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最近ボツリヌス菌について調べることがあって、その生命力に感銘をうけました。
彼らはかなり長時間高温で熱しないと死なない。また中途半端な真空でも冷凍でも乾燥でもアルコールでも死なないと記載されていました。

そこで疑問に思ったのですがここまで生命力が高いのなら世界のいたるところにボツリヌス菌が繁殖し、毒素まみれになり人間はもちろんほとんどの生物は死ぬのではないかと思ってしまいます。(ボツリヌス菌のだす毒は非常に強力といわれています)
それでも私達は平和に暮らしているわけなのですがこれはなぜでしょうか?
ずっと前から気になりつづけているので質問してみました。
バカな質問かもしれませんが本当に気になります
どうかよろしくお願いします

A 回答 (4件)

こんにちは。


 ボツリヌス菌に限らず地球には強靱な生物がいるのに、それが世界征服(笑)していないのはなぜ・・・とは素直な質問と思います。
 特に、「熱などに対して強靱」ならば、いかにも強力に増殖しそうなものですが・・・。
 次のような回答ではいかがでしょう。
ポイントは、「生物が増えるには、死なないだけではダメ。繁殖力が必要。実は、ボツリヌス菌は熱などで死なないだけで意外に繁殖できない」

 もうお気づきかもしれませんが、生物が増えるには、強靱さのほかにとにかく「繁殖力」が必要です。そして、「繁殖力」には次のような要素があります。
①栄養や呼吸条件が緩く、幅広い栄養・呼吸条件や他の菌との競争の中でも成長して子を産めるようになること
②条件が整えば一定期間にたくさん増えること。子を産めるように(分裂できるように)成熟する期間が短く、さらに産む子(卵)の数がある程度多いこと。

 まず、②については、さすがに「菌」ですね。条件が整えば、ものすごい勢いで増殖し、毒素を作ってしまいます。しかし・・・
 実は①について、ボツリヌス菌は意外に能力が低いです。嫌気性菌といって、とにかく酸素があると成長できない。塩分には比較的強いですが、それでもしょっぱい漬物では繁殖できない。したがって、漬物の外では酸素のために、漬物の中では塩分のために繁殖できません。
 おまけに他の菌(乳酸菌)などと混在すると栄養の取り合いや分泌物の影響に負けて成長速度が下がってしまう・・・。
 ボツリヌス菌は熱に強い・・と言われており、確かに100℃を個得るような高温のほか酸素があるような好みではない条件では芽胞(いわば種)となって眠ることでなかなか死滅しませんが、その中で増えることができるわけでもありません。
 まあ、悪路でも故障しないが速度が出ない上に極端に高品質の燃料でないと動かない自動車・・・といったところでしょう。
さてさて、いかがでしょうか。

さらに恐縮ですが、少々余談を。
 上記では、ボツリヌス菌は強靱だが繁殖しない・・・との趣旨を書きましたが、では、強靱で繁殖力の強い菌があったら怖い・・・と思われるでしょう。
 現にそのような菌の可能性もありますが、幸いなことに、一般的に、強靱と繁殖力は矛盾することになります。
 まあ、哺乳類で言えば、ライオンは他の動物に食い殺されにくいが、このために子供の数が多くなる必要はなく、むしろ飢えに耐えるように進化した・・というのは直感的にご理解いただけるでしょう。

 その点、この機会に菌の世界でご理解いただきたいのが「抗生物質耐性菌」です。
 殺菌剤である抗生物質が効かない菌は強靱で体内で増殖すると大変に危険です。しかし一方で、このような菌は脆弱さもあります。
 抗生物質の効かない理由には、例えば細胞内から抗生物質を排出するポンプを持ったり、固い殻で抗生物質が染みこみにくいなど、いろいろな「進化」をしてしまったことになりますが、例えばポンプを持つ場合、吸収した栄養の一部をわざわざポンプを作ることに使う必要があり、時にポンプが栄養も排出してしまうなどの問題もあります。また、固い殻を持つならそのためにも栄養を使ってしまう上、殻が邪魔で栄養が吸収しにくくなることも不利な点です。
 言い方を変えれば、耐性菌は、ライバルである耐性を持たない菌に比べて弱く、競争に負けてしまう傾向にあります。
 それでも耐性菌が増えるのは、人間が中途半端に抗生物質を多用してライバルを蹴散らしてくれるから。
・・・ということで、「抗生物質で死なない菌も得ばかりしているわけではない。無駄な抗生物質の多用で彼らを利するのはやめましょう」というお話でした。

いかがでしょうか。
ちょっと楽しくなって長くなってしまいましたが、お役に立てば幸いです。
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この回答へのお礼

助かりました

洗練された文章で読みやすく、すごくわかりやすかったです
ボツリヌス菌は強いけど、条件があわないと繁殖できないし毒もだせなかったんですね
とくに酸素があるところでは繁殖できないということなら世界征服できないのは納得です
また余談のほうもとても楽しく読ませていただき、さらに菌に興味をもつことができました。
もうちょっと頭をつかって調べればわかるような質問に文句もいわず丁寧な文章で返していただけて本当感謝です。
あなたのファンになりそうです、また機会がありましたら是非宜しくお願い致します。

お礼日時:2019/12/12 11:16

…ちょっとくらい調べなよ。



 ボツリヌス菌ってね、嫌気性(正確には偏性嫌気性)なんですな。平たく言うと「酸素があると死んでしまう」細菌。35年ほど前に”真空パック"入りの辛子レンコンで10人以上亡くなったことがあってな…。

 ボツリヌス菌は細菌なので、寄生増殖ではなく自身が分裂して増えます。ハムやソーセージに入っている硝酸塩は発色が目的と思われている事がありますが、主目的はボツリヌス菌の増殖対策です(硝酸塩を抗生剤と捉えるのにはちょっと無理が…)。生命力が強い(死なない)のと増殖力が強い(よく増える)のは別物で、そこら辺はご自分で調べてください。ボツリヌス菌を多少摂取しても普段は腸内細菌との増殖競争に勝てなくて大事に至ることは少ないようですが、抗生剤を使い過ぎて腸内細菌のバランスが崩れていたりすると逆に危ない事もあるようです。やたらめったら抗生剤を使えばいいってもんじゃないって事ね。

 毒素(ボツリヌストキシン)は確かに猛毒ですが、うまく使えば薬にもなります。筋肉の痙攣などの病気が主なようですが。
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この回答へのお礼

なかなか頭が悪く嫌気性という意味がわからずスルーしてしまったようです
酸素があると死んでしまうなら納得です。真空パックだからといって安心できるとはかぎらなかったんですね・・・
ありがとうございました。

お礼日時:2019/12/12 11:18

抗生物質があるからです。



というか、20世紀の医学の一番の貢献は抗菌剤ですよ。
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寄生して繁殖する必要があるので


宿主を根絶やしにしたら、自分たちの繁殖に困る

だから程々に広がるように出来ている
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