます。
用紙の大きさや紙質などに制限はありませんが、1枚の用紙に書くことができる字数と行数に制限があります。1枚の紙に20字×26行または26字×20行です。
c.内容証明郵便を出すために必要なもの
・相手に出したい文書と同じ内容の文書を3部用意。
(1部は相手に送付するためのもの。1部は郵便局が保管するためのもの(
5年間保存)。1部は送り主である1-8さんが保管するためのものです。)
・あて先と差出人を明記した封筒1通
・切手代
後はこれを持って郵便局で「配達証明つき内容証明でお願いします」と差し出すだけです。
d.内容証明の書式例
特別こう書かなければならないというものがあるわけではありません。しかし、消滅時効〔民法1042条〕との関係から、いつ遺留分が侵害されたことを知ったのかについては明記する必要があります。
そこで、次のように考えてみました。
―-------------------------------------
平成14年○月○日
東京都千代田区□丁目□番□号
○○○○殿
埼玉県△△市△△町△丁目△番△号
□□□□ 印
遺留分減殺請求書
祖父◎◎◎◎が、全ての財産を貴殿に相続
させる旨の遺言書を作成していたことは、先
日貴殿から聞き初めて知りました。しかし、
上記遺言書の内容は私の遺留分を侵害するも
ので、認めることはできません。そこで私は
貴殿に対し、本書をもって私固有の遺留分お
よび祖母から相続した遺留分の減殺の請求を
致します。
―-------------------------------------
以上、参考になさって下さい。
この回答への補足
zatsunennさん、ご丁寧にご教授ありがとうございました。
祖母が亡くなったことで1/6私に遺留分を主張できるのですね。
早速、週明けに遺留分減殺手続きをしようと思います。
ところで叔父は、一切の祖父母の遺産を明らかにしていません。どこにどれだけ土地があるのか、どのくらい預貯金があったのか、株をどのくらい所有していたのか、保険金がいくら支払われたのかも全く私には分からないのです。多分、祖父の持っていた土地は、叔父名義に書きかえられていると思います。預貯金も、死ぬ直前に引き出されているかもしれません。
どのようにして遺産の全貌を調べたらよいのでしょうか?
それと、知人から、遺留分減殺請求をしても、たしかな法的な効力は無く、相手が無視をしたらそれまでだという事を聞きました。相手が無視をしつづけた場合、どのように対処すればよろしいでしょうか?
お答え頂ければ幸いです。宜しくお願いします。
No.7
- 回答日時:
>私は既婚者で、いまのところ?夫婦仲もよく18年持っています。
よき理解者に>恵まれたという事か、この先暗雲立ち込める運勢があるという事か・・・?
>どちらでしょう?
18年間もっているということは、ご主人はおそらく1-8さんと同じく再婚運をお持ちであるか、占術的に宿命的に縁が深い相手という関係なのだろうと思います。
また、なるほど確かに1984年2月2日~1986年2月8日までの間(特に1984年2月2日~1985年2月19日までの間)は、1-8さんにとって理想的とも言える男性と結ばれる可能性の高い時期にあたっていたようなので、その時期のご結婚であれば間違いなく縁の深い関係にあるお相手なのだろうと思います。ですから今後の夫婦仲についてもご心配なさる必要はありません。離婚するはずの相手ならばとっくに離婚しているはずですから。
ただ、申し訳ありませんが私も自分の仕事の方が忙しく、この「教えてgoo」のサイトでいつまでも遊んでいるわけにもいかないため、もうここに回答することは止めようと思っているのです。
皆さんの質問を読んでしまうと答えたくなって、答えようとすると膨大な時間を要し、本来の業務に支障が出てきてしまうものですから。
ということで、私の回答は1-8さんへのこの回答を最期にしたいと思います。
相続の件は、何とかうまく行くことをお祈り致しております。
それでは1-8さんをはじめ皆さんお元気で。さようなら。
zatsunennさん、本当にいつもしっかりとした回答を頂きありがとうございました。
法律のことを全く知らない素人ですが、勉強になり、そして心の支えになっていただいたように思えます。最後は、運勢まで占っていただいて、相棒との離婚もないようなのでホッとしました。
本来なら、この欄だけのお礼では足りないですね。
お仕事が忙しいようですね。どうぞzatsunennさんもお元気で・・・
又、いつか戻られた時はもっと楽しい質問に答えてくださいね!
No.6
- 回答日時:
>今後の私の身の振り方
本来は、「占い」に関する質問は占いのカテゴリーでお願いしたいです。もっとも、私は最近この「教えてgoo」のサイトは全く見ていないので、多分私は答えていなかったでしょうけれど。
とりあえず、『四柱推命』と『紫微斗数』で看た素人の無責任な判断結果を述べます。
但し、漠然と「今後の私の身の振り方は?」と聞かれても、何をどう答えれば良いのかわかりません。しかし、おそらく財産関係と夫婦・恋愛関係がおもに知りたいことではないかと思いますので、その部分に関係するところだけ、次のような順番で、ごく大まかに述べたいと思います。
1容貌その他全体運
2財運(動産運)
3不動産運
4結婚・恋愛運
5まとめ
何か参考にできることがあれば参考になさって下さい。
1容貌その他全体運
美人。上品。自尊心強い。長寿。一生を通じ目上や実力者からの援助を得ることができる。
社会的地位・名声・財には恵まれるものの、それらを得るためにかなりの艱難辛苦を伴う傾向が強い。また、情緒の安定性に若干欠ける傾向があり、社会的地位・名声・財を得ても、それらを得た後に精神的空虚感や苦悶にさいなまれることも多い。
肉親・朋友知己・目上・実力者などから援助は受けられるものの、肉親・配偶者などとの縁は概して薄い傾向が強い。
2財運(動産運)
財運には恵まれているものの、ご自身が望むと臨まざるとに係らず破財・散財の傾向も強いため、1-8さんご自身が財の管理をしても容易に集まらない傾向が強いように思われます。どなたか信頼できる人に財の管理を任せるようにすることができれば、かなりの蓄財も可能であると思われます。
3不動産運
不動産の所有に関してはあまり縁が無いように思われます。不動産に関しては、ご自身で動けば動くほど思い通りに行かず、かえって失う傾向が強いようです。特に昨年はその傾向が顕著でした。
4結婚・恋愛運
美人であることもあり、若年の頃から多種多様の男性と付き合うことのできる機会に恵まれていた方だと思います。
1-8さんは再婚運をお持ちなので、早婚(同棲を含める)した場合には概して早期に離婚に至る傾向が強いです。
但し,同様に再婚運を持っている男性と結婚するか、晩婚すればその傾向は弱まります。
但し、結婚した場合でも、夫婦で一緒にいる時間はなるだけ少なくした方が夫婦円満に行くものと思われます。
1-8さんが独身である場合には、来年あたり結婚の喜び事に恵まれる可能性が高いものと思われます。また、既婚者であるならば、来年お子さんに恵まれる可能性が高いものと思われます。
◎ 縁の深い男性のタイプ
負けず嫌いで人から指図されることを嫌う。実行力がありさっぱりした気性。感情の起伏が激しく短気な傾向が強い。財運はあるものの金銭に無頓着な傾向が強く、金銭の出入りが激しい。
5まとめ
社会的地位・名声に関してはご自身の努力で艱難辛苦の末に得ることができると思われます。しかし、財運に関しては、動産や蓄財に縁はあるもののご自身で管理した場合には破財の傾向が強く、また不動産運にはあまり恵まれておられないようなので、ご自身でそれらを所有・管理することは難しいものと思われます。
上述の内容については、あくまで参考にする程度にして下さい。
それではお元気で。
zatsunennさん
連休明けからずっと多忙で、お礼が気になっていたのですが、なかなかまとまった時間が取れず、今日になってしまいました。
本来は占いのカテゴリーで質問すべきかな?と思ったのですがzatsunennさんの目にとまるかどうか、わからなかったので、補足から質問させていただきました。ご無理を言ってすみませんでした。
私は既婚者で、いまのところ?夫婦仲もよく18年持っています。よき理解者に恵まれたという事か、この先暗雲立ち込める運勢があるという事か・・・?どちらでしょう?
不動産、蓄財関係はあんまりよくないみたいですね。そう言われてみれば、あまり貯金をせずに、お金を使ってしまう傾向はありますね。(^^ゞ
小さい頃から、同年代の人よりは目上の人にかわいがられる傾向にありました。いまでも10才以上年上の人との交流の方がしっくりいく感じです。
さて、相続問題ですが、財産目録の作成を遺言執行人である伯母に依頼したのですが、49日が済むまで待ってほしいと言われました。今月中に提出するように内容証明を送りました。
財産目録を見てから、この先どうするか決めていきたいと思っています。また相談に乗っていただきたいので、今後ともよろしくお願いします。
No.5
- 回答日時:
>(1)の質問について
御祖父様の住所地を管轄する家庭裁判所〔家事審判規則120条〕に
『遺言執行人解任の申立て〔民法1019条1項〕』
を行います。
申立てを受けた家庭裁判所は、その解任の申立てに十分な理由があると認めた場合には、遺言執行人解任の「審判(通常裁判所での判決と同じ)」を行います〔家事審判法9条1項甲類37号。家事審判規則126条、74条〕。
そして、新たな遺言執行人を選任してもらいたい場合には、
『遺言執行人選任の申立て〔民法1010条〕』
も行うことができます。
申立てを受けた家庭裁判所は、遺言執行者となるべき者の意見聴取〔家事審判規則125条〕を行った上で選任の審判を行います〔家事審判法9条1項甲類35号〕。
必要書類や申立ての方法については、当該家庭裁判所に直接お問い合わせ下さい。
>(2)の質問について
まず叔父様ご夫婦は、共同相続人の方々に対して遺産の状況を開示する一般的な義務があることは確かです。
しかし、基本的に家事事件を含めた民事事件の場合、刑事事件の場合のように、裁判官の発する令状により捜索〔刑事訴訟法218条〕をするなどというような強制的な手段を用いることは認められておりません。
家事審判事件の場合ならば義務者に対して『義務の履行の勧告〔家事審判法15条の5〕』ができる程度ですし、その他の民事事件であるならば『文書提出命令〔民事訴訟法223条〕』などができる程度です。
仮に、文書所持者が裁判所からの文書提出命令に従わなかったとしても、文書所持者は何ら罰金などの刑罰を受けるわけではありません。その場合には、他方当事者の主張が真実であると裁判所は認めることができるだけです〔民事訴訟法224条〕。
ですから今回の場合ですと、御祖父様が所持されていたことが明らかであると思われる不動産以外の財産については、あくまでも、叔父様ご夫婦のご協力があって初めて全貌を明らかすることができるのではないかと考えられます。
ところで、遺言執行者の選任や解任は「訴訟事件」ではないため、管轄は家庭裁判所となり、家庭裁判所がある程度職権で調査して審判をすることもできます。
しかし、遺留分減殺請求に関する争いは「訴訟事件」となるため、管轄は地方裁判所となり、裁判所に職権で調査する権限はなく、相争う両当事者の主張・立証の如何によって結論が大きく変わります。
つまり、地方裁判所での訴訟に発展した場合には、いかに自分に有利な証拠を集め、その集めることができた証拠や資料から裁判においてはどのような主張を行い、最終的な落としどころとしてどのような結論にもっていくか、ということまで考えた上で、訴訟の最初から主張・立証・文書提出申立てなどを行う必要があるわけです。
(3)の質問について
今回の場合、全財産を叔父様が相続する旨の御祖父様の遺言書があるため、相続財産の算定の基礎となる財産に関する規定〔民法903条など〕ではなく、遺留分算定の基礎となる財産に関する規定〔民法1030条など〕が適用されます。
その結果、贈与については御祖父様がお亡くなりになられた時点から1年以内に贈与されたものについてのみ、遺留分算定の基礎となる財産に含められることになります〔民法1030条前段〕。
1年以上前に贈与されたものであっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知りながら贈与されたものである場合には遺留分算定の基礎となる財産に含めて計算することができることになっています〔同条後段〕が、これが認められることは非常に難しいと考えられます。
遺留分減殺請求にからみ、次のような事例があります。
◎最高裁判所平成10年3月24日判決の事例
被相続人(A)には、妻(B)、長女(C)、長男(D)がおりました。Dには、妻(E)と子供(F,G)がおりました。
Aは生前、D,E,F,G に対してかなりの価額にのぼる財産を贈与しておりました。
そこで、B,Cは、Aから生前にD,E,F,Gに対して贈与された分についても遺留分減殺の対象となるべきであるとして裁判で争いました。
それに対して最高裁判所は、共同相続人の一人であるDに対する贈与は遺留分算定の基礎としての財産に含めることを認めたものの、共同相続人でないE,F,Gに対する贈与については、民法1030条の規定通り1年以内に贈与された物についてのみ遺留分算定の基礎となる財産に含める旨の判決を出しました(最高裁判所平成10年3月24日第三小法廷判決。民集52巻2号433頁。平成10年度重要判例解説〔民法15事件〕91頁)。
つまり、今回のケースにあてはめますと、叔父様に対して生前に贈与されたものについては遺留分算定の基礎となる財産に含めることができる可能性があるものの、「叔父様の子(今回の遺産についての共同相続人ではない)」に対して贈与された分については、将来、上記平成10年の判決を変更する最高裁判所大法廷での判決が出されない以上、非常に難しいものと思われます。
以上、ご参考まで。
zatsunenさん、度々親切にご教授頂きありがとうございます。上記3点は、叔父夫婦は上手くやったって感じですね。やっぱり、こちらは泣き寝入りなのでしょうか?(はあ~。)お金はともかく、話だけはきっちりしておきたいのですが、あちらが逃げようと思えばまんまと逃げられる仕組みになってるのですね・・・。本来遺言執行人である伯母より昨日の締切で、財産目録を送ってもらう予定だったのですが、忙しいので・・・という理由で時期をずらしてほしいという旨の内容証明郵便が届きました。すぐさま、今月いっぱいに期限を延長する旨の返事を内容証明で出しました。伯母が(1)のことを知っていたら、このままズルズルと知らんふりで終わってしまうのかもしれません。
ちょっとショックです。
ここでこんなことを申していいのかどうか分かりませんがzatsunennさんは、占いもやってらっしゃるのですか?
今後の私の身の振り方など教えて頂けないでしょうか?
生年月日 1960年5月12日 午前6時29分生まれ
出生地 三重県四日市市
つむじ 1つ 真ん中にあります。女性です!
違う依頼になってしまいましたが、よろしいでしょうか?
No.4
- 回答日時:
>知人から、遺留分減殺請求をしても、たしかな法的な効力は無く、相手が無視をしたら
>それまでだという事を聞きました。相手が無視をしつづけた場合、どのように対処すれ
>ばよろしいでしょうか?
1.遺留分減殺請求権について
(1)その性質
遺留分減殺請求権は、遺留分権利者がその権利を行使する意思を相手方に表示することによって法律関係の変動を当然に生じるものであるとされています(最高裁判所昭和41年7月14日判決民集20-6-1183)。
従って、相手がそれを無視するかどうかにかかわらず、遺留分減殺の意思表示を相手方に行なった時点で法律上当然にその効果が生じることになります。
(2)遺留分の対象となる財産
遺留分の算定の基礎となる財産の計算方法は、通常の遺産分割のための相続財産の算定方法とは若干異なります。算定基準の規定については民法1029条~1040条をご覧下さい。
(3)権利行使による効力
1)遺言書
相続人の遺留分を侵害する内容の遺言書が被相続人死亡により効力を生じた場合、自己の遺留分が侵害された遺留分権利者が遺留分減殺請求権を行使すると、権利を行使した遺留分権利者の遺留分を侵害している範囲について遺言書の内容は無効となります。
遺産分割協議がまだ終了していない場合には、遺留分の範囲内での分割を受けることができるよう協議を進めることができます。協議が調わない場合には、通常の遺産分割と同様、家庭裁判所で遺産分割の審判を受けることも可能であると考えられています。
2)遺留分の対象となる財産の取扱い
遺留分減殺請求権の行使により、民法1029条~1040条の規定に従って算定した財産について、遺留分権利者に遺留分の割合にしたがった所有権が当然に発生します。つまり、遺言書により法定相続分以上の遺贈を受けた者(叔父様)と遺留分減殺請求を行なった者(1-8さん)との『共有』の状態になります。
この『共有』関係を解消するためには「共有物分割請求〔民法256条〕」を行なうことになります。当事者間で協議が調わない場合には、
a.被相続人の住所地を管轄する地方裁判所〔民事訴訟法5条14号〕
b.被告(叔父様)の住所地を管轄する地方裁判所〔民事訴訟法4条1項〕
c.共有物の所在する地を管轄する地方裁判所〔民事訴訟法5条1号〕
のいずれかに共有物分割請求の申立てを行ないます〔民法258条。〕。
(4)権利行使後の注意点
権利行使後は、相続財産について叔父様と共有することになるのですが、注意すべき点があります。
不動産を例にとった場合、遺留分減殺請求を行なったのみで、自己の持分につき、いまだ所有権移転登記をしていない間に叔父様がこれらの事情を知らない第三者にその不動産を売却ような場合、登記を得ていない1-8さんは、その不動産の所有権を失います。
これを防ぐためには、「譲渡禁止の仮処分」の許可申請を行なう必要があります。しかし、仮処分申請は、たった一度の審理で許可・不許可の判断を下すものであるため、その提出しなければならない資料はほぼ完璧なものであることを要求され、また、その対象となる物の価値に応じた保証金を供託する必要があるなど、非常に高度な専門技術的分野に属するものであるため素人向きではありません。
このように、他への売却がなされる危険性が少しでもあると考えられる場合には、最初から弁護士の先生にお願いして、最初からしかるべき有効適切な手段を講じて頂いた方が、安心・確実だと思います。
>叔父は、一切の祖父母の遺産を明らかにしていません。どこにどれだけ土地があるのか、
>どのくらい預貯金があったのか、株をどのくらい所有していたのか、保険金がいくら支>払われたのかも全く私には分からないのです。多分、祖父の持っていた土地は、叔父名>義に書きかえられていると思います。預貯金も、死ぬ直前に引き出されているかもしれ>ません。どのようにして遺産の全貌を調べたらよいのでしょうか?
相続財産の調査にはいくつかの方法が考えられます。
2.訴訟前の相続財産の調査方法
相続財産の調査のために、税理士や弁護士などや各種の金融機関などに問い合わせる場合には、基本的に自分が相続人であることを証明する書類(戸籍謄本、免許証などの本人であることを証明するもの)が必要です。
また、ここに揚げる方法は、相続人本人が調べる場合にも、弁護士などが遺言執行者として指定または選任されたことによって調べる場合にも、どちらにも当てはまります。
(1)人
言うまでもなく、同居の家族から情報が得られれば一番確実です。
その他に、被相続人が税務申告をどなたか税理士の先生にお願いしていた場合には、その先生から有力な情報を得ることができる場合があります。
(2)不動産
被相続人の固定資産税の通知類があれば有力な手掛かりになります。
その他の方法としては、登記所に行き、登記所備え付けの地図または公図によって被相続人の住所地近辺の地番を確認し、登記簿の閲覧を申請してその所有権者を確認する方法があります。但し、この方法の場合、住所地から離れた場所に不動産を所有していたような場合、調査に漏れが生じるおそれが多分にあります。
(3)動産
自宅にあるものについては、同居の遺族の協力が得られれば調査は可能です。また、銀行の貸し金庫を利用していた可能性がある場合には、それらの可能性のある銀行に問い合わせる必要があるものと思われます。
(4)株券、有価証券など
配当通知などが重要な手掛かりとなります。
(5)預貯金
預貯金の口座があると思われる銀行・郵便局に問い合わせて確認する必要があります。
(6)生命保険
被相続人が契約者で、いまだ保険事故が発生していない生命保険は相続財産に含まれますが、それ以外の生命保険の場合、指定受取人の固有の財産となり相続財産には含まれません。
預貯金などと同様、契約をしていると思われる保険会社に問い合わせて調べる必要があります。
3.提訴後の相続財産の調査方法
民事訴訟法220条~225条に規定する「文書提出命令」を利用する方法が考えられます。しかし、非常に高度な専門技術的要素を含んでいるため、素人では難しいものと思います。
4.遺言執行者について
今回、遺言執行者が指定されていたというのは初耳でした。
遺言執行者が遺言書により指定されていて、遺言執行者がその就職を承諾したときには直ちにその任務を行なわなければなりません〔民法1007条〕。
そして、その任務の中には「財産目録を遅滞なく調製し、その目録を相続人へ交付すること」も含まれています〔民法1011条1項〕。また、遺言執行者は、相続人から請求があるときには、相続人の立会いのもと財産を調製し、または公証人に調製させなければならないことになっています〔民法1011条2項〕。
いずれにせよ、遺言執行者に就職することを叔母様が承諾していた場合には、被相続人死亡後遅滞なく財産目録を調製し、それを相続人に交付する義務があったわけで、この義務を怠っていたことは遺言執行者解任請求〔民法1019条〕の重要な理由となり、解任が認められる可能性が高いものと思います。
しかし、遺言執行者への就職の承諾については特に期限は設けられていません。
したがって、被相続人死亡後現在に至るまで、遺言執行者への就職についての承諾を保留しているということも理論的に可能です。この場合には、相当の期間を定め、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答するように催告することができ〔1008条前段〕、その期間内に確答がない場合には就職を承諾したものとみなされます〔同条後段〕。
しかし、この場合にも、叔父様と叔母様が夫婦であることから解任請求が出された場合には解任される可能性が高いものと思われます(東京高等裁判所昭和44年3月3日決定家月21-8-88など)。
5.まとめ
相続財産が不動産のせいぜい2~3個程度しかなく、ほぼその相続財産の範囲が明確であるというのであれば素人が行なっても十分に対応可能だと思います。
しかし、不動産・動産・預貯金・株式などが相当程度含まれていて相続財産の全体が見えないという今回のようなケースの場合、素人では手に余る危険性が高いものと思います。
遺留分として相当程度の金額は確実に見込むことができるのでしょうから、最初からしかるべき弁護士の先生にお願いして事にあたった方が無難かつ間違いないのではないかと私は思うのですがいかがでしょうか?
この回答への補足
いつもご親切なアドバイスありがとうございます。
いろいろと考えた結果、遺留分減殺請求と財産目録調製請求の申し立てを配達証明付内容証明郵便にて、祖父の遺言で単独の相続人となった叔父と遺言執行人であるその妻の叔母に送りました。
さて、次のステージでの相談となります。
(1)まず、財産目録作成義務を果たさなかった叔母の遺言執行人解任は、具体的にどのような方法で行えばよろしいのでしょうか?
(2)次に、友人が勤務している司法書士の先生に新たな遺言執行人になって頂こうと思っていますが、祖父の死後、3年間に渡り全く開示されなかった祖父の財産の内容を第3者である司法書士の先生が叔父夫妻から、調べたり、聞き出すことなどできるのでしょうか?
(3)3点目として、今回新たに分かったことがありました。
亡くなった祖父所有の土地のうち、叔父夫妻の長男(従弟)名義に所有権の移転がなされたものがあることが判明しました。ある土地については昭和54年に当時10歳だった従弟が贈与を受けております。また、他の土地については、昭和62年(従弟18歳)から平成2年(従弟22歳)にかけて4回に渡って贈与を受けた形になっていました。これは、当時から叔父夫妻が祖父の財産の相続対策として、とった手段と思われます。この2筆の土地は祖父の相続財産として含めるべきではないかと思うのですが如何でしょうか?
何度も申し訳ございませんが、何卒宜しくお願い申し上げます。
zatsunennさん、細かいところまで、教えていただき感謝しています。
早速、財産目録の調整請求と遺留分の減殺請求もしようと思っています。
又、相談にのって頂きたい事もあるかと思います。どうぞ宜しくお願いします。
No.3
- 回答日時:
ぼた餅攻撃はできませんでしたか…
自分に有利な公正証書遺言があるのに,何故そんなに隠すのでしょうか
全財産の相続人の妻を執行者に指定するから,もめる原因になるのよね~.司法書士はアドバイスしなかったのかしら.
愚痴はこの辺にして,
財産の内容は,相続税の申告書を見ればだいたい判ります.
もしくは財産目録を作ってもらいましょう.(遺留分の請求で必要になりますので)
遅滞なく財産目録を調製し相続人に交付することは遺言執行者の義務ですので(民法1011条1項),任務を怠っているとして遺言執行者の解任を家庭裁判所に請求します(1019条1項).同時に,司法書士か誰かを遺言執行者として選任するよう請求します(1010条).これは家庭裁判所に行けば手続きを親切に教えてくれます.
遺言執行者に選任する人には事前に相談しておいてください.
選任してもらったら,遺言執行者に財産目録を作ってもらいます.(調製費用,報酬は相続財産の負担になります)
これで,財産の内容は完璧にわかります.
減殺請求をして,相手が無視したら調停を家庭裁判所に申立てることになります.調停がまとまらなかったら,裁判です.
kanrin-yさんに、証人のことを言ってもらっていなかったら、執行人のことも書かずにいたところでした。
ありがとうございました。
執行人がどういうことをするのかもよく分かりました。
No.2
- 回答日時:
すでにすばらしい回答がついてますので,些細なツッコミを.
公正証書はあなたの目で確認してますか,本物か.それと証人は誰がなっているでしょうか.
叔父夫妻が立会ったということですが,この二人は証人にはなれませんから.もう少し事実関係を確認すれば,このへんからぼた餅が落ちてくることもあります.
可能性は少ないけど(たぶんほかに証人が2人いるんだろうけど)
kanarin-yさん、アドバイスありがとうございました。
証人は、司法書士の先生と奥さんの名前になっていました。遺言執行者は、叔母の名前になっています。
棚ぼたは望めないですね・・・
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