No.3ベストアンサー
- 回答日時:
恐らく質問者様が求めている答えではないとは思いますが、腸管内の防御因子には以下のようなものがあります。
物理的防御
・粘液
・腸絨毛の上皮細胞の入れ替わりの加速
特異的免疫
・パイエル板
・各種免疫グロブリン
非特異的免疫
・ディフェンシン、リゾチウムなどの抗菌物質(補体)
・遊離型TLR
物理的防御は分かりやすいですね。粘液で細菌を押し流したり、上皮細胞を積極的にアポトーシスさせることで上皮細胞に取り付いた細菌を引きはがすわけです。
小腸の中でも十二指腸や空腸ではこれらが発達しており、細菌の定着を許しません。
細菌が腸絨毛に多量に接着すると上皮細胞上のTLRが刺激され、粘液の分泌や細胞の入れ替わりの亢進が起きるのではないかと推測されていますが、厳密には不明です。
ちなみに粘液は上皮細胞の一種である杯細胞やパネート細胞などから分泌します。
一方、回腸や結腸では細胞の入れ替わりが緩やかであるため、細菌が定着しやすいです。
TLRとは腸上皮細胞の細胞膜表面に発言したり、遊離型が全身の各種分泌腺から分泌されており、LPSやペプチドグリカンなど、細菌の構成物質と反応するレセプターで、細菌の種類に合わせて様々な種類があります。
遊離型のTLRには細菌の弱毒化の効果もあるようです。
上皮細胞などはこのレセプターの信号で細菌の量を分析していると考えられています。
特異的免疫は、一般的によく言われる免疫系ですね。
パイエル板(腸)や扁桃腺(喉)など、人体には積極的に外部物質を取り込み、リンパ球に触れさせて外部物質の抗原分子パターンを分析する組織があります。
ここで得られた抗原の情報を元に各種免疫グロブリン(IgG、IgM、IgAなど)を消化管内や口内、皮膚表面に分泌します。
これには単純な抗原に対する攻撃ではなく、体に害のない物質を見極め、そういう物質には免疫を抑制するという免疫寛容という機構もあります。これはアレルギー症状の抑制につながるとして研究されてますね。
非特異的免疫系は細菌に障害作用を持つ物質、デフェンシン、リゾチウムなどを分泌する作用です。これらは細菌を化学的に破壊する作用があり、パネート細胞から分泌されています。
腸ではこれらの防御機構によって細菌数を調節しているようです。
また、グラム陰性菌と陽性菌など、菌の種類によってそれぞれの防御系は効果が違いますので、細菌の種類も制御していると考えられています。
しかしながら具体的にこれらの防御機構がどのように調節され、どのように働くことで腸内フローラを適切に制御しているかは分かっておらず、各研究組織にて研究されています。
この回答へのお礼
お礼日時:2010/08/10 17:43
丁寧なご回答ありがとうございます。
菌種によって免疫寛容のON/OFFが変わるんですね。有用な菌には共通の膜構造やなんかがあるのでしょうか。不思議です。
No.4
- 回答日時:
書き忘れましたが、No2さんの仰っている、無害な菌を増やして細菌自体の拮抗作用によって腸内フローラを制御させるというのも大変重要な防御因子です。
TLRは種類によって認識する菌の種類が違うので、恐らく比較的無害な菌を残し、害の強い菌を排除しようとする機構も存在すると考えられます。それは免疫グロブリンや抗菌物質の種類を調整したり、有害な菌の増殖を確認すると各防御機構を亢進していると思われるのですが、では、どうやって害のある菌と弱い菌を見極めているのか、などのシステムについてはまだまだ不明なことがたくさんあります。
No.2
- 回答日時:
1つには、消化管はある意味「体外」であり、「免疫系」=白血球や
リンパ球は、腸壁を越えて腸管内まで出張しません。
(逆に大腸菌などの常在菌が腸壁を越えて侵入すると「免疫」します)
もし、免疫系が腸管内にまで効力があるなら、有害な細菌が侵入して
きた時に自力で撃退できるので、逆に、腸内細菌など必要ないのです。
自力で守れないからこそ、とりあえず害のない細菌に繁殖してもらって、
有害な細菌が侵入してきても、増える余地がないようにしているのです。
この回答への補足
>もし、免疫系が腸管内にまで効力があるなら、
腸管免疫系の担当細胞の存在があると思うのですがどうでしょうか。
腸管マクロファージなど。
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