植物の学名の由来に興味を持ち、いくつかあるインターネットサイトを利用して自分なりの学名辞書を作っています。
学名はラテン語を利用していると思っていたのですが、どうやらギリシャ語が元になっているものが多いようですね。
1例としてDave's Garden Botanical Dictionaryというサイトが大変参考になりますが、そこにで出てくる説明にはギリシャ語由来の言葉が非常に多いようです。
ところが、現代ギリシャ語の辞書を見てもさっぱり該当するものが見当たりません。
聞くところによると、ギリシャ語は現在のものと古代のものではかなり違うということですが、そうすると、学名の意味を調べるのにはどういう辞書使ったらよいのでしょうか、教えていただきたいと思います。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
英語のサイトになってしまうのですが、以下のオンライン辞書が役に立つかもしれません。
古典ギリシャ語とラテン語を一括検索可能で、スペルはかなり柔軟に解釈してくれるのが便利です。
これで無理なら古典ギリシャ語の辞書を買うか、地道にネット上で探すぐらいでしょうか。origin, botanical (plant) name, greekなどの単語を上手く組み合わせて検索すると由来の辞典が見つかる可能性もありますし。
参考URL:http://www.wordinfo.info/
nativepageさん、ご教示ありがとうございます。
ご紹介のサイトはなかなか使い勝手のよいサイトのようですね。
ただ、実際にどれほど利用できるかはこれからいろいろ検証して行こうと思います。
Dave's Garden Botanical Dictionaryのサイトに出ていた1例として、“Achyranthes(和属名イノコズチ)”の意味が「ギリシア語achyr(もみがら)+anthos(花)」と出ているのですが、“achyr”についてご紹介のサイトで検索してみると対応の語彙が出てこなくて、また、参考として出てくる綴り違いの語achlya、achlys、archerのどれも対応していないようです。また、“anthos”も「花」を意味する語の接頭または語尾の変化が出ていますがその中には“anthes”も“anthos”も見当たりません。
ほかの植物例でも大体同様のようです。
やはりギリシャ語の基礎をある程度勉強しなければならないのでしょうか。
No.2
- 回答日時:
生物の学名や解剖学名などのラテン語化されたギリシャ語の元の意味を知るには(以前にも書いたことがあるのですが)古典ギリシャ語の紙版の辞書をお使いになるのが一番手軽で正確だと思います。
ギリシャ文字を覚える必要はあります。が、ラテン文字からの置き換えは割と単純です。
a→α i →ι u→ου y→υ
e→εまたはη o→οまたはω
b→β d→δ g→γ p→π t→τ [c,k]→κ
l→λ [r,rh]→ρ m →μ
n →ν (但し、g・k・x直前のnはγ)
s→σ z→ζ ps→ψ x→ξ
ph→φ th→θ ch→χ
他にsに似たσの語末形があります
【二重母音】
au→αυ eu→ευまたはηυ
ae→αι oe→οι
語頭のhは無視してかまわない。 hydro- →υδρο-
ο(短いo)とω(長いo)、ε(短いe)とη(長いe)はラテン文字では区別しないのでとりあえず両方試す。
頻出語は辞書の見出しが大文字で書いてあるので大文字ΑΒΓΔ...も要チェック。
さあこうして置き換えると次のようになります。
achyr- なら αχυρ-
achly- αχλυ-
antho- ανθο-
ようやく辞書が引けます。現代ギリシャ語と違い古典語は母音字に語頭のh音を表す気息記号やアクセント記号、下に小さくιがそえてあったりとにかくごちゃごちゃと符号がついていますが一切無視してかまいません。符号を無視できるのが紙版の強みです。
OxfordからでているAn Intermediate Greek-English Lexicon(6500円くらい)を見るとαχυρμια(achyrmia), αχυρμοs(achyrmos), αχυρον(achyron),αχυροs(achyros)といったふうに見出し語が並んでいます。同時に派生語/関連語を見ることができますよね。
絞るとすればαχυρονかαχυροsのどちらかでしょう。語尾で悩む必要はないし、ひとつに決めなくても意味はわかると思います。
この辞書はペルセウスのサイトでも利用できる(ttp://www.perseus.tufts.edu/cgi-bin/morphindex)のですが、ギリシャ語のテキストを読むには便利でも、正確に語形を復元して例の符号をつけないと使い物にならないのでパス。
なぜ「語尾で悩む必要はない」と断言するかというと、ギリシャ語を読むために学ぶのでない人には少々荷が重いからです。複合語でなぜこの語尾になるのかを解明するには「読むための文法」ではなく「造語法=書くための文法」が要ります。この分野で日本語で解説されたまとまった文章をみたことがありません。まあ初級文法をぼちぼち拾い読みされることまでは止めませんが...
Achyranthes:
この-anthEsは長いほうの-ανθηsです。ホメーロスのオデュッセイアに「花ざかりの、多くの花がある(野原)」という形容詞でpolyanthesポリュアンテースという語がでてきます(実際には格変化した形)。それに倣ってachyr+anthos>achyranthEs です。
サクラソウの仲間の栽培植物でポリアンサというのがあります。こちらのpolyanthaはラテン語の第一変化を少々強引に当てはめた感がありますが一方Achyranthesはギリシャ語の綴りが大事にされていていいなあ♪と思いました。
ところでarcher-は非ギリシャ語か、arche+(rで始まる語)だと思います。arche-は「~を支配する」という意味です。
まとまりなくごちゃごちゃ書き連ねましたが、言いたいことは「辞書は紙版」「語尾変化は無視」です。これでギリシャ語は楽勝です。
この回答への補足
nakanonanakoさん、懇切な解説ありがとうございます。
ギリシャ語は結構難しいようですね。
ところで、語尾変化については余り気にしなくてよいとのお話ですが、こんどは私にとっては語幹がどこまでかがわからないときにはどうするかということが気になります。語幹の区切り方如何によっては意味が全く違ってきてしまいます。
語幹のとらえ方のコツというようなものはあるのでしょうか。
その後、nativepageさんからご紹介いただいたオンライン辞書を利用して学名の意味を解くことをトライしてみて、ギリシャ語が基本的に語幹と語尾の変化がかなり複雑ということがわかってきました。
一方、古典ギリシャ語辞典はかなり高価なものしかないようで、趣味だけに利用するには少々もったいないかなという気がして購入に踏み切れません。
当座はオンライン辞書を使ってそれにいろいろ想像を加えながらギリシャ語を理解するコツを覚えるようにして行こうと思います。
ありがとうございました。
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