「無効を主張」と「無効を対抗」の違いについて
行政書士の平成20年度の問題で、
Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。
というのがあります。
この答えで、
ウ Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができる。
↓
○
で、
オ Bの一般債権者FがA・B間の仮装売買について善意のときは、Aは、Fに対して、Fの甲上地に対する差押えの前であっても、A・B間の売買の無効を対抗することができない。
↓
×
となっています。
ウの「A・B間の売買の無効を主張」は誰でも出来る、というのは分かったのですが、
オの「A・B間の売買の無効を対抗」は第三者にしかできない、との違いが分かりません。
「無効を主張」と「無効を対抗」の違いについて教えていただけないでしょうか。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
ANo.1です。
補足質問について追加します。まず、「無効」とは、誰からの主張がなくても当初から効力を有しないことを意味し、誰からでも主張できることが原則となっています。
従って、「誰でも出来る」という理解で良いかと思います。
次に、民法94条2項についてです。同項は、
「虚偽表示の当事者(A・B)は、善意の第三者に対して虚偽表示が無効であることを主張できない」
ことを意味するものとされています。
(ちなみに、「善意の第三者は、当事者(A・B)に対して虚偽表示が無効であることを主張できる」と解されています。)
従って、「『誰でも出来る』の例外が述べられている」という理解で良いかと思います。
最後に、「善意の第三者が、当事者(A・B)に対して虚偽表示が無効であることを主張すること」について考えてみて下さい。
第三者とは、「虚偽表示の当事者及びその包括承継人以外の者で、虚偽表示によって生じた法律関係に基づいて、新たに法律上の利害関係を有するに至った者」をいいます(大判大5・11・17、最判昭42・6・29、最判昭45・7・24)。
第三者が虚偽表示を無効であることを主張すれば、新たな法律上の利害関係をも否定することになります。
前回の回答に沿って考えると、虚偽表示による譲受人(B)の債権者で、虚偽表示の目的物(甲土地)を差し押さえた者(F´)にとって、AB間の売買取引の無効は、差押が否定されて債権の回収が図れないことを意味します。F´にとっては、売買取引が有効であることが必要なのです。
従って、善意の第三者が、当事者に対して虚偽表示が無効であることを主張することは可能であるが、そのような不合理な行動をとることは殆どない、という結論になります。
ご回答の内容は良く分かったのですが、実はますます頭が混乱しています。
そもそもこの問題で混乱したのは、選択肢の書き出しが、
ウ Aの一般債権者D
オ Bの一般債権者F
ということで、A、Bが当事者となると、同様の意味があると思っていたからです。
申し訳ありませんが、今までの質問、回答はここで閉めさせていただき、新たな質問として再掲載したいと思います。
dh98mosquito様、もしよろしければ、再びお答え願えないでしょうか。
No.1
- 回答日時:
「無効を主張」=「無効を対抗」の理解で良いと思います。
各設問の正誤の根拠は、次のようになります。
〔ウについて〕
虚偽表示の原則に沿った設問です。
まず、民法94条1項により、A・B間の売買は無効です。
従って、Dは、Aに代位して、Bに対して甲土地の返還を請求できます(債権者代位権、民法423条)。
答えは○となります。
〔オについて〕
「第三者」の範囲を問う設問です。
まず、「虚偽表示による譲受人(B)の債権者(F)」であれば、
・第三者に該当する:虚偽表示による譲受人(B)の債権者(F)で、虚偽表示の目的物(甲土地)を差し押さえた者(最判昭48・6・28)
・第三者に該当しない:虚偽表示による譲受人(B)の債権者(F)
に分類できます。
これは、Fが善意の第三者として保護されるには、虚偽表示の目的物に対して具体的な利害関係を有するに至らなければならない(=差押が必要)、との解釈によるものです。
従って、Aは、差押えの前であれば、Fに対して、A・B間の売買の無効を対抗(主張)することができます。
答えは×となります。
分かりました。ありがとうございます。
私が質問した、
「ウの「A・B間の売買の無効を主張」は誰でも出来る、というのは分かったのですが、」
の「誰でも出来る」
というのがそもそもの間違えなのでしょうか。
無効の主張を出来る範囲は
「94条2項の第三者であること」
が条件という解釈でよいのでしょうか。
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