TAB譜症候群の同輩による類似の質問は多数既出と思いますが、私の求める回答が見つからなかったので改めてよろしくお願いします。ちなみに私はクラシックは完全な門外漢でジャズ・ブルースを好んで演奏します。
五線譜を用いて演奏するのは慣れである。メジャースケールを6つのポジションで覚え、バッハ、クロイツェル、ハノン等の簡単な曲を繰り返し練習すればある程度は読めるようになる。→このような教えに従順にメジャースケール、ハノン、バッハ無伴奏バイオリンソナタ等を苦心して順々に習得するも、ガイドのTAB譜をチラ見してしまうは、指の運動として記憶してしまっているはで、肝心の読譜能力は微塵も進歩せず。。。という有様です。
結局、これらを闇雲に練習したところで以下のような根本的な疑問を解決しえない限り読譜も何も無いように思うのです。そこでこの度この場を借りてご質問させていただくこととしました。(なお回答は以下(1)~(5)個別単位でかまいません。また専門用語等を用いた回答も、後で自力で調べますのでOKです)
(1)そもそも、どのような発想で読譜しているのか。中学校の音楽であれば一つ一つの音をこれはド次はミ♭その次はソと一音ずつ地道に読み取ってピアノの鍵盤を押すという具合でしたが、4ビートのウォーキングベースならまだしも、ギターでこの考えを実行するには、ましてテンポの速いソロでは困難極まりないように思います。
そこで例えば、『次の音は何度上(下)だから運指はこう、その次は何度で進行して・・・』といった具合に、あるいは『ここは調性が00だから音階固有の音を中心に、音階固有の音でない音には注意して・・・』や『この二小節はメロディックマイナーを用いて後は原曲に近い感覚で』とある程度概括的に捉える思考法が存在するのでしょうか。
(2)結局ピアノの演奏もできずしてギターで五線譜の読譜は可能でしょうか
(3)異弦同音多数存在する中でポジションの選択又は切り替えはどのように決定するのか。人それぞれまず基本とするポジションを持っているものでしょうか。(とりあえずはこのポジションでといった具合に)
(4)シングルノートならまだしも五線で記譜された”和声”をどのように瞬時に指板に置き換えているのか(楽器の制約上、ピアノの様に容易でないと思われます)ジャズではルートの省略、テンション山盛りはあたりまえ、さらに驚くことにクラシックではコードシンボルすら用いないのです。
(5)最後になりますが、プロのクラシックギター奏者であれば一流オーケストラのように初見で現代音楽のような複雑な曲であってもスラスラと演奏できてしまうものなのか。それとも”ギターの場合”多少の準備をしなければ難しいのでしょうか。
以上まともに全てに応えようとすると相当な分量になると思われますので回答可能な部分にだけ簡潔にお応えいただければ十分満足です。また独学により多少教則本をかじった程度の素人の質問ですので、質問内容の多少の誤謬には目をつぶっていただければ幸いです。
数年来の疑問を一度に吐き出し長文になってしまいましたが、よろしくお願いいたします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
(1)いくらプロでも16分が連続するようなソロの初見はないです。
少しくらい譜読みする時間が与えられるはずですので、その間に音を採ってポジショニングを決めましょう。それ以外はピアノと同じです。日頃から同音異弦のスケール練習と初見練習をどれくらいこなしているかによります。
(2)できれば最低限のピアニズムは理解しておきたいですが、別に上手く弾ける必要はないでしょう。譜読みなんて慣れればピアノもギターも同じですから。
(3)先にも書きましたが、日頃から基礎練習を積み重ねること、それと並行して初見の練習も併せて行うと効果的だと思います。普通に考えてもDドリアンを下から弾くとなれば、5/5からか6/10からしかありません。4/0から弾き始めることは滅多にありません。思っているほどフィンガリングが多様で困ると言うことは(慣れてくれば)克服できます。
(4)それがギターのために書かれた譜面ならば、ピアノほど自由奔放なインバージョンは滅多に出てこないです。テンションコードといっても実際に使われるのは三声か四声がほとんどですから、これはある意味パターン認識で覚えてしまっても差し支えないと思います。
五線譜からのボイシングは慣れですが、ジャズ、ブルーズ系のギター譜ならコードネームくらいは振ってあるはずですから実際の演奏で「それボイシングが違うよ」と指摘されることはあまり無いと思います。(キメの部分などは他パートとの関係上しっかり譜面通り弾かなくてはいけませんが)
なお、クラシックにおいてはコードネームはないものの、必要だと思われるセーハの部分や人指し指のポジションについては「7pos」のような形で使うべきフレットポジションを指示することが多いですので、全くプレイヤーの経験と勘に頼るということはありません。
(5)単音なら少々複雑難解なフレーズでも初見で取れると思いますが、独奏曲で高度なテクニックを要するものは初見というわけにはいかないでしょう。また、クラギ奏者でなくてもプロのスタジオミュージシャン(ギタリスト)になろうと思えば初見でそれなりに弾けるのが基本です。
以上、ご参考まで。
やはり下の回答者さんと同様に読譜にあたっては、基礎鍛錬の重要性はいうに及ばないようですね。また特に(3)(4)などは個人的にとてもためになりました。初見のメロディー譜などを練習ネタとして取り入れてみます。
長文にわたる的確なアドバイスありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
ちょっと目に留まったので、アドバイスです。
私は、ある程度時間を掛けてもまだ読譜は苦手です。仕込みの時間が必要です。しかし、それでも一応スタジオの仕事もやってきたギタリストです。
読譜は、理論と同じでいわゆるミュージシャン同士の共通言語です。ですから、その場での対応力が必要な場合に求められるのが読譜力です。いつも他のミュージシャンに迷惑を掛けていました(泣)が、どうしても仕込む時間が必要なため、レコーディングでもいつも後回しにしてもらって他のミュージシャン、パートを聞いて覚えて何とかこなしてきました(今考えるとよくやってこれたなというのが正直なところです)。
もちろんそうした中で読譜力があれば...と何度悩んだことでしょう(苦笑)。しかし今考えるとそのときの譜面って質問者様が思っているほどがちがちな譜面(いわゆる市販されているようなきれいな譜面)なんてなかったわけです。特にクラシックのような決め決めの譜面なんてジャズやブルース系、歌謡曲でも見たことがありません。
音符がしっかり書いてあったのはテーマメロ、決めのフレーズやリズム、ボイシングでどうしてもその響きが必要な指定コードくらいでしたね。後はコードネームと小節区切りくらいです。構成だってA-B-A-B-C-B-Bと1行書かれているくらいで各セクションは8、12、16小節くらいのばらばらな譜面、しかもリピートだって記号を使わず、×2とか2timesとか書いているくらいです。あとはFreeとかアドリブ~とかソロ~って書かれているくらいです。
これは、自分がやってきた仕事以外にも、名前もよく聞く一流トッププロのスタジオミュージシャン向けのレコーディングでも同じような譜面が配られていました。
前置きが長くなりましたが、それらのときによく言われたことは、譜面以外の情報を読み取ることです。音符なんて書いてあってもタイもなければスラーもないテーマメロやオブリなんかがあるわけです。そこで、アレンジャーや作曲家などの注文は「そこにギターを入れるわけだからギターらしい表情で歌って」とかいわれるんです。当然その裏には、ギターとしてのテクニックであるスライドやチョーキング、ハンマリングといった奏法を駆使し、その曲にマッチしたフレーズを歌わせることを考えなくてはならないわけです。それらは譜面には載っていない情報なんです。
だから私たちが小学校でひらがなから習い、レベルアップして漢字を習う。そして本が読めるようになるとの同じように譜面は読めることに越したことがありませんが、すべての本が読めなくても自分のやりたいことはできるわけで、もちろん慣れの問題でもあるのですが、感想はそれぞれの人が違うのと同じで、そのフレーズに対してどこのポジションを使わなくてはならないとか、「こうしなくてはならない」なんて決め事はまったくないわけです。
確かに譜面→目で見る→頭で認識→指に指令→ギターを押さえる的なことにはなるんでしょうけど、その時間が短いほど読譜力が高いというわけで、体が先に反応するくらいのレベルがいわゆる初見というものです。ご自身素人(失礼)とおっしゃりますが、最初はみんなそうでした。誰もが生まれてすぐにそれができてきたわけではありません。だから「慣れが必要」なって言い方をしますが、正直私には今回の質問は「頭で考えすぎ」な気がしています。特にジャズなんかは特定のコード進行でも独自解釈でのコード付けによるアドリブは日常茶飯事ですし(マイルスデイビスとかそうですね)、ブルースでは譜面どおりの味も素っ気もない、色気のないフレーズは面白くないわけで、それこそある1弦1音のチョーキングでいかに泣かせるかみたいなところがあります。
読譜のヒントは、耳を鍛えることです。文字を声にすることはできますよね?それと同じく音符を指板に置き換えるのは正確な音の位置を把握することです。そしてどの位置に同じ音があるのかを瞬時に押さえることができることです。指板上0F~15Fまでの間で「ド」といわれて全ポジションを何秒で押さえられるかということを、一流のプロ(皆さんよく知っているややジャズよりの人)では3秒かかりません(実際にやったことあります)。これが読譜のヒントであり、体で覚えるということです。
長文でしたが、ご参考まで。
長文にわたる濃密な回答ありがとうございました。スタジオミュージシャンとしての経験を踏まえた内容でもありとても興味深かったです。
昔にロックバンドのコピーを演奏していたときは五線譜や楽理などというものには横目も振らずやり過ごしていたのが、数年前からジャズにめざめて、読譜の必要性に突き当たったんです。というのものよく教則本などで指導される『II-V-I進行に合わせたフレーズを溜め込んで』といった手法ではワンパターンでとって付けた様な演奏に陥る原因となりました。そこでよりプレイの幅を広げるために実際に、楽器問わず大好きなジャズメンのプレイをアナリーゼやコピーをしようと思ったんです。ところが本屋に行ってジャズのコピー譜をみればいきなりアドリブの複雑なおたまじゃくしの応酬で、こんなものが弾けるのかと、さらに隣の本棚にはもっと複雑なクラシックの楽譜が・・・ところが一方でフラメンコやクラシックのギタリストはそんな譜面をいともたやすそうに弾きこなしているわけで、もう魔法使いか何かにみえました。その後、自分なりに基礎から五線譜に向き合ってみたはものの、最初の先入観が災いしてか一向果てしない道のりに思えて、自分のやっていることに対しても疑心暗鬼になっていったんです。
長くなりましたがこんないきさつで今回の質問に至ったということを付け加えさせていただきます。
指板の音の瞬間的な把握能力は練習によって徹底的に完璧に仕上げようと思います。また回答者さんのおっしゃるような譜面外の情報にもより耳を傾けてフレーズを有機的に捉えるような思考力を養っていこうと思います。
複雑に考えすぎず、また背伸びをせずやれることからじっくりやっていこうと思います。
回答ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
「ある程度時間をかけないと読めない」程度の者です。
(1)初見でいきなり弾く能力を付けたいのなら私も知りたいところですが,そうでもないのなら,ギターでも「一音ずつ地道に読み取」るという考えを実行すれば良いと思います。また,「次の音は何度上(下)だから運指はこう」という考え方も適宜したほうが速いと思います。ただし,2つの考え方は大して区別するようなものではないと感じます。以下,少々邪道かもしれませんが……。
慣れれば,「(どの弦の)どのフレットは何の音」という(調によらない)絶対的な位置情報が頭に入ります。最初は音名としては,♯や♭の付かない「(CDEFGAB)×各オクターブ」だけで十分だと思います。私は「ドレミファソラシ」で覚えちゃってますが(^_^; もちろん,異弦同音も含めて覚えますが,低音弦の高いポジションはあまり覚えなくていいかも知れません。
そうすると,読譜の過程で,位置情報が頭に入っている音なら機械的に「押さえるフレット候補」(候補と言ってもたいてい1通り)が挙がります。調号や臨時記号として♯や♭やダブルシャープやダブルフラットが出て来たら,既存の位置情報から相対的に数えて,「押さえるフレット候補」が挙がります。そして,その候補から運指を作ります。また,その過程で位置情報が増えます。
このやり方だとギターの特性を生かしておらず,定式化されたポジション(?)を活用するより非合理かもしれませんが,自由な発想で柔軟に運指が作れます。その上で,「それぞれの調の音階構成音の位置」等,別の角度(「概括的」な角度?)からも見るようになればより合理的に読譜できるようになります。
順序として,理論上は「それぞれの調の音階構成音の位置」が最初のほうに来るべき気もするので,邪道かも知れないと書きました。
(2)可能です。
(3)その部分自体の弾き易さ,前後との兼ね合いから決まると思います。ちなみに「左手全体のポジション」から考えるのではなく,「各音に対して押さえるフレット」から考えていいと思います。
(1)について,「どうやって慣れるか」ですが,「ある1種類の運指じゃないと弾けないような楽譜」よりも「運指が何通りも考えられる(簡単な)楽譜」をこなすほうが慣れやすいと思います。ちなみに,TAB譜があるのならそれを活用するに越したことはないと思います。我慢して五線譜しか見ないより合理的に曲を修得できるわけですから。というわけで逆に,TAB譜が付属してない楽譜を用いたらどうでしょうか。
特に(1)については分りにくい質問であったにもかかわらず、丁寧かつ的確なご回答ありがとうございました。
やはり一義的な思考というよりは、二つの考えを代替的に活用していく方が合理的な様ですね。
また、絶対的な位置情報と相対的な位置情報から導出される候補というお話は、感覚レベルにまで踏み入ったもので興味深かったです。いずれにしても指板全体を通じて自分の弾いている音を瞬時に把握できるようなスキルは最低限必須のようですね。私の場合、まだ場所によって1,2秒かかってしまうこともあるので、まずはそこを解消することから始めようと思います。そうすれば(3)についても実践できそうです。
No.1
- 回答日時:
自分はクラシックギターを弾くので、その範囲で答えます。
(1)ギターであっても、初めて楽譜を手にした時の作業はピアノと同じですよ。。。テンポの速い曲だって同じです。最初はゆっくり始めて、練習を重ねるうちに速度を上げていくやり方です。基礎もできてないのに難しい(しかも速い)曲を演奏するのはどんな楽器でも困難だと思います。
2)楽譜が読めるのとピアノが弾けるのは全く違う技術ですよ。アルファベットが判別できるのと英語・フランス語等アルファベットを使う言語が話せるのとは違うのと同じです。
(3)古い楽譜はまだしも、ちゃんとした会社が発行している楽譜にはポジションが表記されています(ローマ数字で)。同じ音でも違う弦で弾ける場合は、自分が楽に弾ける場合を選びますが、曲によっては作曲家の意図が反映されて、ポジションが限定されている場合があります。
(4)音一つ一つを丁寧に身ながら指使いを探ります。多くの場合は、普通のコードと同じような形になるのでいいのですが、場合によってはかなり無理な形になる場合があります。確かに、ピアノのようにはできませんが、それと同時、ピアノにはできない、同じ音を違う弦で同時に出すことも可能なので、そういった意味では面白いですよね。コードからコードへ移動するときは、なるべく音が切れないように訓練あるのみです。。。ピアノみたいにペダルが無いですから。
(5)プロの域に達すれば、ある程度の楽譜はぱっと弾けるのだと思いますが、初めての楽譜はやっぱり音をとる段階があると思います。ただ、ピアノと違って、ギターはコードの形と音階の指使いがある程度決まっているので、慣れてくると早く音をとることは可能になります。
まあ、どんな楽器でも熟練するまでは練習あるのみですが、ギターの場合、最初のステップに慣れるまでが時間がかかるのかもしれません。何事も慣れです。
(3)ポジションが限定されている場合がある
(4)一つ一つを丁寧にみながら指使いを探る。多くの場合普通のコードと同じになる。
(5)コードの形と音階の指使いがある程度決まっているので、慣れてくると意外に早く音をとることは可能になる。
等貴重なアドバイスになりました。
やはり地味な作業をどれだけ継続できるかが物事の上達のポイントなのですね。幸いそういう作業は性に合いそうです。
クラシックの基礎教材も練習のルーティーンに取り入れて頑張ってみます。
迅速かつ丁寧なご返答ありがとうごいました。
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