アプリ版:「スタンプのみでお礼する」機能のリリースについて

鉄砲玉が鉄の装甲を貫通するとします。

私が思うに鉄の板に穴が空く過程は、紙が裂けていく過程と似ています。紙の両端を持ち左右に引っ張ると、ある段階までは結構強いのですが、一度裂けはじめると、一瞬にして裂けきってしまいます。亀裂が生じた箇所に応力集中が生じるためです。

鉄砲玉が装甲を貫通していく場合も、装甲の表面に小さな亀裂が入るまで、鉄はとても強いのでしょうが、その後は応力集中によって比較的簡単に鉄砲玉の貫通を許してしまう。

ならば、装甲を単一の鉄ではなく、薄い鉄の板を何層にも重ねてみては如何でしょう。弾丸は苦労して最初の層に亀裂を生じても、その亀裂は次の層には伝わらないから、次の層では、またも苦労して亀裂を作り直さなくてはならない。

この繰り返しになるなら、単板よりも積層の装甲の方が防弾に優れていそうですが。。。

こういうことなら第二次世界大戦の当時でも、普通に実現されているはず。戦車や戦艦の分厚い装甲を一枚物の鉄板で作るより工作性もいいはずだし。

それが実際には行われなかったということは、上記の私の理論は間違いということですよね。

実際のところ、装甲を鉄砲玉が貫通する過程は如何なものなのでしょう。

A 回答 (10件)

「原子間」というミクロな話ではなく、また主たる質問「装甲を鉄砲玉が貫通する過程」に直接答えられず申し訳ありませんが



まず、
"1枚装甲"vs”n枚装甲”(但しnは1より大きい整数 1枚装甲の厚を1 n枚装甲の厚を1/nとし、各々の装甲は表面硬化などの特殊処理を行わない均一なものとする)では”1枚装甲”のほうが強いとされています。

史実でも、応急対策として追加装甲を付けた戦車は次の型ではその厚みを付加した1枚板になっている事例が散見されます(事例 ドイツ陸軍 4号戦車)

1枚の方が強い理由は「剛性」というファクターによるものです。 

剛性は「ある材料の伸び、剪断、ねじり、曲げのしにくさ」を表します(「変形のしにくさ」と言い表せるかも…)
装甲を変形(破壊)させるために、着弾した鉄砲玉の運動エネルギーは消費されていきます(鉄砲玉が変形・破壊される際にも玉の運動エネルギーが消費されます)。

そして剛性は構造材の厚さの「3乗」に比例します。
計算例
10mm×1枚の装甲板の剛性を1と置くと,10mm×4枚の剛性は4。
一方40mm1枚の剛性は「4」ではなく「64」。
その差16倍

本件、
1.「剛性」というファクターの理解
2.「装甲」が変形・破壊していくのと同時に「鉄砲玉」も変形・破壊・減速していくことの考慮
3.モデル(紙との比較、比喩)からの脱却
が必要ではないかと思います

なお今までの記述は、「着速が2000m/secを超え、着弾時の挙動を「固体」ではなく「疑似流体」で考察しなければならないような昨今の徹甲弾」の理屈には添わない可能性があります。これ以上のコメントはご容赦を。
(この先は衝撃工学を学ぶ必要があり(大学の科目)、また、学ぶ前提として少なくとも高校物理、および微積分の完全理解が必要なようです)

この回答への補足

ありがとうございます。

『史実でも、応急対策として追加装甲を付けた戦車は次の型ではその厚みを付加した1枚板になっている事例が散見されます(事例 ドイツ陸軍 4号戦車)』

史実は間違いないのでしょうが、

『"1枚装甲"vs”n枚装甲”(但しnは1より大きい整数 1枚装甲の厚を1 n枚装甲の厚を1/nとし、各々の装甲は表面硬化などの特殊処理を行わない均一なものとする)では”1枚装甲”のほうが強いとされています。』

その理由がこれで、さらにそれを理論的に述べたものが

『そして剛性は構造材の厚さの「3乗」に比例します。』

というのは如何でしょう。

剛性が構造材の厚さに比例するというのは確かです。何乗に比例するかまでは残念ながら今フォローできていないのですが、でも構造材が厚ければ厚いほど剛性が高まることは間違いありません。

しかしこれで語れるのは、交通事故の車のように、ペシャンコになってしまう場合ではないでしょうか。この場合、車体の構造がゆがんでしまったのは車体全体の剛性が足りなかったからであり、ひいては車体を構成する構造材の一つ一つの剛性が足りなかったからです。

しかし装甲と鉄砲玉の話をすると、別に装甲がクシャクシャになってしまったわけではありません。ただ穴が開いてしまっただけです。

構造材として装甲が破壊するなら、鉄砲玉が貫通する現象は部材が破断したと説明できるのでしょうか。ならば破断にいたるまでの座屈などが見られそうなものです。戦車や装甲車の装甲が曲がってクシャクシャになったという話を私は聞いたことがありません。

と疑問がおおいに膨らんでしまったのですが、でも交通事故でペシャンコになったのは、車の構造をなす為に用いられている部材。装甲とはそもそも用途が違う素材です。同じ鉄でも、装甲のように硬さが重視されるようになると、座屈などほとんどなく、ちょっとの反りからいきなり破断へ症状が進んでしまうものなのか。。。

衝撃工学はまるで触っていない、構造力学も少しかじっただけの私はまるでトンチンカンなのかもしれません。

補足日時:2011/06/23 01:52
    • good
    • 0

>成形炸薬弾は熱エネルギーで装甲の強度が落ちることに注目して、炸薬の爆発エネルギーを、物理的破壊よりも熱エネルギーに特化した砲弾ということですね。



>APDS弾も同じく熱エネルギーで装甲を貫通しようという砲弾ですが、こちらは弾芯の単位着弾面積あたりの運動エネルギーを大きくすることで、それを可能にしているのですね。

 少々誤解されておられる様ですが、成形炸薬弾とAPDS弾の両方とも、装甲を力学的に破壊しているのであって、熱で装甲を融かしている訳では御座いません。
 物体には塑性変形することなく耐えられる応力の限界というものがあり、単位面積あたりに加わる応力が、材質によって決まる一定の限度を超えると、応力が限度を超えた部分が塑性変形を起こして、形状が変わってしまいます。
 成形炸薬の金属ジェットやAPDS弾の弾芯が命中した箇所には、極めて高い圧力が加わるため、命中箇所の装甲材が固体のまま塑性変形を起こすのですが、その変形の様子が、液体が流れる際の動き方に似た点があるため、金属の固体の変形の仕方を、液体の流動する様子に近似させて取り扱う事が出来るのです。
 APDS弾の弾芯や成形炸薬の金属ジェットは、多少は温度が高くなってはいるかも知れませんが、それでも鉄が融ける温度には遠く及びませんし、例え鉄が融ける程の高温になっていたとしても、装甲を貫通するのに要する時間は一瞬に過ぎませんから、その熱が装甲に伝わる暇などは無いため、装甲が加熱によって破壊される筈もありません。

>着弾点の装甲を完全に液状化させてしまうことが可能な現在では、大和などとはまるで違うモデルを考えなければ、これらの貫通を説明できませんね。

 はい、戦車や砲塔の装甲には、避弾経始といって、敵弾を滑らせて弾く事を目的として、装甲を斜めに傾けて取り付けたり、球面形の装甲としたりする事が行われますが、APDS弾の様に命中箇所の装甲が液状化する弾丸では、余程浅い角度で当ったのでもない限りは、滑らせたり弾いたりする事は難しいため、現代では装甲を傾けて取り付けるメリットが半減しています。(装甲を斜めに傾けた事によって、敵弾が装甲内を通過する距離が増すため、装甲厚を増したのと同じ効果が得られるというメリットはあります)

【参考URL】
 避弾経始 - Wikipedia
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BF%E5%BC%BE% …
    • good
    • 1

質問者様が考えられている、紙にたとえられている過程は間違いないのですが、装甲を貫通する弾の場合、たとえば直径10mmの弾が、厚さ10mの装甲板を貫通できるかと言われれば、常識的には困難又は不可能なことは、なんとなくでも理解できると思いますがいかがでしょうか。



逆に、直径10mの弾が厚さ10mmの装甲板なら、いとも簡単に貫通することが予想できると思います。

これは「力」と「エネルギー」に関係があり、極々簡単に言うと、装甲板の厚さは、弾の直径に関係しています。
極々簡単にと言いましたので、もちろん他にもいろいろな要因はありますが、上記の関係があります。

装甲板に弾が当たったときに、装甲板に与える力が弱くても、エネルギーが大きければ弾は装甲板を貫通します。
力とエネルギーに共通するものは「質量」ですが、単純に質量の大きいものほど装甲を貫通し易いわけです。
それで、比重の大きいウランを弾の材料として使い(劣化ウラン弾)、いろいろな問題を起こしています。

両端を支えられた「梁(はり)」の真ん中に荷重をかけて行くと、あるところで梁は折れます。
次に両端だけではなく、梁を支える柱を数を増やすと梁は折れにくくなります。
同様に装甲を構造体に固定する部分をどんどん増やしていくと、「力」による貫通には強くなります。
もちろん一定の厚さを確保しての場合です。

しかし梁で言う柱の数も無限に増やせるものではないので、必然的限界が存在し、そうなると装甲板の厚さは図面の上ではいくらでも厚くできるのですが、現実には無理な境界ができます。
そして、戦艦大和のように弾の直径が460mmにもなると、もはや装甲を複層にして対処すると、船であれば船の機能を失い、戦車であれば戦車と呼べないものになってしまうからなんです。
装甲板を動かすためにエンジンが付いているような感じになります。
材料力学上で、材料の強度の限界とも言えます。
よく耳にすると思いますが、アニメで人気のガンダム。
あれを本当に作ると、材料の自重に材料が耐えられず、崩壊してしまうと試算されています。


複層にして効果を発揮し易いのが、弾に相当するものの運動エネルギーが極めて大きいものであれば可能とされています。
今の国際宇宙ステーションにも使ってあると思うのですが、ある程度小型の宇宙デブリ(ゴミ)が宇宙ステーションに衝突しても、致命的な損傷を与えないように、外壁は2重になっていたと思います。
(すみません。宇宙ステーションをデブリや小さな隕石から守るための方法と言うような本があり、宇宙ステーションに採用すると言うことが書かれていましたのですが、確認はしていません。)

運動エネルギーの大きいデブリが、衝突した瞬間に熱エネルギーと変化し、その熱で装甲が溶けて飛び散ることで面積を広げ、結果、力の分散ができて外壁が守られるとのこと。

ですからその弾の大きさ重さと初速度などいろいろなものが関係しますが、装甲板はそれぞれに応じて1枚の厚いものにしたり、薄くて2枚又は複数枚にしたり、現実的に判断した結果が今までの歴史なんですね。
理論は間違っていませんよ。

この回答への補足

宇宙ジブリの例は、炸薬がまるで関係しませんから、鉄砲玉が装甲に衝突するのと同じく扱えると思います。

その宇宙ジブリに対応する宇宙ステーションの外壁が2層になっているというのは面白いですね。ただ防弾ガラスの場合と同じく機能が違う素材を組み合わせてのものだと思いますので、その点では今回の問題と同じく扱えませんけど。

装甲が液状化してジブリの運動エネルギーを拡散する。。。

どういう原理なのか。。。

運動エネルギーを熱に転換するということは、非常に硬い素材なのかな。非常に硬い素材というとセラミックスが思いつきますが、セラミックスの場合、一度亀裂が入るとその亀裂があっというまに成長してしまいますが、この素材の場合、溶けてしまうから亀裂が成長しない。

こういうことでしょうか。

でも
>装甲が溶けて飛び散ることで面積を広げ、結果、力の分散ができて
との文意とは一致しませんね。

No.7の補足で、今回の問題をカッターナイフと紙のモデルで説明しなおしました。紙を両手で裂くモデルもこのモデルも、応力集中で紙が裂けるという点では違いはないと思います。今回の問題の説明として、より正確な説明になっているでしょうか。

もっとも紙を手で裂くモデルも、生きてはいると思います。No.4でCat-shit-oneさんがタコさんウインナー状の貫通孔が生じることをおっしゃっています。この亀裂の説明は紙を手で裂くモデルの方が正確だと思います。

着弾点における装甲側の原子の振る舞いを考えると、原子は鉄砲玉によって鉄砲玉と同じ方向に押されます。この動きが原子間のつながりを断ち切っていく過程は、書いたカッターナイフと紙のモデルで説明する方が適切だと思います。

一方で鉄砲玉の進行方向と鉛直な平面、つまり装甲の表面に沿った原子間のつながりを考えると、鉄砲玉によって着弾点付近の原子が引っ張られて原子間に引っ張り力が働きます。この場合は、元の力の作用点とそれによって生起する力の作用方向が直行するから、紙を手で裂くモデルが適用できるのではないでしょうか。

タコさんウインナー状の亀裂は、このモデルに則って成長するのではないでしょうか。

以上3点、お手数をお掛けいたしますがご教授いただけないでしょうか。

補足日時:2011/06/19 15:05
    • good
    • 0

NO.5 です。



>圧縮によって鉄板に穴が空いていく現象はどのようなものなのでしょう。

>あるいは鉄砲玉の運動エネルギーが着弾時に熱エネルギーに変わり、その熱で装甲を溶かしながら、あるいは溶けないまでも装甲の強度が落ちることで、鉄砲玉は装甲を貫通していくんでしょうか。

そのとおりです。肉切り包丁は余計なイメージでしたが、物質は圧縮されると熱が高まります(熱力学第2法則)。

徹甲弾の先端が装甲の鋼板表面に食い込んでいく過程で起こる圧縮現象はすさまじいものですから、激しく高温になって硬度が下がります。一瞬にして溶解し蒸発摺る部分すらあるでしょう。弾の先端がその装甲よりも遅くまで硬度を保持していれば、あとはやすやすと貫徹して内部へもぐりこめます。
超硬合金の主成分であるタングステンは鉄鋼よりもよほど溶解点が高いので採用されたわけです。

この回答への補足

一晩考えてみたところ、炸薬が爆発して装甲を破壊する過程は紙を手で引き裂く現象で説明できると思いました。どのような砲弾かにもよりますが、昔ながらの、単純に爆発するだけの炸薬ですけど。

この場合、装甲に食い込んだ砲弾によって装甲に入った亀裂を爆発によって更に広げるのですから、紙の真ん中に切れ目を入れて、そこに指をかけて引き裂くようなものです。

しかし装甲に弾丸が食い込む過程は、これと同じではないでしょう。紙で説明するならば、カッターナイフで紙を切断する場合に相当します。

手で引き裂く場合、力の作用する方向は亀裂が成長する方向と直行します。これに対してカッターナイフを用いる場合、力の作用する方向と亀裂が成長する方向は一致します。鉄砲玉が装甲を貫通していく過程は、力の作用する方向と貫通孔が成長する方向は一致しています。

A4紙とその紙を何枚かに等分した紙を用意します。これを手で裂く場合、一枚もののA4紙は一気に最後まで裂けてしまいますが、何枚かに等分した紙の場合、一枚裂いてまた次の紙、そのまた次の紙と、一度に紙を裂くことはできません。

これに対して、カッターナイフを用いる場合、何枚かに分けてあっても、きれいに並べてさえあれば、結局一枚ものの紙を切断するのと、さして労力の変化はありません。

たぶんにこれが鉄砲玉用の装甲が単板で構成されてきた理由ではなかろうかと。

もちろん弾丸と装甲の衝突によって生じる熱が装甲を溶かす、溶かさないまでも装甲を脆くしてしまうことも、大きな要因と考えます。鉄砲玉と装甲の関係をカッターナイフと紙に例えましたが、そう例えられるのも、装甲が高熱にほだされて脆弱になっているからでしょうから。

ただだから弾丸に融点が高いタングステンを用いたというのは如何でしょう。

タングステンより融点が鉄より低い劣化ウランを用いた方が、弾丸としては性能が高いです。劣化ウランに特有な理由もあるでしょうが、一番の理由は劣化ウランの比重の方が、タングステンの比重より大きいからです。

と考えたのですが、このカッターナイフと紙のモデル、本当に的を得た説明になっているのかな。。。

補足日時:2011/06/19 13:42
    • good
    • 0

>船の装甲は1m以上ありますし。



 装甲厚が1mもある船とは、何処の何という船の話か気になります。
 私が知る限りでは、艦船の中で史上最も装甲が厚かったのは、旧日本海軍の大和(II)級戦艦ですが、その最も装甲が厚い部位でも41cmしかありませんでした。
 現代戦で対装甲目標用に使用されるミサイルは、成形炸薬弾頭を備えていて、弾頭の直径の5~8倍の厚さの鋼鉄製装甲を貫通出来ると言われていますが、歩兵が携帯する対戦車ミサイルですら、直径が11cm~14cm程度のものが多いのですから、鋼鉄では厚さ55cmあっても役に立たない事になるため、現代では鋼鉄製装甲による防御は有効性を失っています。
 さりとて、複合装甲はあまりにも高価ですから、艦船の様な巨大なものには使えません。
 そのため、現代の水上戦においては、防御力にも重きを置く戦艦は兵器としては廃れていて、装甲は薄くとも軽快な巡洋艦や駆逐艦クラスが主流となっていますから、1m以上もの装甲を持つ船とは、主力艦ではない、極めて特殊な用途の船だと思われます。

 現代戦において装甲を貫徹する事を目的とした弾薬には、色々な種類がありますが、主流となっているのは、成形炸薬を弾頭とするHEAT弾と、高い質量密度と高い強度を兼ね備えた物質で出来た細長い弾芯で装甲を貫徹するAPDS弾(APFSDS弾を含む)です。
 成形炸薬弾は、炸薬の前面に円錐形の凹みがあり、その凹みの内側に鉄或いは銅で出来た金属板が張られていてます。
 又、成形炸薬弾頭の多くは、後端に複数種類の爆発速度が異なる爆薬によって構成された、爆薬レンズという構造を持ち、成形炸薬弾頭に使用される爆薬レンズの場合は、その部分で平面状の波面を持つ爆轟波を作り出します。
 この成形炸薬が炸裂すると、炸薬の後端から進行してきた平面状の爆轟波により、円錐形に張られていた金属が押し潰されて、弾頭の中心軸付近に集まり、その際の極端な高圧により、金属が連続して塑性変形を起こす事で、固体でありながら、まるで液体が流れるような動き(連続的な塑性変形)をするようになり、その一部が前方に向かって進む、収束された高速の流れ、即ちジェットとなります。
 この流動性を持つ固体金属のジェットの速度は、数千m/sというどんな弾丸も及ばない程の速度となりますから、金属ジェットが衝突した所には、極端に高い圧力が加わります。
 その高圧により、金属ジェットが当たった部分の装甲を構成している金属は、塑性変形によって、固体でありながら液体の様に流動し、土に水流を当てて穴を掘る時に水流の直ぐ外側から泥水となった土が流れ出す様に、ジェットが当たっている箇所の直ぐ外側から、流動性を持つ固体金属が流れ出る事で、装甲には穴が開きます。(装甲を焼き切っている訳ではありません)

【参考URL】
 成形炸薬弾 - Wikipedia
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%90%E5%BD%A2% …

 APDS弾は、タングステン合金や劣化ウラン合金等の、高い質量密度と、高い剛性を兼ね備えた物質で出来た細長い弾芯に、装弾筒と呼ばれる筒状の部品を被せた構造をしています。
 砲の薬室内で装薬が燃焼すると、発生した燃焼ガスの圧力を受けて、装弾筒が砲口に向かって押し出されます。
 弾芯は装弾筒と結合しているため、装弾筒と共に砲口から発射されます。
 砲口から出ると、空気抵抗の力等により装弾筒は分解し、弾芯のみが目標に向かって飛翔します。
 APDS弾を撃ち出す時の装薬は高速で燃焼する特殊なものである上に、弾芯は通常の砲弾よりは軽量でありながら、装弾筒という広い面積を持つ部品で燃焼ガスの圧力を受けているため、弾芯の速度は普通の砲弾よりも遙かに高速となり、1400~1700m/sにもなります。
 又、弾芯は密度が高い物質で出来ているため、見かけの割には質量が大きいため、弾速が高速である事も合わさって、弾芯は非常に大きな運動量を持ちます。
 この弾芯が装甲に衝突すると、弾芯が持つ大きな運動量により、衝突した時の力は非常に大きなものとなりますが、弾芯は細いため、衝突した時の力は狭い面積に集中しますから、弾芯が衝突した部分の装甲に加わる圧力は、極めて高い圧力となります。
 そのため、弾芯が当たった部分の装甲を構成している金属は、塑性変形によって、固体でありながら液体の様に流動し、弾芯の前方にあった装甲の金属は、弾芯の表面の直ぐ外側を流れて、弾芯の命中した箇所の周囲から流れ出てしまいまうため、装甲には穴が開きます。

【参考URL】
 APDSFS - Wikipedia
  http://ja.wikipedia.org/wiki/APFSDS

 亀裂が生じた箇所における応力集中は、紙を裂こうとする力が、未だ割れていない部分に伝わり、狭い断面積に同じだけの力が加わるため、単位面積当たりに加わる力が強くなる事によって生じる現象です。
 これに対して、成形炸薬弾とAPDS弾の双方において、装甲を貫通する原理は、装甲を構成している物質によって決まる、ある限界の圧力を超える、超高圧を装甲に加える事で、装甲の構成物質を液体の様に流動化させて、砲弾の命中箇所から排除する、というものです。
 貫通力を生み出すのは、衝突部分に生じる圧力の高さであり、その圧力は、装甲に生じた亀裂の有無や、鉄の層が多層化されている事には、あまり影響されるとは思えませんから、単一の材質で出来ている装甲を多層化しても、防御力の向上には繋がらないのではないかと思います。

この回答への補足

>私が知る限りでは、艦船の中で史上最も装甲が
>厚かったのは、旧日本海軍の大和(II)級戦艦
>ですが、その最も装甲が厚い部位でも41cmしか
>ありませんでした。

当時の砲弾の炸薬はただ爆発するだけです。No.7の補足に書いた私の説明では、同一素材であっても積層構造の装甲が有効ということになります。一層目には、カッターナイフと紙のモデルで装甲を切り裂く、砲弾の運動エネルギーに対処させる。多分にそれはかなり厚い装甲となりますが、でも41cmはないはず。二層目以降は紙を手で裂くモデルで説明できる、爆発エネルギーに対処させる。薄い装甲を何枚も重ねることになります。

この積層構造で大和の装甲を設計したら、史実より強力な防弾効果が得られたのではないでしょうか。

成形炸薬弾は熱エネルギーで装甲の強度が落ちることに注目して、炸薬の爆発エネルギーを、物理的破壊よりも熱エネルギーに特化した砲弾ということですね。

APDS弾も同じく熱エネルギーで装甲を貫通しようという砲弾ですが、こちらは弾芯の単位着弾面積あたりの運動エネルギーを大きくすることで、それを可能にしているのですね。

着弾点の装甲を完全に液状化させてしまうことが可能な現在では、大和などとはまるで違うモデルを考えなければ、これらの貫通を説明できませんね。

補足日時:2011/06/19 15:35
    • good
    • 0

>鉄の板に穴が空く過程は、紙が裂けていく過程と似ています



ちょtっと違うと思います。むしろ包丁が肉にあたって、その先端の圧力で肉を破砕し、食い込み、掻き分けて突っ込んでいくのに近いでしょう。
もちろん小さい穴が開いて弾がもぐりこみ周囲へその突っ込む圧力が広がると裂けることもあると思いますが、2次的なものです。

私が聞いたところでは、戦車用徹甲弾の先端はとてつもなく強烈な圧力と熱に耐えねばならないので、ドイツのくるっぷ社がそのために開発したのが超硬合金(ウィデア)でした。これは日立工具の商標になっていますが、これを使った徹甲弾は容易に敵の戦車に飛び込み、内部にいた兵士全員を瞬時にひき肉のスープにしてしまうのでひどく怖がられたそうです。

この回答への補足

そうですね。

Cat-shit-oneさんの回答への補足で述べたPETの板に鉄の棒を突き刺す例では、板が薄いからあまり気にしなかったのですが、鉄砲玉に対処する装甲はそれなりに厚いのですから、圧縮力が掛かる着弾点と、引っ張り力が掛かるその裏側はまったく違う場所ですね。

圧縮によって鉄板に穴が空いていく現象はどのようなものなのでしょう。

あるいは鉄砲玉の運動エネルギーが着弾時に熱エネルギーに変わり、その熱で装甲を溶かしながら、あるいは溶けないまでも装甲の強度が落ちることで、鉄砲玉は装甲を貫通していくんでしょうか。

だとすると以下のサイトにある現象と同じようなことが、鉄砲玉の先端では起きているということでしょうか。
http://www1.ocn.ne.jp/~kojihk/kazupage/jikkenn00 …

補足日時:2011/06/19 00:17
    • good
    • 0

防弾鋼板とは言いますが、硬い炭素鋼です。


ある程度の厚さがあると、銃弾は柔らかいので砕け散るか、鋼板の角度(避弾経始)によってはじかれるか。
貫通する場合は、鋼板は割れます。

金属板に銃弾を撃ち込むと、裏側がめくれるように穴が開きます。
タコさんウインナーのように丸まります。
ですから、紙のようにとはちょっと違います。
紙のような「繊維」はありませんので。

確かに積層の方が効果は有ると思います。船の装甲は1m以上ありますし。
そのような鉄板を作る技術はありませんので、必然的に積層になります。

戦車などの正面装甲はm60クラスで150mmぐらいです。
ちなみに、現用戦車は全て複合装甲になっています。
「銃弾」が貫通することは絶対にありません。
12.7mm重機関銃で貫通できるのは、20mm以下の鋼板だと思います。

http://www6.atwiki.jp/army2ch/pages/129.html

まぁ、装甲と銃弾(対戦車砲)の開発はいたちごっこでして。
現実的には、対戦車砲又はライフルの銃砲弾で貫通できる戦車が存在しなくなったので、消滅してしまいました。
現在は、対戦車ロケットか、対戦車ミサイルが戦車以外から有効な打撃を与える武器として認知されています。

この回答への補足

砲弾が装甲を貫通する過程は、砲弾が装甲表面に着弾してから炸薬が爆発するまでと、炸薬が爆発して以後で議論が分かれると思います。

現代の戦車などで複合装甲が用いられる理由は、戦車の装甲がこの両方の過程に対応していること。また炸薬の種類も様々で、その全てに対応しなければならないことです。

とりあえずここでは前者を明らかに出来たらと思いました。

応力集中は紙でも鉄板でも起きるはずです。ただ例出の紙の場合、力は平面と平行する向きに働くのに対して、鉄板を鉄砲玉が貫く場合、平面と垂直方向に力が働くので、裂ける紙を例出したのは正しかったのか。。。

例えばペットボトルから切り出した板に鉄の棒を突き刺していくと、鉄の棒に押された箇所が伸びてゆき、やがて破断して穴が空きます。この穴があく時、棒に接している部分には引張力が働いているわけで、そうすると例出の紙と同じく考えていいと思ったのですが。。。

もっともこの場合、板に穴が空いても、例出の紙の場合のように、一瞬にして鉄の棒が貫通するというわけではありませんが。これはやはり例出の紙とは、平面が裂ける現象が根本的に違うということか。それとも紙とPETの引張強度が全然違うからそう見えるだけなのか。。。

ここらへんが分からないんです。

補足日時:2011/06/18 22:54
    • good
    • 0

質問者の調査が不十分なだけで、使用されています


装甲の間に重点物を入れた複層構造
お調べください

この回答への補足

現代の複合装甲をおっしゃっているのではないでしょうか。これは砲弾の破壊力を運動エネルギーと爆発力に分けて処理するものです。爆発力を勘案せずに運動エネルギーだけに対処したらどうなのでしょう。

あるいは防弾ガラスのように、複数の素材のそれぞれ異なる特色を持ち寄って、全体の性能を高めようというものもあります。しかしこれは今回問題としている単一素材の積層構造ではありません。

私が知る限り、1970年代くらいまで、装甲といえば単板の鉄板で作るというのが一般的だと思います。

今問題としているのは、鉄砲玉が鉄板を貫通していく現象という、砲弾が装甲を貫通していく過程の中の一部分です。

それを私は応力集中で説明しようとしたのですが、装甲の積層化は、この説明から派生する蛇足の議論です。

でも例出の紙が裂ける件も、極めて身近な現象ですから、応力集中が第二次世界大戦当時知られていなかったということは無いと思うんですよね。するとmadlyさんがおっしゃるように
>第2次大戦当時、貴方のような発想をする人が
>いなかったと言うことでしょう。
というのも信じがたいんですよね。

それとも、単板の装甲というのは、私の強烈な思い込みによる、壮大な妄想なのでしょうか???

この私の説明を裏付けるような装甲の例があれば、教えていただけないでしょうか。

補足日時:2011/06/18 23:44
    • good
    • 0

弾の構造は時代とともに変化してきています。


装甲をトーチカのごとく厚くしていた時代、
装甲をななめにして弾をそらせようとした時代、
アクティブアーマのように、火薬を装甲に組み込んだ時代、
複合装甲のように弾は積極的に受け止め、人的損害に至らないようにする時代
と変遷してきています。
まさに、つねに矛盾です。
    • good
    • 0

すばらしい発想です。

第2次大戦当時、貴方のような発想をする人がいなかったと言うことでしょう。
軍需産業は成長分野です。学生さんであればこの方面での活躍を期待します。

この回答への補足

ありがとうございます。残念ながら学生ではありません。ただのミリオタです。

ドイツの戦闘機Bf109には、例えば30枚のアルミニウム板を重ねた22mmの装甲が施されていました。この30枚がすべて同じ厚みなのか、それとも各段階に応じて厚みを変えたものなのかは分かりません。

当時の戦車や戦艦などは単板による装甲だと思うので、Bf109におけるこの積層構造は単純に工作上の都合だと思ってきました。

でも工作上の理由なら、戦闘機に使う装甲は所詮軽いのだから単板で、戦車や戦艦などは一枚一枚を軽くするために積層で工作するのが良いような。

戦車にしても戦艦にしても、世代が新しくなるたびに装甲が厚くなり、クレーンなど製造設備もそれにあわせて更新しなければならなかったはず。当然、これまでの設備を使用できないものかという発想は普通にあったはずですが。。。

補足日時:2011/06/18 23:12
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!