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ニーチェの「ツァラトゥストラかく語りき」の中に、「三段の変化」という項目があります。「ラクダ」「獅子」「幼子」と、精神が三段に変化を遂げるようすを詳述してあるものですが、いくら読んでも、具体的にどう言う心境の変化を述べたものなのか理解できません。ニーチェは、やはりラクダと幼子を肯定的にとらえ、獅子を否定的に扱っているのでしょうか。
私は哲学はからっきし無学ですので、可能であれば具体的な事例を挙げてお教え下さい。

A 回答 (3件)

幸い(?)私も哲学オンチなので、哲学色はヌキにしてお話させてくださいな。



■精神の三段の変化とは

1)ラクダ段階:神にひざまずき、重い荷を背負いたいと願う、服従と勤勉の精神
 俺は傲慢だ、知ったかぶりだ、俺はバカだ。
 そうであることの重荷に耐えられるほど、俺は嬉しい。
 どうか俺の背中に一番重い荷物を乗せてくれ神様。
 俺はどんな辛さにも耐えるから。

2)獅子段階:新しい創造を目指す権利を得る、自由意志発揮の破壊精神
 神とやらが俺に押し付けていた「義務」はもうどうだっていい。
 だって俺はこんなに強いもん。
 俺はきゅうくつな修行から逃れて、そして何者にも縛られない自由を手に入れるぞ。
 俺はもっとすごいことがしたいんだ。邪魔するやつは容赦しない。

3)幼子段階:新しい創造ができる力を得る
 (敬虔であったラクダ時代を忘れ、暴虐だった獅子時代も忘れ、
 すべてを真っ白な新しい気持ちで受け入れ、遊びながら、
 どんどん新しい価値を生み出していく存在。)

途中で「神様」という語が出てくるけれど、
ニーチェの名台詞はご存知「神は死んだ」。
つまりこの書は、キリスト教の価値観でガチガチに固められた世界観をブッ壊して、
それに代わる新しい価値観や新しい人間像を、
ゾロアスター教の神様(ツァラトゥストラ=ゾロアスター)にかこつけて語らせてみているわけです。

神様の教えに従順に従っている段階がラクダ。
それにおかしいと気づき、ぶっ壊そうとあがき暴れまくっているのが獅子。
(獅子でなければ古い価値観をブッ壊すことはできない)
そして新しい価値観を生み出すには、幼子のように無垢でなければいけない。

…とはいえ、「ツァラトゥストラ~」は「福音書」のパロディらしくて、
「幼子」とはイエスその人を指してるみたい。(「幼な子のようになりなさい」っていう聖書の言葉から)
つまり元に戻るだけで、新しい価値は誰も生み出せないという…
恐ろしいオチです。

>具体的な事例を挙げて
夏目漱石の「坊ちゃん」から「三段の変化」を説明しているサイトを見つけました。ご参考になさってください。おもしろかったです。(^^)
ラクダ…うらなり
獅子…山嵐
幼子…坊ちゃん

参考URL:http://www.geocities.co.jp/Bookend/4208/unpublis …
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この回答へのお礼

ありがとうございました。ご指摘のURLは、私にはちょっと難しすぎましたが、上述された123は、非常によくわかりました。
獅子の時代は、世阿弥のいう「時分の花」で、それを超えたところが「幼子」なのかな、とか、中島敦の「名人伝」の登場人物も同じ道をたどっているなとか、巨人の星の星飛雄馬もこの三段階を経ているなとか、いろいろ思いを致すよすがになりました。

お礼日時:2002/07/04 15:15

お読みになったのは新潮社の「ツァラトストラかく語りき」でしょうか?


中央公論の「ツァラトストラ」はもっと読みやすいですよ。
質問に対しての回答ではないですが、ちょっと書いてみました。
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この回答へのお礼

アドバイス有り難うございます。
同僚が会社の会議で引用していたので、彼に頼んでその部分をコピーして貰ったのですが、何版かはわかりません。教養の差を思い知っています。

お礼日時:2002/07/08 20:12

ニーチェは、古来からの伝統的なキリスト教的価値観を批判しました。

彼は、キリスト教を、奴隷、すなわち、弱者の哲学し、強者の哲学を唱えました。彼の中心思想は、超人という概念にあります。駱駝とは、キリスト教に盲従する者、獅子とは、それから脱却する者、幼子とは、新しい価値を見い出す者の象徴です。つまり、いかにして人が超人に目覚めていくかを語っているのです。
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この回答へのお礼

キリスト教に対する批判だったとは、思いもしませんでした。ありがとうございました。

お礼日時:2002/07/04 15:11

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