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1年半前に仕事で新品のパソコンを貸与されました。半年ほどで仕事が終わり、パソコンを返却するという話になった際、「値段によっては買取りたいのですが」と申し出ました。すると「減価償却して値段が決まり次第連絡する」と言われました。その後連絡無く1年ほど経ってから「社長からパソコンを買い取っていただけると聞いている。12万5千円振り込んで欲しい」と言う旨の手紙が会社から届きました。減価償却した割には高い(新品で14万台のものです)のと、1年以上経って気持ちが変わり買い取る意思が無くなったのとでパソコンは返却したいのですが取り合ってもらえません。ついでに貸与中のウイルスソフト代8万5千円も請求されていますがあくまで会社の持ち物ですので払う義務があるのかわかりません。「私用で使ったのは調べればわかる」と脅されていますが、私用で使ってはいけないという契約もしていませんし、そもそも仕事をした際も口約束で頼まれただけで労働契約は結んでいません。この場合、会社が言うように払う義務が生じているのでしょうか。また、相談するとしたらどのような機関に相談すればいいのでしょうか。

A 回答 (7件)

法的には、支払義務は基本的に生じていませんし、買い取る義務もありません。

なぜなら、そのような法的根拠がないからです。

始めに、sheepweetさんがPCの占有を開始したのは会社から貸与されたからであって、売買のために占有を開始したものではありません。また、これから述べるとおり、売買契約は未だ成立していませんから、現在の占有も会社との貸借関係に基づく占有であるということが出来ます。

さて、「値段によっては買取りたいのですが」というのは売買契約に当たって何らかの留保を付することを申し込んだことを意味し、相手方の会社がこれに対して明示的に拒否しておらず、むしろ「減価償却して値段が決まり次第連絡する」と回答したのは黙示の承諾があったと評価できます。これを法律の用意する契約形式に当てはめれば、買主であるsheepweetさんが買い取るか否かについての選択権(正確には予約完結権)を有する売買の予約(民法556条)が成立していたものと考えられます。

ここで、売買契約は、値段をいくらにするのかは契約成立の要件ではありません(民法555条参照)。もっとも、「値段によっては買取りたい」との意思表示は買い取る旨の意思表示ではありませんから、今回は、未だ売買契約は成立していません。今回成立したのは、会社が値段を提示してsheepweetさんがこれを受け入れれば売買契約が成立するという、売買の予約であると考えるのが自然です。

また、会社側の「減価償却して値段が決まり次第連絡する」との回答は、減価償却後の簿価が売買価格になることを推定させるものとはいえません。なぜなら、商取引の一般通念上、減価償却資産の売買価格は、親子間取引等の特殊な場合なら格別、そうでなければ減価償却後の簿価と同額になるとは限らないからです。むしろ売買価格は市場価格を参考に決まるのが商取引においても一般的ですから、パソコンであれば、簿価よりもはるかに低額になるのが商取引上の一般通念だといえます。また、「減価償却して値段が決まり次第連絡する」という表現は、減価償却後の簿価そのものではなく、簿価を基準として売買価格を提示するとの通知(観念の通知)に過ぎません。したがって、減価償却後の簿価が売買価格になるとの推定は働かないと考えるのが、法的には妥当でしょう。まして、今回の契約形態は売買の予約であって、sheepweetさんは予約完結権を行使していないのです。

そして、売買の予約(あるいはその予約完結権)は、時の経過によって買取義務に転化することはありません。そのため、「買い取る」と答えていない以上、現時点でも、sheepweetさんに何ら買取義務はありません。

したがって、買取に関しては、sheepweetさんは、単に「いらない」と言えば予約完結権を行使したことになり、それで終わります。


次に、ウイルスソフト代については、私用で使っていたかどうかに関わらず、無償貸与か有償貸与かで異なります。

ウイルスソフトは、商取引でパソコンを使用するには必要不可欠のものといえますから、その費用は法律上の「通常の必要費」といえます。この必要費の取扱いにつき、無償貸与と有償貸与とで結論を導く理由が若干異なります。

無償貸与の場合には、民法594条1項により、通常の必要費は借主負担となります。しかし、sheepweetさんの場合、会社がウイルスソフトを提供したとのこと。そうであれば、ウイルスソフトもパソコンに一体のものとして、無償貸与されたと考えるのが、法的には自然です。なぜなら、ウイルスソフトは、商取引としてのパソコンの使用上、必要不可欠のものだからです。必要不可欠なものが一体となって貸与された以上、費用負担についても一体として捉えるのが法的思考だと考えます。貸借期間満了後ないしその間際になって「有償だ」と会社が主張するのは、単なる契約の変更の申込か、または信義則上許されない行為(民法1条2項)といえるように思います。

有償貸与の場合には、民法608条1項により、「賃貸人の負担に属する必要費」は、当然に賃貸人の負担となります。賃貸人の負担に属するかどうかは社会通念によって決まりますが、無償貸与で述べたとおり、ウイルスソフトの商取引上の必要不可欠性から、ウイルスソフト代は賃貸人の負担に属する費用だといえます。

以上より、ウイルスソフト代に関しては、貸与当初にsheepweetさんが負担するものと決まっていなかった以上、会社が負担するものだといえますから、sheepweetさんは、単に「私にはそれを負担する法的義務がありません」と拒否すれば足ります。

私用については、ウイルスソフト代の負担の要否ではなく、損害賠償の問題です。この点についても、無償貸与と有償貸与とで、結論は同一です。
借主は、「契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い」借りた物を使用しなければなりません(民法594条1項、616条)。そうすると、会社から仕事のために貸与されたパソコンは、仕事を遂行する目的で貸与されたものといえますから、それ以外の目的での使用は契約違反であって損害賠償請求されうることとなります。もっとも、この場合に、会社に生じる損害額はいくらなのか、という問題があります。この点、パソコンは使っても大きく目減りする性質のものではありませんし、私用により仕事の質を下げているのなら格別、そうでなければ仕事の質に関して損害が発生したとはいえません。そうすると、会社の求めうる損害額は、基本的に、仕事の質を下げたことにより会社に生じた損害に限られます。

従って、私用については、それに伴って仕事面で会社に与えた損害があれば、それを賠償することになります。それ以上の請求額については、会社から、私用によるパソコンの毀損額を明示してこない限り、応じるべき法律上の義務はありません。


なお、以上の議論は、sheepweetさんと会社との関係が請負契約や委任契約に基づくものであることを前提にしています。仮に両者の関係が雇用契約であれば、理由が異なって参ります。もっとも、結論は基本的に変わりません。


最後に、sheepweetさんの抱えていらっしゃる問題は明らかに法律問題ですので、相談する相手は法律の専門家が良いものと思います。
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この回答へのお礼

たくさんのご回答を頂きありがとうございました。どのご回答も大変参考になりました。相手が法的手段に出ると言っていますので今後のことは弁護士さんに相談してみようと思います。この場を借りて皆さんにお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

お礼日時:2008/01/06 07:24

仕事のため無償貸与された物品を買取意思を表示して占有し、所有者もご質問者様の占有を許した訳ですね。


そして、
>値段によっては買取りたいのですが
>減価償却して値段が決まり次第連絡する。
というやり取りがあった事実をどう見るかですね。
ご質問者様が減価償却後価格で買い取る了承をしたと推定され、売買契約が成立してその時点で所有権が移転し、支払い義務が生じるのではありませんか。なぜかというと、ご質問者様は請負業務を完了する等の経験を有し社会通念上の減価償却を理解していると推定され、多少の認識差はあったとしても、減価償却した値段と聞いている以上、その程度の金額での買い取りが不合理と言えないからですね。推定部分がありますから反論の余地はあります。
また、売り主はパソコンショップではありませんから、減価償却額を計算するのは決算の時でしょうし、資産売却時期が年間行事として決まっていると容易に推測できます。価格提示を急ぐよう催促もせず1年程度確定価格提示が遅れたことを購入意思の取消理由にできるとは思えません。そもそもショップでもない法人?に売ってほしいと言い出したのは、ご質問者様ですね。
逆から見ると、売買契約で商品の引き渡しを完了し価格の根拠も提示し請求をしていない良心的売り主とも言えそうです。

ソフトウエアも汎用である限り同様でしょう。除外できる理由はありません。

>あくまで会社の持ち物ですので払う義務があるのかわかりません。
あくまで会社の持ち物だと思うなら返却するのが信義とみられるでしょうね。買うと言って占有を継続していながら会社の持ち物と言うには、ウイルスソフトがインストールされていることを知らなかった等の錯誤が必要ではありませんか。

とはいえ、全て返却して、レンタルなどしてもらったこととして1年間の償却分を支払うなどなど話し合いの余地は十分にあると思います。
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>1年半前に仕事で新品のパソコン…


>半年ほどで仕事が終わり、パソコンを返却するという話になった…
>新品で14万台のものです…

「14万台」を 140,000円ちょうどと仮定して、当時の税法により計算してみます。

・償却の基礎になる金額 140,000× 0.9 = 126,000円
・半年間の減価償却費 126,000× 0.25 × 6/12 = 15,750円
・未償却残高 140,000 - 15,750 = 124,250 円

>12万5千円振り込んで欲しい」と言う旨の手紙が会社から届きました…

ほぼ計算は合いますね。
140,000円ちょうどよりはもう少し高かったのでしょう。
1年分の利息をくれと言われなかっただけ、良しとしましょう。

>ついでに貸与中のウイルスソフト代8万5千円も請求されていますが…

1ライセンス 1パソコンのソフトなら、請求されてもやむを得ないでしょう。

>「値段によっては買取りたいのですが」と申し出ました…
>「減価償却して値段が決まり次第連絡する」と言われました…

法定どおりの減価償却方法による計算で気に入らないとなると、あとは当事者同士で話し合ってくださいとしか、言いようがありません。
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新品で14万円でも購入時の価格で原価償却しますので、14万円で買ったとは限りませんので12.5万円があながち高いとは言い切れません。



買い取りやウイルスソフトの買い取りの義務はありませんので、素直に返却しましょう。

うだうだ言ってくるようでしたら、弁護士と相談させてもらいます、と言いましょう。

私用に関しては多少は許されるというのがこれまでの判例ですので大丈夫
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#2の回答が正解でしょう。
「私用で使ってはいけないという契約もしていません」と言われますが、私用で使っていけないのは常識です。パソコンも現金も会社の財産です、契約してないからと言って会社の金を私用に使おうとしないのと同じ。

1年以上も返却しなかったのは買い取りの意志が継続してると思われて仕方無いですね。
弁護士など専門家に相談するか、パソコンの法定耐用年数は4年なので、新品から2年経過してるので50%償却したとして半額まで値切るのが一つの手かと思います。

 

この回答への補足

回答ありがとうございます。減価償却した価格によっって買い取るかどうか判断しようと思っていたのですが、甘かったようです。アドバイスありがとうございます。

補足日時:2008/01/03 15:54
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仕事で使用する為に貸与されたパソコンを、私用に使うこと自体、考えられる範囲を既に脱していると思われます。

また、買取る意思がなくなった時点で、連絡していない以上は、買取る義務は継続していると思いますが、ウイルスソフトに関しては買取る義務はないでしょう。相談する先としたら、弁護士等の専門家だと思われます。労働基準監督署などでは、対応する事案ではないでしょう、労働時間等に関することではない為。

この回答への補足

回答ありがとうございます。私としては、「値段によっては買い取りたい」と伝えているので値段が確定してから買い取るかどうかの判断をできると思っていたのですが、違うのですね。ちょっと無知でした。

補足日時:2008/01/03 15:47
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買い取り義務はありません。



http://www.nichibenren.or.jp/ja/legal_aid/
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