民法210条1項は「他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」と規定しており、同通行権は土地所有権に伴う物権的請求権と解されています。ところで、A土地に入るには、BCDEが共有する私道を通過しなければならない場合に、FがA土地に侵入する目的でBCDE共有私道を通過しA土地に侵入した場合、Fの侵入による被害者はAのみですか?それともABCDE全員となりますか?また、A土地に対する住居侵入罪の着手時期は、A土地への侵入時ですか?それともBCDE共有私道への侵入時ですか?
No.1
- 回答日時:
これは民法上での道の権利でありますが
刑法上では要するに
「明らかに個人の物と分かっていての侵入」
かどうかが重要です。
Fは共有私道に注意書きや門も鍵も付いてなく
BCDEの共有地であるとは分かり得ず入ったのであれば
目的はなんであれその時点では
犯罪行為とは言えないはずです。
だからBCDEは被害者ではありません。
A土地に対する住居侵入罪については
「柵や塀で囲ってある土地でそれを乗り越えて入った時」
柵も塀もない土地だと
「家屋そのものに無断で入った時」
となるでしょう。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
刑法130条の客体は「住居」だとか「建造物」などの
タテモノが原則というか本体であって、
それを庭地などは昭和51年最判が示す
「囲繞地」つまり
「建物に付属する土地で、管理者が門塀等を設けることにより
建物の付属地として利用することが明示されているもの」が
付加的に含まれるということです。
よって、質問文には「A土地に対する住居侵入罪の着手時期は~」
とありますが、正しくは「A住居に対する」ということかと思われます。
そして、一般的にイメージされる共用私道は、
住居の囲繞地とは言えませんから、
着手時期については、具体的にはA宅の門扉に手をかけた時点とか、
門扉のない家ならA敷地に入ろうと片足を上げた時点になると思います。
被害者はAです。
なお、短い行き止まりの私道などで、
私道の入り口を門扉で囲ってあるような特殊な場合
(高級住宅地っぽいですね)は、
A~E「住居」の「囲繞地」に対する侵入になりえますので、
その門扉に手をかけた時点で未遂足りうると思います。
この場合、被害者は当然A~Eであると思われます。
私道部分のAの民法上の利用権限が民法210条であったとしても
住居囲繞地としての保護法益がある点で、
B~Eと変わらないと言えると思います。
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