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 いわゆる交付欠缺(手形の保管中に盗取され、裏書譲渡された)の事例において、通説は、交付契約説に権利外観理論によって修正を加えるという立場ですが、この権利外観理論によって治癒されるのは、手形債務負担という側面のみなのか、それとも、手形債務負担のみならず、権利移転面まで治癒されるのかについて伺いたいです。前者の場合、権利外観理論によっても、権利移転面は治癒されませんから、所持人が権利行使するためには善意取得(手形16II)する必要があると思われるのに対して、後者ならば、権利移転面は治癒されているので、善意取得を論ずる余地がないと思います。
 旧司法試験のA答案を見てみると、権利外観理論によって権利移転面まで治癒されるとする答案と、そうでない答案が散見されます。
 私の持っている基本書やテキストでは、この点について明確にされていないため、混乱してしまいました。以上につき、よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

 法律論を論ずる際は、なぜこの論点を論ずる必要があるのか、ということを意識して論じなければなりません。



 抽象論としては、通説である交付契約説は、創造説+権利移転有因論のように、手形行為を債務負担行為と権利移転行為に分けずに1つの行為と考えます。

 そうずると、抽象論としては、交付契約説に権利外観理論を適用されることによって、「手形行為」全体の瑕疵が治癒される、と一応考えることができます。

 正確に言えば、手形行為として有効になるというのではなく、手形取得者が権利外観行為によって保護されることになります。

 ここでは、「手形債務負担行為」「手形権利移転行為」とに分けて考える必要も理由もありません。

 一方、創造説+権利移転有因論は、権利外観理論は「手形債務負担行為」に適用されると考えます。

 上記の議論は、約束手形の振出を前提にした議論です。

 約束手形の裏書となると、この議論を前提に、違った議論になります。
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この回答へのお礼

お礼が遅くなって申し訳ありません。ご丁寧にありがとうございました。

お礼日時:2013/08/18 13:30

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