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現早大の野口悠紀雄教授の「緊急提言:電力需要抑制のために価格メカニズムの活用を」<http://diamond.jp/articles/-/11520>についての質問です。

上記のコラムで野口教授は「電力需要削減のため、計画停電に加え(長期的にはその代替策として)、臨時的な料金の引き上げ、または電力使用に対する臨時的な課税を行なうべしとの提案」を行っています。

価格メカニズムを利用して電力需要を抑制することは理論的にはあたりまえかと思いますが、実際に行うとすると、事故の当事者である東電が価格を上げることに対して消費者やマスコミから強い反発が予測されますし、課税方式を取るとなると課税分は復興費に充てられるでしょうから(それ以外はやはり反発が多くなり困難かと思います)そうなると電力の消費は政府を通した寄付と同じ意味を持つことになり消費者や企業にとって電気を使うことのインセンティブになってしまう可能性もあるかと思います。課税の場合は、結局は抑制が強く出る価格以上を課税すれば抑制効果が出るのでしょうが、それがいくらなのかは事前には予測できないでしょうから、やってみてその価格を探るということになるかと思います。だとすると施策というよりは社会実験になってしまうように思います。

経済学がご専門の皆様に質問なのですが、このように考えてしまうことは「経済学的」ではないのでしょうか。それとも「経済学」の範囲内の思考なのでしょうか。また範囲の問題ではなく小生の思考に経済学的な誤謬ないしは勉強不足がある場合は、具体的にご指摘頂けないでしょうか。なお、小生は十数年前に経済学部以外の学部で経済学の授業を取ったというレベルの経済学素人です(現会社員)。喫緊の社会問題に対して経済学が有効なものも多いかと思っており、経済学的な思考を早急に鍛える必要性を感じています。よろしくお願い致します。

A 回答 (6件)

>このように考えてしまうことは「経済学的」ではないのでしょうか。



 「価格メカニズムの採用は無理」で思考停止するのではなく「価格メカニズムの活用は有効な可能性が高いが、色々問題がある」と考える事は十分経済学的であると考えられます。

>消費者や企業にとって電気を使うことのインセンティブになってしまう可能性

 寄付したければ直接寄付したほうが効果が高いので、電気を使う事が間接的に寄付になる事による消費増大はそれほどないと思いますが、「相応の対価を払っている」という事で節電をしない事の罪悪感が減ってしまい、消費電力量が増大する可能性はあるかと思います。遅刻に対して罰金を取ったら、罰金を払えばよいという事で遅刻が増えた・・・というようなテーマはアメリカの経済学者が喜んで取り上げる課題であります。

 あと、
>消費者やマスコミから強い反発が予測されますし

 という点は、直接は経済学に関係しませんが、間接的には、高所得者や大企業よりも低所得者、中小企業の方が、価格の変動によって消費量を変えにくい(前者は自家発電や、大規模な節電、他のエネルギーへの投資、あるいは個人であれば、「外食に出かけて家の電気は使わない」というような感じで電力消費量の増大を比較的簡単に抑制できる)だろうという、経済学でもある程度分析されている事象に関係して発生するものかと考えられます。


 ちなみに、計画停電における価格メカニズムの導入については(こちらは受付終了という事で余談ですが)、リアルタイムでやると株式市場のように乱高下を招く危険性もありそうですし(東電の株は震災直後そんな感じで取引がストップしていましたし・・・、貯蔵できない電気に関してはそれほど極端にはならないと思いますが)、開設時間が限定されている株式市場ですら頑強な取引システムを構築するのが困難なのに、価格計算を行うシステムの構築を行うというのは非常に困難な気がするので個人的には否定的です。今回質問に出た野口氏が控えめな提案に切り替えたり、いつもは毒舌の池田信夫が控えめな提案(固定税率の電力税課税)にとどめたのも、そのあたりが影響しているのではと考えられます。

この回答への補足

実は昨日、書店でいろいろと経済学の教科書を見比べてきました。最近のは、実践にずいぶん力点が置かれていて、サラリーマンとしてはうれしい限りです。昨日はお金の持ち合わせがなかったのですが、今日これから八田ミクロと齋藤太田岩本柴田マクロを買って、四月から行き帰りの通勤電車で基礎から経済学を勉強しなおそうと思っています。仕事に直接間接に役に立ちそうです。

補足日時:2011/03/27 10:08
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この回答へのお礼

どうもありがとうございました。
十数年ほったらかしにしていたサラリーマンの教養レベルの経済学について、劣化の具合と劣化箇所の自己点検に乗り出す道しるべとなる回答を頂きました。

価格計算を行うシステムの短期構築は不可能というご指摘も、友人が取引所のシステム構築に従事していたので、大いに納得できます。やはり、短期の施策ではないのですよ。与謝野さんももう少し待ってから発言すべきでした。:-)

新しい電力料金施策については、一部の携帯電話料金プランにあるように、節電をした人には値下げとなり、多く使った人には大幅値上げとなるようなものにすべきだと思いますが、こういった主張はピグーや価格差別(化)の理論をよくよく勉強してから発言しないと池田先生にめちゃくちゃ怒られる(もちろん面識はありませんので比喩です)といったこともちょっと調べてわかってきました。どうもありがとうございました。これから書店に行ってきます。

お礼日時:2011/03/27 10:02

そうですね。

当然電気料金は中期対策です。
もっと具体的にいえば夏場への備えです。
電気料金を上げるなどというのはすぐにできることではありませんから、当然中期以降の備えです。


原子力については少々被害を大げさに捉えずぎのように思います。
今回の事故を除けば日本で原発事故で死んだ人は2人だけですし、今回の事故でも具体的な人的被害はそれほど多くないと思っています。
その上で私は発電の中で一番有望なのは小型発電機(コージェネ)だと思います。発電において使っているのはエネルギーの3-4割ですから、これを7割程度に上げることができれば大いに効率化します。
また自然エネルギーについては、一番有望なのは太陽電池だと思います。
太陽電池がもう少し安く作れるようになってビルの壁面や窓に貼れるようになればかなりの電力をまかなえるのではないかと思っています。最近は太陽電池も様々な技術が開発されていますし、そろそろブレイクスルーして欲しいと思います。
潮力は発電量が不安定ですし規模も原発をまかなえるレベルではないと思います。

この回答への補足

「社会実験」については、「いったいいくら課税したら十分な節電が可能なのか。その価格で弊害がないのかやってみないとわからない」ような効果が得られる着地地点が不明確なことを緊急時にやるべきではない、という思いから反対と書いたので、中長期には消費者のデメリットをメリットが上回るのなら全然アリだと思っています。というか、企業はそのようなこと(課税じゃなくて商品やサービスの価格設定ですけど)をマーケットを通して日々行う存在だとも言えますものね。

補足日時:2011/03/27 09:27
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
今後、日本のすべての原発をM9.0以上の地震と大津波に耐えうるように改修や立て替えを行う費用を電力価格に転嫁したら、地域によっては(電力は地域独占なので)原発分の需要は削減されてしまうのではないか、でもその場合の電力料金はジャパンプレミアムだから企業は日本から出て行くだろう、やっぱり地域独占はよくない。電気通信と同様に電力も国家によって強制的に自由化すべき、なんて思ってしまう今日この頃です。

お礼日時:2011/03/27 09:27

・企業の節電


少し訂正
誤 その上で、企業を想定するのはそれこそ現実離れしています。

正 その上で、「企業が電力に対して課税すれば電力消費が促進される」という予想はそれこそ現実離れしています。
以後同文


>まず、企業は利潤を追求する存在(ざくっと言えば、売上を最大化しコストを最小化する存在)ですから、現時点でも浪費はあまりないと考えるのが自然です。

1.オフィスでの暖房温度や照明の点灯など浪費はあります。
2.そもそも浪費の基準とは何でしょうか?現実にはあらゆる資源の利用には効率的か非効率的の違いしかありません。そして、それらは効率的:非効率的の二極化するものではなく、コストパフォーマンスに沿ってグラデーションされているのです。電気代が安ければやるけど、電気代が高ければやらないもの、電気料金5000円ならやるけど、6000円ならやらないものは沢山あります。
また節電方法にも節電にかかる費用と、節電によって削減できる電気料金を天秤にかけられた上で決められます。


自動販売機のコストは一月10000円+電気代である。
電気代が5000円ならば、月に15000円以上儲けが出るところには設置し、月に15000円以上儲けが出ないところからは撤去する。
電気代が7500円ならば、月に17500円以上儲けが出るところには設置し、月に17500円以上儲けが出ないところからは撤去する。
結果電気代が上昇した場合、自動販売機の数は減少し、電気使用量も抑えられる。

例2
オフィスの窓に断熱シールを張れば、電気代が月に1000円安くなるとします。
断熱シールを貼るには40000円のコストがかかるとします。
企業は投資のコストを3年で回収できるとします。

現時点では3年で削減できる経費は36000円です。
したがって、断熱シールに対する投資は行われませんし、電力使用は削減されません。
しかし、ここで電気代が5割上昇するとしましょう。
すると3年で削減できる経費は48000円です。
したがって、断熱シールに対する投資は行われ、電力使用は削減されます。

例3
照明を蛍光灯からLEDに買い換えれば(以下略)

例4
工場の空調や廃熱で断熱などの投資に(略)

このように企業は、『現時点の価格に合わせて最適化』しているのです。
ですから、価格が上昇すれば当然上昇した価格に合わせて最適化します。
これは原油上昇のときに何度も見られた現象であり、社会実験どころではなく歴然とした効果が実証されています。

そもそも、『夏場』に電気が足りなくなるのは家庭や企業がエアコンなどを使うからです。
それらの消費を抑えるには、政府が命令するより電気代をあげる方がずっと有効です。
「電気代上がったから冷風機買おう」という人は少なからず出るでしょう。


というわけで、事故だろうが投機だろうが戦争だろうが、供給不足に対して需要量を抑制するための手法として価格の引き上げは非常に有効です。
なぜなら価格がシグナルになり各企業、各個人が自らの行動を最適化しようとして、優先度の低いものから消費を控えたり代替して最適化するからです。



・その他
短期、中期、長期の提言にはおおむね同意です。
特に国内の電力を融通し合えるようにするべきだという意見は、今回の地震に際して自分以外で主張している人はじめてみました。
ただし、私はベースとなる需要は原子力で支え、変動する部分は水力・火力で支えるという今の方式以外ありえないとも思っています。自然エネルギーなどはその隙間に少し差し込むのが精一杯でしょう。

この回答への補足

前回、誤解を招きやすい表現ありましたので訂正します。
訂正前「野口教授が(中略)当初の主張である計画停電の代替案としての電力代値上策を修正して計画停電の補完案(主客は問わない)としての電力代値上策を論じ始めている」
訂正後「野口教授が(中略)当初の主張である計画停電をメインとしての緊急時・短期の電力代値上策を修正して、中期での計画停電の補完案としての電力代値上策を論じ始めている」

補足日時:2011/03/25 06:46
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この回答へのお礼

再度の説明、ありがとうございます。小生への「現時点でも浪費はあまりないと考えるのが自然です。」へのコメント「このように企業は、『現時点の価格に合わせて最適化』しているのです。ですから、価格が上昇すれば当然上昇した価格に合わせて最適化します。」は全く正しい指摘ですね。書き方を誤ったと反省です。小生も均衡点が移動することについては何の疑問もないのですが、例1,2,4については、初期費用がかかること実現に時間を要することから緊急時の節電対策としての価格上昇策の例にはならないと考えます(もちろんgoottttさんもそんなことは百も承知で小生が均衡点の移動について懐疑的なのではないかと仮定して教示頂いたのだと思いますが)。例3については、前述のとおり「2.民生(業務)」の話で、今回の規模の電力不足に対しての節電効果は十分ではない。
 つまり、小職の一連の疑問は、野口教授の第一回目のコラムから読み取れる「緊急時」に「計画停電」をしのぐ効果が価格上昇策にあるとするところにもあるのです。中期では有効でも短期では実現性に問題があるのではないか(短期では電力消費は価格に対して硬直性があるのではないか等)という疑問です。
 さて、「ベースとなる需要は原子力で支え、変動する部分は水力・火力で支えるという今の方式以外ありえない」については、エネルギー効率の面からそうだろうと思いつつも、今回の事故のインパクトを考えると、代替案を考えなければならないだろうな、としての拙案です。ただし、風力発電や太陽光発電で代替可能とはさすがに無理だと思うので「自然力発電」という表現にしたものです。発電設備は専門ではないのでよくわからないのですが、潮力発電などこれからのイノベーション如何では有望な代替手段もでてくるのではないかとの期待です。

お礼日時:2011/03/25 06:42

個人も企業も夫々が物事を判断する機能を備えているのです。


そしてその判断は総合的に行われます。
総合的に判断が行われるのですから、電気代の一部が被災地の復興に利用されるというだけで電力を浪費するという考えはありえないでしょう。
個々の判断でありえないのですから、誤謬も発生しません。0は幾ら足しても0です。

その上で、企業を想定するのはそれこそ現実離れしています。
企業の基本的目的は利益の追求です。
利益追求が目的ですから、家庭よりはるかに損得にシビアです。
家庭以上に損得にシビアですから、電気代があがれば家庭以上に節電に努めます。

また寄付をするほど意識の高い企業は、当然電力問題に対しても意識が高くなるでしょう。
そのような意識が高い企業が、量が限られている電力を無駄遣いしてまで浪費することが社会の貢献になると考えるほど、馬鹿ではないです。
あなたが一人の経営者になったとして考えてみてください。
電気代を無駄に使うことが社会に対する貢献になると考えますか?
あなたがそう考えないのと同じように、他の経営者もそう考えません。
寄付をするほど意識の高い経営者は、電気代を節約して浮いた分を寄付しようと考えるでしょう。

事故の責任と負担についてですが、政府に責任があったとしても増税はすべきです。
誰が良い悪いという問題があろうとも、悪者探しをしても復興のための費用も電力需要の抑制にもなりません。
重要なのは復興には金が要り、電力需要を抑制する必要があるという事実です。
電力需要を抑制する必要があり、その対策として電気代の値上げが最も有効なんですからやるべきです。
そこで得られた税収を被災地復興にあてればいいのです。
重要なのは今回の被災のダメージを最小化し、少しでも早く復興させることです。
悪者探しの責任論は「同じ過ちを繰り返さないため」の手段であり、経済復興を妨げの論理に使われるべきではありません。

その結果、政府が批判されたとしても、政府は「これがベストの手段なんだ」と説明して国民に理解を求めるべきです。


●その他
>インセンティブ
モチベーションもインセンティブの一つです。
人も企業も、金と力と情で動きます。これらは全てインセンティブです。
そして、個々の人や企業はそれらのインセンティブを総合して判断するのです。
電気代が高いから節電するのも、政府の規制が怖いから節電するのも、地球を大切にするために節電するのも、全てインセンティブにより判断した結果です。

>合成の誤謬
合成の誤謬はほとんどの場合、外部効果から発生します。(取引をした両者以外に損得が発生する場合、合成の誤謬が生まれる可能性がある)

>「理論的にはあたりまえ」と言っています。
なら社会実験でもなんでもないでしょう。

あと、英語記事を張られても少々困ります。内容を説明した上でソースとして英文ページを張るくらいにしていただけるとありがたいです。

この回答への補足

政策の是非ではなく、経済学の範囲の確認が質問の本題だったのですが、せっかくgoottttさんが自身の立場を表明されているので、フェアであるため、小生の意見も明らかにしておきます。

■短期節電策(~3か月):計画停電:(理由)アナウンス効果や前述の内容
■中期節電策(~2年程度):課税による値上げと計画停電とのミックス:(理由)前述のとおり短期では価格上昇策は弊害が多いと考える。また、価格上昇策は2年等開始時に期限を明示することが重要と考える。期限が明示されない場合、東電管轄プレミアム(東電管轄内に立地することが理由となる特別コスト)となり企業は生産拠点や活動拠点を東電管轄外に移すと思われる。また外資は東京(東電管轄)進出を再考するだろう。これは影響力が大きいため期限を明示してその間、復興に協力してもらうことが企業つなぎ止めになると思う。その意味でも電力料金の上乗せ分はインセンティブとして機能すると考える。ただしそれも2年程度が限度かと思う(株主が納得しない等のリスクがあるため)。これを逆手にとって企業の脱東電管轄を国土開発の均衡化策に利用することも可能と思うがそれはまた別の問題。電力料金値上げ策だけを行うことは、前述の理由(いったいいくら課税したら十分な節電が可能なのか。その価格で弊害がないのかやってみないとわからないため)で社会実験だと思うため反対。
■長期・超長期節電策:地域独占の廃止。東西の電圧・周波数の統一。スマートグリッドの推進。つまりは、原発のような高出力の発電所をハブ&スポークでネットワークするモデルから、自然力発電のような低出力の発電設備を各家庭、ビル単位に配置し相互に融通しあうメッシュ型ネットワークへの転換(電力の消費者と生産者が一致するため電力のモニタリングが一般的となり節電効果が見込める)。ハイエクが貨幣発行自由化論で描いたような世界感のエネルギー版のようなものがよいかと思っています。ただし、中期終了後すみやかにこのような転換を達成するのは現実的ではないので、一時的に火力発電等への依存増は中東情勢の不安定化やCO2削減目標を鑑みてもやむを得ないと考えます。

補足日時:2011/03/24 23:42
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この回答へのお礼

「電気代の一部が被災地の復興に利用されるというだけで電力を浪費する」だろうという想定は私ももとからしていません。インセンティブ=モチベーションと思われてしまったことによるディスコミュニケーションですから議論しません。

さて、「企業を想定するのはそれこそ現実離れしています。」という点については同意しかねます。
前掲の政府統計にならって電力消費を三つに分類します。これらはおおむね1/3づつ電力を消費しています。
1.民生(家庭);エアコンやTVなど家庭での電力消費。
2.民生(業務);電灯や空調、エレベータなどのオフィスでの電力消費。
3.産業;主に製造業の生産過程で消費される電力消費。
まず、企業は利潤を追求する存在(ざくっと言えば、売上を最大化しコストを最小化する存在)ですから、現時点でも浪費はあまりないと考えるのが自然です。したがって、「事故」「緊急」の際の節電は生産力の低下に直結します。企業がなるべく生産力に影響しないで節電するとすれば、「2.民生(業務)」で節電するしかない。実際、多くのオフィスでは消灯されエレベータも一部休止するなどしています。問題は「3.産業」です。ここでの電力消費はあるいみ企業活動にビルトインされていますから、容易に節電できません。計画停電がなかった場合、節電のため生産ラインを止めたりデータセンターでサーバーを止めることは考えられません。もちろん大口需要先は需給調整契約を結んでいますから、節電を余儀なくされますが、全体としてみれば十分ではありません(だから現在計画停電がなされています)。「3.産業」において電気代の上昇は価格に転嫁されることになると考えます。私が前回念頭においていたのはここのところです。「産業用は通常より高い電気代を支払うことで復興に貢献しているという名目は少なからぬ企業にとって十分インセンティブになるものと考えます。」と書いています。ここでのインセンティブは「補足」に書いたとおりエクスキューズの意味です。「少なからぬ」という所もポイントです。企業を単一の行動モデルで代表させるのは現実的でないと思うからです。端的に言えば、多くの企業にとって、短期にはオフィスでの節電には協力できても生産に関わる節電はなかなか難しい、ということです。もちろん、中長期にはコスト削減圧力が働いて、生産過程においても節電が進むと思いますが、
これは中長期的な話しです。オイルショックの際でも省エネが生産部門で結果が出るのには何年もかかっているはずです(反駁のエビデンスがありましたら明示下さい)。逆に言えば、中期的には電力料金値上げは節電に有効だとは思います。「理論的にはあたりまえ」というのは「平時」「中長期」には「あたりまえ」を含意させています。どうも見出しがミスリードさせてしまったのかもしれ
ません。「事故緊急時に節電のための電力料金値上げ策は現実的?」にしておけばよかったですね。今のタイミングでの質問の投稿ですし、教授のコラムのタイトルも「緊急提言:」とあったので前提が共有できると考えていたのがいけなかったですね。すみません。

そもそも私がこの問題を投稿しようとした動機は、「事故」(つまり予測できなかった突発事項であり、対策が緊急に求められる)の場合の節電施策として、電気料金値上げ策が有効なのか、という疑問を感じ、著名な経済学者が緊急投稿したらかにはきっと私が考えつくような疑問への解も経済学的に想定済みだろう、一般誌のコラムだからきっと割愛したのかもしれない、その割愛部分を聞いてみたいと思ったからでした。同時に、私のような疑問は経済学の範囲内ではどのように処理されるのだろう、また経済学者/経済学徒の方々はどのようにそれを回避ないしは克服しているのだろうということを知りたかったため、教授への質問という形をとらずに質問サイトに投稿しました。

さて、当の野口教授がその後のコラム( http://diamond.jp/articles/-/11597 )では「夏の電力不足が完全に解消されるわけではないとはいえ、問題はかなり緩和されることになる」という言い方で、中期節電策に議論をシフトしていること、また、当初の主張である計画停電の代替案としての電力代値上策を修正して計画停電の補完案(主客は問わない)としての電力代値上策を論じ始めていることから、「計画停電の代替案としての電力代値上策」の是非を議論することはこれで打ち止めにしたく思います。

goottttさんとの議論を通じて、自身の考えについて改めて熟考することができました。大変に感謝しております。ありがとうございました。

今後は、もともとの質問の趣旨通り、経済学の範囲の確認についてのみ、皆様のお知恵を拝借したく存じます。

お礼日時:2011/03/24 23:42

私は課税で電気料金を上げるべきだと思っています。


その上で

>そうなると電力の消費は政府を通した寄付と同じ意味を持つことになり消費者や企業にとって電気を使うことのインセンティブになってしまう可能性もあるかと思います

これはあまりにも現実離れしているかと、電気が足りないのはみんな知っているのですから復興のことを真剣に考えている人は節電に努めるでしょう。一人の人間として考えてみてください。電力課税がインセンティブになると思いますか?寄付したいと思うほど関心の高い人は節電して、その分寄付をするでしょう。
問題は電力需要などのことに無関心で節電に協力しないやつらです。
そういうやつらでも電気料金を上げれば節電するでしょうし、しなければその分たくさん金を払ってもらって節電のためのエコポイントや東北復興の財源に充てればいいのです。
多かれ少なかれみんな節約が必要だと分かっているのですから、価格メカニズムを利用してその動きを後押しするのは有効な政策だと思います。

次に、価格の上昇における需要量の減少(消費の節約)はどこの世界のどこの市場でも見られる現象であり、すでに実証されている事柄です。
たとえば、ガソリン価格が急に値上がりしたら、みんなすぐに節約するようになりましたよね?
また、原因が事故だというのは関係がありません。
重要なのは電力が足りないので消費量を節約する必要があり、節約をさせるには価格を上げることが一番有効だということです。

この回答への補足

インセンティブはモチベーションという意味まで持たせたつもりはありませんでした。もちろんインセンティブが強ければその人/企業にとってのモチベーションになるわけですが、それほど強くない場合なども想定され、個々人/企業でばらつきがあるかと思います。弱いインセンティブの場合、エクスキューズとして機能することもあるかと思います。尤も、小生が学生のじぶんはインセンティブは経済学用語としては学部では出てこなかったように記憶していますので、小生の理解が経済学的に誤っている可能性はあります。質問も、ビジネス用語としてのインセンティブとして書いてしまいました。経済学的に誤謬がある場合は、わかりやすくご指摘頂ければ幸いです。

補足日時:2011/03/23 23:58
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。goottttさんの回答は個人を強く念頭においたものと理解しました。家庭での電力消費量は1/3弱に過ぎませんので( http://bit.ly/aTOy25 )、小生は企業ユースを念頭においておりました。したがって、期待していた回答とは違っておりました。ですが、節電を一般家庭に強く求めるという考え方も選択肢の一つとしてありですね。参考になりました。

企業は存続のために電気を消費しなければなりませんので、企業理念や社会貢献の面から民生業務の節電は力を入れても、産業用は通常より高い電気代を支払うことで復興に貢献しているという名目は少なからぬ企業にとって十分インセンティブになるものと考えます(ネオンの消灯などは民生業務に準じると想定)。

一点、小生は質問において「原因が事故だ」ということと「価格の上昇における需要量の減少」を結びつけてはいません。「理論的にはあたりまえ」と言っています。平時の値上げ策と違い、事故時には価格転嫁の主体が強く問われる可能性があるのではないかということを書いています。課税にしても今回の事故は、質問後にこのような記事( http://nyti.ms/gjJwMl )が出たりして政府も同罪だと思いますので、よほどうまくやらないと難しいのではないかという思いを強くしています。

お礼日時:2011/03/24 00:24

リンク先がNotFoundになっているので、詳細は不明だが



インフラ整備のために事前に料金を上げるという制度設計に関しては
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%AE%9A% …
特定都市鉄道整備積立金
とかがあるので、社会実験だとは言えないと考えます

この回答への補足

リンク先URLの末尾の>が読み込まれていて参照できなくなっていました。
正しくは、 http://diamond.jp/articles/-/11520 です。
また、この質問の前提として、現在、東京では節電のための緊急計画停電が実施されているという事実があります。

補足日時:2011/03/22 22:28
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。インフラ整備のために事前に料金を上げるという制度は、例えば鉄道ではすでに行われているということですね。
今回、質問が説明不足だったかもしれません。「緊急」かつ「事故」での節電対策ではどうなんだろう、ということが知りたいです。これは前例がないのではないかと思います。よろしかったら再度のご回答をお願いします。

お礼日時:2011/03/22 22:34

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