No.7ベストアンサー
- 回答日時:
横合いからなんなのですが、
>Klein-Gordonを満たすのは場の演算子であって、状態ベクトルではありません。
ご指摘の通りです。しかし、ここで改めてK-G.eqを因数分解したDiracの方程式というのは一体何ものかと思ったりします。この方程式は、場という無限自由度の問題を一体問題にすりかえることのできる極めてラッキーな方程式ということになるのでしょうか。。。
ibm_111さんの2成分波動関数に分解するやり方は確率密度は正定値にならないので問題ですが、エネルギーの低い領域では粒子、反粒子の対生成が起こらないので反粒子のことは考慮しなくてよい。このことから2成分波動関数をそれなりに解釈することが可能になる、ということも言えると思うのですがいかがでしょうか。
ご回答ありがとうございます。エネルギーの低い領域はそもそも相対論的でないからシュレーディンガーで十分なはず。一方エネルギーが高くなると、場の量子論を使わなければならないということで、Klein-Gordonを波動方程式として使うことはほとんどないような気がしてきました。
No.6
- 回答日時:
メシアの3巻p.183には以下のような議論がされています。
1.KGは2階の微分方程式だから、
2つの関数Φとχを導入して、
Φ=ψ+i/m ∂ψ/∂t
χ=ψ-i/m ∂ψ/∂t
によって書けると考える。
ただし、ψは元のKGの解。
2.NRでは、i∂ψ/∂t~mψ
3.したがって、χ<<Φ
すなわち、一方の成分が無視できるようになり、
シュレーディンガーの非相対論的な理論がもう一度得られる。
谷-Foldy-Worthuysenのような技巧的な議論は必要ないのか、
できないのかは不明です。
だいたいこの議論では、相対論的補正がどんなものか分からないですね。
ご回答ありがとうございます。波動関数がKlein-Gordonを満たすというのがそもそも違うのではないでしょうか。Klein-Gordonを満たすのは場の演算子であって、状態ベクトルではありません。正準量子化の一般論によると、
1.場と、共役な場の間に交換関係または反交換関係を仮定する。
2.ラグランジアン密度からハミルトニアン密度を作り、これを空間積分したものをハミルトニアンとする。
3.シュレーディンガー描像では状態ベクトルは
i∂Φ/∂t = HΦ
に従う
ということになっているので、これの非相対論的極限を考えるべきではないでしょうか。
No.5
- 回答日時:
お役に立てなくて、申し訳ありません。
量子化した後で、非相対論的極限にするにはどうしたら良いかは分かりませんが、量子化する前でしたら、エネルギーの2乗がなくなる過程は分かりますので、補足します。PμPμ=(mc)^2の式で、P0=E/cのEは、運動エネルギーTと静止質量エネルギーmc^2の和なので、この式は、(T+mc^2)^2/c^2=p^2+(mc)^2となります。左辺の括弧の2乗を計算すると、(T/c)^2+2mT+(mc)^2=p^2+(mc)^2となります。これより、(T/c)^2+2mT=p^2となります。この式で非相対論的極限を取るということは、cを無限大にすることなので、左辺の第1項はゼロとなり、2mT=p^2となります。このときに、エネルギーの2乗の項はなくなります。
ご回答ありがとうございます。量子力学で考えたいと思います。ディラックに拠れば相対論的波動方程式は確率の保存のために時間について1階でなければならない。また、Klein-Gordon方程式も満たすとします。すると良く知られているようにディラック方程式が得られ、相対論的共変性を示すばかりか電子のスピンが1/2であることやスピン軌道相互作用が自然に説明できるし、古典論で説明できない電子の磁気能率も説明できるし、水素原子スペクトルの微細構造も説明できるしメデタシ、メデタシ。しかしまてよ、これじゃすべての粒子のスピンが1/2だということになってしまう。実際にはスピンが0や1の粒子も存在している。こっちの方はどうなるんだ…とか思ったことはありませんか。スピン0の粒子に対し相対論的に共変なKlein-Gordonのが正確な式であるとすれば、スピン0を保ったまま非相対論的極限でSchroedingerに移行してくれなければ困るのではないでしょうか。
No.4
- 回答日時:
>それは多くのテキストに書かれています。
そうなんですか。私は見たことがありません。
そのテキストを教えてもらえますか。
Dirac→シュレーディンガーと同じ処方を
KGにも適用できるかどうか検討してみます。
grothendieckさんは、「適用できない」ことを確認されたわけですね?
ご回答ありがとうございます。ハミルトニアンは時間並進のgeneratorだから
i∂ψ/∂t = Hψ (ただしプランク定数を1とする)…(1)
の形の方程式があるときHがハミルトニアンと同定されます。そこでディラック方程式を
i∂ψ/∂t = (α・i∇ + βm)ψ
の形に書いて、(α・i∇ + βm)の部分に谷-Foldy-Worthuysenをすれば非相対論的極限でシュレーディンガー作用素になるということは西島和彦「相対論的量子力学」でもメシア「量子力学」でもランダウリフシッツ「相対論的量子力学」でも、Bjorken-Drell”Relativistic Quantum Mechanics”でも書いてあると思います。スピン0の場合、Dirac→シュレーディンガーと同じ処方を適用しようにも上の(1)の形の方程式を得るためにKlein-Grdon作用素を因数分解するとすでにその段階でスピン0の粒子の方程式ではなくなってしまいます。
No.3
- 回答日時:
「Dirac方程式が非相対論的極限でSchroedinger方程式になること」は示せませんが、量子化する前の段階のエネルギーと運動量の関係は簡単です。
Dirac方程式もKlein-Gordon方程式も、量子化する前は、エネルギー運動量ベクトルの内積PμPμ=(mc)^2が基になります(添字の上下が書き分けられないところはご容赦ください)。この式で、エネルギーを時間微分演算子、運動量を空間座標の微分演算子に置き換えたのが、Klein-Gordon方程式です。微分演算子に置き換える前に、PμPμ=(mc)^2の非相対論的極限をとると、T=p^2/(2m)となります(Tは運動エネルギー、pは運動量の3次元ベクトルです)。全エネルギー=運動エネルギー+ポテンシャルエネルギーとおいて量子化をするとSchroedinger方程式になります。
Dirac方程式を求めるときは、PμPμ=(mc)^2の段階で、γ行列を導入して、(Pμγμ)^2=PμPμの関係を使います(言葉でいいますと、Pμとγμの内積の2乗が、Pμ同士の内積に等しい)。このようなγμは、γμγν+γνγμ=2ημν(ηは計量テンソル)を満たせばよいことが分かります。この関係を使うと、(Pμγμ)^2=(mc)^2となりますので、2乗をはずして、Pμγμ±mc=0となります。これを量子化すると、Dirac方程式になります。
直接の回答にはなっておりませんが、参考になりましたでしょうか。
ご回答ありがとうございます。しかしshiaraさんの書かれていることは、古典論での相対論から非相対論への移行+普通のシュレーディンガー方程式の導入ではないでしょうか。スピン0粒子がKlein-Gordonに従うならばエネルギー・運動量を演算子で置き換えてから非相対論的極限をとっても良いはずだし、事実スピン1/2の場合はむしろそうしなければ電子のスピンやスピン軌道相互作用が自然に説明できないことは良く知られています。
No.2
- 回答日時:
J.J.Sakuraiの「Advanced Quantum Mechanics」の
Diracの場合の計算をKGに焼き直してやってみました。
方針は以下の通り:
1.基礎にする式は、KGの運動量演算子を
p-eA
で置き換えたものです。
2.展開して、φ=φ(x,t=0)exp(-i 2πEt/h)を代入します。
3.E=E(NR)+mとして、E(NR)<<mを仮定します。
NRは、Non Relativisticの略です。
それと、eA0<<mも仮定します。
Aμの他の成分は特に仮定しません。
ローレンツゲージも仮定します。
4.後はひたすら計算すると出てきたような気がします。
>時間について1階にするのはどのようにされたのでしょうか。
という感じなので、time-dependentな場合の計算は載ってませんでした。
・・・というか、time-dependentな場合でも、
シュレーディンガーとディラックは一致するんですか?
ご回答ありがとうございます。time-dependentな場合でも、ディラックの非相対論的極限はシュレーディンガーにスピン軌道相互作用などを入れたものになります。それは多くのテキストに書かれています。スピン0のtime-dependentな粒子がKlein-Gordonに従うとすれば非相対論的極限でどうして時間1階のシュレーディンガー方程式になるのでしょうか。
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