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と「争点」の民訴上の概念の違いをお教えください。

A 回答 (2件)

 お褒めにあずかって恐縮です。


m(_ _)m

 補足を拝見しましたが、「そのとおり」とは言えなかったのでそちらにも回答しておきます。


> よく「主位的には不法行為を予備的には履行請求を」なんて言いますが、これは「旧」ってことですね?

 それ(引用部)は、訴訟物の理論とは直接的な関係はありません。

 しかし、新訴訟物論は「訴状にはそのように書いて、1回の裁判で、一気に全部の決着をつけろ!」と要求する理論ですので、権利が二つあるなら、必ず引用部のように書かなければなりません。

 旧は、不法行為で1つ、履行請求で1つ、別々に訴訟を起こすことを認める理論ですので、上記のように書かなくてもOKです。

 ですから、引用部のような請求のしかたは、どっちかといえば、「新に近い」書き方だと言ってもいいかもしれません。


 ですが、旧でもべつに引用部のように書くことを禁止しているわけではないので、実際には、どっちの考え方の人も引用部のように「主たる主張」「予備的主張」というぐあいに訴状に全部書きます。

 というのは、素人原告だって、1回で勝てるものなら1回で終わらせたいのです。そのためには、思いつくことを全部書いたほうがいいのです。

 また、2回、3回と裁判をやると、裁判官がぜんぶ違う可能性が出てきます。

 すると、売買代金1000万円の支払いを求めた1回めは「原告は詐欺に騙されたのであって、売買は不成立だから、1000万円の売買代金は存在しない」という判決がでて負ける。

 じゃあということで、詐欺による損害の賠償金1000万円の支払いを求めたら、別な裁判官が「売買は成立しているので、損害賠償請求権はない」と判決したりする(再び原告敗訴)場合もあるわけです。

 じゃあ、もう一度売買で、と言っても、1回目と(新でも旧でも)訴訟物が同じですので許されない。

 そういうリスクを負わないために、(旧理論に立っていても)気がついた理屈は全部言ってしまうのが原告にも都合がいいので、引用部のような書き方で請求をするのが普通なのです。

 一人の裁判官なら、同じ訴訟の判決において、売買は成立していないので売買代金請求権はない、売買は成立しているので損害賠償請求権はない、などと矛盾したことは言いませんからね。


> すると、今の裁判所は「旧」って事なのでしょうか?

 最高裁判所は、どっちがいいとは宣言していないようです。

 冒頭に近い引用部のような訴状の書き方とはまったく別な理由(例えば、新理論なら受理されないはずの訴訟が受理されているなど)から、いちおう「裁判所は旧側だ」ということになっていますが、これは「新」だろうという判決も出ているそうです。

 で、リスクは負いたくないので、思いつく理屈、権利は全部主張したほうがいいとされています。
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この回答へのお礼

分かりやすくて良いです。
つたない私の「民訴解説フォルダー」にPDF化して入れておきます。
Dropboxなのでいつでも見られます。

>思いつく理屈、権利は全部主張したほうがいい

こう言う書き方は、伊藤真でも書きません。
なぜ、法律家は「わざわざ小難しく書く?」と思いますねぇ。

お礼日時:2011/09/24 07:30

交通事故の加害者や加害者の代理人として来たJA共済、との訴訟の口頭弁論が目前に迫っていて、あまり見ていないのですが、たまたま目にとまったもんで。



 「争点」は判りますよね。

 原告と被告の間で争いになっている事実や意思や法律の解釈などです。

 「あの日、カネを渡したぞ」「いや、受け取ってない」・・・ となれば、お金を渡したかどうかが争点です。「無期限で、貸すっていったろ」「いや、そういう意味で言ったんじゃない」・・・ となれば、意思の解釈が争点です。どう言ったかという、事実の問題だと言えなくもないですが。


 「訴訟物」とは、「請求内容+α」です。

 それだけでは、判らないでしょうね。
(^^;

 ザックリいうと、αは「請求を根拠づける権利」ですが、α=ナシ(不要) の考え方もあります。


 同じ裁判を何度もやられては被告にとっては大迷惑ですよね。で、民事訴訟法で「何度も同じ訴訟をしてはならない」という決められています。

 では、なにをもって「同じ訴訟」と見るか、その基準となる物が「訴訟物」です。訴訟物が同じなら、同じ裁判になるから、二度はおこせない、ということになるわけです。

 訴訟物についてお尋ねということは、訴訟物について、2つの考え方があって、新訴訟物理論と、旧訴訟物理論と呼ばれていることはご存じでしょう。

 この2つの論者が述べている理屈の違いを比較すると、αが具体的に何か、判ってくると思います。


 例えば、原告が被告から1000万円受け取りたくて訴訟を起こした場合、求める判決は「被告は原告に1000万円支払え」であってこれが上記の「請求」です。

 でも、その根拠になる権利・理屈はいろいろあり得ます。売買代金かもしれないし、損害賠償かもしれないし、不当利得かも知れません。

 そのそれぞれについて1000万円を請求する訴訟を起こす権利を認めようというのが、いわゆる「旧訴訟物理論」(この考え方の人が旧と自称しているわけではないと思うが)です。

 「1000万円よこせ+売買代金請求権」が1つの訴訟物。「1000万円よこせ+損害賠償請求権」も1つの訴訟物。「1000万円よこせ+不当利得返還請求権」も1つの訴訟物。

 だから、この場合3度訴訟を起こせるということになります。

 そのベースになるのは、裁判は本人訴訟が原則だ。売買が成立していたのかどうか、成立していないのに損害を与えられたのか、不当に利得されてしまったのか、そんなことを素人に判断しろというのは無理だろう、まず売買で訴訟をやり、売買不成立とされて負けたら損害賠償を請求する訴訟を起こす・・・ ということを認められるべきだ、という考えかたです。

 「新訴訟物理論」は、まさに「1000万円よこせ!」、というのが問題で、あとは理屈に過ぎないんだから、「1000万円よこせ」が1つの訴訟物として存在するだけだ、ほかはない、と言っています。

 ベースになるのは、本人訴訟が原則なんて言ったって、実際は弁護士を頼むんだからさあ、理屈を間違えるリスクくらいは原告に負わせていーだろう。3度も裁判やったら被告かわいそうだし、裁判官だって忙しいのよ、という考えなのじゃないでしょうか。

 で、新訴訟物理論によれば、裁判で売買代金請求だけを根拠に訴訟をやって負けたら、負けた時点でアウト!になります。あとで、損害賠償、とか、不当利得、とか言っても門前払いされます。

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 学生時代の私の専攻は民法(特に担保物権法)と国際法(特に国際司法裁判所)です。

 民訴はらち外ですので、多少誤解もあるかもしれませんが、大筋は合っているはずですので、そんなふうに考えて勉強して、(私に誤解があるとして)私の誤解に気がつく頃には、完璧に「訴訟物」を理解されたということでしょう。
(^_^;\(^O^ )pechi!

この回答への補足

先ず最初に、

「すごい」です。

>では、なにをもって「同じ訴訟」と見るか、その基準となる物が「訴訟物」です。訴訟物が同じなら、同じ裁判になるから、二度はおこせない、ということになるわけです。

あ!、これ、すっと入りました。
すると、よく「主位的には不法行為を予備的には履行請求を」なんて言いますが、これは「旧」ってことですね?
すると、今の裁判所は「旧」って事なのでしょうか?

私的には、争い事や揉め事にはいろいろな観点があるから、それぞれに請求を認めるべきだ!と思っている「旧」な人間ですね。

補足日時:2011/09/23 10:07
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