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前回「亜光速宇宙船の航行について」という質問をした者です。新たな疑問がわきましたので恐縮ですがまた質問させていただくことにしました。

地球から10光年離れた植民惑星Aが存在したと仮定します。
光速の90%で航行できる宇宙船がAに向って発進しました。

宇宙船は地球&A時間で11.11年かかってAに到着します。
皆様方のお力添えで宇宙船内ではこの間4.84年しか時間が進行しない、という結論をいただきました。

ここで新たな疑問です。
宇宙船がAに到着したとき、Aの住民は11.11歳の歳を取っているのに乗組員は4.84歳しか歳を取っていないのでしょうか?

いくつか文献を読んでみました。
PHP研究所〈相対性理論〉92ページにこんな記述があります。
「宇宙旅行する人が年をとらず若さを保つといっても、それは地球上の人がロケットの中を観察した場合のことです。ロケットの中の人は、自分の時計も身の周りの変化もすべて平常通りに動いているのです」
さらに同書では、
「もし、そうでなかったらたちまちおかしなことになります。なぜなら宇宙は膨張していて(中略)地球から非常に遠い星は光速度に近い速さで後退しています。運動の相対性により、その星に対して地球は光速度に近い速さで運動していることになります。」
そして、
「ということは、地球上では時間がほとんど止り、人類は年をとらないことになります。」
結論。
「しかし現実はそうなっていません、すべて正常の状態にあります。つまり、時間の遅れや長さの短縮は、互いに運動している一方の観測者が、他方の状態を観測したとき、そのように見えるということなのです」

ということは、地球やAから観測したとき、宇宙船のクルーは4.84歳だけ歳を取ったようにしか見えないが、Aに到着したら、クルーは地球&Aの住人と同じく11.11歳歳を取っていた、ということになるのでしょうか?

A 回答 (3件)

地球から見ると「宇宙船は 10光年の距離を 11.11年かけて移動したが, その内部では時間の遅れにより 4.84年しかたっていない」と観測されます.


恒星系A から見ても同じ観測結果が得られます.
宇宙船から見ると「地球から恒星系A までの 4.36光年を 4.84年かけて移動した」と観測されます.

結論: 宇宙船のクルーは 4.84歳しか歳をとらない.

「ということは, ~」というくだりは正確な表現ではないですね. より正しくは, 「ということは, 地球上では時間がほとんど止まり, 人類はほとんど年をとらない*ように見える*ことになります」です. 相対論の話をするんだから, ちゃんと「どこから見ているのか」を考えないと.
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。文章が曖昧で失礼いたしました。

お礼日時:2005/03/15 01:20

 「Aに到着した」をどう考えるかによるのですが、単にAのそばを通り過ぎた、ということであれば、宇宙船と地球では別の慣性系のままですから、「Aの住民は11.11歳の歳を取っているのに乗組員は4.84歳しか歳を取っていない」となります。

この場合は、どちらの時間が正しいということはなく、違っていてもかまいません。
 「到着した」を「着陸した」とすると、話は変わってきます。着陸するということは、減速しなければなりませんから、宇宙船は加速度運動をします。現実問題としては、地球を出発するときも加速度運動をします。加速度運動している宇宙船での時間の経ち方を求めることは、特殊相対性理論の範囲で可能ですが、加速度運動している宇宙船から見て地球での時間の経ち方を求めることは、一般相対性理論で考えなければなりません。結論だけ先に述べるなら、加速度運動している宇宙船から地球や植民星Aでの時間経過を見ると、ゆっくり進む場合もあれば、速く進む場合もあります。結果として、「Aの住民は11.11歳の歳を取っているのに乗組員は4.84歳しか歳を取っていない」というようなことが起こります。実際の時間の経過は、どのような運動をしたかによります。
 今日は時間がないので、後でもよろしければ、後ほど補足説明をします。

この回答への補足

宇宙船は減速してAに着陸した、と仮定します。この場合、Aの住民、宇宙船のクルー、双方はどれだけ歳を取ったことになるのでしょうか?

補足日時:2005/03/15 01:06
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この回答へのお礼

shiara様、前回に引続きご回答くださり大変ありがとうございます。補足のご回答お待ちしております。是非よろしくお願いいたします。

お礼日時:2005/03/15 01:17

 補足説明が遅れて申し訳ありません。

ちょっと分かりにくいかもしれませんが、分からないところは再度質問してください。

  加速度運動を考える前に、前回の内容で、宇宙船から見た地球時間について説明します。前回は、地球を出発した宇宙船が植民星Aに到着するまでの時間が、地球では11.11年なのに、宇宙船では4.84年しか経っていないという話でした。それでは、宇宙船から地球の時間を見るとどうなるでしょうか。普通に考えると、11.11年のようですが、そうではありません。宇宙船から見ると、地球は光の90%の速さで遠ざかっていますから、地球の時間の進み方は遅くなります。宇宙船では、出発から到着まで4.84年ですから、ローレンツ収縮と同じ因子√(1-v^2/c^2)がかかって、2.11年しか時間が経たないことになります。そうなると、地球では、11.11年経ったのか、2.11年しか経っていないのか、どちらが正しいのか気になるところですが、地球と宇宙船が別の慣性系である限り、これはどちらが間違いということはありません。
 さて、次に加速度運動を考える訳ですが、上記のように、お互いに相手の時間の進み方が遅くなっていますから、2つの座標系での時間の進み方を比較するためには、同じ慣性系にしなくてはいけません。そこで、宇宙船は次のような運動をしたとします。
(1)宇宙船は初め地球に対して静止しており、一定の加速度gで加速度運動をします。
(2)ある速度vになったところで等速度運動にします(加速度を0にします)。
(3)ある地点で、-gの加速度で減速し、ちょうど植民星Aで静止するようにします。
 この3つの段階に分けて、地球から宇宙船を見た場合と、宇宙船から地球(及び植民星A)を見た場合の、時間の経ち方について説明します。このとき使う時間の進み方の関係式は、次のようになります。
 Δτ=Δt√(1-v^2/c^2+2φ/c^2)・・・(式1)
 ここで、τは注目している物体での時間、tは観測している座標系での時間、vは物体の速さ、cは光速度、φは重力ポテンシャルです。右辺の値は、全て、観測している座標系での値であることに注目しましょう。vは宇宙船の速さですが、この座標系で見た場合の速さであり、別の座標系から見れば、値は変わってきます。なお、上記の式は、計量テンソルが対角型であるように座標系を設定した場合の式であり、常にこの式が使える訳ではありませんので、注意が必要です。
 まず、地球から宇宙船を見た場合について述べます。この場合、(式1)の右辺は地球から見た値になります。宇宙船の周りには重力場はありませんので、φはゼロです。左辺は宇宙船での時間の経過を表します。つまり、(式1)は良く知られている時間の遅れの式になります。(2)はvが一定ですから、簡単に求められます。(1)と(3)は宇宙船が加速度運動をしていますので、vを時間tの関数として求め、加速度運動している間の時間にわたって積分すれば、宇宙船での時間の経過が求められます。vが時間tのどのような関数になるかは、運動方程式を解くことで求められます。
 ここで、特筆すべき点を1点述べておきます。宇宙船での時間は常に地球の時間より遅く進みますが、加速度gを無限大にした極限では、宇宙船での時間経過はゼロになります(地球での経過時間もゼロになります)。加速度gを無限大にするとは、宇宙船が地球を飛び立つとすぐに速度vになるという想定に相当します(減速も瞬間的に行われると考えます)。つまり、前回考えた条件になる訳です。したがって、gが無限大の極限では、地球では11.11年、宇宙船では、4.84年の時間が経過します。
 次に、宇宙船から地球(と植民星A)を見た場合について説明します。この場合は、(式1)の左辺が地球及び植民星Aでの時間、右辺が、宇宙船から見た値になります。地球から見た場合と大きく違うのは、重力ポテンシャルφがゼロではないことです。宇宙船は加速度運動をしますので、見かけの重力(慣性力)が発生します。一般相対性理論では、慣性力と重力は本質的には同じものであると仮定します。これを等価原理と言います。宇宙船から見た時の重力は、宇宙船の中はもとより、宇宙全体に重力が働いています。宇宙船から外を見れば、全ての星々が下に落下していくのが見えます。(1)の過程で言えば、地球は宇宙船のすぐ下から自由落下を始めて、無限にかなたの下に落ちていくように見えます。植民星Aは、はるか上空から自由落下を始めます。このときの地球、植民星Aの速さと重力ポテンシャルφを与えれば、地球及び植民星Aでの時間の経ち方が分かります。φは、次のような関数になります。
 φ=gx(1+gx/(2c^2))
 φの値は、gとxの符号により、プラスにもマイナスにもなりますから、特殊相対性理論の場合と異なり、(式1)のルートの中は、1よりも大きくなる場合があります(特殊相対性理論では、常に1以下です)。ルートの中が1より大きいということは、右辺のΔtより左辺のΔτの方が大きいということですから、自分の時間より相手の時間の方が速く進むということです。今回の場合ですと、(1)の過程では、植民星Aでは宇宙船の時間より速く時間が進みます。(3)の過程では、地球での時間の進み方が速くなります。
 地球、植民星Aの速さとφを入れて、加速度運動中の時間にわたって積分し、加速度運動中の地球及び植民星Aでの時間の進み方を求めると、次の結果となります。
 τ=(c/g+L/c)v/c
 このLは、加速度運動を始めたときに、地球もしくは植民星Aが宇宙船からどれくらいの距離にあったかというものです。(1)の過程では、地球ではゼロ、植民星Aでは10光年になります(加速度運動直後では、まだローレンツ収縮はしていません)。(3)の過程では、その逆になります。vを光速の90%とし、gを無限大にした極限でこの値を求めると、(1)の過程では地球での時間経過はゼロですが、植民星Aでは10×0.9=9年となります。つまり、宇宙船が地球を出発して瞬間的に光速の90%まで加速すると、宇宙船でも地球でも時間経過はゼロなのに、植民星Aでは9年も経っているのです。これは、減速するときにも同じ状況であり、このときは、地球で9年経過することになります。
 (2)の過程は、冒頭で述べたように、地球でも植民星Aでも2.11年しか時間が経ちません(gを無限大とした場合です)。これと9年を足すと、11.11年となります。
 以上をまとめると、宇宙船から植民星Aを見た場合、初めの加速度運動のときには、植民星Aでは9年が経過、その後等速度運動では2.11年経過し、最後の減速では時間経過はゼロ、トータル11.11年が植民星では経過します。その間、宇宙船内では、4.84年経過します。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。加速度運動を考えると難しいことになりますね。しかし、一瞬で光の90%のスピードに到達させる、というのは荒唐無稽ですから、この問題は避けては通れなくなりますね。
shiaraさんには本当にお世話になりました。ありがとうございます。

お礼日時:2005/03/17 01:46

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