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住吉物語の変遷について、レポートを書くために調べています。今、「落窪物語 住吉物語」(藤井貞和 稲賀敬二 1989年 岩波書店)を参考にしていますが、そこの解説に、男君の設定が10世紀後半に成立した最初の形態では「侍従」となっているのに対し、その後それを元に改訂されたものの中では「四位の少将」になっていると書かれています。しかし、この本にはその最初の形態の本文が載せられていません。ネットで調べてみても、初期のものは散逸したといった記述ばかりでした。散逸していて読めないのであれば、なぜ侍従→四位の少将の変化が分かるのでしょうか?どこかに最初の形態の本文があるのでしょうか?
文献・WEBサイトなど心当たりある方、教えていただきたいです(/_;)

A 回答 (1件)

 僕が関わっている研究領域は「歴史学」それも日本の古代・中世史ですので、些かの関連性があると思い、回答させていただきます。


 今現在お手許にあるテクストは岩波書店の「新日本古典文学大系」の所収ですね?。私の手許にもあります。が同時に私の手許には別のテクストもあります。「住吉物語」の刊本は他にも何種類かあり例えば小学館の「日本古典文学全集」の解説には桑原博史氏の『中世物語研究』知久武文氏の『住吉物語の異本群と代表本文』(「国文学巧-第52号」)に依拠しての分類が掲載されています。また広島大学所蔵本のサイトにはテクストとして『鎌倉時代物語集成』第四巻(笠間書院1988-2001)の名称が見えますので、ここから辿っていくこともできるでしょう。なぜ身近にある情報を使われないのですか?。
 また参考文献に関しては同書および国文科の研究室ならば一般的に備えられているはずの『国文学研究書目解題』『国文学研究文献目録』『国文学年鑑』等の綜覧書『国書総目録』『国史大辞典』などが基本的な参照材料です。
 研究論文をお探しでしたら大学の研究室を訪ねたり「国会図書館」や大学共同利用機関法人人間文化研究機構の「国文学資料館」のサイトを訪ねてみることをお奨めします。
 『国書総目録』『国史大辞典』及び小学館本の情報は既に入手されていますよね?。
 僕が研究室で学生の卒論テーマに関する相談を受ける時には、先ず自らが対象としたい事象に関して、研究史を振り返ることから始めさせています。この場合には自らのテーマに即して「最も新しい成果」と同時に「最も古典的な成果」に触れることが大切です。
 一例としてその対象に関する史料を探すには『国書総目録』や『史料綜覧』などの典拠及び抜粋集をあたることから始める。そして在り所をある程度確定した後に具体的な史料を探る、とのプロセスがあります。もちろん研究論文には史料が提示されているので、それを手掛かりとしてもよいでしょう。
 もし質問者様がお尋ねの「本当のオリジナルはどこにあるのか」が判明しただけでもこれは国文学の世界にとって衝撃的な発見となる可能性もあります。異本が多く伝えられている背景そのものをテーマとしてみても独創性のあるレポートになるのではないでしょうか?。「散逸していて現存しない=それが何時の時代に行われたかを確定する作業」とした場合に「侍従が四位の少将として書き換えられた根拠」もある程度は輪郭がはっきりとしてくる可能性もあります。
 ネットを利用する時にはオフィシャルな資料を所蔵しているサイトならば信頼できますが、個人が運営するサイトの利用には注意が必要であることなど疾っくの昔に判っていますよね。物事を調べる時には基本的なステップを踏まえることが必要です。
 辛口でしたが、ご自身で調査して独自の視点からレポートを作成されることを期待しています。 
 
 
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