プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

私は東京で二世帯住宅の2階に夫婦で住んでいます。1階には母が住んでいましたが、2年前から認知症を発症したのをきっかけに埼玉の兄夫妻と同居しています。現在1階は誰も住んでいません。 
 この度、外壁塗装工事をすることになり、母と兄の了解をもとに進めて完了したところです。業者の選定は兄と相談しました。建物の持ち分割合は私が3/5、母が2/5です。総費用の70万円を持ち分に応じて私42万円、母28万円と決めました。
 ところが、当初私が、薄いベージュ系にすると言いましたが、あくまで予定として知らせまでで、結局薄いピンクベージュに決めてしまい、兄には報告しませんでした。(一般的に見れば薄いピンク色)
 これに兄が怒り、約束が違うので、塗り直せ!できなければ費用を払わないと言っています。私は色を約束したつもりはありません。兄が後見人でもなく、共有者でもありません。勝手に母のお金を管理している現状で、母のお金から2/5相当分28万円を支払わない場合、民法第253条「共有物に関する負担」の不履行に該当になりますか。これを根拠に少額訴訟を起こすつもりですが、勝算ははありますか?法律に精通している方のご回答をお願いします。

A 回答 (5件)

 塗装費用と訴訟の二つに分けて説明します。


1 塗装費用について
(1) 本件の塗装工事は、民法252条の共有物の「管理に関する事項」、あるいは同条ただし書きの「保存行為」に該当するか問題になります。
 この点、管理に関する事項は、共有物の現状を維持し、その価値を高める行為であるなどとされます。他方、保存行為は、共有物の現状を維持する行為をいいます。
 以上を前提に検討してみると、「…チョーキングという現象があり、防水機能が失われていることや実際クラックが出ているという診断が出た」とのこですから、これに対処すべくなされた本件塗装工事は上記「管理に関する事項」に該当するか、少なくとも「保存行為」に該当する思われます。
(2) そして、「管理に関する事項」は持ち分の過半数にしたがって決定することができ(252条本文),保存行為は各自が単独でしえます(同条ただし書き)。
 あたなは持ち分3/5とのことですから、管理に関する事項、保存行為のいずれにせよあなた単独で本件塗装工事を業者にお願いすることができることになります。
 そして、管理に関する費用、保存に要した費用は、各共有者が持ち分に応じて負担することになります(253条1項)。したがって、母親に対して28万円(工事費用の2/5相当)に係る請求をするのはまったく正当ということになります。
 上記の次第でお兄さんの、色が気に入らないとの理由は請求を拒む理由にはなりません。
また、他の回答者が、母親にとって必要の必要性や無断で行うことを問題視していますが、あなたが単独で決定できますので、その点も上記請求を拒む理由にはなりません。
2 訴訟について
(1) 上記工事費用の28万円相当額はあくまで他の共有者であるお母さんに請求できることになります。したがって訴えの相手方つまり被告は原則としてお母さんになります。
 ところが、ここで問題になるのがお母さんが認知症ということです。認知症を煩っている方に提起した訴えは不適法な訴えとして却下される可能性があります。
 そこで、そのような事態に対処するためにお母さんに後見人をつけてその後見人を訴訟の相手方にする、あるいはあなた自信が後見人になる、という方法が考えられます。もちろんあなた自信がお母さんの後見人になることができればお母さんを訴えるまでもなく、上記管理に要した費用を支払ってもらうことができます(場合によってはその支払いにつき家裁の許可が必要ですが、いずれにせよ訴訟を提起する必要はない)。
(2) 他方でお兄さんを訴訟の相手方とできないかについても検討してみますが、この点については、お兄さんがお母さんに変わってあなたに支払う義務があるかがポイントになります。
 お兄さんが上記義務を負う理由として、お母さんからお兄さんが支払いをお願いされ、お兄さんがこれを了承した、という事情が必要になるのですが、やはりここでもネックになるのがお母さんが認知症であるという点です。この時すでにお母さんが認知症を煩っていたとすれば、お母さんのお兄さんに対する上記支払い委託も無効とされる可能性があります。そうするとお兄さんはあなたにお金を支払う義務はないばかりか、勝手にお母さんの口座からお金を引き落としてあなたに支払う権限がそもそもない、ということになります。つまり、「色が気に入らないから支払わない」というより支払う権限がないため支払えない、という理由が成り立つわけです。
3 まとめ
 あなたは28万円について請求権を有していると考えられますが、これを適法に回収しようとすると、結局お母さんに後見人をつけなければならない、ということになりそうです。
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この回答へのお礼

ご回答読ませていただきました。大変明快でわかりやすく納得できる回答でした。私が後見人になれるかは、兄が了解しないでしょうから見込みはないのでは。それとも同居の兄が勝手に費用を使っている現状などから、申請すれば裁判所が私を後見人として認める可能性があるのでしょうか。別の問題になってきますね。この度は、親身で丁寧な回答を本当にありがとうございました。

お礼日時:2015/01/12 14:54

>私が後見人の手続きをしたら、兄の意志とは関係なく、誰かが必ず選任されるのでしょうか?


 申し訳ありませんが、法律の世界では「必ず」ということはありません。裁判所が選任の必要性はない、と判断すれば選任されません。
 手続きについてですが、申し立てはあなた個人ですることができ、裁判所は、お母さんのためによかれと思う場合は、お兄さんの反対にもかかわらず後見人をつけることができます。お兄さんが反対、すなわち、後見人開始の申し立てが認められない、ということはありません。
 

>私が後見人の手続きをするのがよいか、今回のことをきっかけに、兄に後見人の手続きを求めるのがよいのか、
 法的にはあなたとお兄さんのいずれが申し立てをしようが差異はありませんので、兄が申し立ての手続きをしないというのであれば、あなたが手続きをすすめてよかろうと思います。

>後見人の手続きをしようにも、同居していない私には母の診断書をとることができません
 家庭裁判所は必要があるときは、医師たる裁判所技官にお母さんの状況について診断させることができますので(家事審判規則7条の4第1項)、そちらで診断書を提出できなくても差し支えありません。

>他に問題点はないでしょうか?
 気になる点があるとすれば、お兄さんが家裁の調査を妨害しないか、という点ですが、その場合の対処は家裁の指示に従うのがよいと思います。
 他にも疑問があれば家裁に行って聞いてくるとよいでしょう。いろいろ教えてくれるはずです。
 この件に関して私の回答は以上となります。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。こんなに短時間に何度もおつきあいいただき感謝いたします。法的な問題は細かい状況を伝えにくいので、自分にあった回答を得るのは難しいと感じていました。素人の回答だと、感情的なものもあったりして結構残念です。貴殿のように状況を把握し、根拠に基づき的確に回答をいただいたのは初めてです。明快で筋道がわかりやすく、なるほどと思える回答ばかりでした。今後の課題も明確になりました。今回は本当に感謝いたします。素晴らしい回答者に巡り会いました。ありがとうございました。

お礼日時:2015/01/12 19:16

後見人の件について



>私が後見人になれるかは、兄が了解しないでしょうから見込みはないのでは。それとも同居の兄が勝手に費用を使っている現状などから、申請すれば裁判所が私を後見人として認める可能性があるのでしょうか。

 この点についても民法に規定があり、本人の生活の状態(誰と同居しているか等),財産の状況、後見人となるべき者の職業、その他一切の事情を考慮して決定されることになります(同法843条4項)。また、後見人は複数でもよいとされ(同条3項)、さらには弁護士等を後見人に選任することもできます(なお、弁護士に後見人になってもらう場合は月に2万円から5万円の費用がかかります(私の所感では2万なら相当良心的)。頭の隅にでも入れておいて下さい。)
したがいまして、兄が了解していないから見込みはない、ということではありません。また、お兄さんがあなた一人で後見人になるのが気に入らないというのであれば、二人で後見人になることをお兄さんに提案してみる、というのも一つの手でしょう。
 

この回答への補足

後見人の手続きをしようにも、同居していない私には母の診断書をとることができません。兄に頼んでも絶対にとってくれないでしょう。これがネックにはなりませんか?他に問題点はないでしょうか?

補足日時:2015/01/12 16:31
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この回答へのお礼

引き続きご回答ありがとうございました。
兄が後見人の手続きをしないのには、今のままで十分自分の思い通りにお金を使えるからでしょう。私が後見人の手続きをしたら、兄の意志とは関係なく、誰かが必ず選任されるのでしょうか?ならば手続きをしてみようとも思います。でも、私が後見人の手続きをするのがよいか、今回のことをきっかけに、兄に後見人の手続きを求めるのがよいのか、わかりません。現在兄とは話し合いができる状況ではありません。
兄とは別の問題でも内々にもめている最中です。後見人は私がなるか、第三者(弁護士?)がなるかを望んでいます。
すみません。そちら様は法律に精通している方のようなので、よろしければご回答いただければ幸いです。

お礼日時:2015/01/12 16:27

追記です。



提訴といいますが、被告は誰になるのでしょう?

お兄さんですか。

お兄さんはお母さんの代理人でも何でもないの
ですよね。

それでどうやって被告になり得るのでしょうか。

仮に、勝訴したって、代理人でも無いお兄さんはお母さんの財産から
塗り替えのお金を出すことはできないでしょう。

例え成年後見人を選任してから、提訴するにしても、
そういうお金を出してよいか、家裁が認めるか疑問です。
なぜなら、すでにお母さんはその家に住んでいない
からです。

塗り替えが、お母さんにとって必要だとは思えません。

法律云々だと、このように複雑になりますよ。

この回答への補足

気にかけていただきありがとうございます。
少額訴訟の被告は共有持ち分のある母になります。同居の兄が委任されてか代理で対応するのかはわかりません。しかし実際兄が母のお金(年金)を全部管理し、生活費も含め普段好きに引き出して使っています。
母は住んでいなくても私との共有財産です。

補足日時:2015/01/12 09:46
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前にも同じような質問がありましたね。




”母のお金から2/5相当分28万円を支払わない場合、
民法第253条「共有物に関する負担」の不履行に該当になりますか。”
    ↑
該当しないと思われます。
253条の管理費用とは、一般には公租公課の
ようにどうしても必要なモノを指すからです。
外壁塗装は管理費用とは言えないでしょう。

ただし、塗り替えないと外壁が崩壊する、という
ような関係があれば、保存行為として請求できる
余地があります。


”これを根拠に少額訴訟を起こすつもりですが、勝算ははありますか?”
    ↑
難しいと思います。
お母さんの意思が全く不明です。
お母さんの同意も無しに、塗り替えた、ということは
質問者さんが勝手に塗り替えて、その代金を一部にしろ
負担しろ、ということです。

認知症だから意思の表示は難しいでしょうが、だからと
言って勝手にやれる訳ではありません。

この回答への補足

母の了解は得ています。母は物忘れが激しいが、電話に出て、その時々の理解はある程度の認知症です。同居の兄の了解も得ています。また、20年も外壁塗装をしていなくて、業者により、チョーキングという現象があり、防水機能が失われていることや実際クラックが出ているという診断が出たことも伝えてあります。だから、塗装をしたいと伝えました。

補足日時:2015/01/12 09:30
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