仲介物件の中古住宅を1年半ほど前に購入しました.当方の敷地に隣地との境界線が食い込んでいるため,今,お隣とトラブルが発生しています.
購入の契約後,不動産屋さんの仕切りで,当方は建替え時に,その部分をお隣に返却するという印鑑を押した経緯があります.私が,印鑑を押した時点では,当方は境界のずれが約5センチのみという認識で印鑑を押したのですが,実は,敷石の下にも,新たなベンチマークがあり(測量書にもそのマークの写真なし),実は,5センチではなく,50センチ当方に割り込んでいることが判明しました.当方は,その部分の購入の意志はありますが(お隣が売る意志があるかは不明ですが),印鑑は押したものの,建替え時に返却の意志はありません(50センチ返却するとようへき工事などが発生するため).そこで,不動産屋さんの説明の境界線が事実と異なったこと,重要事項の説明がなかったことなどを理由に,不動産屋さんに抗議しようと思いますが,どなたかアドバイスをいただければ幸いです.宜しくお願いします.
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
結論から申し上げますと、お隣との話し合いがつきそうも無いようであれば、なるだけ早期に、敷地境界に関するトラブルついて詳しい弁護士のかたを、お住まいの都道府県弁護士会に紹介してもらい、その先生に相談なさった方が良いと思われます。
今回の問題について、主張・請求の相手とその内容についての概略を次のような順番でご説明致します。参考になさって下さい。
1.お隣に対する主張
1-1.「無効(民法95条)」主張の可能性
1-2.「取消(民法96条2項)」主張の可能性
2.不動産屋への損害賠償請求
2-1.不動産業者の敷地境界明示義務
2-1-1.重要事項説明での敷地境界明示義務
2-1-2.宅地建物取引業者の、善良な管理者としての注意義務に
基づく敷地境界明示義務
2-2.損害賠償請求の根拠規定
3.売主に対する損害賠償請求
4.最期に
1.お隣に対する主張
購入契約成立後、「将来hiroxxxxxxxさん宅を建替える時に隣地への越境部分を返還する」旨の合意確認書が有効であるならば、hiroxxxxxxxさんはこの契約内容に拘束され、記載内容通りの義務を負うことになります。
1-1.「無効(民法95条)」主張の可能性
今回の場合
・ 不動産屋が説明した境界線が、実際の境界線と異なっていた。
・ 双方ともに、若しくは少なくともhiroxxxxxxxさんは、境界線か
ら隣地へ越境しているのは約5cmのみという認識の下に合意書面
を作成した。
・ 仮に50cm越境していることを当初から認識していたのであれば、
その返還によって擁壁工事を要し、かなりの費用がかかることが予
想されるため、返還について通常人であれば容易に同意しないであ
ろうことは誰の目にも明らかであると考えられた。
・ 問題となっている部分の敷地境界がどこであるかについて、境界
標やそれに代わる物などは付近に無く、素人目にも一見して明らか
に敷地境界線が判るようになっておらず、普通に考えて
hiroxxxxxxxさんの側に重大な落ち度があるとは考えられない。
このようなことが言える場合には、hiroxxxxxxxさんとしては、お隣に対して、この合意書面自体が「錯誤により無効である(民法95条)」と主張することが可能です。主張の相手方は、不動産屋ではなくお隣です。
1-2.「取消(民法96条2項)」主張の可能性
また、不動産屋が越境部分についてワザと少な目にhiroxxxxxxxさんに申告してhiroxxxxxxxさんに勘違いを起こさせ、それによってhiroxxxxxxxさんが勘違いしていることをお隣も知っていた場合には、この合意自体を取り消すこともできます(民法96条2項)。この場合の主張の相手もお隣です。但しこの場合には、上記の事実関係を証明する必要があります。
2.不動産屋への損害賠償請求
2-1.不動産業者の敷地境界明示義務
2-1-1.重要事項説明での敷地境界明示義務
重要事項説明書に記載し、なおかつ顧客に対してその書面を交付し説明しなければならない事項は、
・ 宅地建物取引業法35条
・ 同法施行令3条
・ 同法施行規則16条~16条の4の2
に列挙されています。しかし、この中に敷地境界についての規定はありません。
つまり不動産業者は、宅建法上の重要事項説明において敷地境界を明示しなければならない法的義務は無いのです。
2-1-2.宅地建物取引業者の、善良な管理者としての注意義務に基づく
敷地境界明示義務
昭和61年11月18日大阪高等裁判所において、次のような趣旨の判決が出されました。
「宅地建物取引業者は、仲介契約の本旨に従い善良な管理者の注意をもって売買契約が支障なく履行され、売買当事者がその契約の目的を達成し得るよう配慮する義務を有している。そのため宅地建物取引業者は、委任者から特別の指示が無い場合であっても売買対象土地の範囲が不明確な場合はその境界を明示する義務がある。」
つまり、法的に宅地建物取引業者に敷地境界明示義務は課されていないものの、法律の解釈上、宅地建物取引業者には一般的に敷地境界明示義務があると、現在のところ裁判所は判断しています。
2-2.損害賠償請求の根拠規定
上記のことから、宅地建物取引業者が境界を明示せず、それを原因としてhiroxxxxxxxさんが擁壁工事費用や越境部分の購入費用の支出などで損害を被った場合には、宅地建物取引業者による敷地境界明示義務という債務の不履行を原因として損害を被ったとして、その宅地建物取引業者に対し、損害賠償請求(民法415条)を行なうことができると考えられています。
今回の場合、不動産屋は積極的に間違った境界を示してhiroxxxxxxxさんに損害を生じさせているため、上記の債務不履行に基づく損害賠償請求のみならず、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)も可能であると考えられます。
3.売主に対する損害賠償請求
今回の場合、隣地への越境が約50cmにもおよんでいることについて、一見しただけでは判らなかったものと思われます。このように、一見しただけでは判らないような欠陥のことを『隠れた瑕疵』と言います。
売買目的物に隠れた瑕疵があり、(1)そのために購入者が購入目的を達せられなかった場合には、その売買契約そのものの解除を、(2)購入目的は達せられたものの何らかの損害を被った場合には被った損害の賠償請求を、それぞれ隠れた瑕疵の存在に気付いた時から1年以内に売主に対して請求することができます(民法570条・566条3項)。
4.最期に
ここまでで主張・請求する相手とその内容について概略述べて参りましたが、事実関係如何によってその法的判断が微妙に変化することもあります。ですから、最初に述べました通り、なるだけ早期に敷地境界に関するトラブルついて詳しい弁護士の先生にご相談なさった方が良いと思います。
なお、不動産業者に対する苦情相談などについては、私が回答した下記URLをご参照下さい。
以上、ご参考まで。
参考URL:http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=422301
有難うございました.私の考えが整理しやすくなりました.大変あつかましいですが,もし,可能であれば,もう一つアドバイスいただきたいと思います.
当方としては,この件をなるたけ穏便に,また,クリヤーに解決したいと思っています.そこで,対象の部分約1.5坪を当方が買い取るとし,交渉や仲介,手続きを購入した不動産屋さん(大手不動産屋)にやってもらうアイデアを考えています.その場合,手数料や登記など諸費用一切を,その不動産屋さんが負担すべきだと主張することは,争点がずれてるでしょうか?当方の希望は,今後のご近所付き合いもあるので,交渉の相手を不動産屋さん一本にしたいと思っています.いただいたご意見の通り,弁護士さんに相談するべき事というのは,理解できるのですが,100万円もの仲介手数料を払っているのにどうも,納得いきません.ただ,弁護士さんを通して不動産屋さんとも話すべきであろうと想像はできるのですが・・・.ご多忙とは思いますが,当方の考え方なども含めて,ご意見いただければありがたいです.
No.3
- 回答日時:
>対象の部分約1.5坪を当方が買い取るとし,交渉や仲介,手続き
>を購入した不動産屋さん(大手不動産屋)にやってもらうアイデアを考えています.
>その場合,手数料や登記など諸費用一切を,その不動産屋さんが負担すべきだと
>主張することは,争点がずれてるでしょうか?
交渉のための手間賃や登記手続等に要する諸費用一切を、その不動産屋が負担すべきことを主張するためには、その不動産屋に故意または過失があることが認められなければなりません。不動産屋に故意または過失が認められた場合には、それによって被った損害としてそれらの全額が損害賠償の対象となりうるのです。
そのような場合には、直接原因を作った不動産会社に処理させてしまった方が、第三者に処理してもらってかかった費用全額を改めて不動産会社に請求するという迂遠な方法をとるよりも、手間も時間も費用もかからず良いとも考えられます。
hiroxxxxxxxさんのお話をお伺いする限りでは、不動産屋に少なくとも過失が認められるようには思われますが、実際はどうなのか、現状を知らない私にはわかりませんのでコメントとしてはこの程度にさせていただきたいと思います。
ただ、敷地境界からみの問題の場合、以下に述べる様々な問題点がありますのでそれらの点には十分にご注意なさるようにして下さい。説明の順番は次の通りです。
なお、3.の「不動産業者を相手にした場合の紛争解決手段」についての記述は、前回ご紹介したURLに私が回答した内容の一部を加除訂正したものです。
1.敷地境界について
2.不動産業者の現状
3.不動産業者を相手にした場合の紛争解決手段
3-1.宅地建物取引業保証協会の利用
3-2.免許付与機関(国土交通大臣又は都道府県知事)による
指示及び業務の停止
1.敷地境界について
今回の場合、この敷地境界がどこであるのかということを先ず明確にする必要があります。
不動産登記法17条に規定する、いわゆる「法17条地図」と称される図面がある場合には、敷地境界はかなり明確にわかります。しかし、この図面が整備されている地域は、まだまだ少ないのが現状です。この図面が整備されていない地域は、公務所の作成した地積図・個々の土地や地域を私的に測量した測量図・公図・地域の歴史・付近の古老の話などによって境界を定めざるを得ないことが多いのです。
敷石の下から出てきたというベンチマークも、それが確かに境界を示すものなのかどうかを確定する必要があります。
さらに、敷地の範囲と所有権の範囲とは、法律上は別の概念のものとなっています。つまり、敷地境界がどこであろうとも、隣接する所有者同士が話し合って所有権の範囲をどこかに決めた場合には、敷地境界とは別に、所有権の範囲はその合意によって決まると考えられています。仮にお隣が越境部分は5cmのみという認識の下にサインしていた場合には、その範囲で返還すれば良いということになります。問題となっている合意書の内容についても、もう一度よく精査する必要があると思われます。
今回の場合、官有地は絡んでいないようですが、官有地が絡んできたような場合や、隣接地が複数となり関係所有者が複数となった場合には、当然ですがさらに問題は複雑化します。
また、今回擁壁工事が必要になる可能性があるようなお話でしたが、そのような工事については建築基準法以外にも各自治体で独自の条例などで安全基準を設けている場合があり、場合によってはそれらについても調べておく必要があります。
擁壁工事のための費用は、通常はその土地を所有している者のみが負担するのですが、場合により隣接する土地所有者と相応の割合で負担して工事を行なう場合もあります。これも過去に私が回答したURLを下に紹介いたしますので参考になさって下さい。
敷地境界がらみの問題は、実は法律分野の中でも非常に特殊で専門的な分野に属していまして、弁護士のかたでも全てのかたが判るわけではないのです。
2.不動産業者の現状
不動産業者が仲介に入って売買や賃貸など不動産取引を行なうのは、そもそも不動産にからむトラブルを未然に防ぎ、売買や賃貸などの当事者双方に損害を与えないために不動産取引の専門家として、それらの事務処理を有効適切に行なうためのものなのです。
しかし、不動産業者であるからといって、必ずしも不動産取引の専門家として有効適切な処理を期待できるとは限りません。「宅地建物取引主任者」の有資格者がいなければ宅地建物取引業の免許を受けることはできませんが、現在のところ、社員5人のうち1人の割合で有資格者がいれば良いことになっています。したがって、不動産業者の社員であっても基本的な法律知識も有していない社員のほうが圧倒的に多いわけです。
また、宅地建物取引主任者の資格は比較的簡単に取得できるため、有資格者であるからといって法律知識が十分にあるとは言い切れないのが現状です。無資格者はもちろんのこと有資格者であっても、日々自己研鑽・社員教育を熱心に行なっているような会社でないと思わぬ損害を受けかねません。
これは、大手の不動産業者であろうと中小の不動産業者であろうと同じことです。
また、大手の不動産会社の場合、顧問の弁護士がいることがあります。状況によっては不動産会社側の弁護士が出てくることもあるかもしれません。そのような場合でも、hiroxxxxxxxさんが少しでも「えっ?」とか「あれっ?」と思うようなことがあった場合には、即答は避けて十分に検討なさってから回答するようになさった方が安全です。
弁護士の言うことならば間違いないだろうと思われがちですが、弁護士の言葉の全てが公正中立な立場の言葉であるとは限りません。不動産会社から依頼を受けた弁護士は、まず第一に依頼主である不動産会社の利益を考えて行動します。それが弁護士としての依頼主に対する義務だからです。
その点は十分にご注意下さい。
3.不動産業者を相手にした場合の紛争解決手段
裁判所を利用して紛争を解決しようとした場合、どうしても解決までに費用と手間と時間がかかってしまいがちです。素直に相手が応じてくれれば良いですが、素直に応じなかったり誠意が見られないような態度が続いたりしたような場合には次のような公共機関を利用する方法があります。
(1) 宅地建物取引業保証協会
(2) 免許付与機関(国土交通大臣又は都道府県知事)
これらについて簡単にご説明致します。
3-1.宅地建物取引業保証協会の利用
その不動産屋が、宅地建物取引業保証協会の社員であった場合には、お住まいの都道府県を管轄する宅地建物取引業保証協会支部に苦情の申立てをし、斡旋・解決してもらう方法があります(宅地建物取引業法第64条の3第1項)。
不動産業者は、本店となる事務所を開くためには、その事務所の最寄りの供託所に1000万円を供託する必要があります(宅地建物取引業法第25条。同法施行令第2条の4)。ところが、宅地建物取引業保証協会の社員になれば、60万円を供託するだけで事務所を開くことができます(宅地建物取引業法第64条の9。同法施行令第7条)。
宅地建物取引業者(不動産業者)は、少しでも必要経費を安くあげるため、この宅地建物取引業保証協会の社員になっている場合が多いです。
そのため、問題の業者が、この宅地建物取引業保証協会の社員であった場合には、お住まいの都道府県を管轄する宅地建物取引業保証協会支部に苦情の申立てをして処理をしてもらうことができます。
ちなみに、宅地建物取引業保証協会の社員に対して損害賠償請求が裁判所に提起され、判決で業者側に問題があると認められる場合には、協会側が社員としての資格を業者から剥奪する処理をします。そのため、供託所に供託するための自己資金1000万円を用意できない業者は、事実上「廃業」に追い込まれることになります。
中小規模の不動産業者の場合、その多くは上記の宅地建物取引業保証協会の社員となっている場合が多いのですが、色々と制約を受けることも多いため、大手の不動産業者の場合、1000万円の供託金を用意して事務所を開き、宅地建物取引業保証協会の社員になっていない場合が考えられます。このような場合には、この宅地建物取引業保証協会を利用する紛争処理方法は使えません。
3-2.免許付与機関(国土交通大臣又は都道府県知事)による指示及び業務の停止
不動産業者(宅地建物取引業者)がその業務を行なうためには、宅地建物取引業の「免許」を受けなければなりません。
2つ以上の都道府県の区域内に事務所を構えようとする場合には国土交通大臣の、1つの都道府県内のみに事務所を構えようとする場合にはその都道府県知事の、それぞれ免許を受けなければ宅建業を営むことはできないのです(宅地建物取引業法第3条第1項)。この免許の有効期間は5年で(同条第2項)、引き続き宅建業を営もうとする場合には免許の更新手続を行なわなければなりません(同条第3項)。
問題の業者が宅地建物取引業保証協会の社員でなかった場合には、国土交通省又はお住まいの都道府県で宅建業の免許付与を担当する課(建築指導課、建政課等)に苦情を申し立てることができます。この場合、必要性や業者の悪質さなどの状況に応じて、「指示」や「業務停止」などの処分がなされます(宅地建物取引業法第65条他)。
調停などで問題が解決する場合には、これらの機関に間に入ってもらって話を進めたほうが、迅速に問題が処理される場合が多いようです。民事訴訟になった場合、解決まで1年以上かかることは普通ですから。
以上、ご参考まで。
参考URL:http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=361509
No.2
- 回答日時:
一応、気になったので書き込んでおきます。
土地の境界が移動するということはありません、ですのでその50センチ食い込まれて下がったポイントは間違いなく境界なのでしょうか、法務局にいってあなたの土地の地図、地積測量図がでていないかどうか確認してからのほうがいいかと思います。もし、測量図等があったのに
勝手に境界を決めてしまってその1.5坪を分筆して売買しようとしてもなかなか
上手くいかなくなる可能性大です。不動産屋さんは売買前に普通は調査している
はずですから測量図等はなかったのかどうか聞いてみてみてください。
もちろん、不動産屋が信用できないのであれば自分で法務局にいって調べてみてください、解らないことがあれば聞けば教えてくれますよ。
アドバイス有難うございました.境界のベンチマークは,不動産屋さんが売買時に新たに測量したものです.隠れていたベンチマークも含めてです.この件は,もうちょっと,考えてみます.有難うございました.
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