プロが教えるわが家の防犯対策術!

よくリン酸化を行うことによって機能性タンパク質の活性に影響を与え
シグナルを伝達するような話が出てきますが、
具体的にリン酸化を受けるとなぜシグナル伝達が起きるのでしょうか?
また、なぜ生物はリン酸化をシグナル伝達のために多用するのでしょうか?

A 回答 (3件)

こんにちは。



まず、リン酸化によるシグナル伝達のメカニズムです。タンパク質の酵素活性には立体構造が重要です。タンパク質の立体構造は、アミノ酸残基がもつ性質(残基の大きさや電荷、疎水性)が大きな影響を与えます。

リン酸化を受けるアミノ酸残基(スレオニン、セリン、チロシン)は、細胞内では中性(荷電していない)です。これらのアミノ酸残基にリン酸基が結合するとマイナスに荷電します。リン酸基は細胞内のpHでは、-O-PO3(-)<(-)はマイナスイオンを示します>とマイナスに荷電しているためです。このようにスレオニン、セリン、チロシンのアミノ酸残基が荷電することで、タンパク質の立体構造に影響を与えます。

また、これらのリン酸化を受けやすいアミノ酸残基は近くに存在するアミノ酸残基や金属の存在で-OH(ヒドロキシル基)になったり-O(-)に変わることができることから、酵素活性で重要な役割を果たすことができます(活性中心といいます)。そのヒドロキシル基がリン酸化されることで水素イオンの受け渡しが不可能になり、酵素活性が失われることもあります。

リン酸基は比較的大きな分子団ですので、そのリン酸基そのものが立体障害となってタンパク質の立体構造に影響を与えることもあります。

その他にも、リン酸化された状態のタンパク質を認識する別のタンパク質がドッキングすることでシグナルを調整することもあります。

なぜ、多くの生物がシグナル伝達にリン酸化を選んだかですが、リン酸化で付加されるリン酸基はATPです。ATPから一つのリン酸基を取り除いて(加水分解)タンパク質に転位する酵素反応は生体内に似た反応があるため、リン酸化を担う酵素(キナーゼ)にとって難しくない反応になります。新しい化学反応には全く新しい酵素が必要で、進化の過程でそのような酵素を生み出すのには時間がかかります。

また、リン酸化に使われるATPはエネルギーの通貨と呼ばれるくらい細胞内には多く存在するので、リン酸化したいときにすぐにできることもあります。

そして、先ほども書きました通り、リン酸基のもつ特性(大きさや細胞内のpHでマイナスに荷電していること)がシグナル伝達に都合の良い規模のイベントを引き起こすこともあると思います。

その他に、ATPの3つのリン酸基の同士はホスホジエステル結合で結合しています。リン酸化の際にこの中の一つのリン酸化を外すと大きなエネルギーが放出され、そのエネルギーを利用してリン酸化反応をすることができるメリットもあります。

リン酸を外す脱リン酸化もそれほど大きなエネルギーを必要とせず、このリン酸化/脱リン酸化が可逆的であることも大切なポイントです。リン酸化しっぱなしだと、シグナルが入りっぱなしになってしまい、OFFの状態にできないですよね。シグナルが必要なくなったときに脱リン酸化をすれば、すぐにシグナルをOFFにできます。

お答えになりましたでしょうか?
    • good
    • 1

#1ですが、電荷が加わるというところが抜けてましたね



まあ#2さんのお答えを見ればいいかと思いますが
    • good
    • 0

リン酸化するとそのアミノ酸残基の疎水性(親水性)が大きく変わります、特にチロシンは疎水性アミノ酸ですが、リン酸化チロシンになると親水性が大きく上昇します。

そうすることによって、タンパクの構造変化が促され、結果的にシグナル伝達として利用可能になっているわけです。
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!