私は物理屋ですが、微積分で使っていた教科書をでは関数の極限の定義は
lim[x→a]f(x)= L ≡ ∀ε∃σ∀x∈fの定義域(0<|x-a|<σ→|f(x)-L|<ε)
#x=a が条件の中に含まれていない。
でしたが、解析学の本を紐解くと、半分くらいの本では
lim[x→a]f(x)= L ≡ ∀ε∃σ∀x∈fの定義域(|x-a|<σ→|f(x)-L|<ε)
#x=a が条件の中に含まれている。
を採用しています。これは高校や技術屋が大学で習う一般的な極限とは違う定義ですが
わざわざ2流派あるからには、何か合理的な理由があるような気がします。
後者の定義の利点は何でしょうか?
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
杉浦光夫氏の解析入門は I と II、さらに解析演習も持っています。
確かに解析入門 I では51頁から52頁にかけて [定義 2] で、函数の極限を質問者様が仰る通りに定義していますね。
ただ、私はこの定義は、質問者様が微積分で使っていた教科書の定義と比較して大きな違いは無いと感じており、読み流していました。
例えば f(x) = (sin x)/x は A = R - {0} で定義できて 0 ∈ (A の閉包) ですが、
lim [x -> 0] f(x) = 1 は当然として、
無理矢理 g(x) = (sin x)/x if x ∈ A, g(x) = 0 if x = 0 という R で定義される函数 g(x) を作ると、
杉浦光夫氏の定義に従えば lim [x -> 0] g(x) という極限は存在しないことになるのですが、
54頁の [注意 1] にある「多くの本」の定義と衝突しないための工夫として、
(1) lim の下に x -> 0 だけでなく x ≠ 0 を併記する
(2) g(x) の定義域から 0 を除き、定義域を A に変える
(3) g(0) の値を 0 ではなく g(0) = 1 と定義しなおす
(1)、(2)、(3) のどれを用いても、「多くの本」の定義との違いを解消できます。
上の (3) と少しだけ関連した話として、上の g の定義域を C にして、
g(z) = (sin z)/z if z ∈ C - {0}, g(z) = 0 if z = 0
とすれば 0 は特異点ですが g(0) = 1 と定義しなおすことで 0 を正則点にできます。
そういう理由で、複素解析の書籍の中には、除去可能な特異点を正則点に分類しているものもあります。
数学書では著者である数学者が、自著に特徴を持たせることが目的かどうかは不明ですが、定義に関して細かいところで他書とあえて違った内容を取り入れることは、それほど珍しくありません。
なお、解析入門 I の姉妹本である解析演習も杉浦光夫氏が著者(の一人)ですが、その5頁から6頁にかけて函数の極限を定義しています。
そこでは | x - a | < δ ではなく 0 < | x - a | < δ を採用しています。
以上のような理由で、解析入門 I で | x - a | < δ により極限を定義したことに関して、あまり強い執着や信念は、少なくとも私には感じられません。
No.2
- 回答日時:
なるほど、そういうことでしたか。
それは失礼致しました。
小平邦彦氏の解析入門は読んだことがありませんが、以前からいつか読みたいと思っておりましたので、これを機会に読んでみることにします。
No.1
- 回答日時:
もし質問者様の記憶違いでないなら、半分くらいの本は間違っています。
>lim[x→a]f(x)= L ≡ ∀ε∃σ∀x∈fの定義域(|x-a|<σ→|f(x)-L|<ε)
この定義は間違い。
a が f の定義域の点で f(a) = L + M (M ≠ 0) の場合を考えてみれば、明らかです。
質問者様は、何かと勘違いしていませんか。
f(x) が x = a で連続であることの定義であれば、L の部分を f(a) に改めればそれでよく、
| x - a | < δ と 0 < | x - a | < δ のどちらを使っても、結局は同じ内容の定義になります。
ご回答ありがとうございます。
>a が f の定義域の点で f(a) = L + M (M ≠ 0) の場合を考えてみれば、明らかです。
はい、例えば f(x) = 2(x=2), 3(x≠2) なら前者の定義では
lim[x→2]f(x)=2
ですが、後者では
lim[x→2]f(x) は収束しない
になります。後者の定義はこういう性質の違いもセットになっているのです。
連続の定義等も当然違ってきます。
つまり我々が高校などで習ってきたものと、limの意味合いや定義や定理などが
微妙に違った体系になっていて、これはこれで矛盾はないようなのです。
私の疑問はこうした体系を使う理由(利点)が何なのかということです。
単に似たような体系が併存しているだけなんでしょうか?
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後者の定義を採用している教科書の例を載せておきます。
小平邦彦『解析入門I』『解析入門II』岩波書店
>はい、例えば f(x) = 2(x=2), 3(x≠2) なら前者の定義では
>lim[x→2]f(x)=2
お礼が間違ってました。
lim[x→2]f(x)=3
間違えました。
後者の定義を採用している例は
解析入門 I 杉浦 光夫 東大出版
です。
同じ書名なので混同してしまいました。
申し訳ない。