You tubeで何気なくラベルのボレロを聴きました。エッシェンバッハ指揮、パリ管弦楽団、2007年のNHK音楽祭での演奏でした。スネアドラムのリズムの不正確さがとても気になりました。書き物をしながら聴いてたのですが、何度も何度も「あれっ」という感じで動画の方に目を向けてしまう感じでした。いわゆる走ったり、もたったり、不正確だったり。
私はそれほど聴く耳を持ってるとは思ってないし、いつもあら探し的に聴いてるつもりもありませんが、曲が曲だし私も打楽器演奏経験がほんの少しあるものですから気になってしまいました。演奏後は少なくとも標準以上の拍手と「ブラボー」が聴こえてましたし、エッシェンバッハは真っ先にスネアドラム奏者の手をひいてステージ最前列まで連れ出して労をねぎらっていましたので、余計に違和感を感じてしまいました。私の耳が悪いんでしょうか?(もちろん、それでも拍手をもらってしかるべき大役だとは思います)
私が最近同曲のライブで覚えてるのは、2~3年前でしたかステファン・ドゥネーブだったかがN響を振ったもので私は録画したものを何度か見直してますが、他のパートはいざ知らず少なくともスネアドラムに限ってはその時の奏者(石川達也氏という名前?)のほうが断然良かったと思います。今日初めて見たパリ管と比べずとも「スネア凄く良かった」と思い、以後その人が他の打楽器(シンバルやティンパニ)をやってても目が行くようになったくらいです。
そのパリ管の演奏を見た方、聴いた方、感想あるいは私が間違ってるならご教授をいただけますか。リズムが悪いか悪くないか?あるいはわざとそのように少し不正確な感じでやるということがあるのか?因みにパリ管のボレロと言えば、私はもう30年近く前のFM放送でシャルル・ミュンシュ指揮の演奏を聴いたのですが、なんとこの時はスネアが途中でリズムAとリズムB(でお分かりいただけますか)を逆にしてしまって、しばらくAとB入れ替わったまま叩き続けた後やっと正しい状態に戻るという、私としてはちょっと前代未聞の演奏があったのを思い出してしまいました。クラシック好きな友人に聴かせて「何これ?」と言ってたから私の聞き違いではないはずです。
蛇足が長くなり申し訳ありません。詳しい方そして同じ演奏を聴いた方、お願いします
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「プロの奏者がミスなんてするわけがない」なんてネット上で本気で言ってる人がいて、自分は面食らったことがあります。
が、現実として、プロの演奏会は勿論、有名録音でさえ、「目に見える」程のミスは当たり前にあるわけです。むしろ1つもおかしなところがないような演奏の方が珍しい。特に近代以降の管弦楽は音数も多く複雑で高度な演奏技術を要する作品が多いのでなおさらです。さらに演奏会はやり直しの利かない、人間のやることですから、信じられないミスだって結構ありますよ。
プロの楽団を扱っている指揮者・音楽監督でさえも、ミスに関してはそこまでシビアではなく、それよりも表現力や楽団としての調和等を重要視する人は結構いると思います。特にヨーロッパの演奏家や指揮者や音楽監督なんかには多そうです。
おそらくですが、プロの指揮者であるほど「ミスはあるもの」としてそこは覚悟しているのかもしれません。というか、ミスをすればただでさえテンパるのは奏者なので、指揮者がそこで堂々とした態度で次に進まないとグダグダの演奏に終わりかねない、というのもあると思います。
そんな当たり前にあるものですから、「ミスを誤魔化すのが上手い」というのも楽団の力量とも言えますが、ただ個人的に思うのは、そういうのだけがやたら上手い楽団というのはやはり小さくまとまっているだけで表現力や存在感に乏しい演奏が多い気もします。そういうこともありますから、ミスはますます軽く見られがちかもしれません。
「ブラボー」は客個人的なものであり、一般的な演奏への評価の尺度とは考えない方がいいですよ。特に日本国内の演奏会には、それを叫ぶのが慣習のように勘違いしている(あるいは仕込みとも言われていますね)観客は一部いるようです。
拍手もそうです。拍手は「賛辞の表現」であり、義務でも儀礼でもありません。酷い演奏だと思えば拍手なんてすべきではありませんし、途中退席だってしてもいいのです。ですが国内では拍手も儀礼や慣習のように思っている観客は多いと思います。演奏自体の良し悪しは関係無く、自分のお気に入りの演目であれば「あー盛り上がれた」ということで評価する客も結構いると思います。ボレロなんはとりわけ人気曲なのでそういう事例も多いでしょう。
・・・少なくとも日本国内の拍手やブラボーはそのくらいの意味しかないと思います。
あと、指揮者の奏者への「労い」に関しても、演奏自体を評価するものではなく、本当に同志としての「労い」くらいの意味しか無い場合もありますよ。指揮者にもよりますが、この「労い」が毎度、無理矢理演奏を持ち上げるような「感動パフォーマンス」としか思えない事例もありますね。そういう意味ではこちらの方が、観客による純粋な「評価」を意味する拍手やブラボーよりも、「慣習的」とも言えるのもしれません。
ありがとうございます。ミスについて、指揮者と演奏者の関係、指揮者のミスに対する態度、拍手やブラボーについて、とても勉強になりまた納得できるお答えでした。私自身もミスをあげつらうような聴き方はこれからもしないつもりでおります。
No.4
- 回答日時:
どんな演奏かと思って聴いてみましたが、テンポもオーソドックスで、リズムもおかしな所はありませんでした。
指揮者によってはテンポが遅かったり速かったりしますが、この演奏は王道だと思いました。管楽器の音色も抑制が効いていて素晴らしいです。
変わった演奏のCDというと、マゼール/ウィーンフィルが転調の直前でpoco rit.するCDがありますし、アバド/ロンドン響のCDは最後の数小節で楽団員がリズムに合わせて歓声を挙げています。
今までで一番くだけた演奏はラヴェル自身が指揮したコンセールラムルー管の演奏です。あれには驚きました。
ご指摘の演奏ですが、どこにも瑕疵がない素晴らしい演奏だと思います。
ありがとうございます。そうてすか、私の気にしすぎかもしれません。いろんな演奏の紹介いただきました。ラベルの指揮、特に興味深いですね
No.3
- 回答日時:
#1 さんの意見に大いに賛成。
海外のオーケストラや演奏家には、「日本に行けば、どんな演奏をしてもブラヴォーをもらえるんだぜ!」みたいなうわさが広がっているのではないでしょうか。だから「観光とグルメを兼ねた演奏旅行」を楽しみにやって来る・・・。
フランスの演奏家にはフランスものを(ドビュッシー、ラヴェル)、ロシアの演奏家にはロシアものを(チャイコフスキー、ラフマニノフ、ショスタコーヴィチ)、ドイツの演奏家には正統ドイツもの(ベートーヴェン、ブラームス)を所望し、「本場モノは違う」とありがたがる・・・。
おそらく、海外のオーケストラの演奏家は、ほぼ毎回「ぶっつけ本番」です。こう言っては何ですが、本気モードというよりは安全運転の「ルーチン」なのでしょう。それでもすごい底力なのですが。
ボレロのような曲は、一度始まればテンポは一定ですから、指揮者は振る必要がありません。プロのオケで「指揮者が振らないのでテンポがとれない」などということはあり得ません。(ストラヴィンスキーなどの変拍子や、しょっちゅうテンポや表情が変わるものは別ですが)
先日のパーヴォ・ヤルヴィさんの指揮科の音大生の指導でも、「テンポを振りすぎる」(曲はベートーヴェンの交響曲4番)と注意していました。指揮者はテンポではなく音楽のイメージを提示するのだとも。
ご指摘ものは、下記の演奏ですか?
上に書いたような「やる気のないルーチン演奏」かと思いましたが、そんなことは全然ない、よい演奏だと思いますけど・・・。パリ管はこの曲を「目をつぶってでも演奏できる」でしょうし(実際には演奏者同士のアイコンタクトは必要でしょうが)、オケとしてラヴェルは「俺が看板作曲家」との自負もあるでしょう。「ボレロって、こう演奏するんだぜ!」と、楽しんで演奏しているような。(でも、エッシェンバッハ氏の表情は、「あまり羽目を外すなよ!」と言っていますね)
きっちり正確に、自動演奏ロボットのように演奏することが名演だとは思わないもので・・・。
そういえば、ベルリン・フィルの来日公演を聴いた人が「まるでCDのようにきっちり演奏していた」と言っていましたが、それが賛辞なのかどうなのか・・・。
ありがとうございます。そうです。その演奏です。私も自動演奏ロボットのような演奏は決して好きではないです。ただこの曲のスネアドラムに関してはわりとキッチリの方が好きです。他のソロ奏者は別として。前半の海外オケと日本の聴衆の関係、残念ですがその通りなのでしょうね。また「指揮者が振らないので…」もおっしゃるとおりだと思います。私もパーヴォ氏の指揮指導をとても興味深く指導見ました。
No.2
- 回答日時:
吹奏楽、パーカッション経験者です。
どんなもんかと思って、動画を見てみました。
いや、とんでもないものを見てしまいまいた(笑)
指揮者のエッシェンバッハ氏は、ぜんぜんタクトを振らないんですね。あれじゃあ、スネアドラムがもたつくのは当たり前ですよ。
一般的に、指揮は指揮者がリズムキープを担当します。当たり前ですが・・・指揮者がなんらかの形で出来ない時や、指揮が見にくい時は第一バイオリンの第一奏者の演奏に合わせることになっています。
でも、ボレロのバイオリンはリズムを作るような演奏にはなっていませんよね。つまり「スネアドラムがリズムを作り、キープしている」ということになります。
でも、音でリズムをキープするのは難しいです。音の秒速は330m/s、動画はNHKホールだと思いますが、ここの舞台は端から端まで40m以上あり、スネアドラムの音が右手(上手)側末端のコントラバスのあたりに届くには0.1秒以上のズレが生じるわけです。
コンバスや低温系の学期は右手に集中していて、ドラムと同じようなリズムを刻んで居るわけですが、これが0.1秒遅れて届き、その音がさらに0.1秒遅れてスネア奏者に帰ってくるわけです。
本来なそういうことがないように、指揮者がタクトを振ります。演奏では各小節の頭を合わせることがどれほど重要か、質問者様はご存知だと思いますが、スネアドラムにはそれがない、わけです。
もし、バイオリンもスネアの音を聞きながらリズムを取っているとすると、ここでも0.05秒ぐらいの遅れは出ますので、さらにズレていくということになります。
結局スネアは「自分の感覚でリズムをキープしながら、演奏のズレに対応する必要がある」ということになりま。これがどんだけ大変かは、演奏経験があればお分かりになると思います。
そういうことがあるから、指揮者のエッシェンバッハ氏はスネア奏者を称えているのでしょう。
ボレロのような曲で、指揮者が指揮棒を振らなかったら、まともに演奏できるスネア奏者なんているんでしょうか。
ありがとうございます。細かい視点での説明でスネア奏者の苦労がよく分かりました。「結局スネアは…」からの4行、とてもよく分かります。
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