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「江戸の罪と罰」平松義郎著の「下手人について」でわからないところがあります。
平凡社ライブラリー版の106ページ。

「今世俗に、その殺されし人のかはりに殺さるるゆえ、解死人と書くは心得たがひなり」(類聚名物考)と引用していますが、「心得えたがひなり」の「たがひ」とは「違ひ」だと思うのですがいかがでしょうか。そうであれば、「下手人を解死人と書くのは心得違いだ」となりますが、平松氏の説明は、「下手人は被殺者の代償として命を奪われる「抵死」の刑であり、その意味で「解死人」ともいうのだ、と記されているが」と続きます。類聚名物考の説明では、「その意味で「解死人」ともいうのだ」ではなく、「その意味から「「解死人」というのは心得違いだ」ではないでしょうか。

「下手人」は自ら手を下して人を殺め、その罪に自らの死で償う人
「解死人」は集団Aに属する者が他の集団Bの者を殺め、集団Aに属する者の中から、集団Bに大してその罪を(死で)償うために差し出される人で、必ずしも実行犯や命令者ではない
と理解しています。類聚名物考が言いたいのは、「その殺されし人のかはりに殺さるる」の部分が同じだからと言って、下手人を解死人と書いてはいけないということだと思いますが、いかがでしょうか。

A 回答 (3件)

その通りです。


「下手人」は自ら手を下したいわゆる殺人犯人で、被殺者の命の
代償として処刑され命を取られる者。
「解手人」は殺人犯人の身代わりとして、命を差し出す(殺される)
者です。
被殺者の命の代償をつぐなう点では同じなので、下手人=解手人
と考える人が多いのを「類聚名物考」で批判したわけです。
「日本国語大辞典」の解釈でこれが正しいと考えます。

ところが今の辞書では「下手人=解手人」とするものの方が多い
のです。
平松氏はその当時の「世俗」の誤った考えが定着していることの
説明をしたものと思います。
当時の書籍を読む時そういう理解が必要ですから。

子供の喧嘩で相手の子を切り殺し、身代わりに家来の子が解手人
として差し出された例があるそうです。
このような場合、解手人は殺されなかったといいます。
成人の場合でも必ず処刑されたわけではありません。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
>平松氏はその当時の「世俗」の誤った考えが定着していることの説明をしたものと思います。
そういう風に解釈すれば、確かに文脈の矛盾はなくなります。

ところで、「日本国語大辞典」で確かめてくださったとのこと。高島俊男先生のエッセイ「お言葉ですが・・・」によく出ておりましたので、どうしても欲しくなって古書(第一版の方)を入手しましたが、引越しの際にダンボールに入れてそのままになっております。こういうのを宝の持ち腐れというのですね。お恥ずかしい限りです。

お礼日時:2011/12/08 21:16

手元に本あったので、その箇所を読み直したが、何か足りない。

著者が近世法制史の偉い先生だから好意的な解釈がされるのだろうが、学生がこのように書けば二重丸はくれないだろう。それとも、法曹は「解死人とも」の「とも」で、「本来、下手人を解死人と書くのは誤解であるが、」と行間を読み取れるのだろうか。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。私が受けた印象に近い感じですが、専門家が引用文の意味を取り違えることはないでしょう。
なお法曹とありますが、この「下手人について」は「別冊ジュリスト 法学教室」に掲載されたエッセイ(最初のタイトルには雑感とある)であり、読者層は法学を学ぶ学生のようです。

お礼日時:2011/12/12 07:33

>「下手人」は自ら手を下して人を殺め、その罪に自らの死で償う人



奉行所の資料では、(殺人を認めたか否かは別にして)下手人は処刑(死罪)の一種ですね。
ご存知の様に、江戸の死罪には・・・。
下手人・死罪・獄門・火罰・磔・鋸挽の6種があります。
下手人は、死罪と同じ「斬首」ですよね。
異なる点は、下手人は「遺族に遺体を返還・埋葬が許される」点です。
死罪の場合は、遺体は遺族に返還する事はありません。
「刀の試し切り」「肝臓を取り出した(漢方薬の材料)」後で、埋葬が許されませんから(ゴミの様に)裸になって棄てられます。
処刑の内容で言うと「自らの命で罪を償う!」と解釈する事も出来ますね。

>「解死人」は(略)必ずしも実行犯や命令者ではない

室町から江戸初期まで存在した者(表現)ですね。
「あいつが悪いんじゃねぇ。俺が悪いんだ!」と、被害者の元へ謝罪に来る人の事。
「罪を憎んで、人を憎まず」の例え通り、身代わりは尊敬の念を持って受け入れた様です。
近世以降では、既に解死人は死語に近くなっています。
また、「解死人」⇒「下死人」⇒「下手人」・・・。名称の移行仮定との説もありますね。
奉行所では、「俺が殺しました」と容疑者が自白すればお終いです。
犯人か身代わりか?は、基本的に関係ありません。
これも、身代わりとしての意図を汲んでの事らしいですね。
(誤った自白主義が横行して、幕府でも問題視していた事も確かです。この考えは、平成の世でも生きていますよね)

余談ですが・・・。
京・大坂・江戸の処刑地に出かけた事があります。
大坂では、奉行所から処刑場までの引き回しルートを歩きました。
(詳しい地名を書くと、問題になるので書きませんが・・・)
全てに、共通点が存在しますよ。
質問者さまも、時間があれば散策して下さい。
しかし、時代劇で岡引が「下手人は、お前か!」とか、岡引が容疑者を捕縛している映像を見ると悲しくなりますね。
まったく、時代考証が出来ていません。
銭形平次なんか、越権行為も甚だしいですからね。^^;
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。下手人、解死人についてわかりやすく説明してくださいましてありがとうございます。ところで、余談の「全てに、共通点が存在しますよ。」が気になります。何か参考になる文献で、入手が比較的容易なものがあればご教示くださいませ。

お礼日時:2011/12/08 20:53

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