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スタンダールの「赤と黒」を読んだことのある方へ。
主人公のジュリアンは、レナール夫人に銃口を向けますが、自分の愛した女性にそんなことするでしょうか?彼が本当に愛していたのはマチルダではなくレナール夫人だったのですよね。

それはマチルダへの結婚が邪魔され、というよりも出世が邪魔されて、我を失ったということですか?

結局、野心は恋心に勝るということでしょうか?

A 回答 (1件)

>自分の愛した女性にそんなことするでしょうか?


しちゃったんだと思います。
>彼が本当に愛していたのはマチルダではなくレナール夫人だったのですよね
そのとおりと思います。
>それはマチルダへの結婚が邪魔され、というよりも出世が邪魔されて、我を失ったということですか?
それを言っては実も蓋もないかも…^^;
>結局、野心は恋心に勝るということでしょうか?
タイトル『赤と黒』(軍服と僧衣)に象徴されるように、
野心を打ち砕いた当時の市民社会への批判と合わせて、
この作品は第一級の恋愛心理の書ともうたわれていますので、
恋愛を軸に私の解釈を述べさせてくださいな。

侯爵令嬢マチルダとの恋愛は、レナール夫人のときと違って、
明らかに支配-服従の図式化にありました。
そもそもジュリアンにとって、恋愛とは征服することであり、対象はブルジョワ女性のみ、野心とは切っても切れないものでした。
それが思いがけず、ジュリアンはレナール夫人を本当に心から愛してしまいました。
それをたまたま(?)密告によって二人は離れ離れになり、
ジュリアンは初心に返るわけです。
「マチルダをオトせば、オレの野心は叶う!」

ところが、嫉妬に燃えた元愛人、レナール夫人から、過去の秘密を暴く手紙が届きます。
怒りを抑えられなくなったジュリアン。
…この時のジュリアンの心理、つまるところは「恋愛」の過程のひとつだと思います。
このときジュリアンの中で、恋愛より野心が勝っていたら、
レナール夫人を撃ったりはしなかったんじゃないかと私は思いました。
愛した女だから、撃った。そう感じられます。

スタンダールは『恋愛論』の中で、恋には七つの過程があって、
六つめには「疑惑」と書いてました。
レナール夫人は嫉妬に燃えて手紙をしたためた。
ジュリアンはレナール夫人の裏切りのために銃を撃った。
二人の裏切られた心が、お互いを疑ったために悲劇が起きたわけです。
そしてその「疑惑」を乗り越えて、ついに恋愛の最終形態(?)「第二の結晶作用」を迎えることができる。
二人が愛を確かめ合う獄中でのラストシーンは、ジュリアンが恋愛を貫いたその最終結果なんだと思いました。

今思ったのだけど、
野心を砕いたのが愛人レナール夫人じゃなく町長レナールだったとしたら、
なんか別の物語になっちゃいますね。
やっぱ恋かしらん、と思いました。
長文ごめんなさい~。
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この回答へのお礼

なるほどねー。「疑惑」も恋愛のひとつですか。
とっても参考になります。

それにしても、恋愛心理って複雑ですね。

お礼日時:2002/07/23 18:00

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