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薄膜材料の表面に吸着している色素の定量を行おうとしています。

吸着前後の色素溶液の吸収スペクトルを測定し、
色素のAbsorbance(Abs.)の減少量から色素の吸着量を求める、
いわゆる吸着等温線を作成するのが通常だと思っています。
(あるいは薄膜に吸着している色素をはがし、
 その色素溶液のAbs.の値から吸着等温線を求める)

しかしながら、とある人が、色素が吸着している薄膜の吸収スペクトル
をそのまま固体薄膜として測定し、その色素のAbs.の値とモル吸光係数から、
吸着している色素の厳密な定量ができると主張しています。

このような事は実際可能なのでしょうか?
ランベルト・ベールの式は溶媒に溶けている物質を前提とし、
モル吸光係数は光路長を単位(cm)として内包しています。
つまり、モル吸光係数は溶液でしか適用できないのではないでしょうか。

個人的には、固体に吸着している物質に
モル吸光係数を適用することは不可能と思っていましたが、
あまりに強く主張するので、もしかしたら可能かと迷っています。
前例があるなら教えて頂けないでしょうか。
宜しくお願い致します。

ちなみに、光路長を単分子膜とすることも考えましたが、
その考えを媒質中の物質に適用できるかも疑問です。

A 回答 (2件)

たとえば,LB膜は分子の密度をかなり正確に制御できますが,色素のLB膜の吸光度は,溶液の吸光係数から計算することができ,配向や溶媒和が大きな問題になるような場合でなければ,あまり矛盾のない結果を与えます.散乱等の影響を考えなくていい場合については,薄膜の吸光度は溶液の吸光係数と膜中の色素の量から計算できるのです.



吸光係数が光路長を内包しているというのは,みかけの話です.吸光係数の本質的な意味は,分子1個がどれだけの吸光度を示すか,です.
たとえば,このように考えてみてください.
ある溶液が光学セルに入っている状況を考えます.この溶液から「溶媒のみ」を除いて液量を半分にします.そして光路長を半分にします(方法はともかく).濃度は倍になりますが,吸光度は「同じ」です.これはいいですよね?この作業を何度も何度も繰り返します.行き着く先はすべての分子がセルの壁にくっついた状態です.吸光度が変化する理由がありますか?
このように考えると,最初に例に挙げた LB膜で,吸光係数と分子密度から吸光度が計算できる,ということが理解できませんか?
つまり吸光度は,測定対象を光が通過する間に,「何個の分子に当たるか」で決まるのです.分子が片側に偏っていようと,均一に溶液に溶けていようと,そんなことは関係ないのです.
ただし,吸着膜等では配向や溶媒和の状態が溶液とは異なります.色素のような異方性の激しい分子では,そもそも吸光度自体が異方性をもつとか,LB膜や凝集体のような高密度状態では,溶媒和状態や分子間相互作用の違いで吸収特性が変化することはありえますので,どこまでこのような議論が可能かはよく検討する必要はあります.
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測定可能だと思いますよ。


だって、例えば、IR(赤外吸収スペクトル)では、固体、液体、気体が測定できますが、スペクトルから官能基の特定だけでなく、ランベルト・ベールの式に基づいて、定量が可能であると教科書にも書いてありますから。

参考URL:http://www.kdijpn.co.jp/MIDAC/FTIRprinciple_05.htm
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