No.4ベストアンサー
- 回答日時:
設計者が知識と技術を駆使して作製した建築設計図は、著作権法でいう著作物に該当します。
判例としては、大阪地裁 平成11(ワ)3635号、名古屋地裁 平成04(ワ)2130号が挙げられます。従いまして、第三者が設計者に無断でその設計図通りに建築物を建造することは、建築の著作物の複製、すなわち著作権の侵害行為となります。この点は、north073さんが回答された通りです。さて、次に、sein13さんのいう「経済性を考え、建築基準法上の容積率や建ぺい率などの条件を見込んで設計すると、別人が設計しても似た図面になる」点について考えてみます。
先の判例のうち、大阪地裁 平成11(ワ)3635号の判決では、「建築設計図は、主として点又は線を使い、これに当業者間で共通に使用される記号、数値等を付加して二次元的に表現する方法により作成された図面であり、極めて技術的・機能的な性格を有する上、同種の建物に同種の工法技術を採用しようとする場合には、おのずから類似の表現を取らざるを得ないという特殊性を有することから、複製判断の対象とされる設計図と原著作物との間で、このような表現方法が共通していたとしても、それが直ちに創作的な表現が再製されたものであるとはいえない(=著作権の侵害行為に相当するとはいえない)」旨が示されています。このことから逆説的に考えると、JIMIさんの件では、「経済的な建築が現実に可能なように設計図として表現した箇所」が「個性が現れ、創作性が表現されている(著作権を主張するに値する)」ということになりそうです。それと、タンク建築なんかでは、安全に関しても配慮しなければならないのではないのでしょうか? その辺りが全く同一もしくは類似しているようであれば、そのような建築物を建造することは著作権の侵害行為に相当する可能性が非常に高いと思われます。
先の判決文は、下記のURLから入手できます。事件番号を入力する欄(一部選択)がありますので、上記の番号を入力してください。
でも、この手の不正行為を防止する一番よい方法は、見積もり請負時に「提出した図面や文書は、第三者には譲渡もしくは開示しない」という一文を入れた契約書に互いに署名しておくことだと思いますよ。
最後に、sein13さんのもう1つの疑問である「メーカーが公表しているものやディテール集としても公開されているものにまで著作権が及ぶのか?」ということについてですが、疑問の内容からすれば、そのようなメーカーが建築者に対して著作権を主張することはまずないと思います。もし著作権を主張するとしたら、そのメーカーの競合他社が同様の図面を作成し、その図面に則って建築物が建造された場合じゃないですかね?
参考URL:http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/List …
詳しいご回答ありがとうございます。
非常に勉強になりました。
客先相手に法的手段に出ることはまずありませんが、契約前の図面には一文を付け加えることに致します。
No.5
- 回答日時:
kawarivさんありがとうございます。
メーカーは著作権を主張することは確かに聞いたことがないです。メーカーごとに図面の細部が違うので、別のメーカーが図面を転用することは無意味です。(自分所で作っている製品と図面が不一致だから)たとえば、エレベータのメーカーの5社の図面はもう決まっていて設計者はどれか1社のを使うしかないのです。もちろん、メーカー側は図面に載せてもらえれば、施工され、製品が売れて、将来に渡ってメンテナンス費用が入ってくるわけですから、著作権どころかどんどん使って、コマーシャルしたいと思っていると思います。それでも、著作物かという話と複製禁止という話は別だと思いますので・・・
>経済設計をする為には杭の配列や本数など決めるのに経験とコツと手間が必要
わかりますとも。私も杭の積算した事が山ほどあります。計算だけでなく、周囲の工事用進入路の道路幅など綿密に調べないと、杭の設計はできないですしね、経済性だけ考えて15mの単杭で設計したら、運び込めなくて損害賠償ものですものね。建築士の責任は重いです。給料は安いけど。
一方で、見積段階で非開示の契約書を取るなら、設計の本契約どころか、最初の見積りにも入れてもらえないという厳しい現実もあります。サービスという事なんでしょうか。設計する者としては悲しい現実ですね。
No.3
- 回答日時:
興味のある話だったので、割り込むことになるのですが、north073さん教えてください。
建築図面といっても、部分詳細図はメーカー(防水のシートなど作っている会社)が公表しているものもありますし、ディテール集としても公開されてます。こんな、建築家では周知のものまで著作権の保護にされたのでは困る図面もあります。こんな部分詳細についても著作権侵害とされると誰も設計できないのではないでしょうか。
平面図や配置図についてはデザイン性が高くなるので著作権の保護の要請が高いと思うのですが、それでも、経済性を考え、建築基準法上の容積率や建ぺい率などの条件を見込んで設計すると、別人が設計しても似た図面になると思うのです。使う意匠要の材質(壁クロスや壁材タイル)は千差万別だと思います。
JIMIさんにもお尋ねしたいのですが、見積りの時点で精密な図面を出すものなんでしょうか。普通はラフスケッチと明細表だけを出すように思うのです。というのも、契約締結前に完成図面を渡すのもおかしいと思うのです。契約を締結してから請負契約の法的拘束に従って完成図面を作成し引き渡すわけですから。この場合でも、相手方が見積り図面を転用したなら、契約締結前でも信義則に基づく契約責任が発生する余地はあると思いますが・・・
この回答への補足
補足いたします。
こういったことが行われるのは、タンク基礎とか機械基礎、工場や倉庫一部増築といった構造主体となるような物件が多いです。断面リストと伏図があれば簡単に施工できてしまうような物件です。
タンク基礎の図面なんて・・・とお思いでしょうが経済設計をする為には杭の配列や本数など決めるのに経験とコツと手間が必要なのです。それを簡単に盗まれてしまうのは解せない!と思い質問してみた次第です。
No.2
- 回答日時:
(1) 建築の設計図に基づいて建築物を完成することは、建築の著作物の複製となります。
(著作権法第2条第1項第15号ロ)(2) 著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものを言うので、どこにでもあるような建物は建築の著作物とは言わず、「建築家の文化的精神性」が感じられるようなものでなければならないというのが著作権の世界の理解です。
(3) とはいえ、何をもって建築の著作物かそうではないかの線を引くかというのは、一概に決められないところです。特に設計をしておられる方からすれば、どれも著作物だと思えることでしょう。
(4) というわけで、一般論として、施工された建物が建築の著作物と認められるようなものであれば、複製権侵害に当たる、ということにとどめておきたいと思います。
(5) なお、図面自体を学術の著作物と考えて、図面を施工者が増し刷りした場合などには図面自体の複製権侵害であると主張することも考えられます。この場合も、図面に創作性があるかどうかの問題がつきまといますが。
No.1
- 回答日時:
仕事で、最終的に建築目的で作ったものならば、設計図は著作物としては認められません。
なぜなら、著作権法の定める著作物の定義に反するからです。著作物は「自己表現の手段」である必要があります。まあ、世の中にはあからさまに自己主張してるような建物もありますから(笑)、そういうのは別といえるでしょうけど(^_^;
別に設計図なんて、社会に対して何かを訴えるために書くものじゃありませんからね。
もちろん、著作権法以外で何らかの形での保護はできるんじゃないかなぁ、と思うんですが、そっちについてはよく分かりません(^_^;
deagleさま。レスありがとうございます。
概ねこういう結論であろうと予想してました。
こういうことが行われるのは小さな物件が多いので会社的には別に工事がとれなくても良いのですが、設計者的には、たとえ小さな物件でも事故が起こらぬよう色々なことを考え手間隙かけて構造計算し図面化したものが簡単に他社に流れてしまって、設計料すらもらえない、著作権も認められないというのはあまりに寂しすぎる現実です。構造設計というのは社会的に認められていない仕事なんやなぁ、と思う今日この頃。
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