No.1ベストアンサー
- 回答日時:
自分にわかる範囲で回答する。
前回も書いたが、本質問に対する明快な答えを持っているわけではないので、同じクラスの友達に休み時間に質問する程度の期待感で、読んでいただければ幸いである。>この場合には受付番号で先後を決するのでしょうか?
仮登記で順位が保全されている等、特段の事情がない限りは、受付番号で登記の順位は決まる。
>これが建物の二重賃貸借の場合ですと建物への賃借権の登記と建物の占有の先後で決することと思いますが、両者が対抗要件を同日に備えた場合にはどのように決着するのでしょうか。
民法および不動産登記法は、同日の場合の規定を特に設けているわけでなく、登記と占有の先後で決するというほかはない。最終的には裁判所の判断。
私見を述べさせてもらえるならば、同日の中でも、時刻による先後で決まるはず。実際に時刻を確定するのは困難だろうが、二重譲渡において、「先後不明」という判例は聞いたことがないために、何らかの判断は下されているはず。
「「債権譲渡における対抗要件をめぐって」ということで(中略)場合によっては二重譲渡もあり得るとか、いろいろなケースを想定して詳細な御議論の中で(中略)それぞれ到達時点とか、一日というスパンの中でいつ新聞が配達されたのかとか、今度は登記はその月の日時まで入れた登記になるというようなことがあったとしても、二重譲渡とかその他いろいろ万が一あった場合の権利関係というのは、結局最終的には裁判所という問題になるのかと思います」(平成十年六月四日 国会の法務委員会の答弁)
「登記官が登記申請を受理し、登記識別情報を通知し、または登記済証を交付したとしても、登記簿に登記事項が記録されなければ、登記したとはいえず、対抗力は生じない(大判大7.4.15)」
建物の占有が「いつの時点(時刻を指定できるもの)で開始と言えるか」を明確にした判例は見つからず。
追伸
「PART2:物上代位における差押の趣旨について、特定性維持説等の議論」
の補足に対するコメントを考えているうちに、締め切られてしまった。再度質問していただければ、時間はかかることをご承知いただければ、いずれは回答したい。
懇切丁寧かつ貴重な回答を有難うございます。
ご回答の趣旨、前回も書せていただきましたが、私の最も望むところです。
そうですか、事案のような建物の二重賃貸借の場合の判例等の資料はやはり
ないのですね。
事案設定として無理がありますし、机上の空論に近いのかもしれませんね。
また仰るように、やる気になれば、なんらかの形で優先順位を確定すること
も可能かもしれませんね。
郵便局には、配達の内部的な記録とかあると思いますし、受付番号で何時ぐ
らいのものかもある程度は推定できるように思います。
似ているといえば、債権譲渡が二重に行われた場合で確定日付のある通知が
同時送達された場合でしょうか。
この場合には、第三債務者はいずれに支払ってもよく譲受人間では不当利得
で(1/2づつ)決着したかと思います。
そして、譲渡人に両者は1/2の債務不履行責任を請求出来るということで
しょうか。
当案件の建物の二重賃貸借の場合には、両賃借人間では対抗関係に優劣がな
く排他性がないことから、両賃借人間では賃借権の物権化は不十分であり、
本来の債権の原則どおりに、賃貸人の履行によって決するということも考え
られます。
また、一方に履行があった場合に他方との間に利得・損失の関係を認めるの
も難しいように思います。
結局、他方の人は賃貸人に債務不履行責任を追及するしかないように思えま
すし・・んんんん。
判例等がない以上は、公平な結論になるように、自分の思うとおりに書けば
よいのかもしれませんね。
追伸:「PART2:物上代位における差押の趣旨について、特定性維持説
等の議論」につきましては、大変に失礼をしてしまいました。
あまりにも突っ込みどころが満載すぎて回答しずらいかと想像いたしまして、
締め切ってしまいました。
以前の回答でもご指摘がありました先取特権につきましては、それをよく知
らないままに、また債権者が競合している場合についてもよく知らずに、ざ
っくりとした記述になっていたことの反省もありまして、ここ数日は、その
辺を少し調べたいと思っておりました。
折角のご好意ですので、「PART2:物上代位における差押の趣旨につい
て、特定性維持説等の議論」につきましては、再度投稿させていただきたい
と存じます。
No.4
- 回答日時:
>言い換えれば、対抗力が生じるのは、公示されるとき、即ち登記簿に登記事項が記録されたときであって、申請日でも登記済証/登記識別情報が交付・通知された時でもないと理解しているのですが、いかがですか?
判例の原文を読んだわけではないので、間違った理解をしていたら申し訳ありませんが、その判例は、たとえ登記済証を交付したとしても、登記簿に記載されていない以上、公示されていませんから、対抗力が生じないといっているだけであって、きちんと、登記簿に記載されて公示されている場合に、いつの時点から対抗力が生じるかまでは言及してはいないのでないでしょうか。
権利の登記の登記事項である受付年月日及び受付番号は、申請時に付される受付年月日及び受付番号と全く同じです。そして、表示の登記と違って、「登記の日付」なるものは、権利の登記事項にはありません。
それから、権利の登記の申請日に対抗力が生じないとすれば、不都合が生じます。例えば、所得税の法定納期限等前に抵当権設定登記を申請したのに、たまたま、登記件数が多い時期だったので、登記の処理が遅れ気味であり、実際に登記が完了したのが法定納期限等後になってしまった場合、その抵当権は当該国税債権に優先できなくなってしまいます。
ですから、権利の登記がなされた日は、実際には申請日の数日後に登記が完了していたとしても、申請日に登記がなされたという扱いになります。ただ、申請されてから実際に登記が完了するまで登記簿を公開すると、第三者が何の登記もまだなされていないと誤信するおそれがあるので、登記の処理が完了するまでは、「登記中」を理由に登記事項証明書や要約書は交付されません。
>これは正直意味がわからないのですが、「占有の開始」の時点を、「引渡」の時点とするということですか?そして、結局は「引渡し」の時点と、登記による対抗要件の具備の先後で決めるという理解でよろしいですか?
そのとおりです。ぱっと思いついた回答なので、余り深い意味はありません。「賃貸借契約にもとづく引渡し」を念頭には置いていたので(「動産の対抗要件」は蛇足ですね。)、御相談者の「貸主の履行があった方」と言っている意味は同じになるでしょうか。
No.3
- 回答日時:
他の回答者に質問するのは、掟破りでありご不快に感じられたら申し訳ない。
#2の回答者の方へ
>権利の登記の場合、登記申請をした日(受付日)に登記がされるという建前がとられている(中略)上記の理屈を通せば、平成22年9月21日に賃借権設定登記がなされたことになりますから(対抗要件を具備)
とありますが、これは本当ですか?自分が知る限り、
前回も書いた判例ですが、登記は公示されるから対抗力を生じるのであって、
「登記官が登記申請を受理し、(登記識別情報を通知しまたは)登記済証を交付したとしても、登記簿に登記事項が記録されなければ、登記したとはいえず、対抗力は生じない(大判大7.4.15)」
言い換えれば、対抗力が生じるのは、公示されるとき、即ち登記簿に登記事項が記録されたときであって、申請日でも登記済証/登記識別情報が交付・通知された時でもないと理解しているのですが、いかがですか?
なお、質問文に「同日に備えた場合」と書いてあるので、前回はあえて書かなかったが、実は何をもって「同日」とするのかも難しい。登記申請日の数日後に占有を開始したとしても、おそらくは占有者の方が先に対抗要件を備えたことになるはず。
>私の勝手な意見ですが、他の基準を持ってくるしかないと思います。例えば、本来は動産の対抗要件ですが「引渡」を基準にするとかです
これは正直意味がわからないのですが、「占有の開始」の時点を、「引渡」の時点とするということですか?そして、結局は「引渡し」の時点と、登記による対抗要件の具備の先後で決めるという理解でよろしいですか?この理解は自分にとっては自然だが、回答を読む限りどうも異なる主張をなさっているように思われるので、質問させて頂きました。
以上2点、ご回答頂ければ嬉しく存じます。
No.2
- 回答日時:
>建物を所有を目的とする土地の二重賃貸借の場合には、土地への賃借権の登記又は建物登記の先後で決するとのことですが、この場合には同日に両者が登記を備える場合が考えられますが、この場合には受付番号で先後を決するのでしょうか?
非常に難しい問題です。建物の登記を所有権保存登記といった権利の登記を想定して質問していますよね。でも、借地借家法の対抗要件としての建物の登記は、表示の登記(建物表題登記)でも良いと解されています。
まず、建物表題登記の受付日及び受付番号は登記簿には記録されていません。(申請書には受付日と受付番号のシールが貼られますが。)
一番の問題は、表示の登記と権利の登記とでは「登記される日」の考え方が違うと言うことです。権利の登記の場合、登記申請をした日(受付日)に登記がされるという建前がとられているので、実際には受付日から3日後に登記官が校合して登記が完了したとしても、いわば、受付日にさかのぼって登記の対抗力が生じることになります。ところが、表示の登記の場合は、登記官が校合して登記が完了した日が登記された日になります。
そうすると、平成22年9月17日に表題登記の申請をしたところ、平成22年9月21日に土地の賃借権設定登記の申請がなされたが、表題登記は平成22年9月22日に、賃借権設定登記は平成22年9月24日にそれぞれ完了した場合、上記の理屈を通せば、平成22年9月21日に賃借権設定登記がなされたことになりますから(対抗要件を具備)、建物の所有者の土地賃借権は登記された賃借権に対抗できないということになり得ます。それを妥当とすべきか。
>これが建物の二重賃貸借の場合ですと建物への賃借権の登記と建物の占有の先後で決することと思いますが、両者が対抗要件を同日に備えた場合にはどのように決着するのでしょうか。
理論的には「時間」の前後になるかもしれませんが、実際上は困難ですよね。文献を詳しく調査していませんし、判例も(おそらく)ないですから、私の勝手な意見ですが、他の基準を持ってくるしかないと思います。例えば、本来は動産の対抗要件ですが「引渡」を基準にするとかです。これですと、賃借権設定登記を受けただけの人は負けてしまうことになるでしょうが。
いつも、懇切丁寧かつ貴重な回答を有難うございます。
1.なるほど、表示の登記ということになると話はやっかいなのですね。
2.後半の建物の二重賃貸借について、引渡しを基準にするというのは、興味深
かいですね。
これは、貸主の履行があった方という言い方も可能でしょうか。
事実上、建物を使用収益させていますものね。
「他方の賃借人A」は、引渡しを受けている「一方の賃借人B」の占有を排除す
ることが出来ないかを考えてみました。
まず、「他方の賃借人A」には占有はありませんので、占有訴権によることは出
来ません。
次に、賃貸人との賃貸借契約にもとづく建物を使用収益する債権を保全するため
に、賃貸人の所有権に基づく物権的返還請求権を代位行使することが考えられま
すが、賃貸人には「一方の賃借人B」にも建物を使用収益させる債務を有してい
るいじょうこれも無理であると思われます。
さらに「他方の賃借人A」は建物賃借権に基づく返還請求権を行使することが考
えられますが、この場合、「一方の賃借人B」との間では、対抗力に優劣がつけ
られらないために、排他性を備えておらず、やはり行使できない。
つまり、「他方の賃借人A」は「一方の賃借人B」の占有を排除する手段がない
と言え、「一方の賃借人B」の賃貸借契約が固定化するということが出来るでし
ょうか。
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