ターボ車のECUチューニングの副次的な効果について教えてください。
たとえば下記のURLの製品(JSP-Chip)をインストールすることで
ターボ車のトルクアップが行えるようです。
http://neuspeed.jp/jsp/index.html
これをインストールしたユーザーの方のブログなどには、
「トルクアップのおかげで(街乗りなどでは)前よりもアクセルを開けなくても
力強く走るようになったので、結果的に燃費も向上した」
といった感想が書かれていることが割とあります。
燃費が向上したのだとすると、その要因はなにでしょうか?
ECUチューニングでブースト圧も上がるようですので、
トルクがあがった=ブースト圧が上がった=供給されるエアは増えた=
空燃比をある程度たもつには燃料も増えた、と解釈すると、
アクセル開度が少なくても燃料はそれなりに使っているようにも思えます。
もしくは純正のマップがリッチな空燃比になっていて
ECUチューニングでブースト圧が上がり供給されるエアは増えたが
燃料の消費はさほど増えず、(純正より)リーンになったがトルク増で
アクセルを絞っていても走れるので燃料の節約になった、という感じでしょうか。
詳しくおわかりになる方がおられましたらご教示くださいませ。
※ECUチューニングに燃費向上を期待している訳ではなく、
本当に燃費が向上するとするとどういう原因かな?という疑問です。
よろしくお願いします。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
北米の日系自動車メーカーで電装の設計をしています。
専門は車両側の制御なんですが、最近は他社製エンジンを積む関係で、ECMの制御にも多少首を突っ込むようになりました。
ご質問の「本当に燃費が向上するとするとどういう原因かな?」はもっともな疑問であります。
普通は、OEMが燃費と走行性能を良くバランスさせて開発しているECMでは燃費向上は大変に難しいことです。
ただし、例外があります。
実はECMは走行に影響しない燃料を噴くことがあります。主に、エンジンのセンサーや触媒が破損するのを防いだり、強制的に何処か(水、触媒、O2センサ等)の温度を調整する目的で、燃料を増量する制御です。気温や走り方によっては馬鹿にできない量のガソリンを消費します。
例)
・触媒被毒防止のために意図的に燃料を増量する。
・O2センサ過熱防止のための燃料増量する。
・暖房使用時に熱量不足を補うため増量する。
これらを殺せば、ドラビリに影響なく燃費向上します。
アメリカではこれらの制御内容はOEMから官庁(連邦環境保護庁/カリフォルニア大気資源局)への制御ロジックとして届け出ています。従ってこのような装置の装着は届出ロジックの改ざんとなり違法行為です。
参考URLはカリフォルニア大気資源局の2013モデルイヤー乗用車の排ガス認可書です。認可書は制御の概略しか書いてありませんが、申請時は全制御ロジックを提出しています。この認可書を受けた車で制御を意図的に殺せば、違法行為となります。
日本の場合はモード試験で実際に排ガス性能を計測するため、モード条件に影響を与えないのであれば、違法とは言えないと考えられます。また、このレベルの変更であれば車検や一般的な整備工場の排ガスチェックレベルでバレることは有りません。ただし、触媒やO2センサーの劣化等、OEMが意図しない故障が発生する可能性は高まります。
アメリカ市場ではいくつかの改造ECMメーカーがこれらの制御に手を入れるためのソフトやハードを販売しています。これらを使えば、確かにドラビリに影響なく燃費性能が向上する場合もあります。
ご質問の商品も元は北米向け車両用の制御出力信号改ざんハードウェアのようですので、燃費向上の可能性はあると考えられます。また、日本国内ではこれらの機器を使用することで明確な違法行為とは言いきれません。ただし、センサー類故障の場合は結構高い部品代が掛かりますので、お勧めはできません。
参考URL:http://www.arb.ca.gov/msprog/onroad/cert/pcldtmd …
こんにちは。これまで考えたこともなかった側面からの
ご意見をくださいまして感謝しています。
しかもUSでは排ガス規制ともつながっているのですね。
もともとこういった製品に燃費改善を求めているわけではなく、
また、燃費が向上したというレビューをblogなどで読んでも
キッチリ計った定量的な比較は見たことがなかったので
あまり信用していなかったところもあります。
むしろ、パワーは上がるけど燃費は落ちます、と
書いてくれてた方が納得しやすいです。
センサーやデバイスのために燃料を噴く必要があるなら、
ただでさえ安全マージンを削るチューニングにおいては
燃費が悪くなってもいいからこういったヘルシー用(勝手に名付けましたが)の
噴射はそのままにしてくれた方が良さそうですね。
(今回の製品がどうなっているかはわかりませんが)
大変有意義なQ&Aになりました。ありがとうございました。
また機会がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
No.4
- 回答日時:
特定の商品のコメントはできませんし、またその商品の知識もありません。
ただ、言えることは、エンジンの出力を上げるにはまず、いかに多くの「空気」を供給できるか、にかかっています。
これ以上のことは、申し上げられませんので、悪しからず。
ありがとうございます。
(当初の質問で具体的な製品名を上げてしまったのが良くもあり、
若干、失敗だったと反省しております。
次回はこういったECUチューニング全般について質問を考えます)
空燃比や点火タイミングなど細かい点にとらわれすぎずに
原点に戻ってたくさんのエアとそれに見合った燃料の供給
ということですね。
おつきあいくださいまして本当にありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
>削れる安全マージンのうち燃費に寄与しそうなのは、
・もともと空燃比がリッチだったのをリーンにする
・ノッキングが起こらないギリギリの点火タイミングの「ギリギリ」をもっと詰めることによってMBTへ近づける。(ノック制御の安全マージンも削る) これによりトルクがあがり、アクセル開度が若干小さくてもチューニング前と同じトルクが得られる、と思ってよいでしょうか。
そのとおりです、と言いたいところですが、二つの前提条件がおかしいですね。
「もともと空燃比がリッチだった」ということはあり得ない、というのが私の立場です。
機械的強度の設計では、余裕を見込んで「少し分厚くしておこう」という考えもあります。
ところが、空燃比の設定では、このゾーン(エンジン負荷で運転域を分けている)は、13.1にしたいのだが、13.2(リーン側)にすればフィーリングはどうなのか、という思想で実験を繰返します。
13.1でよいのだが、少し濃い目の13.0で設定するなんてことは、絶対にありません。
このような考えで、メーカーが人、金、時間を注ぎ込み、実験で得た値です。
ECUのメモリーの値を弄くって、燃料消費量を実感できるほど少なくして、同じトルクを得たということを実証できれば、「神業」として尊敬します。
以下、メモリーを書き替えることが出来るという条件で書きますが、もともと、そんなことが出来ないように設計するのが原則です。
あくまでも原則で、当然、例外もあります。
「点火タイミングのギリギリをもっと詰める」も、現実には効果を期待出来ないですね。
点火時期マップをどんなに弄くったところで、その車に装着されたノックセンサの性能とECUのプログラム(ノックセンサからの信号を処理する技術)からくる限界があるからです。
一方、「ノック制御の安全マージンも削る」ことは、理論的には可能ですが、プログラムそのものの変更を要しますから、メーカーにしかできません。
ECUは、ノッキングの強度や回数をみて点火時期遅角を決めていますから、このマージンを(エンジンの耐久性を犠牲にして)、削ることになります。
>そうだとして双方とも誤差以上の燃費の改善にはつながらないという程度でしょうか?
(特に市街地などを実走する場合)
そのとおりです。
>タービンに送られる排気量の抑止には、燃料カットとウェイストゲート開放が思いつきますが、これらをECUが制御しているのなら、燃料カットやウェイストゲートの開放を遅らせることで排気量を維持し、ブースト圧を上げられるということですね。
タービンに送られる排気量の「調整(増減)」は、ウェイストゲートの役目です。
ウェイストゲートの開度は、(しくみを省略しますが)ECUで制御している車種が多いと思います。
なので、ECUのメモリーを書き替えて、ブースト圧を上げることは可能です。
言うまでもないことですが、そうすれば燃料噴射量も増えます。
燃料カットについては、前回、書きました。
なるほど、「確実に燃費が向上するほどの安全マージンはなかろう」、
ということで了解いたしました。ありがとうございます。
ところで、当初の質問の趣旨からずれてしまいますが、もしおつきあい
くださるなら次に疑問となるのはなぜサードパーティのECUチューニングで
30~50ps、トルク 7~10kgf/m も向上するのでしょうか。
主な要因はやはりブースト圧でしょうか。
No.2
- 回答日時:
経済性(燃費がよい)を重視するか、走行性能(走り)を重視するのか、でECUの設計仕様、つまり、車の性格が決まります。
なので、ECUの中身を書き替えることにより、車の性質を少し変えることはできます。
経済性を重視した車では、経済性を少し犠牲にして、「走り」を少しよくすることはできます。
走行性能を重視した車では、「走り」を犠牲にすれば燃費を少しよくすることは可能です。
エンジンの出力の源は「燃料」ですから、ECUの燃料マップの数値を、どんなに弄くっても燃料消費量を減らして、出力を上げることはできません。
そんなことはない、点火時期を変えることによって同じ燃料量でも出力が増減するではないか、という疑問が出てきますね。
そのとおりですが、実際には、ノックコントロール制御の入っているECUでは、その点火時期マップを弄くっても、結局は、メーカーが設定した初期の点火時期に落ち着くようになっています。
その理由は、ECUは、(ハイオクとレギュラーが混合されていても)燃料のオクタン価に応じて「自動的に」最適点火時期(MBTという)に近づけるようにプログラミングされているからです。
別の言い方をすれば、点火時期はレギュラーマップの数値ずばりで、決まるわけではないのです。
仮に、レギュラー仕様車の点火時期マップを(馬鹿げたことですが)ハイオク用に書き替えたとします。
ある運転条件(簡単に言えばノッキングが起きやすい状態)になったとき、強烈なノッキングが発生します。
すると、ECUは直ちに点火時期を遅らせて、ノッキングが継続することを避け、次に、徐々に(何十秒単位)点火時期を進めていき、やがて軽いノッキングが発生する状態に…。
以下、結局は、「書き替えたマップ」で動くのではなく、メーカーが設定したとおりのノックコントロール制御に入ります。
なお、ノックコントロール制御とは、単にノッキングが起きると点火時期を遅らせることが主目的ではなく、点火時期を常にノッキング発生限界近く(前述の最適点火時期MBT)にもっていく制御なのです。
つまり、最初に一回だけ、強烈なノッキングが起きるというデメリットがあるだけです。
ただし、強烈であってもたいていの運転者には気付きません。
ハイオク用に書き替えるといった無茶なことをしてしまうと、もし、ノックセンサが故障すると、ノッキングが酷く、走行できません。
メーカーにとって、考慮すべき重要なことの一つに「フェイルセーフ」があります。
ノックセンサが故障しても、とにかく修理工場まで走行できるように設計しておかねばなりませんからね。
メーカーが設定した点火時期マップは、当たり前のことですが、レギュラー仕様車は、レギュラーガソリン対応で、ハイオク仕様車はハイオク対応です。
レギュラー用、ハイオク用の2枚の点火時期マップをECUはもっている、という説明をnetでは見ますが、そもそも車には、給油されたガソリンのオクタン価を知るセンサはついておりません。
レギュラーを給油するとレギュラーマップで、ハイオクを入れるとハイオクマップで、というような器用なことはできません。
それに、メモリーのコストもかかりますから、そんな余分なマップを入れる余裕はありません。
レギュラー仕様車にハイオクを入れたり、レギュラーとハイオクを混合したりするとどうなるのか。
レギュラー対応のマップで十分です。
ノッキングが発生する運転条件・領域に達したとき、軽いノッキングが発生するまで、点火時期を進めていき…、その後は前述同様のノックコントロール制御に入ります。
つまり、そのときのオクタン価に応じた点火時期でエンジンは作動します。
点火時期マップはレギュラー用だけでよいのです。
なお、ハイオク仕様車でノックセンサが故障した場合は、それでも走行できるように、点火時期を自動的に遅らせるように制御されています。
>ECUチューニングでブースト圧が上がり
そんなことはできません。
ECUには、ブースト圧が異常に上がることによる、エンジン保護のために、ある値を超せば、燃料をカットする機能は入っています。この値を変えて、(エンジンが壊れること承知で)ブースト圧を極限値にもっていくことはできます。
長々と書きましたが、ECUを書き替えて、燃料消費量を減らすと同時に、トルクアップさせる
ようなことはできません。
ノックコントロールに関する詳しい解説ありがとうございます。
この点よくわかりました。
削れる安全マージンのうち燃費に寄与しそうなのは、
・もともと空燃比がリッチだったのをリーンにする
・ノッキングが起こらないギリギリの点火タイミングの「ギリギリ」を
もっと詰めることによってMBTへ近づける。(ノック制御の安全マージンも削る)
これによりトルクがあがり、アクセル開度が若干小さくても
チューニング前と同じトルクが得られる
と思ってよいでしょうか。
そうだとして双方とも誤差以上の燃費の改善にはつながらないという程度でしょうか?
(特に市街地などを実走する場合)
一方、ブースト圧が上がる(もしくは上げる)ということは、おおむねタービンが
よくまわっているということだと思いますが、それはタービンを高速回転させる
ための排気が豊富にあるということかと思います。
タービンに送られる排気量の抑止には、燃料カットとウェイストゲート開放が
思いつきますが、これらをECUが制御しているのなら、燃料カットやウェイスト
ゲートの開放を遅らせることで排気量を維持し、ブースト圧を上げられるという
ことですね。
(ECUがウェイストゲートの開放を制御しているかどうかはわかりませんが)
No.1
- 回答日時:
「JSP-Chip」についてのコメントは差し控えさせて頂きますが
空燃比現車実走行セッティングを
経験、実績、実力あるお店で、「まともにセッティングする」事
を前提にお話いたします。
>燃費が向上したのだとすると、その要因はなにでしょうか?
電子制御になったそのときから(AE86以後)、全ての車には
ハイオクガソリン制御とレギュラーガソリン制御
二種類のプログラムが入っています。
ハイオク仕様と言っても
:レギュラーを入れるお客様
:ハイオクと言いながらレギュラーを売るお店
が非常に多く
レギュラーガソリンでも正常に走行するようにしなければいけないからです。
ECUチューニングすると言う事は
このレギュラー仕様を完全に殺すと言う事です。
(チューナーの癖にも依りますが、大体は完全に殺します)
まずこれだけでも燃費は良くなります。
実際に制御マップの数値を見て貰えれば判るのですが
レギュラー制御はハイオクのそれに比べ
燃料噴射時間で最大「10%以上」多く
点火時期で最大「10度以上」遅くなっています。
さらに、ECUチューニングした場合は、ノーマル時より点火はより早く
燃料はより少なくなりますので
(もちろん、マップエリアによっては逆も有りますが)
当然燃費は向上します。
デメリットは
クォリティが高くない燃料を入れた場合に
走行に支障が出たり、エンジンの故障に繋がったりすることです。
尚
>トルクがあがった=ブースト圧が上がった
ではありません。
点火時期がよりMBTに近づき、燃料量がよりパワー空燃比に近づいた結果です。
まともに書けば
百科事典が出来上がってしまいますので
今日はこの辺にて。
早速のご回答ありがとうございます。
ECUチューニングでブースト圧が上がることに気を取られていましたが、
そもそも点火タイミングや空燃比の改善でトルクアップしつつ
燃費がよくなるということですね。
確かに、街乗り程度でエンジンをぶん回していなければ
ブーストはそれほどかかっていない状態かもしれないですね。
ありがとうございました。
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