原作者とテレビ・脚本家が揉めている事件があり、溝が深いことを知ったので、「脚本家が事細かな契約をして自身を守る選択があってもよいのでは?」と質問をしました。
【なお日本の法令においては「事細かい契約書等」はあくまで「互いの合意を明確化したもの」つまり「言った言わないといった水掛け論を避けるため」のものでしかない. 契約において契約書は必須のものではないのだ.】
と教えて頂いたのですが、自身で調べた契約書の法的な効力は下記のようなものでした。
【契約書に記載された内容は、原則として当事者を拘束します。 当事者は他の当事者に対して、契約書に記載された内容の義務を負い、または権利を取得します。 もし当事者間で契約トラブルが発生すれば、契約書に記載された手順・ルールによって処理されるのが原則です。】
不利益をもたらす可能性がある相手を拘束するためには、契約書は必須だと思うのですが。
教えてもらった通り「言った言わないといった水掛け論を避けるためものでしか無い」とは真実なのでしょうか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
日本の法律の仕組みでは、「契約」は文書に拠る必要はありません。
口約束でも「お願い」「了解」という双方の意思の合致があれば、契約は成立します。
ただ、口約束の場合は後日になって「言った/言わない」の争いになってもめたとき、第三者がどちらの言い分が正しいかわかりません。
そのような混乱・対立を予防するために、「契約書」という文書に合意した内容を書き残すのです。
「水掛け論を避けるためものでしか無い」という趣旨が不明ですが、契約書は合意内容を書き記したものなので、契約書の内容が合意事項の証拠となって、当事者双方の権利義務を画定します。
その意味では、契約書は当事者間における法律的な権利義務を画定するのです。
一般的に契約書には契約当事者が各自で署名押捺します。
そうすることで、内容を了解し合意したということを記録上にも明確にするのです。
「脚本家が事細かな契約をして自身を守る選択があってもよいのでは?」との冒頭の1文ですが、契約は関係する当事者双方の権利義務を画定するので、一方だけの利益になる事を好き勝手に書き連ねて契約書として確定しようとしても、相手方当事者が「そんな内容では合意しない」となれば、契約は成立しません。
勿論、双方当事者が納得して合意するのなら、細かく決めごとをする契約も普通にあるでしょうし、そもそも後日の問題を回避するという趣旨で言えば、事細かな契約を交わす方が良いでしょうね。
問題は、双方の合意が得られるかどうか次第。
また、契約書に書いても無効になることはあります。
例えば公序良俗に反する事柄です。
あるいは、既に実現することが無い事が明確なことです。
それらを記述した契約は、その当該不能または公序良俗違反の内容が無効になり、その他の内容は効力を有します。
No.9
- 回答日時:
#8です。
お礼ありがとうございます。誤解があるようなので、補足説明します。
>警察送検→検察起訴をした内容と無関係でも、裁判で認定されお墨付きが出るとは知らなかったです。
なんの「お墨付き」だと考えているのでしょうか?裁判、特に刑事裁判は「起訴事実」だけを判断するもので、質問者様が指摘するようにこの裁判は「CAの手をねじった業務妨害」を有罪としたものです。
それ以上でもそれ以下でもありません。お墨付きが出たとすれば「CAの手をねじり、それが業務妨害だった」ということだけです。この部分はご質問の「契約の法的効力」にはなにも関係ありません。
>>本来約款(契約書)に無い、しかも政府がOKとしているのですから《マスクをしないことを問題視すること》自体が、運送契約違反です。
>司法の判断があったのですか?もしくはマスパセ氏と航空会社の示談?
奥野氏はピーチ機で北海道から東京に帰る前に、そもそもANA機で北海道に移動しています。この時ももちろん《マスクをしていなかった》のですが、ANAは問題視していなかったのです。だから問題なく乗れたし、北海道にも移動できたわけです。
なぜANAは問題視しなかったのか?それは「約款に書いておらず、政府もマスク無しでOK」としているからです。契約書になく、しかも政府がOKとしているのだから
なので、契約書の法的効力、という問題で焦点をあてるべきなのは「そもそもピーチの搭乗員はなぜマスクを強要したのか?」です。
もし質問者様が「強要できる契約内容」をご存じなら教えてください。
私が例に出している焦点の部分の事例は、日本での契約書の法的効力は、マスクは強制か?強制ではないか?を決めることすらできない。
つまり「不利益をもたらす可能性がある相手を拘束することができない」ということです。
No.8
- 回答日時:
#5です。
補足拝見しました。裁判の条文はその通りです。でも「事の発端」はなんですか?
「航空会社がマスクをしないことを咎めたこと」です。
航空会社の約款も政府の見解も「マスクをしなくてもよい」ですから、咎めること自体が《契約書に無い行為》です。
本来約款(契約書)に無い、しかも政府がOKとしているのですから《マスクをしないことを問題視すること》自体が、運送契約違反です。
結果的に口論になり、暴行になったのかもしれませんが、裁判事例そのものと《契約書の法的効力》の実例としての使用は指摘している場所が違います。
そうなんですね。
警察送検→検察起訴をした内容と無関係でも、裁判で認定されお墨付きが出るとは知らなかったです。
>本来約款(契約書)に無い、しかも政府がOKとしているのですから《マスクをしないことを問題視すること》自体が、運送契約違反です。
司法の判断があったのですか?もしくはマスパセ氏と航空会社の示談?
知らない事実が多すぎて勉強になります。
事件番号を教えて貰えると簡単に確認出来るので、是非教えて頂きたいです。
No.7
- 回答日時:
水掛け論を避けるためのものでしかないというのは言い過ぎだし少し違います。
質問者さんも書かれているように、契約書に書いた事項は双方の権利義務として作用しますし、
それは余程常識はずれ、違法性を帯びない限り有効になります。ですから証拠のためというのは役割の一つですがそれだけではありません。
契約自由の原則の元、双方である程度自由に条件を定めることが出来、それを明確にするために契約書を作成します。
例えばお金を貸すのに利息を取るということを明示しないと利息は取れませんし、双方で利率を決めれば、法律の定める範囲内で利息が取れます。
単に利息を取ると言っただけだと、法定利率による利息しか取れません。
だから利息を取るということを契約書に書けば、その点の争いは避けられますが、利息を少しでも多く取ろうと思うなら契約書に書いた方が安全な訳です。
それに民法に定められている保証契約は書面でしなければ、つまり保証契約書が無いと効力を生じません。保証契約に契約書は必須なのです。
ですから口約束だけで契約が成立するというのは全ての契約に当てはまる訳でもないのです。
No.6
- 回答日時:
日本の法律上、契約”書”としての形式を持ってなくてもそれに相当する合意があったことが客観的に証明できればそれ自体も有効になるという実態上の合意の有無をとってるということです。
それと違って米国なんかでは契約書にサインをすることで効力が発生するので、効力の発生のタイミングを法律論としてどこに置くかというだけの話です。
>「言った言わないといった水掛け論を避けるためものでしか無い」
なんてこともなく、結局立証不可能な口約束は裁判では何の根拠にもなりませんし、契約書での記載というのは実態関係を証明する上で非常に重要な客観的証拠になります。
民事裁判の目的は「当事者同士の紛争解決」であるので、真実の発見ではありません。双方の主張に争いのない点においては裁判所はそれが真実か否かすら問題にせずにそれを認めますが、双方の意見や主張に食い違いがあるからそれを争うのです。その時に、裁判所は民法などを法律を根拠にお互いの主張のどちらを認めるかはあくまで双方が出す記録や証拠によって妥当だと思われることを認めるしかありません。
No.5
- 回答日時:
根本的な問題として「契約書は一般的な価値観や法律よりも優先するのか?法律や一般的な価値観のほうが優先なのか?」という問題があります。
欧米の場合「契約は絶対」なので「契約書のほうが一般的な価値観や、場合によっては法律よりも優先される」という前提になっています。
日本人の認識もこちらに近いと思いますが、日本の場合「契約は一般的な価値観や法律によって制限を受ける」という解釈になっています。
たとえば「マスクは任意である」という社会常識や法律になっていたのに、マスクをしないことで飛行機を降ろされた人がいます。そして「降ろした行為」について航空会社を訴えましたが、判決では「航空会社の行動は合法」ということになりました。
これ「約款」という旅行者と航空会社が結ぶ《契約書》からみれば「マスクをしていないことで降ろすことは不法行為」です。しかも政府から「マスクは任意で強制ではない」という行政文書も出ていたので、マスクをしないことを理由を問題にすること自体、航空会社として「越権行為」です。
でも降ろされたし、裁判もそれを合法と認めたわけです。
欧米ではこういうことは起きません。だからこそ「マスクを強制する」という法律を作らないと、守らない人たちを制限できなくなるのですが、日本の場合「契約書」の文言が守られるかどうかは、実はすごく曖昧なのです。
だから、日本においては、契約書は「互いの合意を明確化したもの」つまり「言った言わないといった水掛け論を避けるため」のものでしかない、 といえます。
「契約書は絶対的だ」と多くの日本人が思っていますが、そうではない、ということです。
>たとえば「マスクは任意である」という社会常識や法律になっていたのに、マスクをしないことで飛行機を降ろされた人がいます。そして「降ろした行為」について航空会社を訴えましたが、判決では「航空会社の行動は合法」ということになりました。
マスパセ氏の裁判でしたら、威力業務妨害・暴行・航空法違反についてですよね?
>判決では「航空会社の行動は合法」ということになりました。
調べても記録が無いのですが、どの事件か教えて頂きたいです。
>「契約書は絶対的だ」と多くの日本人が思っていますが、そうではない、ということです。
回答者様にとって契約書とは、法的な効力が無いモノという認識で宜しいでしょうか?
他の回答者様とは認識が違うようなので、根拠(法律・裁判)を含めいろいろとご教示願いたいです。
No.4
- 回答日時:
補足します。
契約書に記載された内容が、法律に反するものであった場合の効力については、有効か無効になるかは、関係する法律が任意規定であるか強行規定であるかによって違います。
任意規定の場合は、法律の定めに沿わない取り決めでも自由です。
一方、強行規定の場合は、法律の定めに沿わない取り決めは呼応力を持ちません。いわゆる公序良俗違反になるので。
例えば、「契約は口頭でも有効」と書きましたが、当事者同士が取り決めで「この契約に関する条件、合意は、文書による場合以外は効力を有しない」と取り決めることは有効です。
他方で、「この契約は、発注者(A)の解釈のみによって解釈され、それと異なる受注者(B)の解釈は効力が無い」とすると、独禁法の優越的地位の濫用にあたる不公正な条項にあたり無効となる可能性があるのです。
(実際の効力の有無は具体的な紛争において裁判所の判断で決するのですが。)
はい。論理的な回答で勉強になりました。
なかには事実を歪曲したお気持ち回答等も頂く事があるので、法に基づいた説明で分かりやすく参考になりました。
ありがとうございました。
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