歴史の扉
古代史を初め、歴史の秘密の扉が開かれて解き明かされることは、素人にはとても楽しいものです。
ハインリッヒ・シェリーマンのように伝説を遺跡発掘で跡付けることはこれからも起るのででしょう。
日本史でも特に古代の事情や記紀の記述を、いろんな伝説や神社に伝わる話などで解き明かそうという努力がなされています。
びっくりするような発見もあるようです。
それはそうとして、古代史の解明の方法として神話や伝承、記紀・万葉の解釈などを使う事はどの程度確実性があるのでしょう。
そこにおいて注意しなければいけないことはどういうことがありましょう?
No.1
- 回答日時:
そういった方向からのアプローチは主に市井の人々や作家などの手によってよくなされています。
それに対する学会の態度は文字通りの無視であるといえると思います。学会の肩を持てば、根拠の検証のしようがないということだと思います。ストーンヘンジは宇宙人が作った、などといってもはあそうですかというしかないですよね。まあそういう珍説・奇説扱いになるということです。
日本古代史における資料は古事記と日本書紀であり、ほとんどこれに頼っています。しかし、ご存知のように古事記も日本書紀も「大本営発表」であり、かなりの捏造と歪曲がされているものです。冷静な視点に立てば双方とも優れた資料とは言い難いのですが、他に資料がないため頼るしかありません。
その現状について古代史に関する著作もある、あるSF作家は「自分の説を専門家にぶつけてみたら『そんなことは古事記にも日本書紀にも書いていない』と一笑に付された。まるでそれらに書いてあることが全て事実であるかのようだ」と嘆いていました。
しかし近年、遺跡発掘などの考古学発見が相次ぎ日本古代史は大きく変わりある状況です。特に三内円山遺跡と吉野ヶ里遺跡の発見は非常に画期的で、今まで貧しい狩猟生活を送っていたと思われていた縄文時代の東北が実はとても豊かだったと歴史が大きく書き換わりました。
今後も様々な考古学発見に期待がかかりますね。それにしても聖徳太子が教科書から消えそうとは、お札を知る世代にとってインパクト充分ですね。
この回答への補足
歴史学と哲学、そして宗教って、とても各個人的ですね。
そしてどの程度説得力や通用性があるかって、何か賛同者がどの程度いるかって。
国がなくなっても、真理は真理だ、というような真理性の世界ではないような気がしております。
ご回答をありがとう御座います。
歴史、特に古代史は根拠とするものがなく、それだけにいろいろ画けるとしまた何が本当なのか難しいですね。
でも何何はこうなんだ。というはっきりしたことを私たちのような受け手は欲しいですね。
特に聖徳太子はこうだった、とかいろんなことが言われてきていますので、それは実はこうだったとか、そうでないのだ、というはっきりしたものが欲しいのが人情ですね。
神話や神社の言い伝えなどを整合的に読み解き、実はこうなんだという話はとても説得力があるのですが、よく考えると、神話と神社の言い伝えですから。
無論、それが事実を全く伝えていないとはいえませんし、その内容から本当の史実の手掛かりがあるかも知れませんね。
歴史って本当に難しいですね。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
「シュリーマンのトロイア発掘」は有名ですが、考古学が未成熟な時代でもあって世に喧伝されていることと事実や学術研究が食い違うことはよくあります。
シュリーマンも複数の時代の異なる遺構をトロイアの時代のものにしてしまったという誤認があります。
また今日に至るまで膨大な出土品のなかに「トロイア」の名前が書かれている資料は見つかっていないそうです。
「三内丸山遺跡や吉野ヶ里遺跡が縄文観・弥生観を変えた」とも言われますが、学術的にはそれ以前から指摘・研究されており、「ビジュアル的にわかりやすい形で見つかった」というのが実態です。
さて本題の「日本古代史を研究する時の注意点」ですが、まずは「先行研究の精査」です。
現在の定説が導きだされるまでには様々な研究・論争があることが多いです。
これを無視して「この定説はおかしい」とするのは論理的ではありません。
学史を精査した上で「この部分のこの論法がおかしいから定説に誤りがある」としなければなりません。
アマチュア研究者の陥りやすい間違いとして「自分の思い付きを裏付けの無いまま根拠にしてしまう」ということがあります。
「万葉集には暗号が隠されている」などというのがその典型です。
先行研究を精査すれば言葉や用例が精緻に研究されていて暗号が入り込む余地がないことがわかるはずです。
また土偶などもしばしば「宇宙服を着た人物」との主張がありますが、ごく一部の資料だけを取り上げ、その時代の文化・精神的成熟度を考慮しないままに印象だけで主張するためにそのような妄説が生まれてしまうのです。
次は基本にして根幹をなすもの「客観的証拠と論理的仮説」です。
アマチュア研究者の主張でしばしばみられるのが「○○でないのはおかしい」「○○であったはずだ」というものです。
確かに仮説として「確認されていない事象を想定する」ということはありますが、これがエスカレートすると「想像に基づく妄説」になってしまいます。
わかりやすい例で言えば「上杉兼信は女だった」というような珍説です。
日本古代史では文献資料が少なく、日本書紀や古事記なども8世紀になって編纂されたものであるため、どこまで史実が書かれているかわかりません。
かといって文献がないことを証拠もなしに主張して良いなら「なんでもあり」になってしまい、「九州に王朝があって倭国の盟主だった」「東北にも王朝国家が存在した」などと奇説が主張できてしまいます。
きちんと客観的な資料を提示し、論理的に導きだした仮説でなければ珍説・奇説あつかいされます。
アマチュア研究者の意見が無視されるのは「アマチュア研究者だから」ではなく「研究内容がアマチュアレベル」だからです。
「趣味で絵を描き個展も開いている」のと「絵描きとして絵が評価されている」のとの違いです。
これもよく「ゴッホは生前一枚の絵も売れなかった」と言われますが、「ゴッホは死後に評価された」ということであって「生前に一枚の絵も売れず評価もされていない無名画家」は多数いるはずです。
いずれにせよ「学術的な方法論での研究」でないとまともな研究にならないことは確かです。
この回答への補足
歴史学、哲学、そして宗教。これらは非常に各個人的ですね。
どちらかというと文学や芸術に近い感じがします。
どの程度説得力や通用性があるのか。
賛同者がどの程度いるか。
そんな世界のような感じがします。
人間という意識存在の事柄でしょうから、人類が居なくなっても真理は真理だというような真理性の世界ではないのでしょうね。
構成、紡ぎ出し。人それぞれの真理。という世界なのでしょうか?
ご回答ありがとう御座います。
有名な「シュリーマンのトロイア発掘」も、考古学が未成熟な時代でもあって世に喧伝されていることと事実や学術研究が食い違ってきているのですね。
【複数の時代の異なる遺構をトロイアの時代のものにしてしまったという誤認】、【今日に至るまで膨大な出土品のなかに「トロイア」の名前が書かれている資料は見つかっていない】のですか。
私は単に受け手ですが、喧伝といっては語弊もありましょうが、【「三内丸山遺跡や吉野ヶ里遺跡は縄文・弥生」の「ビジュアル的」側面というのが実態】なのですか。
それはちゃんと訓練されたかたでないと、「先行研究の精査」は難しいでしょう。その研究と論争を無視しては、学術の認識としては無理が生じ、且つ、通用はしないものでしょうね。
アマチュア研究者はどうやって、「自分の思い付きを裏付けするか」が困難なるが故に省きますし、だから私達には読みやすいです。
「万葉集には暗号が隠されている」も、「土偶は宇宙服を着た人物」というお話も接した事があります。
「ごく一部の資料だけを取り上げことを戒め、その時代の文化・精神的成熟度を考慮」することがとても難しい。
【アマチュア研究者の主張でしばしばみられるのが「○○でないのはおかしい」「○○であったはずだ」というもの】という推論の仕方はよく見かけますね。
九州王朝や東北王朝国家説もびっくり仰天ですが、その批判をする力が私達、受け手には欠如しています。
でも俄に飛び込む前に勉強もしなければいけないのですね。
ロマンを掻き立てて信仰するのは禁物ですね。
それにしても歴史の勉強は難しいですね。
ありがとう御座いました。
単にロマンや自分の思想観念の補強のために、歴史が好きというのはとても危険ですね。
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