アプリ版:「スタンプのみでお礼する」機能のリリースについて

公務執行妨害罪の成立要件として、公務員に向けられて有形力が行使されればよくて(広義の暴行)、また“現実に公務の執行を妨害する必要はない”とされてますが、例えば警察官にツバを吐いただけで成立しますね。
制服という官品を汚した行為が有形力の行使ということでしょうか?
広義に解釈すれば、警察官の気分を害する行為を行ったら罪として成立するということでしょうか?
また、暴言=有形力でしょうか?
どうも、有形力の行使、広義の暴行の定義がよく分かりません。

また、公務執行妨害罪は国家権力警察VS市民の構図で語られることが多いのですが、県立高校の教師が授業中に生徒から暴行受けたら、公務員に対する有形力の行使ですから公務執行妨害罪が成立すると思いますが、これで生徒が逮捕されるニュースは聞きません。
なぜでしょうか?

A 回答 (3件)

 公務執行妨害罪が実際にどのように運用されているのか,「かなり現場裁量的な要素が多い」のかは,私にも分かりません。


ただ,繰返しになりますが,現場の警察官と裁判官(:最終的な判断をするのは裁判官です。)とは,同罪に対する考え方が微妙に異なると思います。
 警察官は,自らの職務執行を円滑に行うために,本罪の「暴行又は脅迫」を広く捉えたがるのです。特に,「どんな理由でもいいから,とにかくその人間の身柄を確保したい」と考えている場合はそうなります。
 それは,法解釈の問題というよりも,職務遂行を迅速かつ効果的に行うためのご都合主義(:現場で苦労されている警察官には失礼な言葉ですが,)によるものと考えられます。裁判例の都合のいい部分をつまみ食いして解釈して,あとで少々問題になることも覚悟して,客観的には些細な理由で逮捕することは大いにありうると思います。
 一方,裁判官は,暴行・脅迫の態様・程度,職務の権力的性格,そして暴行・脅迫の行われた状況等を総合的に判断して,客観的に本罪が成立するかを判断します。そこで,仮に本罪で起訴されても,同罪については無罪になるということは大いにありえます。
 警察官が,本罪の暴行・脅迫を拡大解釈して逮捕した場合,起訴をする検察官が「それでは,公判が維持できない(有罪にはできない)」として,不起訴にすると思います。起訴しなくとも,被疑者には公務執行妨害罪以外の別罪(本命の事件)の疑いが掛けられていることが通常ですから,そうしても問題はないわけです。そのようなことから,あまり公務執行妨害罪で無罪になったと耳にしないのだと思います。

 次に,公立学校において「生徒が騒いで授業妨害で続行不可能」という場合,妨害の故意で先生を殴ったりしたら,当然,公務執行妨害罪になりえます。暴言については,客観的に先生が畏怖するようなものであることが必要ですから,「単なる冗談ではない」という雰囲気のもとで,「殺すぞ」,「月夜の晩ばかりじゃねえぞ」,あるいは,「かわいい娘がいるんやろ」などと言う程度のことは必要でしょう。
 ちなみに学校現場での事案で暴行・脅迫の程度が軽い場合には,威力業務妨害罪(刑法234条)の成立が問題となるでしょう。
 
    • good
    • 0
この回答へのお礼

再び回答を頂き、ありがとうございます。
細かく解釈していただき、よく分かりました。
ご都合主義というのはあるかも知れませんね。

ありがとうございました。

お礼日時:2008/07/03 17:47

 公務執行妨害罪(刑法95条)の保護法益は,「公務員」の身体の安全等ではなく,国家的法益としての「公務」です。


 よって,職務執行の妨害となる程度のものであることが必要であり,「公務員に向けられた,直接的又は間接的な違法な有形力の行使」とされています(最高裁昭和37年1月23日判決等)。
 公務には,警察官の公務のみならず,公務員の職務がすべて含まれます。(最高裁判例の事例では,税金の徴収担当者,地方議会の議長,電報局職員,国鉄の助役等への暴行が問題とされています。)
 そして,公務には権力的なもの(たとえば警察官の職務)から非権力的なもの(たとえば市町村議会や公営交通機関の営業)がありますが,権力的公務に対する暴行はかなり高度なものであることが要求されるのに対して,非権力的公務に対する暴行は軽度のものでも本罪の暴行と認められます。
 現場の警察官は,自らの職務を円滑に遂行するために,また,逮捕の口実とするために,暴行・脅迫の範囲を広く考えたがるでしょうが,つばを吐きかけたり,小さな石を一つ投げつけたり,暴言を加えたことが,即,本罪の暴行や脅迫になるとは考えられません。裁判になれば,本罪の成立は否定されるでしょう。
 ただし,たとえば,過激派多数が警察官を取り囲んでいるときなど,具体的状況によっては,それ自体は軽い暴力や単なる暴言が本罪の暴行・脅迫にあたるとされることがあります。たとえば,警備の警察官に小さな石を一つ投げつけ,耳元をかすめた事例に,具体的状況を考慮して本罪を成立させた判例(最高裁昭和33年9月30日判決)もあります。
 県立高校の教師の授業を妨害するために暴行すれば,本罪が成立しうるのはたしかです。ただ,そのような事例が問題にならないのは,高校は,警察,税務署や都営地下鉄などとは違って教育の場ですから,学校側に,安易に警察・司法権力を介入させることに対する抵抗感があるからでしょう。 
    • good
    • 1
この回答へのお礼

回答を頂き、ありがとうございます。

>つばを吐きかけたり,小さな石を一つ投げつけたり,暴言を加えたことが,即,本罪の暴行や脅迫になるとは考えられません
ですが、かなり現場裁量的な要素が多い気がします。
おっしゃっているように、公妨の幅、といいますかグレーゾーンが広いような気がしますが、どうなのでしょうか?。
学校の場合は(実際の適用はともかくとして)騒いで授業妨害で続行不可能ということも当該に当てはまるのでしょうか?

ありがとうございました。

お礼日時:2008/07/03 01:52

刑法にいう暴行は(もしかしたら他の分類法もあるかもしれませんが)


通常、4段階に整理されまして、

(1) 最広義の暴行。対象にかかわらず有形力行使すべて(刑法106条騒乱罪など)
(2) 広義の暴行。人に向けられた有形力行使すべて(95条公務執行妨害罪の暴行はこれ)
(3) 狭義の暴行。人の身体に向けられた有形力行使(208条暴行罪)
(4) 最狭義の暴行。人の抵抗を抑圧するに足りるほどの有形力行使(177条強姦罪、236条強盗罪など)

>制服という官品を汚した行為が有形力の行使ということでしょうか?

唾を吐くという行為が見た目に形を持った行為ということです。

>警察官の気分を害する行為を行ったら罪として成立するということでしょうか?

少なくとも「警察官に向かって何か行動(判例の表現を借りると『不法な攻撃』)を起こす」ことが必要です。
なので、たとえば暴言を吐くだけだと有形力ではないので公務執行妨害罪にはなりません。

>公務員に対する有形力の行使ですから公務執行妨害罪が成立すると思いますが、これで生徒が逮捕されるニュースは聞きません。

このケースはたいてい傷害罪がセットになるでしょうから、
単に傷害罪のほうが重いからじゃないでしょうか?

あと、一応判例は刑法95条にいう公務員は必ずしも警察官のような権力的公務員に限らないという解釈を示しており、
この線で行けば公立学校の教師も刑法95条にいう公務員に含まれることになることはなりますが、
実際の立件にあたって適用に慎重になっている可能性はあります。

いずれ報道は特に罪状に関してはたいてい不正確なので、
まず検討すべきは「報道がちゃんと伝えているか?」でしょうけど。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

回答を頂き、ありがとうございます。
>警察官に向かって何か行動(判例の表現を借りると『不法な攻撃』)を起こす
という解釈も微妙ですね。
どこまでが不法な攻撃と言えるのかどうか、そこはもう警察官の胸三寸のような気もします。
教師への暴行で授業が妨害されたというよりも、騒いでいて授業にならないというケースも有形力の行使と言えるのでしょうか?
教師が刑法95条にいう公務員に含まれると言いながら、適用が慎重というのは「聖職者が生徒を罰してはいけない」みたいな変な慣習があるような気がします。

ありがとうございました。

お礼日時:2008/07/03 01:40

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!