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原子は、原子核と電子から構成されていますね。それらは、プラスとマイナスの電荷を持っていますね。それなのに何故、原子核と電子は衝突してしまわないのでしょう。素粒子の実験では、加速器という装置を使って、素粒子同士をぶつけることができるそうですが、このような衝突が何故、原子の中で起こらないのでしょうか。みなさん、よろしくお願いします。

A 回答 (21件中1~10件)

ナイス質問だと思います。


 量子力学以前にはこれがホントに大難問だったんです。何で原子核は電子を吸い込んでしまわないか。

 正確に答えるのは難しいんですが、シロートなりに申し上げます。
答は「原子に束縛されている電子のエネルギーが量子化しているから。」電子は電気的引力で原子に束縛され手いるわけですが、この電子の運動エネルギーは好き勝手な値を取れず、とびとびの値しか許されない。このため、電子は中途半端な動き方(ってのもかなりいい加減な表現ですが)が出来ないんです。で、原子核にぶつかる確率もない。

 エネルギーが量子化してる理由は、(これも近似的説明ですが)電子波(光と同様、電子も粒子であって同時に波でもあります)が閉軌道上で定在波になる、つまり軌道1周の長さが波長の整数倍であるようにしかなれないから。電子の波長は電子のエネルギーで決まり、エネルギーEはほぼその質量でm決まっています(E=mc^2)ので、勝手な軌道が許されない訳です。
 軌道上の電子に光を当ててやると電子のエネルギーが高くなって、より大きい軌道へ移ります。励起と言います。これをやるには中途半端なエネルギー(=波長)の光ではダメで、丁度二つの軌道のエネルギーの差に相当する分のエネルギーを持つ光でなくてはならない。で、その電子はそのうち勝手に光を出して元の軌道に戻ってくるんですが、この光の波長も二つの軌道のエネルギーの差できっちり決まっています。(こういう光を沢山の原子で一斉に発生させたのがLASERです。)
 また、エネルギーが高くなるほど波長が短くなり、それにつれて「とびとびの値」の刻みが細かくなって行きます。これは軌道の1周に入る波の数が増えるから。逆に言えば、波が5個入る軌道、6個入る軌道、...となるに連れて、エネルギーがちょっと違うだけで波が何個入るか、その数字が変わるようになるからです。

 加速器の中ではトンでもない高エネルギーを持った電子が飛んできます。だからもうエネルギーにとびとびなんてない位の状態である。そしてこの電子は原子核に束縛されている訳じゃありません。少々近づいた程度じゃ電気的引力なんか関係ないって位の猛烈な勢いで飛んでくる。それでぶつかることができます。

 エー加減な回答で申し訳ありません。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。
回答を読んでいて、量子化学の基礎を思い出しました。束縛された粒子は、エネルギーが量子化されるとゆうことです。私は、重要なことを見落としていたようですね。それなので、私なりには十分納得させていただきました。
実は、この質問、大学の二人の先生に聞いたのですが、それぞれ、別のことを言っていたので混乱していたのです。

お礼日時:2001/02/04 10:08

stomachmanさんの答えの蛇足です。



量子力学(bigseaさんは量子化学と表現されていますが...)誕生以前、
物質の運動についてはニュートンの古典力学とマクスウェルの古典電磁気学がメインでした。古典電磁気学によれば、荷電粒子(質問の用語なら電子)が加速度運動すると電磁波を放出してエネルギーを失うということが知られています。そのため原子中の電子はエネルギーを失い、軌道半径が小さくなってやがて原子核に落ち込みます。これは「原子が不安定」であることを言っています。どの程度で陽子につかまるかというと、10のすごい乗分の1ぐらいで、
ほんとに「あっ」という間に電子は吸い込まれてしまいます。
すると、この宇宙にある物質がすべて不安定であり現実とは根本的に食い違ってしまうわけです。それを解決する方法としてstomachmanさんが述べたように、
電子は、量子化の規則で許される軌道だけ周れるという提案がなされました。
これはRutherfordの弟子のBohrによって主張され、現在Bohr の量子論と呼ばれるようになりました。
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stomachman さんの言われるように,20世紀初頭の大難問でした.



1911 年にラザフォードが原子核+電子という模型を提出して以来,
1913 年のボーアの量子仮設などを経て,1926 年にシュレーディンガーが
水素原子のシュレーディンガー方程式の解を示したのが最終解決ですね.
3人ともノーベル賞を受けています.
ラザフォード・・・・・・・・1908年,ノーベル化学賞
ボーア・・・・・・・・・・・1922年,ノーベル物理学賞
シュレーディンガー・・・・・1933年,ノーベル物理学賞

○ 前期量子論風に簡単にやってみましょう.
電子が陽子の周囲を半径 a の円軌道で回っているとして
(本当は回っているわけではないが...)
陽子-電子間のクーロン引力が e^2/a^2
(4πε0 がついていないのは cgs 非有理化単位系を使っているから)
遠心力が maω^2 (ωは回転の角速度),
両者が釣り合うから
(1)   e^2/a^2 = maω^2
速度は v = aω で,運動量 p は
(2)   p = mv = maω
stomachman さんの言われる電子波の波長λは,
ド・ブロイ(これも1929年のノーベル物理学賞)の関係式(1924年)で
(3)   λ = h/p
h はプランク定数.
円軌道一周が 2πa の長さですから,これが波長λの整数倍でないと
一周したときに波の頭としっぽがずれてしまう.
(4)   2πa = nλ  (n は自然数)
で,(1)~(4)から,簡単に
(5)   a_n = n^2 h^2 / 4π^2 m e^2
で,円軌道の半径が h^2 / 4π^2 m e^2 の n^2 倍しかとれない,
というようになっているのがわかります.
n = 0 では電子波がなくなっちゃいます.
エネルギー E_n は,運動エネルギー mv^2 = ma^2 ω^2 と,
クーロン力のポテンシャルエネルギー -e^2/a (負号は引力だから)の和で,
(6)   E_n = - 2π^2 e^4 m / n^2 h^2
で,これも離散的な値を取ります.
stomachman さんの E = mc^2 は何か誤解されているようですね.
エネルギーが E_n で量子化されていますから,
状態間を移るためにはそのエネルギー差の出し入れが必要なです.
それが電磁波のエネルギー hν になっているので,
吸収や放出する電磁波の波長は特定のものしかあり得ません.
ここらへんは stomachman さんの言われるとおり.

○ 上の前期量子論風の話は,きちんとした量子力学の定式化の話からすると
まずいところがあれこれあります.

○ ド・ブロイの波長の話は大分後の話で,前期量子論では作用積分の量子化
という議論になっていました.

○ もうちょっと簡単に言うなら,
電子が陽子の場所に落ち込んで動かなくなってしまうと,
場所が決まり運動量も決まってしまうので,
ハイゼンベルクの不確定性原理に違反する,という言い方も出来ます.

○ エネルギーが離散的な値を取るのは束縛状態(E < 0)だけで,
非束縛状態(散乱状態)の E > 0 では,エネルギーが連続的な値をとります.
量子力学では何でもエネルギーが離散的というわけではありません.
よく誤解されるようですが,量子力学という名前が悪いのかな?
加速器で陽子を原子核に打ち込むような話では,
陽子のエネルギーは連続的に取り得ます.

○ 加速器でよく使われるのは,
陽子や重陽子(重水素の原子核,陽子1個+中性子1個)や
α粒子(ヘリウム4の原子核,陽子2個+中性子2個)を
標的の原子核に打ち込むというものです.
標的がうまく取り込んでくれれば,原子番号が1か2大きい原子核ができます.
超ウラン元素のはじめの方はこのようなやり方で作られました.
後の方の元素はクロムイオンを鉛原子核にぶつけるなど,しています.
陽子も原子核も正電荷を持っていますから,クーロン反発力があります.
十分距離が近づけば核力の引力が作用しますが,そこまでクーロン反発力に逆らって
近づけるために加速器で加速するのです.

この回答への補足

回答、ありがとうございます。
新たな疑問が、わいてまいりました。もしよろしければ、参考になるアドバイスがほしいのです。
原子核に電子が落ち込まないことの説明に、不確定性原理を使うことができるようですが、加速器での衝突の時、素粒子同士がぶつかるのは不確定性原理に違反してはいないのですか(私の不確定性原理の理解が、あやふやの可能性があるのですが)。

補足日時:2001/02/04 17:10
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電子が原子核に落ち込まないことは不確定性原理でも説明できます。


プラスとマイナスの電荷が引き合う力よって核に近づくと、
電子が狭い範囲にいることになり、不確定性原理から運動エネルギーが大きくなります。
このため、プラスとマイナスの電荷が近づくことよってエネルギーが低くなる分よりも
結局エネルギーが高くなって損をする(安定でなくなる)というストーリーです。

衝突の場合も軌道の延長で考えることもできるます。
たとえば彗星のように遠くから太陽をめがけてやってきて、
また、太陽からとうざかる。
これが周期的な軌道を描くのはエネルギー的に
太陽の重力に取らえられているからで、
エネルギーを上げていくと、軌道が閉じなくなります。
これを遠くから眺めれば(?)、太陽に散乱されたように見えます。
電子の場合も同様に考えられます
(siegmundさんの言われている連続なエネルギーを取る領域です)。

でも、原子核と衝突させる(原子核の構造が見える)
ためには上に述べたように不確定性原理があるために
相当高いエネルギーをつぎ込まないといけないと思います(違うかな?)。

あと、問題の意図とは違いますが、
電子の軌道がs軌道と呼ばれる状態である場合、
原子核のところにも存在確率ができます。
これをフェルミコンタクトといって、これを通して電子の軌道のゆがみなどを
核磁気共鳴などで知ることができます
(電子が核とぶつかっているわけではありません)。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。
s軌道で、原子核にも電子の存在確立があるって不思議な感じがします(びっくりしました)。

お礼日時:2001/02/05 00:07

毎度のことながらstomachman間違えてしまいました。



siegmund先生のご指摘のとおり、電子波の波長は電子の運動量で決まってますから、運動エネルギーだけ考えれば良いんでした。
 訂正してお詫びします。
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 siegmund先生とmotsuanさんのご回答を拝見し、このご質問に関しては第0近似として不確定性原理で理解しておくのが一番良さそうだと思いました。


 stomachmanの最初の回答の後半がコケてるのは、束縛状態の電子と、ぶっ飛んでくるけど原子核と相互作用する電子の違いの説明がちとシンドいからです。ところが不確定性原理なら、これひとつさえ納得して戴けたら後は統一して論じられる。粒子が原子核にぶち当たる衝突断面積の見積りまでできそうだ。なるほどな、と感心致しました。
 太古の昔訳も分からず読んだ初等的なボーアの水素原子論の解説に漠然と束縛されていたようです。おふたりのご回答にちょっと励起されてstomachmanも軌道が変化いたしましたので、回答#1は不確定ということで...(<そりゃ無責任性原理か、っての)
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もう、みなさんが正解をだしておられるように、不確定性原理によります。


これは、運動量、位置の不確定性をそれぞれΔp、Δxで表したとき、
  Δp・Δx≧h
を満たすため(hはプランク定数)、電子が原子核に落ち込もうとすると(Δxが小さくなろうとすると)、Δpが大きくなってしまい運動エネルギーが大きくなってしまいます。したがって、電子は落ち込むことができず、釣り合いのいい位置に存在するようになります。結局電子の波動性が効いてくるからなんでしょうね。
一方、運動エネルギーを大きくすると、Δxは小さくなりえます。

話はそれますが、この不確定性原理の効果は、一般の化学結合でも働いています。
結合している2原子では、電子が2原子核間を移動することで(Δxを大きくすることで)、結合の安定化に寄与しています。
このように粒子の交換による物質の結合の安定化は、原子核の陽子間(核内では正電荷同士で結合している)でも起こっていると考えられ、その媒介粒子の存在が湯川秀樹博士により予言され、立証されました。湯川粒子または中間子と呼ばれています。
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siegmund です.



○ 電子が原子核に落ち込まない説明は不確定性原理でもいいですが,
束縛状態のエネルギーが離散化されていることと,
散乱状態のエネルギーが連続であることまでは
すぐには説明できないように思います.
単に不確定性原理だけだと,水素原子の最低エネルギーの上に
ずっとエネルギーが連続的にあってもいいことになりそうです.

○ stomachman さんが最初に書かれたように,
電子波の概念を使うと3つがうまく統一的に説明できます.
電子が原子核に落ち込んでしまうと,電子波が作れない.
束縛状態というのは時間がたてばいずれ同じ場所に戻ってくるのだから,
電子波の頭としっぽがちょうど合うために軌道の制限 → エネルギー量子化
がおこる.
散乱状態なら元に戻って来ないから,電子波の頭としっぽがどうのこうの
という必要はなく,エネルギー量子化は起こらない.

○ でも,いずれにしろ,正しい概念に基づいているわけはないので,
どこかボロが出ます.
motsuan さんのフェルミの接触相互作用がその好例ですね.
核磁気共鳴などの話では波動関数の形などが重要なので,
半古典的な軌道概念ではお手上げです.

○ 不確定性原理の最も精密な形は
Δx・Δp ≧ h/4π
です.H. ワイルなどが厳密な証明をしています.
等号が成り立つのは,1次元調和振動子の基底状態です.

○ 化学結合で,電子が2原子核間を移動することで結合が安定化するのは,
不確定性原理の効果というよりは,
共鳴効果,あるいは波動関数の言葉で言うなら交換積分の効果です.
有名な話は,水素分子に対するハイトラーとロンドンの仕事,
水素分子イオンに対するポーリングの仕事などです.
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もう回答は出揃っているようですが、


良い質問だったので思わず顔を出してしまいました。
ということで、加速器による衝突の話だけにします。

>加速器での衝突の時、素粒子同士がぶつかるのは
>不確定性原理に違反してはいないのですか。
これは、「ぶつかる」と表現により混乱しておられるのだと思います。
正しくは、「衝突」が高エネルギーであればあるほど
より近くで相互作用するということを意味します。
ですから、不確定性原理には反してないですね。

原子核を一つのものと思えば衝突しているようですが
陽子でさえ、(up,up,down)という3つのクォークにより作られた状態です。
したがって、クォーク間を相互作用しながら突き抜けていく
と思ったほうが近い認識だと思います。
(本当は、あまりにも近づいたときには水素原子の束縛状態のように波動性が強く、
遠くを飛んでいるときには粒子性が強く出ているなどややこしいですが、)

また、念の為
加速器では1つの粒子同士がぶつかるのではなく
もっと荒っぽいことをしています。
siegmund さんが仰っていたようなターゲットとの衝突の場合では
ターゲット側には多数の粒子が存在しています。
また、陽子同士や電子同士の衝突のような場合では、
出来るだけ細く(nm のオーダー)絞った陽子などの固まり同士をぶつけています。
要するに「どこかでぶつかれば良い」ということです。

この回答への補足

すいません。
お礼の所で、途中できれているので追加します。

原子核の中のことを考えることは、化学反応について考えることに負けず劣らず面白そうだとおもいました。

補足日時:2001/02/05 00:09
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この回答へのお礼

ありがとうございました。
加速器を使った素粒子の衝突実験に関して、重要な知識をありがとうございました。私は、化学よりの勉強を続けていますので、原子や分子をイメージして考える癖はついております。そのレベルから考えると、原子核とはとても小さいものとしか考えることができませんでした。しかし、この回答を拝見させていただきますと、

お礼日時:2001/02/05 00:03

siegmundさんのおっしゃるように、電子の束縛状態の離散化は不確定性原理では説明できません。

これを説明するためには、電子がスピン1/2のフェルミ粒子であることを考慮しなければなりません。

あと、化学結合の安定化については蛇足でしたが、蛇足ついでということで・・
波動関数で言うなら共鳴積分の項ですね。実は、これも不確定性原理による安定化の現れなのです。

化学結合において、結合性軌道の方が波動関数の節の数(位相の変化する数)が反結合性よりも少ないのは、それだけ電子密度が0になる部分が少ない、すなわち電子の非局在化になる、・・・Δxが大きくなる、ということになります。
結果的に結合性軌道では2核間の間の電子密度が濃くなるので、その濃くなった電子密度領域に核が引き寄せられて結合が安定化している、といってもいいですね。
ただ、位相が揃うと安定化するというのは、結局不確定性原理の現れなのです。
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