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ADHDの治療薬ストラテラについて

ストラテラに、眠気・不眠という正反対の副作用があるのは何故ですか?
実際ストラテラを飲んだ感想をみると、「眠くて辛い」「寝れなくて辛い」のどちらもあってとても不思議です。

A 回答 (1件)

こんにちは。

以下のとおり回答させていただきますね。
かなり専門的になってしまいますので、それを承知の上でお読み下さい。

なお、わかりやすく伝えるために、簡略化している部分もあります。
薬学の知識がある人などからすると「厳密にはちょっと違うぞ」とツッコミをしたくなるかもしれませんが、全体としての主旨が異ならないように事実を書いていますので、正直、ツッコミは避けていただけると幸いです。

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ストラテラ(商品名)は、アトモキセチンという物質の製剤です。
この物質には、ノルアドレナリンという神経伝達物質の再取込を阻害する作用があります。

ノルアドレナリンという神経伝達物質は、精神の興奮にかかわるとともに、同時に、精神の鎮静にも大きくかかわっています。
先ほど「再取込」と記しましたが、通常は、脳内で何度も再利用(再取込)されながら、ごくごく微量で精神状態のバランスを保てるように作用しています。

ADHDの場合には、この再取込のしくみが十分に働かず、人によって多めに取り込んでしまったり、あるいは、少なめに取り込んでしまったりしますので、それをコントロールするために、アトモキセチンを使います。

このときに、アトモキセチンという物質は、同時に、NMDAという物質をもコントロールする作用を持っているため、その働き方いかんで、精神状態が興奮のほうに大きく傾いてしまうことがあります。
NMDAという物質の代表例がグルタミン酸。いわゆる「味の素」です。
脳内に広く分布していて、神経の興奮にかかわっています。

NMDAも、ノルアドレナリンと同様に、通常の人は、うまく自分でコントロールできるしくみを保っています。
ところが、ADHDの人は、やはり、うまくコントロールすることができません。
ですから、ほんとうならば、アトモチセチンを使うことでNMDAをうまくコントロールすることができれば、副作用を少なくしつつADHDの症状を抑える、ということも可能です。

残念なことに、アトモキセチンは、NMDAに対してはコントロール作用が弱く、十分に働かないことが多々あります。
そのため、ADHDによる興奮をうまく抑え込めないと、服用によって、逆に興奮を高めてしまう方向に作用してしまって(副作用)、不眠や早朝覚醒につながってしまいます(少なくとも5%以上の発生率)。

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ということで、以上です。

傾眠(強い眠気)は、少なくとも20%前後の発生率で見られますから、お書きになっているように、アトモキセチン(ストラテラ)を服用した人は、「眠くてつらい」「眠れなくてつらい」という両方の人が存在する、という結果になってしまうわけです。

アトモキセチンそれ自体の副作用というよりも、その効き方がひとりひとり違う・アトモキセチンだけでは他の脳内物質(NMDAなど)の働きをコントロールしきれない‥‥、といったことが影響してしまっている、と言えると思います。
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この回答へのお礼

とても分かりやすく詳しい回答ありがとうございます…!m(_ _)m インターネットで調べても理由を書いているサイトや記事をなかなか見つけることが出来ずここで質問させていただいたのですが、疑問が晴れてとてもスッキリしました。

お礼日時:2021/11/19 10:24

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