標題に関しましてご教示いただきたく書き込みさせていただきました。
自分の勘違いだと思うのですが、アルコールの分解においてアルデヒド
デヒドロゲナーゼがアセトアルデヒドを分解し、分解産物の酢酸がATPを
消費してアセチルCoAになり、TCA回路や脂肪酸・グリセリン合成回路に
組み込まれると思うのですが、ATPを消費するということは(ざっくばらんに)
糖を消費するってことだと認識しています。
となると、アルコールの分解過程でATPが大量に消費されると血中の糖が
必然的に消費され、それが枯渇すれば低血糖から糖新生が起こるのではと
思っているのですが、ネットで調べると、エタノールは糖新生を阻害するよう
に働いていると記述されています。
ただ、ハリソン内科学2nd edition 2644ページには「エタノールの急性作用に
より糖新生が行なわれ、続いて健常人では・・・」と記載されています。
個人的にはハリソンのほうが理解しやすい感じがするのですが、糖新生を
抑制する生化学的理由がよくわかりません。
なんとなくですが、アルコールの持つエネルギーが糖より優先されて利用さ
れるとか、(でも、アルコールのエネルギーは生体利用されなかったような気
がしてみたり…)糖新生よりアルコールの分解が優先されるとか(でも、ATP
を消費してしまうと一緒のような気がしてみたり…)とよくわからない迷路に
入り込んでしまいました。
お忙しなかとは存じますが、どなたかご教示いただければとお願い申し上げます。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
自分もきちんと理解しているわけではないので、これが正しいかと言われると自信がないのですが、回答が付きそうにないので、とりあえず・・・・・・。
確かに、アルコール代謝産物である酢酸は、ATPによってアセチルCoAに変換されます。ただ、その前段階、アルコールから酢酸への代謝は、ADH、ALDHによるアルコールの酸化反応です。このとき同時に、NAD+→NADHの反応が進み、細胞内のNADH/NAD+比がNADH側に偏ります。その結果、NADH→NAD+に進む反応が亢進されるわけです。たとえば、ピルビン酸→乳酸の反応があります。それにより、糖新生に入るピルビン酸の量が減少し、糖新生が抑制される、というわけです。ちなみに、NADH濃度が高いと、TCA回路も進みにくくなり、脂肪酸合成が亢進されるため、中性脂肪が貯まりやすくなります。確か。
ところで、何故、タイトルに「中毒」とついているのでしょうか。
お忙しなか貴重なお時間をいただき、ご回答くださいましてありがとうございます。
標題に関しましては、小生ただ今看護学生をしておりまして、精神科実習に先立ち
アルコール依存症の勉強をしているところであります。
中毒とするよりもアルコール依存としたほうがよかったなと、自分でも反省して
いるところです。
negigiさんの話を要約すると、エタノールの摂取によりADH・ALDHがNAD+/NADH
の比率を上げてしまい、NADHが増えてしまうためNAD+の合成に反応が進み(ピル
ビン酸からの乳酸合成)糖新生に入るピルビン酸が少なくなるために、結果的に抑
制されているという感じでしょうか。
そうなると、ハリソンに書かれていた「エタノールの急性作用により糖新生が行な
われ、続いて健常人では・・・」の意味は何だろうというのが質問の本質なのですが、
これは、ATPを一時的に消費するために起こる現象と捉えていいものなのでしょうか?
また、慢性アルコール中毒やアルコール依存症のように、恒常的にエタノールを摂
取していると、CYP2E1の誘導がされて、エタノールがCYPにより代謝されると話が
ややこしくなりそうなのですが、基本的な考えは変わらないのでしょうか?
厚かましいようですが、引き続きご教示いただければと存じます。
No.2
- 回答日時:
自分も専門的に勉強したわけではないので、あまり突っ込んだことを聞かれても答えられないのですが・・・。
ピルビン酸の枯渇は糖新生阻害の原因の1つでしょう。薬理反応は、様々な酵素が重層的に関わっているため、これが原因、と一概には言えないかと思います。まあ、ATPが酢酸→アセチルCoAに使われる環境下で、ATPを(無駄に)消費する糖新生が行われるのも、疑問と言えば疑問ですよね。ATPを作るだけなら、アルコール代謝のおかげでミトコンドリア内に大量にあるNADHを使って、電子伝達系を動かす方が効率的ですし。
ハリソンの記述に関しては、自分の手元にはハリソンがないため、確認できないです。前後の文脈が分からないので、その部分だけの意味をとるのも難しいのですが、書いてあるのであればその通りかもしれません。何か論文等引用してますか?(ないとは思いますが)
CYPがゴリゴリ関与した場合の生化学的な反応はちょっと分からないです。すみません。ただ、アルコール代謝の親玉はADH、ALDH系であり、CYPそのものの寄与度は健常者では低かったかと。で、CYPがアルコールで誘導されるため、アル中では酒に酔いにくくなるシステムが出来るとかの話だったと思います。
標題の件は、単語の使い方というよりも、この糖新生阻害ってアル中だけの現象だったかな、と気になっただけです。あ、どうでもいいことですが、慢性アルコール中毒=アルコール依存症 ですよね
うまくまとまってないですね。
重ねがさね、ご教示いただきましてありがとうございます。
考えれば考えるほどよくわからなくなってしまうのですが、negigiさんからご教示戴けたおかげで糖新生の抑制の訳がわかりました。
お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
ハリソンのほうは前後の文章としては「空腹時のエタノール負荷では、エタノールの急性作用により糖新生が行われ、続いて健常人では6~36時間の間に一過性の低血糖を生じる。これがアルコール依存症患者で2~4週間の断酒期間中に耐糖能障害を引き起こす原因となる。」とあります。この前の分節はビタミンの吸収阻害の話で、後の分節はアルコール性ケトアシドーシスと糖尿病性ケトアシドーシスの違いについての記述です。前後を含めて引用文献の記載はありません。
おかげをもちまして勉強の筋道が立ちました。
さらに自分なりに勉強してみたいと思います。
こういうことが正直看護には関係ないとわかっているのですが、同級の学生や教員、看護師さんにこの類の質問をすると、「それって医者レベルでしょ」といわれたり、「この本に書いてたよ」と、どうしてそれで納得できるんだという内容の本を見せられたりして途方に暮れることが度々あり、negigiさんのようにご教示いただけると本当に助かります。
ありがとうございました。
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